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決戦前夜の心構え
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37・決戦前夜の心構え
ただいまは前夜なり。明日という日が来たら多貴たちが城にやってくる。それは兄が妹が取り返すってためであるが、ポニーの姉がプライドを取り戻すだなんて、当初は考えてもいなかった話まで絡む。
「ポニー、まだ寝ないんですか?」
夜の10時にて月明りが芸術的に広がる城の中庭にエリーがやってきた。
「いつも通りに寝るわよ、明日が戦いだからとしても、わたしが緊張する必要なんかないんだし」
黄金のメロンパンみたいな満月を見つめていたポニー、思わせぶりに超高級スカートのポケットから鍵束を取り出す。そしてひとつの輪っかに色白な指を通してクルクル回し、チャラチャラって音をアピールするように立てる。
「ねぇ、エリー」
「はい」
「わたしは詩貴を返そうとは思わない。これは譲れないモノだから、多貴には泣いてもらうしかない。ただ……お姉ちゃんはどうしようかなぁと思うんだ。まぁね、まさかあのお姉ちゃんがわたしに勝てるわけないと思うんだけど、いや絶対にありえないんだけど、もしわたしを感心させるくらいつよくなっていたら、その時は認めてやって城に呼び戻そうかなぁって思うんだ」
「いいじゃないですか、ぜひそうしてください」
「そうね……で、お姉ちゃんを戻すとするなら、まぁ……そのときはついでに母の幽閉も解除しようかなぁと思って」
「お母様も!? ほんとうですか?」
「だってあの情けない姉が妹をカンゲキさせるなんてめっちゃすごい事でしょう? それならあのうざい母も戻して、ひとまず母娘の生活をリスタートさせてみようかなぁって」
「ぜひ、ぜひそうしてください」
「それはあれ、お姉ちゃんがわたしをカンゲキさせたらの話」
ピッと指を止め鍵回しもストップ。そして束をポケットに戻すポニーは、明日にほんの少しだけ期待を寄せていた。自分が負けるとは思わないが、姉が立派になっているのなら呼び戻そう。そして長いこと姉びいきで腹立たしかった母の幽閉を解除し、また元の生活をしてみようかなぁなんて考えるのだった。
母のマリーは父とちがってエレガント優先派だった。よってつよくなるために頑張るポニーを女の子としては失格だと言い、つよくなるための努力をしないエリスを女の子としてはよくできていると言った。
だから父が死んで女だけになったとき、家族で一番つよいポニーは城の中に幽閉した。そして姉を鍛えるために追い出し、自分が主となって生活してみた。しかし母娘の愛情というのはあるゆえ、幽閉しても不自由させた事はない。
「エリー、多貴には苦労させなきゃいけないから、わたしの前に戦ってちょうだい。もちろんそこで多貴を打ちのめして終わりにしてくれてもいいから」
「もちろん、言われるまでもなくそのつもりです」
「でもエリー、注意はするように」
「注意?」
「いまの多貴は初対面の時みたいにクソなデブ野郎じゃないわ。なかなかかっこういい少年みたいになってる。だからうっかりするとエリーはホレるかもしれない。エリーみたいな女はホレると魂を奪われやすいような気がするんだわ」
「ほ、ほ、ホレたりなんかしませんよ、見くびらないでください」
「でもね、エリーが一皮ムケるって言うなら、それでシアワセになれるとか言うなら……多貴と結ばれてもいいのかなって思ったりもするよ」
「ポニー、あんまり言うと怒りますよ!」
「まぁまぁ……とにかく明日がちょっと楽しみって事よ。エリーもちゃんと寝なさいよ、あと親衛隊の面々も早く寝かせるように」
クスっと笑ったポニー、お風呂にでも入るかぁと言って豪華にそびえる城の中に入る。そしてひとまず自分の部屋に行こうと歩き出す前、ちょいと城の中から外にあるきれいな月に目をやる。
「さて……明日はどうなりますやら。まぁ詩貴は絶対に返さないけどね。あ、そうだ! 多貴をここの雑用係って下っ端でコキ使うっていいかも! そして妹の詩貴はわたしと結婚し優雅に暮らす。いいね、いいね、ぜひともそうしましょう」
実年齢より幼く見える笑顔どころか、あーははは! と大きな笑いも隠さず歩くポニーだった。
ただいまは前夜なり。明日という日が来たら多貴たちが城にやってくる。それは兄が妹が取り返すってためであるが、ポニーの姉がプライドを取り戻すだなんて、当初は考えてもいなかった話まで絡む。
「ポニー、まだ寝ないんですか?」
夜の10時にて月明りが芸術的に広がる城の中庭にエリーがやってきた。
「いつも通りに寝るわよ、明日が戦いだからとしても、わたしが緊張する必要なんかないんだし」
黄金のメロンパンみたいな満月を見つめていたポニー、思わせぶりに超高級スカートのポケットから鍵束を取り出す。そしてひとつの輪っかに色白な指を通してクルクル回し、チャラチャラって音をアピールするように立てる。
「ねぇ、エリー」
「はい」
「わたしは詩貴を返そうとは思わない。これは譲れないモノだから、多貴には泣いてもらうしかない。ただ……お姉ちゃんはどうしようかなぁと思うんだ。まぁね、まさかあのお姉ちゃんがわたしに勝てるわけないと思うんだけど、いや絶対にありえないんだけど、もしわたしを感心させるくらいつよくなっていたら、その時は認めてやって城に呼び戻そうかなぁって思うんだ」
「いいじゃないですか、ぜひそうしてください」
「そうね……で、お姉ちゃんを戻すとするなら、まぁ……そのときはついでに母の幽閉も解除しようかなぁと思って」
「お母様も!? ほんとうですか?」
「だってあの情けない姉が妹をカンゲキさせるなんてめっちゃすごい事でしょう? それならあのうざい母も戻して、ひとまず母娘の生活をリスタートさせてみようかなぁって」
「ぜひ、ぜひそうしてください」
「それはあれ、お姉ちゃんがわたしをカンゲキさせたらの話」
ピッと指を止め鍵回しもストップ。そして束をポケットに戻すポニーは、明日にほんの少しだけ期待を寄せていた。自分が負けるとは思わないが、姉が立派になっているのなら呼び戻そう。そして長いこと姉びいきで腹立たしかった母の幽閉を解除し、また元の生活をしてみようかなぁなんて考えるのだった。
母のマリーは父とちがってエレガント優先派だった。よってつよくなるために頑張るポニーを女の子としては失格だと言い、つよくなるための努力をしないエリスを女の子としてはよくできていると言った。
だから父が死んで女だけになったとき、家族で一番つよいポニーは城の中に幽閉した。そして姉を鍛えるために追い出し、自分が主となって生活してみた。しかし母娘の愛情というのはあるゆえ、幽閉しても不自由させた事はない。
「エリー、多貴には苦労させなきゃいけないから、わたしの前に戦ってちょうだい。もちろんそこで多貴を打ちのめして終わりにしてくれてもいいから」
「もちろん、言われるまでもなくそのつもりです」
「でもエリー、注意はするように」
「注意?」
「いまの多貴は初対面の時みたいにクソなデブ野郎じゃないわ。なかなかかっこういい少年みたいになってる。だからうっかりするとエリーはホレるかもしれない。エリーみたいな女はホレると魂を奪われやすいような気がするんだわ」
「ほ、ほ、ホレたりなんかしませんよ、見くびらないでください」
「でもね、エリーが一皮ムケるって言うなら、それでシアワセになれるとか言うなら……多貴と結ばれてもいいのかなって思ったりもするよ」
「ポニー、あんまり言うと怒りますよ!」
「まぁまぁ……とにかく明日がちょっと楽しみって事よ。エリーもちゃんと寝なさいよ、あと親衛隊の面々も早く寝かせるように」
クスっと笑ったポニー、お風呂にでも入るかぁと言って豪華にそびえる城の中に入る。そしてひとまず自分の部屋に行こうと歩き出す前、ちょいと城の中から外にあるきれいな月に目をやる。
「さて……明日はどうなりますやら。まぁ詩貴は絶対に返さないけどね。あ、そうだ! 多貴をここの雑用係って下っ端でコキ使うっていいかも! そして妹の詩貴はわたしと結婚し優雅に暮らす。いいね、いいね、ぜひともそうしましょう」
実年齢より幼く見える笑顔どころか、あーははは! と大きな笑いも隠さず歩くポニーだった。
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