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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第百幕 皮肉と海賊の住処に向けて。
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「待たせたのぉ」
「害虫駆除を終えてきました」
「怪我はないか?」
「はい、返り血の一滴すら汚してはおりません」
「正直退屈じゃったぞ」
「ふん、そうか」
手応えすら感じたかったと告げる二人の言葉に笑みを零しながら答えた千夜。
「それで主、そこでまだ生きている害虫二匹はどうなさるのですか?」
「こいつらは、海賊の住処までの案内役だ」
「分かりました」
エルザの言葉を聞き流しながら千夜は船を見つめる。
「どうやら向こうも終わったようだな」
耳に届く勝鬨の雄叫びに千夜は笑みを浮かべた。
「それでこの後はどうしましょうか?」
「このまま船に近づく」
「敵だと誤解されないでしょうか?」
「船の先端に立っていればリーゼたちが気づくだろう」
そんな心配をするが、一番の問題を忘れていた。
「それでどうやってこの船を動かすのじゃ?」
「「あ」」
完全に忘れていた千夜とエルザ。
「どうしますか主?」
「そうだな……」
考え込みながら千夜は沈没しかけている隣の船に目を向ける。
「上手くいくか分からないが、これも練習だ」
そう呟いた千夜は再びヤマタノオロチを発動させた。
「この船を向こうまで連れて行け」
そう命令した途端、ヤマタノオロチは船の背後に周り船を押し出した。
「おおっ!速いのぉ」
「普通に進むよりかなり速いですね」
そんな感想を口にする二人を横に千夜は再び命令する。
「スピードを落とせ」
船に激突しないように速度調整をしながら千夜たちはエリーゼたちと合流した。
「お疲れ様、旦那様」
「リーゼ、ミーナ、二人もよく頑張ったな」
駆け寄ってきた二人の頭を撫でる。
「ウィルもミーナを守ってくれてありがとうな」
「い、いえ!」
恥ずかしそうに遠慮するウィルだが、千夜が頭を撫でてやると嬉しそうに笑みを浮かべていた。
「センさん、お疲れ様です」
そんな千夜にべノワが秘書と共に近づいてきた。
「今回はセンさんのお陰で最小限の被害に抑える事が出来ました。ありがとうございます」
「気にするな。俺たちは依頼をこなしただけだ」
素っ気無い返答だがそれが千夜だとこの場に居る誰もが気づいていた。
「べノワ、悪いが頼みがある」
「なんでしょうか?」
「あの船にまだ海賊が二人乗っている」
その言葉に全員が驚きの声を漏らした。誰もが戦いとなると敵に容赦の無い千夜が未だに二人生かしていることに驚いたのだ。
「あの二人に海賊の住処まで案内して貰う。だから悪いが」
「なるほど、ここでお別れと言う事ですね」
「お別れと言う程でもない。ただ単に別行動するだけだ」
「そうですね。ですがもしかしてセンさんだけで行かれるつもりですか?」
「いや、ルーザとクーエは連れて行く。ミーナとリーゼ、ウィルはこのまま依頼をこなして貰う。流石に引き受けた依頼を途中で抜けるのはギルドの人間として規則違反になるからな」
「規則に拘るような方には見えませんが?」
「……俺だって規則ぐらい守るさ」
そんな皮肉とも言えない会話に悪いが起きるが、直ぐに真剣な表情に戻る。
「ですが、貴方方三人で行かせるわけには……」
「これは依頼じゃないからな。ただの気まぐれさ」
「気まぐれで依頼を放棄されては誰も指名してくれなくなりますよ」
「それは流石に困るな」
「ですが、今後の航海が安全になると言うのであれば問題ありません」
「そう言って貰えると助かる」
どうにか了承を得た千夜は早速船に乗り込む。
「旦那様気をつけてね」
「ああ。リーゼたちも港に到着するまでは警戒は怠るなよ」
「勿論よ」
心配な表情を浮かべるエリーゼを抱きしめた千夜は船を出そうとした時だった。
「私たちも連れて行って」
「ん?」
そんな千夜の前にアイーシャたちが姿を現した。
「なぜ、行きたい」
「私たちはタイチの意志をついで正義を行うって決めたからよ。だから困らせる海賊たちは私たちが全員倒す」
「死ぬかも知れないぞ」
「それでもよ!」
「捕まれば間違いなく男たちに犯され続けられるぞ」
「そ、それでも私たちは行くわ!」
(こいつらの力は確かに本物だ。雑魚相手なら平気だが、それなりの実力者相手だと捕まる危険性が高い。正直女が陵辱されるのは好きじゃない。だがここで言い争っても時間の無駄か)
「俺の指示に従うなら乗せて行ってやる。どうする?」
「…………分かったわ。ただし海賊たちを全滅させる間だけよ!」
「ああ、それで問題ない」
(反発してくると思ったが、あの男が死んで停止していた思考が動き出したか)
内心そんな事を思った千夜は不敵な笑みを浮かべて言った。
「なら、乗れ。これが海賊狩りに向かう最後の出航便だ」
「ふん、上等よ!」
千夜の皮肉に不敵な笑みで返したアイーシャ。それに続くようにキュリアとレイネが乗り込み、船は海賊たちの住処に向けて再び出航した。
─────────────────────
どうも月見酒です。
昨日も言いましたが、『地獄王の異世界放浪録~なぜ、こうなる!!~』が今日『鬼神転生記』と同時刻に新作が公開されました。
面白い!続きが気になる!と言う読者は是非、感想とお気に入り登録をお願いします!
「害虫駆除を終えてきました」
「怪我はないか?」
「はい、返り血の一滴すら汚してはおりません」
「正直退屈じゃったぞ」
「ふん、そうか」
手応えすら感じたかったと告げる二人の言葉に笑みを零しながら答えた千夜。
「それで主、そこでまだ生きている害虫二匹はどうなさるのですか?」
「こいつらは、海賊の住処までの案内役だ」
「分かりました」
エルザの言葉を聞き流しながら千夜は船を見つめる。
「どうやら向こうも終わったようだな」
耳に届く勝鬨の雄叫びに千夜は笑みを浮かべた。
「それでこの後はどうしましょうか?」
「このまま船に近づく」
「敵だと誤解されないでしょうか?」
「船の先端に立っていればリーゼたちが気づくだろう」
そんな心配をするが、一番の問題を忘れていた。
「それでどうやってこの船を動かすのじゃ?」
「「あ」」
完全に忘れていた千夜とエルザ。
「どうしますか主?」
「そうだな……」
考え込みながら千夜は沈没しかけている隣の船に目を向ける。
「上手くいくか分からないが、これも練習だ」
そう呟いた千夜は再びヤマタノオロチを発動させた。
「この船を向こうまで連れて行け」
そう命令した途端、ヤマタノオロチは船の背後に周り船を押し出した。
「おおっ!速いのぉ」
「普通に進むよりかなり速いですね」
そんな感想を口にする二人を横に千夜は再び命令する。
「スピードを落とせ」
船に激突しないように速度調整をしながら千夜たちはエリーゼたちと合流した。
「お疲れ様、旦那様」
「リーゼ、ミーナ、二人もよく頑張ったな」
駆け寄ってきた二人の頭を撫でる。
「ウィルもミーナを守ってくれてありがとうな」
「い、いえ!」
恥ずかしそうに遠慮するウィルだが、千夜が頭を撫でてやると嬉しそうに笑みを浮かべていた。
「センさん、お疲れ様です」
そんな千夜にべノワが秘書と共に近づいてきた。
「今回はセンさんのお陰で最小限の被害に抑える事が出来ました。ありがとうございます」
「気にするな。俺たちは依頼をこなしただけだ」
素っ気無い返答だがそれが千夜だとこの場に居る誰もが気づいていた。
「べノワ、悪いが頼みがある」
「なんでしょうか?」
「あの船にまだ海賊が二人乗っている」
その言葉に全員が驚きの声を漏らした。誰もが戦いとなると敵に容赦の無い千夜が未だに二人生かしていることに驚いたのだ。
「あの二人に海賊の住処まで案内して貰う。だから悪いが」
「なるほど、ここでお別れと言う事ですね」
「お別れと言う程でもない。ただ単に別行動するだけだ」
「そうですね。ですがもしかしてセンさんだけで行かれるつもりですか?」
「いや、ルーザとクーエは連れて行く。ミーナとリーゼ、ウィルはこのまま依頼をこなして貰う。流石に引き受けた依頼を途中で抜けるのはギルドの人間として規則違反になるからな」
「規則に拘るような方には見えませんが?」
「……俺だって規則ぐらい守るさ」
そんな皮肉とも言えない会話に悪いが起きるが、直ぐに真剣な表情に戻る。
「ですが、貴方方三人で行かせるわけには……」
「これは依頼じゃないからな。ただの気まぐれさ」
「気まぐれで依頼を放棄されては誰も指名してくれなくなりますよ」
「それは流石に困るな」
「ですが、今後の航海が安全になると言うのであれば問題ありません」
「そう言って貰えると助かる」
どうにか了承を得た千夜は早速船に乗り込む。
「旦那様気をつけてね」
「ああ。リーゼたちも港に到着するまでは警戒は怠るなよ」
「勿論よ」
心配な表情を浮かべるエリーゼを抱きしめた千夜は船を出そうとした時だった。
「私たちも連れて行って」
「ん?」
そんな千夜の前にアイーシャたちが姿を現した。
「なぜ、行きたい」
「私たちはタイチの意志をついで正義を行うって決めたからよ。だから困らせる海賊たちは私たちが全員倒す」
「死ぬかも知れないぞ」
「それでもよ!」
「捕まれば間違いなく男たちに犯され続けられるぞ」
「そ、それでも私たちは行くわ!」
(こいつらの力は確かに本物だ。雑魚相手なら平気だが、それなりの実力者相手だと捕まる危険性が高い。正直女が陵辱されるのは好きじゃない。だがここで言い争っても時間の無駄か)
「俺の指示に従うなら乗せて行ってやる。どうする?」
「…………分かったわ。ただし海賊たちを全滅させる間だけよ!」
「ああ、それで問題ない」
(反発してくると思ったが、あの男が死んで停止していた思考が動き出したか)
内心そんな事を思った千夜は不敵な笑みを浮かべて言った。
「なら、乗れ。これが海賊狩りに向かう最後の出航便だ」
「ふん、上等よ!」
千夜の皮肉に不敵な笑みで返したアイーシャ。それに続くようにキュリアとレイネが乗り込み、船は海賊たちの住処に向けて再び出航した。
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どうも月見酒です。
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