134 / 274
第二章 魔力無し転生者は仲間を探す
第五十二話 レイノーツ学園祭前 ⑦
しおりを挟む
「ほら、来いよ。遊んでやるからよ」
「調子にのるなや!」
そう叫んで俺の後ろの奴が鉄パイプで殴り掛かってくる。遅い。なんだこいつ等少しは手応えがあるかと思ったが大違いだ。動きも遅いし隙だらけ。なんらかの格闘技をやっているわけでもない。本当にただのチンピラだ。人数が多ければそれだけで勝てると思ってるだけの馬鹿野郎どもだ。本当は雇われただけで何も知らないんじゃないのか?ま、聞き出せば分かる事か。
少し動いて躱した俺はカウンターを打ち込んで気絶させる。
「ほい、一人目」
「何してやがる全員で襲え!」
リーダーがそう言うがそれは力が拮抗している相手だけだ。圧倒的に力の差がある奴には通用しない戦法だ。俺みたいにな!
一斉に襲い掛かって来たが待ってやる必要もないのでこっちから近づいて殴り飛ばす。
そして一人。また一人の殴り飛ばす。技なんか使わない。ただ近づいて殴り飛ばす。それだけで奴らは吹き飛ばされて気絶するのだから。
たった1分程度で終わった戦いとも呼べない戦いは地べたにチンピラたちが倒れて終了した。さて残るはリーダーだが、俺の戦いを見てか腰を抜かして地面に尻餅をついていた。
「おい」
「すみません!悪気はなかったんです!ただ小遣いが欲しくて」
分かってるよ。お前らはただ金が欲しかっただけだよな。ま、その方法が悪かっただけなだけだ。
「殴られたくなかったら、誰に雇われたか教えろ」
「し、知らないんです!ただいきなりメールが来て。添付されていた写真の男をボコボコにすれば2万RKやるって書いてあっただけで」
「お前らはそれを信じたのか?普通は信じないだろ」
「俺たちだって最初は詐欺サイトへの勧誘かと思いましたよ。だけど1万RKだけは前金として振り込まれていたので」
「なるほどな。で、そのメールはまだあるのか?」
「はい。これです」
そう言ってスマホに届いたメールを見せてくる。確かに俺の写真付きで送られてるな。
このスマホからなんらかの情報を得られるかもしれないな。
「おいこのスマホ俺に寄こせ」
「そ、そんな!」
人を襲うとしたんだそれぐらいしても許されるだろ。でも、今後こいつ等は情報収集として使えるかもしれないからな。ここで恩を売って置くのも悪くないかもな。
「少し待ってろここを動くな」
「え?」
「いいからここで待ってろ。動いたらどうなるか分かるよな?」
「は、はい!」
俺はそう言ってATMに向かった。
これはギルドとしての依頼なのでギルドの資金から下ろす。大丈夫誰も文句は言わないだろうからよ。
数分して戻ってくるとリーダーの男は気絶していた奴らを看病していた。何気に仲間想いの奴なんだな。
「よ」
「そ、それでスマホなんですが?」
「ほれ」
「え?」
そう言って俺は封筒を男の前に投げる。
「その中に30万入ってる。その金で新しいスマホと仲間の連中と飯でも食いに行け」
「良いんですか?」
「その代わり今後俺が情報が欲しい時は連絡するから教えろ」
「分かりました!」
「俺の名前は鬼瓦仁。仁と呼んでくれ。それでお前の名前は?」
「レシオンって言います!今後ともよろしくお願いしますジンの兄貴!」
あ、兄貴!いや、確かに前世から合わせればお前よりかは年上だけども兄貴はないだろ!と言うかマジで恥ずかしいからやめてくれ。
「じゃあな。また連絡するから番号だけは変えるなよ」
「はい!」
そう言って俺は拠点に戻った。
で、拠点に戻るなりとてつもない殺気が俺を襲った!まさか他にも刺客が居たのか!と思ったがその正体はアインだった。
「どうやら死にたいようですね」
「まだ時間的には大丈夫のはずだが?」
「チッ!」
おい、なんだその舌打ちは。まさかそれで騙せると思ったのか?
ま、機嫌が悪いと調べて貰えなさそうだし銀を渡す。
今にも殺戮行為を犯しそうな程の形相が銀を抱いた瞬間幸せそうな表情に変わる。本当にサイボーグなのか?
3階のリビングに一緒に行くと既に影光は戻っていたらしくソファーに座って寛いでいた。
「戻ったぞ」
「そうみたいだな。それで依頼はどうだったんだ?」
「正直つまらなかった。ジャイアントオーガの討伐だったんだが。期待はずれも良いところだ。やっぱり仁と戦った後だからかな。大抵の奴が弱く感じて仕方が無い」
「そうか」
嘆息しながら影光はソファーに座る。
どうやら影光はまだ上を目指しているようでなによりだ。
「それで仁は第二皇女様の護衛だってな」
「アインから聞いたのか?」
「ああ」
別に黙って欲しいわけでも無いので俺は別に構わない。
アイテムボックスから取り出した酒と惣菜をテーブルに並べた俺たちは食事をしながら会話の続きをする。
「それでどうなんだ。皇女様の護衛は?」
「これが思いのほか苦戦している」
「ま、戦えるわけじゃないからな。ましてや皇女様の護衛なんて退屈なだけだろうからな」
「別にそう言うわけじゃない。生憎と第二皇女は前から知り合いだったしそこまで気を使うこともない。それよりも問題なのは皇女を付け狙うストーカー野郎の方だ」
「おいおい、皇女様をストーキングする馬鹿が居るのか?」
「それが居るんだよ。で、今はそいつについて調べてるんだがまったくの情報がない。目ぼしい人物は決まってるんだがまずそいつがどこに居るのかまったく分からないんだ」
「なるほどな」
別に何も分からないわけじゃない。
ストーカーと思しき少年の見た目は分かっている。だがその居場所と名前が分からないのだ。もう幽霊と言っても良いほどに。
「そこでだ。アインこのスマホから調べて貰えないか?」
「無理です」
即答で言うアインは食事をする銀を撫でる。
お前はもう少しギルドのために貢献しても良いと俺は思うんだが。
「お前が俺の嫌いで手伝いのが嫌なのは分かるが、もう少し協力しても良いと俺は思うんだが?」
「いえ、そう言う意味ではありません。私は創造主によって創られた最高傑作品ではありますが、用途が違うので私には無理なんです」
「どう言う事だ?」
「創造主が作り出したサイボーグは全部で7体。それぞれ違うことに特化したサイボーグなんです」
「つまり得意ジャンルが違うってことか?」
「そう言うことです。で、私は射撃に特化したサイボーグ。一応ネットワークに接続して調べる事は可能ですし、プロテクトやセキュリティーを突破することは可能です。ですが、それだけで乗っ取る事は出来ません。また調べると言っても私自信の中で調べる事が可能であってスマホから調べる事は出来ないんです」
「つまり外部機器などに接続は出来ないと」
「そう言うことです」
なんだ思ったより役に立たないな。
「今、なんだ思ったより役に立たないな。って思いませんでしたか?」
「ソ、ソンナワケナイダロ!」
「何故片言なのか気になりますが、咎めないであげましょう」
良かった。どうやら俺は今日も無事に終えれそうだ。
だが、これで調べる方法が無くなったな。いや、待て。
「そう言えば監視カメラ映像は見れるんだよな」
「はい。あれは乗っ取っているわけではなくこっそり覗き見しているようなものなので」
「なら、自分以外に覗き見している奴が居るとか分からないのか?」
「痕跡があれば可能でしょうが、監視カメラ映像を見ているような者が痕跡を残しているとは思えません」
だよな~。
駄目だ。せっかく情報が手に入ると思ったのに行き詰ってしまったか。
そう思っていたが、そうでも無いようだ。
「ですが、リアルタイムで覗いている者が居れば発見することは可能です」
「それは本当か?」
「私は嘘は言いません」
さっき俺を騙そうとした人間。いや、サイボーグのセリフとは思えないな。
だが、こういう時のアインが嘘を言うとは思えないし、理由も無いはずだ。
となると今回レシオンたちが俺を襲うことに失敗したことは既に分かっている筈だから俺の監視は続けている筈だ。
となる明日王宮に行く時や、明後日シャルロットが登校する時にでも調べて貰うか。
「なら、明日俺が王宮に向かう時と明後日シャルロットが王宮から登校する時の2回調べてくれ」
「分かりました」
「なんだか、素直だな」
「この依頼が達成できれば報酬も沢山入るはず。そのお金でマスターに美味しいお肉をご馳走して貰うのが条件です」
「だと思ったよ」
こいつが無償で俺に協力するわけないものな。ま、タダより高いものは無いって言うし裏切られる心配もないから逆に安心は出来るけど。
ならこのスマホは明日にでもボルキュス陛下にでも渡して調べて貰うか。その前にアインがストーカー野郎を見つけ出すと思うけど。
そんな事を思いながら俺は買ってきた唐揚げを手で摘んで口の中に放り込む。
「それで拙者は何をすれば良い?」
「影光も手伝ってくれるのか?」
「勿論報酬は3等分だがな」
「そうですね。それなら私のお金でマスターにお肉をご馳走できますので。私もそっちにします」
それだと俺の取り分が減るじゃないか。ま、失敗して慰謝料を払うよりマシか。
ここで俺たちのギルド、フリーダムの報酬支払いに関して話しておこう。
フリーダムは月給やまとめて月払いじゃない。
どちらかと言えば日払いだ。
正確には完全歩合制の即決払いだ。
それぞれが依頼を受けて、依頼を達成したら、依頼のランクによってギルドに入れる割合が変わる程度で残りの分は依頼を受けた本人の口座に振り込まれる仕組みにしている。
また指名依頼でもギルドに入れる割合は違う。
指名依頼は多くても2割としている。そして指名依頼はランクに問わず2割だ。
つまりフリーダムではGランク~Cランクまでは報酬の1割。
Bランク~Aランクは15%。
Sランク以上は2割。
指名依頼も2割とこんな感じだ。
つまり俺の今回の指名依頼のランクはBランクに設定されているがギルド口座に振り込む金額は2割と言うことだ。ま、そこから食費や光熱費、年に一度支払うビルの固定資産税などもそこから支払う事になっているのだ。勿論ギルドのお金はそれ以外にもビルの修繕や冒険者活動で必要な物を購入する際に使うので幾らあっても問題ない。と言うか今後増えるであろう仲間たちの部屋の家具なんかも購入しないといけないからな。
で、今回の指名依頼の報酬はまだ決まってない。え?一番大切な事だろうって。そんなの分かってるよ!べ、別に聞くのを忘れていたわけじゃないぞ。
それに明日にでも聞けば良い話だ。
お茶を飲んだ俺は口を開いた。
「分かったよ。ただしその分働いて貰うからな」
「ああ、そのつもりだ」
「蛆虫に言われるまでもありません」
食事中に蛆虫とか言うなのよな。それとも分かって言ったのか?
そんな事を思いながらも食事を終えた俺はテレビを見る。
テレビでは丁度明後日から始まるレイノーツ学園祭について採り上げられていた。
なんでも今年で100回目を迎えるらしくいつも以上に盛大に行われるとアナウンサーが言っていた。
1時間ほどダラダラとテレビを見た俺は風呂に入る事にした。
銀と一緒に風呂に入ろうかとも思ったが既にアインと入っているらしく、それは適わなかった。
湯船で体の疲れを解した俺は寝室の冷蔵庫からビールを取り出して飲む。
「プハッ―!やぱっり風呂上りはビールだよな!」
これは俺の持論だが風呂上りで飲む物のは子供が牛乳、大人はビールそんな気がする。
因みに俺はスーパードライが一番好きだ。
ベッドに座ってビールを飲みながらスマホを弄る。うん、見た目は19歳だが完全におっさんだな。やっぱりおっさんは見た目が変わってもおっさんのままらしい。ちょっと悲しいけど。
それにしてもやはりCランクになるとフリーの依頼は少ないな。早くBランクになって影光と依頼をこなせるようにならないとな。いや、その前にアインに抜かれないようにしなければ。
ビールを飲み干した俺は缶を潰してゴミ箱に捨てるとそのままベッドに横になる。
まだ時間は夜の8時だが、明日も早いので寝ることにする。
明日にはストーカー野郎が見つかりますように。
「調子にのるなや!」
そう叫んで俺の後ろの奴が鉄パイプで殴り掛かってくる。遅い。なんだこいつ等少しは手応えがあるかと思ったが大違いだ。動きも遅いし隙だらけ。なんらかの格闘技をやっているわけでもない。本当にただのチンピラだ。人数が多ければそれだけで勝てると思ってるだけの馬鹿野郎どもだ。本当は雇われただけで何も知らないんじゃないのか?ま、聞き出せば分かる事か。
少し動いて躱した俺はカウンターを打ち込んで気絶させる。
「ほい、一人目」
「何してやがる全員で襲え!」
リーダーがそう言うがそれは力が拮抗している相手だけだ。圧倒的に力の差がある奴には通用しない戦法だ。俺みたいにな!
一斉に襲い掛かって来たが待ってやる必要もないのでこっちから近づいて殴り飛ばす。
そして一人。また一人の殴り飛ばす。技なんか使わない。ただ近づいて殴り飛ばす。それだけで奴らは吹き飛ばされて気絶するのだから。
たった1分程度で終わった戦いとも呼べない戦いは地べたにチンピラたちが倒れて終了した。さて残るはリーダーだが、俺の戦いを見てか腰を抜かして地面に尻餅をついていた。
「おい」
「すみません!悪気はなかったんです!ただ小遣いが欲しくて」
分かってるよ。お前らはただ金が欲しかっただけだよな。ま、その方法が悪かっただけなだけだ。
「殴られたくなかったら、誰に雇われたか教えろ」
「し、知らないんです!ただいきなりメールが来て。添付されていた写真の男をボコボコにすれば2万RKやるって書いてあっただけで」
「お前らはそれを信じたのか?普通は信じないだろ」
「俺たちだって最初は詐欺サイトへの勧誘かと思いましたよ。だけど1万RKだけは前金として振り込まれていたので」
「なるほどな。で、そのメールはまだあるのか?」
「はい。これです」
そう言ってスマホに届いたメールを見せてくる。確かに俺の写真付きで送られてるな。
このスマホからなんらかの情報を得られるかもしれないな。
「おいこのスマホ俺に寄こせ」
「そ、そんな!」
人を襲うとしたんだそれぐらいしても許されるだろ。でも、今後こいつ等は情報収集として使えるかもしれないからな。ここで恩を売って置くのも悪くないかもな。
「少し待ってろここを動くな」
「え?」
「いいからここで待ってろ。動いたらどうなるか分かるよな?」
「は、はい!」
俺はそう言ってATMに向かった。
これはギルドとしての依頼なのでギルドの資金から下ろす。大丈夫誰も文句は言わないだろうからよ。
数分して戻ってくるとリーダーの男は気絶していた奴らを看病していた。何気に仲間想いの奴なんだな。
「よ」
「そ、それでスマホなんですが?」
「ほれ」
「え?」
そう言って俺は封筒を男の前に投げる。
「その中に30万入ってる。その金で新しいスマホと仲間の連中と飯でも食いに行け」
「良いんですか?」
「その代わり今後俺が情報が欲しい時は連絡するから教えろ」
「分かりました!」
「俺の名前は鬼瓦仁。仁と呼んでくれ。それでお前の名前は?」
「レシオンって言います!今後ともよろしくお願いしますジンの兄貴!」
あ、兄貴!いや、確かに前世から合わせればお前よりかは年上だけども兄貴はないだろ!と言うかマジで恥ずかしいからやめてくれ。
「じゃあな。また連絡するから番号だけは変えるなよ」
「はい!」
そう言って俺は拠点に戻った。
で、拠点に戻るなりとてつもない殺気が俺を襲った!まさか他にも刺客が居たのか!と思ったがその正体はアインだった。
「どうやら死にたいようですね」
「まだ時間的には大丈夫のはずだが?」
「チッ!」
おい、なんだその舌打ちは。まさかそれで騙せると思ったのか?
ま、機嫌が悪いと調べて貰えなさそうだし銀を渡す。
今にも殺戮行為を犯しそうな程の形相が銀を抱いた瞬間幸せそうな表情に変わる。本当にサイボーグなのか?
3階のリビングに一緒に行くと既に影光は戻っていたらしくソファーに座って寛いでいた。
「戻ったぞ」
「そうみたいだな。それで依頼はどうだったんだ?」
「正直つまらなかった。ジャイアントオーガの討伐だったんだが。期待はずれも良いところだ。やっぱり仁と戦った後だからかな。大抵の奴が弱く感じて仕方が無い」
「そうか」
嘆息しながら影光はソファーに座る。
どうやら影光はまだ上を目指しているようでなによりだ。
「それで仁は第二皇女様の護衛だってな」
「アインから聞いたのか?」
「ああ」
別に黙って欲しいわけでも無いので俺は別に構わない。
アイテムボックスから取り出した酒と惣菜をテーブルに並べた俺たちは食事をしながら会話の続きをする。
「それでどうなんだ。皇女様の護衛は?」
「これが思いのほか苦戦している」
「ま、戦えるわけじゃないからな。ましてや皇女様の護衛なんて退屈なだけだろうからな」
「別にそう言うわけじゃない。生憎と第二皇女は前から知り合いだったしそこまで気を使うこともない。それよりも問題なのは皇女を付け狙うストーカー野郎の方だ」
「おいおい、皇女様をストーキングする馬鹿が居るのか?」
「それが居るんだよ。で、今はそいつについて調べてるんだがまったくの情報がない。目ぼしい人物は決まってるんだがまずそいつがどこに居るのかまったく分からないんだ」
「なるほどな」
別に何も分からないわけじゃない。
ストーカーと思しき少年の見た目は分かっている。だがその居場所と名前が分からないのだ。もう幽霊と言っても良いほどに。
「そこでだ。アインこのスマホから調べて貰えないか?」
「無理です」
即答で言うアインは食事をする銀を撫でる。
お前はもう少しギルドのために貢献しても良いと俺は思うんだが。
「お前が俺の嫌いで手伝いのが嫌なのは分かるが、もう少し協力しても良いと俺は思うんだが?」
「いえ、そう言う意味ではありません。私は創造主によって創られた最高傑作品ではありますが、用途が違うので私には無理なんです」
「どう言う事だ?」
「創造主が作り出したサイボーグは全部で7体。それぞれ違うことに特化したサイボーグなんです」
「つまり得意ジャンルが違うってことか?」
「そう言うことです。で、私は射撃に特化したサイボーグ。一応ネットワークに接続して調べる事は可能ですし、プロテクトやセキュリティーを突破することは可能です。ですが、それだけで乗っ取る事は出来ません。また調べると言っても私自信の中で調べる事が可能であってスマホから調べる事は出来ないんです」
「つまり外部機器などに接続は出来ないと」
「そう言うことです」
なんだ思ったより役に立たないな。
「今、なんだ思ったより役に立たないな。って思いませんでしたか?」
「ソ、ソンナワケナイダロ!」
「何故片言なのか気になりますが、咎めないであげましょう」
良かった。どうやら俺は今日も無事に終えれそうだ。
だが、これで調べる方法が無くなったな。いや、待て。
「そう言えば監視カメラ映像は見れるんだよな」
「はい。あれは乗っ取っているわけではなくこっそり覗き見しているようなものなので」
「なら、自分以外に覗き見している奴が居るとか分からないのか?」
「痕跡があれば可能でしょうが、監視カメラ映像を見ているような者が痕跡を残しているとは思えません」
だよな~。
駄目だ。せっかく情報が手に入ると思ったのに行き詰ってしまったか。
そう思っていたが、そうでも無いようだ。
「ですが、リアルタイムで覗いている者が居れば発見することは可能です」
「それは本当か?」
「私は嘘は言いません」
さっき俺を騙そうとした人間。いや、サイボーグのセリフとは思えないな。
だが、こういう時のアインが嘘を言うとは思えないし、理由も無いはずだ。
となると今回レシオンたちが俺を襲うことに失敗したことは既に分かっている筈だから俺の監視は続けている筈だ。
となる明日王宮に行く時や、明後日シャルロットが登校する時にでも調べて貰うか。
「なら、明日俺が王宮に向かう時と明後日シャルロットが王宮から登校する時の2回調べてくれ」
「分かりました」
「なんだか、素直だな」
「この依頼が達成できれば報酬も沢山入るはず。そのお金でマスターに美味しいお肉をご馳走して貰うのが条件です」
「だと思ったよ」
こいつが無償で俺に協力するわけないものな。ま、タダより高いものは無いって言うし裏切られる心配もないから逆に安心は出来るけど。
ならこのスマホは明日にでもボルキュス陛下にでも渡して調べて貰うか。その前にアインがストーカー野郎を見つけ出すと思うけど。
そんな事を思いながら俺は買ってきた唐揚げを手で摘んで口の中に放り込む。
「それで拙者は何をすれば良い?」
「影光も手伝ってくれるのか?」
「勿論報酬は3等分だがな」
「そうですね。それなら私のお金でマスターにお肉をご馳走できますので。私もそっちにします」
それだと俺の取り分が減るじゃないか。ま、失敗して慰謝料を払うよりマシか。
ここで俺たちのギルド、フリーダムの報酬支払いに関して話しておこう。
フリーダムは月給やまとめて月払いじゃない。
どちらかと言えば日払いだ。
正確には完全歩合制の即決払いだ。
それぞれが依頼を受けて、依頼を達成したら、依頼のランクによってギルドに入れる割合が変わる程度で残りの分は依頼を受けた本人の口座に振り込まれる仕組みにしている。
また指名依頼でもギルドに入れる割合は違う。
指名依頼は多くても2割としている。そして指名依頼はランクに問わず2割だ。
つまりフリーダムではGランク~Cランクまでは報酬の1割。
Bランク~Aランクは15%。
Sランク以上は2割。
指名依頼も2割とこんな感じだ。
つまり俺の今回の指名依頼のランクはBランクに設定されているがギルド口座に振り込む金額は2割と言うことだ。ま、そこから食費や光熱費、年に一度支払うビルの固定資産税などもそこから支払う事になっているのだ。勿論ギルドのお金はそれ以外にもビルの修繕や冒険者活動で必要な物を購入する際に使うので幾らあっても問題ない。と言うか今後増えるであろう仲間たちの部屋の家具なんかも購入しないといけないからな。
で、今回の指名依頼の報酬はまだ決まってない。え?一番大切な事だろうって。そんなの分かってるよ!べ、別に聞くのを忘れていたわけじゃないぞ。
それに明日にでも聞けば良い話だ。
お茶を飲んだ俺は口を開いた。
「分かったよ。ただしその分働いて貰うからな」
「ああ、そのつもりだ」
「蛆虫に言われるまでもありません」
食事中に蛆虫とか言うなのよな。それとも分かって言ったのか?
そんな事を思いながらも食事を終えた俺はテレビを見る。
テレビでは丁度明後日から始まるレイノーツ学園祭について採り上げられていた。
なんでも今年で100回目を迎えるらしくいつも以上に盛大に行われるとアナウンサーが言っていた。
1時間ほどダラダラとテレビを見た俺は風呂に入る事にした。
銀と一緒に風呂に入ろうかとも思ったが既にアインと入っているらしく、それは適わなかった。
湯船で体の疲れを解した俺は寝室の冷蔵庫からビールを取り出して飲む。
「プハッ―!やぱっり風呂上りはビールだよな!」
これは俺の持論だが風呂上りで飲む物のは子供が牛乳、大人はビールそんな気がする。
因みに俺はスーパードライが一番好きだ。
ベッドに座ってビールを飲みながらスマホを弄る。うん、見た目は19歳だが完全におっさんだな。やっぱりおっさんは見た目が変わってもおっさんのままらしい。ちょっと悲しいけど。
それにしてもやはりCランクになるとフリーの依頼は少ないな。早くBランクになって影光と依頼をこなせるようにならないとな。いや、その前にアインに抜かれないようにしなければ。
ビールを飲み干した俺は缶を潰してゴミ箱に捨てるとそのままベッドに横になる。
まだ時間は夜の8時だが、明日も早いので寝ることにする。
明日にはストーカー野郎が見つかりますように。
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる