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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第百六幕 戦闘終了とギルガメッシュ
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巨体には似つかわしくないほどの俊敏な動きで千夜に近づく。
しかしそれは巨体を持つ中での話しだ。
仕事だと割り切っている今の千夜からしてみれば鈍い以外の言葉はない。
「死ね!」
一歩も動かない千夜を見て怯えて動けないと勘違いをした船長は巨体と同じぐらいある金棒を振り下ろす。
棘付きの金棒の破壊力は凄まじい。ましてやそれが英雄級の武器ならなおさらだ。
しかし千夜はそれでも動こうとしない。本当に怯えているわけでもない。だからと言って慢心しているわけでもない。
ただ考えているのだ。どうすれば効果的に相手を恐怖させ、素直に情報を吐かせる事が出来のかを。忠義深い奴や自分の仕事にプライドを持っている人間は拷問しても情報を吐かせるのは難しい。
そして目の前の男もまたプライドの塊だ。殴ったところで馬鹿にされるのがオチだと分かっている。
「でもま、今は逃げられないようにするのが先だな」
そう結論付けたると一瞬。いや、刹那の時で船長の腕を斬り落とした。
「ぐあああああああぁぁ!」
一瞬にして襲う激痛に船長は両膝をつく。
「クソッ!なんだよこの強さは。さっきより強ぇじゃねぇか!」
悪態を吐きながらも男は左腕で金棒を拾った。
(普通ならあれで怯えるんだがな)
精神面だけは一流のそれだと判断した千夜は容赦はしなかった。
構える前に左腕を斬り落とし、振り向きざまに足の筋を斬った。
両腕を失い立ち上がることも出来なくなった船長は一切の感情を宿さない瞳で見下ろす存在を見上げた。
「この、化け物が……」
だがそんな悪態を気にする様子もなく千夜はここに来た目的を果たす。
「さて殺される前に教えろ。商船の情報を流したのは誰だ」
「知らねぇな。そんな奴」
ザシュッ!
「があああああああぁぁっ!」
丸太のような太い脚に刀が刺さる。
「さっさと答えろ。楽に死にたければな」
「クソ野郎が」
ザシュッ!
反対の脚を刺される。うつ伏せに倒れているせいで敏感な内太ももに刀が刺さりこれまでに無いほどの激痛が襲い掛かってくる。
「答える気になったか?」
「誰が拷問されて答えるか」
「治癒」
圧倒的魔力を持つ千夜の治癒魔法は一瞬にして男の傷を癒し、両腕は止血され刺された傷は塞がっていた。
「これで大量出血で死ぬことは無くなった。さぁ答えろ。誰だ。お前に相手に来た女とその護衛は」
「あはは、本当にお前は冒険者かよ。その鋭く闇以上に深く暗い眼。お前はどうみてもこっち側の人間だぜ」
今度は脹脛に刀を刺す。
「どうでもいい話をするな。さっさと答えろ」
そんな千夜の姿にアイーシャたちは怯えていた。先ほどまで一緒に戦っていた人物と同一人物なのかと疑いたくなるほど目の前の男の残酷さと非常さに声も出なかった。
(どうかしてるわ。あの男。そしてあの二人も)
視界の端に入っていたクロエは退屈そうにナイフで遊び、エルザはうっとりとした表情で千夜見つめていた。その時理解した。
(この人たちは残酷なまでに敵と味方。仲間と他人を分けているんだわ。だから敵に容赦することはない。まるで暗殺者や処刑人のように無感情に人を殺せる。そしてそれが一番やっかい。私情で人の命を弄ぶ事は絶対にしない。さっきの戦いで笑ってたのは殺すのが好きなんじゃなくて、殺し合いが好きなんだ。強い相手と戦って勝つことは誰だって嬉しい。だけどこの人たちは結果だけでなく過程も大好きなんだ。なんなの本当に化け物じゃない)
その瞬間目の前にいる千夜たちの姿を見て1つの言葉が頭に浮かんだ。
(戦闘狂の暗殺者)
それが千夜たちを表した言葉だった。
「それで答える気にはなったか?」
「誰が答えるかよ。お前みたいな化け物に」
「逆に聞くが何故そこまで喋ろうとしない」
「俺はこの島で最強の海賊船団の船長だぜ。そんな俺が口を開くわけねぇだろ!」
まさにプライド。いや、信念と言った方が正しいだろう。誰もが持っているもの。勿論千夜にも種類は違えど信念を持っている。
「そうか。なら全て破壊する。この港も島も全て。そうすればお前はただの死に掛けの男だ。そうなればお前は口を開くかもしれないな」
ただ思いつきで口にした言葉。
無意識に思った一縷の望み。と言うべきかもしれない。
だが、結果的にそれは上手くいった。
「ふざけんな!お前の目的は俺だろうが!この島の奴等は関係ないはずだ!」
「ここにいる奴の大半は犯罪者だ。罪とに問われることはないだろ。それに犯罪者を野放しにしていてもいい事はないだろう」
「待て!分かった。話す!話すから島の連中にだけは手を出すな」
何故そこまでして島の連中を守ろうとするのか千夜には分からない。ただ推測は出来た。
(きっとに境遇の奴等だからこそ、話が合い、仲良くなれるんだろう。それが敵対組織であろうが)
それは友人、仲間、家族、どの言葉に当てはまるのかは目の前の男にしか分からない。だが千夜には関係ない。千夜にとって重要なのは欲しい情報だけだからだ。
「なら答えろ。お前たちに情報を流していたのは誰だ」
「素顔は分からねぇ。護衛の男は鉄の仮面をつけてたからな。女のほうもフードを眼深く被ってやがったし。ただ奴は自分の事をこう名乗っていたぜ。『ギルガメッシュ』ってな」
「そうか」
そう言うと千夜は刀をしまった。
「おい、殺さねぇのかよ!」
「お前を殺すのは俺じゃない。こいつらの仕事だ」
千夜と入れ替わるようにアイーシャたちが名も分からない船長を囲む。
「まさか女に殺されるとはな」
自分の週末に鼻で笑い飛ばした男はアイーシャたちによってこの世を去った。
しかしそれは巨体を持つ中での話しだ。
仕事だと割り切っている今の千夜からしてみれば鈍い以外の言葉はない。
「死ね!」
一歩も動かない千夜を見て怯えて動けないと勘違いをした船長は巨体と同じぐらいある金棒を振り下ろす。
棘付きの金棒の破壊力は凄まじい。ましてやそれが英雄級の武器ならなおさらだ。
しかし千夜はそれでも動こうとしない。本当に怯えているわけでもない。だからと言って慢心しているわけでもない。
ただ考えているのだ。どうすれば効果的に相手を恐怖させ、素直に情報を吐かせる事が出来のかを。忠義深い奴や自分の仕事にプライドを持っている人間は拷問しても情報を吐かせるのは難しい。
そして目の前の男もまたプライドの塊だ。殴ったところで馬鹿にされるのがオチだと分かっている。
「でもま、今は逃げられないようにするのが先だな」
そう結論付けたると一瞬。いや、刹那の時で船長の腕を斬り落とした。
「ぐあああああああぁぁ!」
一瞬にして襲う激痛に船長は両膝をつく。
「クソッ!なんだよこの強さは。さっきより強ぇじゃねぇか!」
悪態を吐きながらも男は左腕で金棒を拾った。
(普通ならあれで怯えるんだがな)
精神面だけは一流のそれだと判断した千夜は容赦はしなかった。
構える前に左腕を斬り落とし、振り向きざまに足の筋を斬った。
両腕を失い立ち上がることも出来なくなった船長は一切の感情を宿さない瞳で見下ろす存在を見上げた。
「この、化け物が……」
だがそんな悪態を気にする様子もなく千夜はここに来た目的を果たす。
「さて殺される前に教えろ。商船の情報を流したのは誰だ」
「知らねぇな。そんな奴」
ザシュッ!
「があああああああぁぁっ!」
丸太のような太い脚に刀が刺さる。
「さっさと答えろ。楽に死にたければな」
「クソ野郎が」
ザシュッ!
反対の脚を刺される。うつ伏せに倒れているせいで敏感な内太ももに刀が刺さりこれまでに無いほどの激痛が襲い掛かってくる。
「答える気になったか?」
「誰が拷問されて答えるか」
「治癒」
圧倒的魔力を持つ千夜の治癒魔法は一瞬にして男の傷を癒し、両腕は止血され刺された傷は塞がっていた。
「これで大量出血で死ぬことは無くなった。さぁ答えろ。誰だ。お前に相手に来た女とその護衛は」
「あはは、本当にお前は冒険者かよ。その鋭く闇以上に深く暗い眼。お前はどうみてもこっち側の人間だぜ」
今度は脹脛に刀を刺す。
「どうでもいい話をするな。さっさと答えろ」
そんな千夜の姿にアイーシャたちは怯えていた。先ほどまで一緒に戦っていた人物と同一人物なのかと疑いたくなるほど目の前の男の残酷さと非常さに声も出なかった。
(どうかしてるわ。あの男。そしてあの二人も)
視界の端に入っていたクロエは退屈そうにナイフで遊び、エルザはうっとりとした表情で千夜見つめていた。その時理解した。
(この人たちは残酷なまでに敵と味方。仲間と他人を分けているんだわ。だから敵に容赦することはない。まるで暗殺者や処刑人のように無感情に人を殺せる。そしてそれが一番やっかい。私情で人の命を弄ぶ事は絶対にしない。さっきの戦いで笑ってたのは殺すのが好きなんじゃなくて、殺し合いが好きなんだ。強い相手と戦って勝つことは誰だって嬉しい。だけどこの人たちは結果だけでなく過程も大好きなんだ。なんなの本当に化け物じゃない)
その瞬間目の前にいる千夜たちの姿を見て1つの言葉が頭に浮かんだ。
(戦闘狂の暗殺者)
それが千夜たちを表した言葉だった。
「それで答える気にはなったか?」
「誰が答えるかよ。お前みたいな化け物に」
「逆に聞くが何故そこまで喋ろうとしない」
「俺はこの島で最強の海賊船団の船長だぜ。そんな俺が口を開くわけねぇだろ!」
まさにプライド。いや、信念と言った方が正しいだろう。誰もが持っているもの。勿論千夜にも種類は違えど信念を持っている。
「そうか。なら全て破壊する。この港も島も全て。そうすればお前はただの死に掛けの男だ。そうなればお前は口を開くかもしれないな」
ただ思いつきで口にした言葉。
無意識に思った一縷の望み。と言うべきかもしれない。
だが、結果的にそれは上手くいった。
「ふざけんな!お前の目的は俺だろうが!この島の奴等は関係ないはずだ!」
「ここにいる奴の大半は犯罪者だ。罪とに問われることはないだろ。それに犯罪者を野放しにしていてもいい事はないだろう」
「待て!分かった。話す!話すから島の連中にだけは手を出すな」
何故そこまでして島の連中を守ろうとするのか千夜には分からない。ただ推測は出来た。
(きっとに境遇の奴等だからこそ、話が合い、仲良くなれるんだろう。それが敵対組織であろうが)
それは友人、仲間、家族、どの言葉に当てはまるのかは目の前の男にしか分からない。だが千夜には関係ない。千夜にとって重要なのは欲しい情報だけだからだ。
「なら答えろ。お前たちに情報を流していたのは誰だ」
「素顔は分からねぇ。護衛の男は鉄の仮面をつけてたからな。女のほうもフードを眼深く被ってやがったし。ただ奴は自分の事をこう名乗っていたぜ。『ギルガメッシュ』ってな」
「そうか」
そう言うと千夜は刀をしまった。
「おい、殺さねぇのかよ!」
「お前を殺すのは俺じゃない。こいつらの仕事だ」
千夜と入れ替わるようにアイーシャたちが名も分からない船長を囲む。
「まさか女に殺されるとはな」
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