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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第九十九幕 無法島と勝鬨 それと新作の告知
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「わ、分かった!だから剣を向けないでくれ!」
「………」
怯え叫ぶ海賊の言葉に千夜は無言で刀を下ろす。
「さあ、話せ」
「ば、場所は隣の領にある無人島だ」
「どれぐらいの人数がそこに居る?」
「正確には分からないが、たぶん千人近く居るんじゃないか?」
「ああ、そのぐらいはいるな」
「千人……だと」
予想外の人数に思わず言葉が詰まる。
「なぜ、そんなにいる」
「あそこは言わば犯罪者たちの溜り場なんだ。殺人者や元盗賊に海賊、色々な事情で表では暮せない連中の行き着く場所なのさ」
「スラム街みたいなところか……」
「スラム街だと、そんな生易しい場所じゃないぜ」
「なに?」
「なにをしようと兵士も誰も来ない無法地帯だ。薬、強姦、恐喝、殺人なんでもありの場所さ。ま、犯罪者連中にとっては楽園だろうけどな。なんせ街の中で好き勝手できる場所なんだからな」
「なるほどな」
国ですら実態が掴めない島で犯罪者たちが暮しているそれも街一つという大きな場所でだ。
「だが、それほど大きさだと気づかない方が変だが……」
「そりゃ場所が場所だからな」
「場所が場所だと。どう言う意味だ?」
「魔の海域って聞いたことないか?」
「いや、ないな」
初めて聞く単語に千夜は目を細める。
「そこら中に大きな渦潮があっるせいでその島にはたどり着けないからさ」
「勿論、決められた場所から入れば勝手に辿り着くけどな」
「なるほど、正解の海路に乗れば渦潮が勝手に島に連れて行ってくれるってことか?」
「そ、そうさ」
「なら、お前たちをここで殺すのはやめておこう。その代わり俺をそこに案内しろ」
「お、おい本気か!あそこに居る連中は全員が犯罪者だ。勿論戦えねぇような奴だっているだろうけどよ。それでも千人近い犯罪者たちを一人で相手するつもりかよ!」
「殺すかどうかは言ってから決める。使えそうなら黙っておく。それだけだ」
「お前も対外闇に浸かってるな」
「俺は俺が守りたいもの、したいことをするだけだ。そのために必要なら犯罪者だって理由する。それだけだ」
「「っ!」」
この時二人の海賊はようやく理解した。目の前に立つ男は遥かに自分たちよりも恐ろしく、異常な存在だと。
「一応逃げられないように紐で縛っておくが逃げようなんて考えるなよ」
「当たり前だろ!誰がお前から逃げようなんて考えるかよ!」
目の前に広がる惨劇を目の当たりにした二人は千夜から逃げようとは微塵も思わなかった。
「それはいい心がけだ。さてそろそろリーゼたちの戦いも終わる頃だろう」
未だ聞こえる砲声と金属音に耳を傾けながら千夜はエルザとクロエを待つのだった。
********************
甲板の上で繰り広げられる戦闘はまさに乱戦そのものだった。
大型の船とはいえ50人弱の人間が甲板の上で戦かうには狭すぎる。結果作戦など無意味と化し完全に敵味方が乱れる乱戦となったのだ。
それでも士気の高さは段違いだった。増援があると信じていた海賊たちの士気は徐々に落ちてゆくが冒険者たちは減っていく海賊たちの姿に士気が上がる。
それはまさにシーソーゲーム。
片方が下がれば、もう片方が上がる。
そんな戦場を駆け抜けるエリーゼの姿はまさに剣姫に相応しい凛々しさと美しさに他ならなかった。
「あと少しよ!みんな気を引き締めなさい!」
「「「「「おおおおおおおおぉぉぉ!!!」」」」」
エリーゼが剣を振るえば冒険者たちの力は高まり、砲声を発すれば冒険者たちの勢いが増していった。
先頭に立つもの。その資質はまさに本物。
千夜で隠れ気味のエリーゼたちもまた、個々が持つ資質や素質は十分高いのだ。ただ千夜がその誰よりも多く強い資質や素質を持っているだけのこと。
小さな光が大きな光によって隠れてしまうのと同じ事である。
斬り、突き、斬り上げ、魔法は使わず己の身体能力と剣術のみで海賊たちを次々切り殺しているエリーゼの周りには紅の鮮血が花のように舞い散っていた。
これではどちらがリーダーなのか分からないと思うかも知れないが、エリーゼはどちらかと言えば先頭に立ち仲間の士気を上げることに向いている。
そしてミレーネは冷静な判断で戦況を見極めるのに向いている。
戦術はミレーネ、士気はエリーゼ。
それが千夜が考える最高の陣形の一つなのだ。
「「これで、終わりよ!」です!」
二人の声が重なり放たれた一撃が頭と胸に刻まれ、海賊のリーダーは甲板に倒れた。
「私たちの勝利です」
「さあ、みんな勝鬨をあげるわよ!」
「「「「「おおおおおおおおおおぉぉぉ!!!」」」」」
剣や拳を天に掲げ大きな勝利の咆哮が闇夜の海に波紋を生み出すのだった。
それからはエリーゼたちの勝利に続くように他の船からも勝鬨の咆哮が上がるのだった。
─────────────────────
どうも月見酒です。
更新が遅れて申し訳ありません。
さて、ここで告知させて貰います。
第七章六七幕でも言いましたように新作を公開したいと考えておりましたが、いよいよ明日0時にプロローグを含めた5話分を一挙に公開します。
タイトルは『地獄王の異世界放浪録~なぜ、こうなる!!~』です。
正直タイトルに悩んでいます。もしも思いついた方は是非感想などと一緒に書いて頂けると幸いです。
意見、感想などもお待ちしております。
プロローグを除いて平均5000文字と読み応えも十分だと思いますので是非読んでみて下さい。
「………」
怯え叫ぶ海賊の言葉に千夜は無言で刀を下ろす。
「さあ、話せ」
「ば、場所は隣の領にある無人島だ」
「どれぐらいの人数がそこに居る?」
「正確には分からないが、たぶん千人近く居るんじゃないか?」
「ああ、そのぐらいはいるな」
「千人……だと」
予想外の人数に思わず言葉が詰まる。
「なぜ、そんなにいる」
「あそこは言わば犯罪者たちの溜り場なんだ。殺人者や元盗賊に海賊、色々な事情で表では暮せない連中の行き着く場所なのさ」
「スラム街みたいなところか……」
「スラム街だと、そんな生易しい場所じゃないぜ」
「なに?」
「なにをしようと兵士も誰も来ない無法地帯だ。薬、強姦、恐喝、殺人なんでもありの場所さ。ま、犯罪者連中にとっては楽園だろうけどな。なんせ街の中で好き勝手できる場所なんだからな」
「なるほどな」
国ですら実態が掴めない島で犯罪者たちが暮しているそれも街一つという大きな場所でだ。
「だが、それほど大きさだと気づかない方が変だが……」
「そりゃ場所が場所だからな」
「場所が場所だと。どう言う意味だ?」
「魔の海域って聞いたことないか?」
「いや、ないな」
初めて聞く単語に千夜は目を細める。
「そこら中に大きな渦潮があっるせいでその島にはたどり着けないからさ」
「勿論、決められた場所から入れば勝手に辿り着くけどな」
「なるほど、正解の海路に乗れば渦潮が勝手に島に連れて行ってくれるってことか?」
「そ、そうさ」
「なら、お前たちをここで殺すのはやめておこう。その代わり俺をそこに案内しろ」
「お、おい本気か!あそこに居る連中は全員が犯罪者だ。勿論戦えねぇような奴だっているだろうけどよ。それでも千人近い犯罪者たちを一人で相手するつもりかよ!」
「殺すかどうかは言ってから決める。使えそうなら黙っておく。それだけだ」
「お前も対外闇に浸かってるな」
「俺は俺が守りたいもの、したいことをするだけだ。そのために必要なら犯罪者だって理由する。それだけだ」
「「っ!」」
この時二人の海賊はようやく理解した。目の前に立つ男は遥かに自分たちよりも恐ろしく、異常な存在だと。
「一応逃げられないように紐で縛っておくが逃げようなんて考えるなよ」
「当たり前だろ!誰がお前から逃げようなんて考えるかよ!」
目の前に広がる惨劇を目の当たりにした二人は千夜から逃げようとは微塵も思わなかった。
「それはいい心がけだ。さてそろそろリーゼたちの戦いも終わる頃だろう」
未だ聞こえる砲声と金属音に耳を傾けながら千夜はエルザとクロエを待つのだった。
********************
甲板の上で繰り広げられる戦闘はまさに乱戦そのものだった。
大型の船とはいえ50人弱の人間が甲板の上で戦かうには狭すぎる。結果作戦など無意味と化し完全に敵味方が乱れる乱戦となったのだ。
それでも士気の高さは段違いだった。増援があると信じていた海賊たちの士気は徐々に落ちてゆくが冒険者たちは減っていく海賊たちの姿に士気が上がる。
それはまさにシーソーゲーム。
片方が下がれば、もう片方が上がる。
そんな戦場を駆け抜けるエリーゼの姿はまさに剣姫に相応しい凛々しさと美しさに他ならなかった。
「あと少しよ!みんな気を引き締めなさい!」
「「「「「おおおおおおおおぉぉぉ!!!」」」」」
エリーゼが剣を振るえば冒険者たちの力は高まり、砲声を発すれば冒険者たちの勢いが増していった。
先頭に立つもの。その資質はまさに本物。
千夜で隠れ気味のエリーゼたちもまた、個々が持つ資質や素質は十分高いのだ。ただ千夜がその誰よりも多く強い資質や素質を持っているだけのこと。
小さな光が大きな光によって隠れてしまうのと同じ事である。
斬り、突き、斬り上げ、魔法は使わず己の身体能力と剣術のみで海賊たちを次々切り殺しているエリーゼの周りには紅の鮮血が花のように舞い散っていた。
これではどちらがリーダーなのか分からないと思うかも知れないが、エリーゼはどちらかと言えば先頭に立ち仲間の士気を上げることに向いている。
そしてミレーネは冷静な判断で戦況を見極めるのに向いている。
戦術はミレーネ、士気はエリーゼ。
それが千夜が考える最高の陣形の一つなのだ。
「「これで、終わりよ!」です!」
二人の声が重なり放たれた一撃が頭と胸に刻まれ、海賊のリーダーは甲板に倒れた。
「私たちの勝利です」
「さあ、みんな勝鬨をあげるわよ!」
「「「「「おおおおおおおおおおぉぉぉ!!!」」」」」
剣や拳を天に掲げ大きな勝利の咆哮が闇夜の海に波紋を生み出すのだった。
それからはエリーゼたちの勝利に続くように他の船からも勝鬨の咆哮が上がるのだった。
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どうも月見酒です。
更新が遅れて申し訳ありません。
さて、ここで告知させて貰います。
第七章六七幕でも言いましたように新作を公開したいと考えておりましたが、いよいよ明日0時にプロローグを含めた5話分を一挙に公開します。
タイトルは『地獄王の異世界放浪録~なぜ、こうなる!!~』です。
正直タイトルに悩んでいます。もしも思いついた方は是非感想などと一緒に書いて頂けると幸いです。
意見、感想などもお待ちしております。
プロローグを除いて平均5000文字と読み応えも十分だと思いますので是非読んでみて下さい。
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