異世界✕兄妹✕姉妹

jun( ̄▽ ̄)ノ

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体を抱くことは出来ても心を奪ったりはできない

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7・体を抱くことは出来ても心を奪ったりはできない


 城で迎える夜において、詩貴は適切な表現が見当たらないほど困惑していた。知らない世界に迷い込み、大よそ一個人の部屋とは思えない広大な空間に放り込まれ、乱暴だの粗末な扱いを受けるわけでもないから、頭と感情がまったくもって落ち着かない。

―コンコンー

 白いドアがノックされた。続いて入ってもいい? なんて、かわいく無邪気な声が聞こえたりする。

「どうぞ……」

 それ以外の返し言葉が見つからなかったので、無愛想につぶやく詩貴。するとドアが開いてポニーの姿が目に入る。

「あら、詩貴……まだシャワーとかオフロしてないの? ダメねぇ、こっちはもうやる気マンマンなんだから早く済ませて欲しいなぁ」

 ポニーは顔をポッと赤くして詩貴を見つめる。

「やる気って何をやるつもりなの?」

 ムッ! っと戦闘態勢的な面持ちの詩貴がたずねる。

「決まってるじゃん。これこそ理想! って存在を見つけたんだよ? これめっちゃすごい事だからさ、ベッドの中で心身共々親密したいなぁって思うわけじゃん。それっていけない事かな?」

 ここでポニーはパチンと指を鳴らす。すると女性召使いがワインボトルとグラスを2本持ってくる。彼女はそれを室内にある豪華すぎるだろう! ってテーブルに置いたらスーッと退出。

「ま、心地よく温かいキモチで語り合おうよ」

 ポニーはそう言いながらトクトクっと音を立てる。透明のワイングラスに美しすぎるワインカラーって飲み物を注いでいく。

「ポニーだっけ? あなたいくつ?」

「18だけど?」

「わたしも18。お互い未成年」

「は? 18で未成年?」

「わたしのいた世界ではお酒は20歳から」

「ダサい世界ね……人生はもっとテンポよくおおらかに楽しまないとダメよ」

 ポニーはウィングラスを詩貴に渡そうとしたが、受取拒否をされたので素直に諦める。でも自分は超高級というワインを慣れたフンイキで飲みながら、詩貴は絶対に返さないよと微笑みながら言う。

「ポニーに質問したい」

「なんでも聞いて」

「わたしはべつの世界から来た。しかもポニーとゆっくり会話をしたわけじゃなく、たんに目を合わせただけくらいなモノ。それで何がわかるの? いきなり心身共々親密とか、ちょっとおかしくない?」

「全然おかしいと思わないよ」

「どうして!」

「わたしはさぁ、フィーリングキャラだからビリっと感じるのを信じる。まぁ、もうちょい詳しく語ると多少子どもっぽいところもあるわけ。よってわたしにとっての理想っていうのは、フィーリングの合う同類でちょっとだけ大人な感じ。それならわたしの事を甘えさせてくれるでしょう?」

 ポニーはワインを飲みながら屈託のない笑顔で言い並べる。対する詩貴はベッドに腰掛けながら、フィーリングという表現は良いと思いつつ、わたしはポニーと同類じゃないと反論する。

「そうかなぁ、似たもの同士だと思うけどなぁ」

「どこが似ているっていうの?」

「お互い美人でかわいいし感性はいいモノを持っている。だけどいい相手を見つけるには苦労する、そういうタイプでしょう? ちがう? ぶっちゃけ詩貴ってモテないでしょう? わたしにはわかるよ、詩貴はいい女だけどモテない。でもさぁ、だからって自分の兄に執着したらダメでしょう。多貴だっけ? あんなぶっちゃいくなクソデブを信じるとか、もう悲しくて泣けちゃうよ。だから詩貴、わたしと愛し合おう」

 なんとなく筋の通った話と思わせるようにポニーは語っていく。うっかりすると言葉のフンイキに飲まれてしまいそうな感じになる詩貴だった。

「いまここにはいないけど……最初に出てきた女の子、多分わたしより年上だろうけど、あの女の子は?」

「うん? それってエリーの事かな?」

「そのエリーと結ばれたらいいんじゃないの? だってエリーの方がわたしよりずっとエレガントなフンイキがあった。ポニーの事をよく知って慕っているようにも感じた。そしてついでにいえば、たまにDカップとか間違われるCカップのわたしよりもかなりの巨乳だった。だったら色んな意味でエリーの方が抱き心地バツグンじゃない?」

「おぉ、うまい返し! と言いたいんだけど、ダメなんだよ詩貴、エリーとわたしは結ばれるに向かないんだよ。なぜって幼い頃からずっと一緒で同士にして家族みたいなモン。ここまで愛情が根深くなると逆にやりづらい。崇高なる同士にして仲間にして友情ってやつだからさ、恋人になって求め合う宇宙にはなれないんだよ」

 ポニーは空になったワイングラスを置くと、ペーパーナプキンで口を拭く。それからゆっくりベッドに近づき、座っている詩貴を見下ろす。その表情には悪人という感がない。でも無邪気に暴走する人というオーラは生々しく浮かぶ。

「詩貴、スダンドアップ!」

 色白な右手の指先をクイクイっと動かすポニー。

「むぅ……」

 命令されて愉快じゃないとしつつ、致し方ないから立ち上がる詩貴。すると相手の手がスーッと伸びてきて肩に置かれる。身構える事もなく肩をつかまれ妙な金縛りに合う詩貴。そして次の瞬間、突然にグッと押される。

「んぅ!」

 ドサっと音を立て腰を落とす詩貴。でも起き上がるとかいうのはできなかった。なぜならハッと気がついた時は、四つん這いのポニーが真上から見つめるというカタチが出来上がっていたから。

「詩貴、わたしは確信する。この一目惚れにまちがいはないと。だからわたしの彼女になりなさい、ね?」

「イヤって言ったら?」

「詩貴、あんたこの部屋を見渡してないわけ?」

 ポニーは詩貴の上に位置しながら上半身を起こす。そして尋常ではない豪華な部屋をよく見ろ! とばかり、右腕を回してから言う。

「この異常な広さ。庶民だったら命をかけても手に入らない値段で購入したモノばかりが置かれている。ベッド、机、テーブル、本棚、冷蔵庫、テレビ、パソコン、キッチン、洗面所、お風呂場、浴室、そして浴室とは別場所にあるトイレ。ボタンひとつ押すだけでいかな要望もすぐ答えてもらえる。わたしの彼女になってお城で生活するのであれば、詩貴の人生から不自由って言葉は消えるよ」

 どや! と誇るような目を下の詩貴に向けるポニー。ところが相手はさほど表情を変えない。だからなに? という無声メッセージがポニーに渡される。

「詩貴のそういった、かんたんには食えないって感じ好きだわ」

 いたずらと本気を交えたみたいな顔になったポニー、詩貴の着ているTシャツの下側をつかむ。そしてフン! って声を出しやや乱暴にそれをまくり上げたのだった。そうすると下に潜んでいた詩貴の白いフルカップブラが揺れて登場。付け加えればなかなか立派って感じの谷間も息づく。

「いいわぁ、自分はCカップで思い人はDカップっぽいCカップ。これもう愛し合ってみたいじゃん」

 ポニーは詩貴の感情を転がしてみたいって顔そのもので、ブラの下を掴んだ。どうやらこのまま捲くり上げるつもりらしい」

 しかし詩貴の表情はさほど変わらない。だからポニーはブラを捲り上げる前に聞かずにいられなくなる。

「詩貴、なんでそんなに冷静? 捲り上げるとおっぱいが出ちゃうよ? わたしが暴走して心身の交流って事になるかも?」

「そうしたいならすればいい。でもポニー言っておくけど、いくらそんな事をしてもわたしの心はモノにできない。体はなんとでも出来るだろうけど、心だけはこんなやり方ではモノにできない」

「むぅ……他の誰かが言うとビンタしたくなるんだけど、詩貴が言うとかっこういいから困る」

 仕方ないかとばかり詩貴のブラから手を離し、ベッドから下りるポニー。すぐに体を求めるのはダメなのかなとつぶやいた後、それなら心の交流から始めようか! と、厄介無垢な笑顔を浮かべる。

「わたし元の世界に帰りたいんだけど」

「いますぐ? 自分だけ帰るわけ? 詩貴、あんた兄を信ずる健気な妹でしょう? だったら多貴が迎えに来るまで待つべきじゃない? そして多貴がわたしに叩きのめされるシーンを見るのも妹の責任じゃない?」

「むぅ、ポニー、もっと普通に交流を……」

「わたしは気に入ったら夢中になるタイプ。普通って範囲になるまでは時間がかかるの。だからここは詩貴がわたしに合わせるべきなんだよ」

 クスっと笑ったポニー、パチン! と指を鳴らし、残っていたワインを下げるように指示。それから詩貴を見て、何かあったら部屋にあるブザーを押せばいいと教えてやる。いかな要望にも欲望にも答えてくれるはずだよと、14歳くらいの少女って感じに微笑んだりする。

「お兄ちゃんが迎えに来る……か」

 ポニーが去って一人になった部屋で詩貴がつぶやいた。脳内と胸の感情が結びつくゾーンの中には、過去にはかっこうよかったって多貴の姿が保管されている。もしあの姿のまま兄が22歳になっているなら、それならすぐ迎えに来てくれるのかもしれない。ポニーなんか目じゃないって展開になるのかもしれない。しかし今の兄ではムリって気がするなぁと、深いため息を落とす。

「連絡も取れない……このまま別れ別れなのかな……どっちも元の世界にもどれないのかなぁ」

 どっさり背中白くフワフワのベッドに落とした詩貴、やばい状況なのに今一つ危機感が湧かないという奇妙な感じに腹を立てたりする。そしてポニーと結婚しなきゃいけないのかなぁなんて、ちょっとゾッとする想像をしたりもした。
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