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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第百十一幕 秘密主義とギミック
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千夜の口から出てきた言葉にベノワは薄っすらと笑みを浮かべる。老婆と言われてもおかしくない年齢でありながらその姿は一瞬立ち止まってしまいたくなるような危険さと妖艶さを醸し出していた。
しかし別に何かを企んでいるわけではない。
逆に惜しいと思っているのだ。
初めて見る赤い液体に恐れる事無く口にする勇気。
この世の真理までも知っているような知識量。
敵と定めた相手には冷徹なまでに平気で殺せる躊躇の無さ。そして必要とあらば残虐な行為だって厭わない強靭な精神力。
どんな時であろうと平然と威風堂々とした魅力的な姿。
そして何より誰にも誰にも有無とも言わせない圧倒的戦闘能力。
そんな人物を逃してしまうことに改めて惜しいことをしたと思ってしまうベノワ。
(もう少し早く彼と出会っていれば未来も変わっていたでしょうけど)
そんな事を思ってしまうベノワだが、所詮は叶わぬ夢だと嘆息と一緒に外に吐き出す。
「これをギグ商会が販売していると?」
「ええ、そうよ。既に国に特許も取っているから勝手に製造販売をしたらこっちが悪者になってしまうわ。これもギグ商会で買ってきたものだしね」
「なるほど」
(だが、どうしてケチャップなんだ?普通金を稼ぎたいのならケチャップよりもマヨネーズの方が需要が高いはずだ。なのになんでケチャップ?香辛料や材料なんかを合わせれば遥かにマヨネーズの方が安上がりのはずなのになんでだ?)
顎に手を当てて考え込む千夜の姿に考える姿も絵になるわね。なんて内心思いながらもベノワは口を開いた。
「どうかしたの?」
「いや、もしもこのケチャップの発案者が俺の予想通りの人間だったとしたらなんでケチャップなのかと思ってな」
「その、どうして、ってのは私には分からないけどギグ商会は主に野菜と香辛料を販売するお店なのだからじゃないの?」
「なるほど、それなら納得だ」
ベノワの情報に納得した千夜。だけど肝心な事がまだ分かっていなかった。
(ギグ商会が海賊たちと繋がっている証拠がまったくない。それに改めて考え直してみると何度も被害にあったにも拘らず黒字だったと言う情報がどうもあからさま過ぎる。この都市では一番有名で大きなグレムリン商会だが、世界規模、もしくは国全体の規模で言えば遥かにリッチネス商会に劣る。そんな商会が手に入れられるほどザルな警備と管理。そんな間抜けな事を秘密主義で用意周到なギルガメッシュがするとは思えない)
一度思考の海にドップリと浸かり込んだ千夜はただただ逆らう事無くゆっくりと海底へと沈んでいく。
もうそうなってしまえば誰にか引き上げて貰う以外千夜が思考の海から出てくることは無いだろう。
(逆にわざとそうする事で俺たちみたいに探りを入れてくる連中の矛先をギグ商会に向けされるためのギミックだとも考えられる。それにギグ商会なら倒産の危機を救ってくれたと救世主と言う事で、情報や物資と色々と頼めることが増えてくる。そしてケチャップの売上の何割か貰う契約で製造と販売を許可としたとなれば自動的に組織の資金を手に入れる事が可能だ。ましてや倒産の危機を一気に黒字へと変えるほどの売上げだ。1割だったとしても相当の金額になっているはず。そして用済みになれば直ぐにでも手を切ることが可能なはずだ)
表向きは普通の小さな商会だが裏で暗躍する大きな亡霊組織。それも商会が何も知らない亡霊組織。それは暗霧の十月にとって都合の良い表の看板と言えるだろう。
何も知らずただ組織の資金を毎月支払い、情報も物資も頼めば集めてくれる。そして恩があるから疑問も反論もしてこない。必要無いと思えばいつでも切り捨てられる最高に都合の良い表の看板と言うな駒。
「ベノワ、このケチャップの発案者が誰なのか分かるか?」
「それが分からないのよ。調べてみたけどどうやらギグ商会の会頭が急に販売することを決めたらしいわ。中には前々から研究してようやく完成させたって言う噂もあるけど、一番濃厚なのは誰かが会頭に製造法を教え販売を許可したってね」
「やはりそうか……」
推測通りケチャップの製造法を教えたのはギルガメッシュだろうと千夜は位置付けた。だがそうなるとやはり分からない事がある。
(となると本当に手を組んでいる商会はどこだ?噂が流れるほどギグ商会の情報操作は穴だらけだ。そんな商会を秘密主義のギルガメッシュがブラフとして使わない以外考えられない)
これまでの戦闘や情報などでギルガメッシュが相当な秘密主義であることは分かっている。
だからこそ分からない。本命の商会がどこなのか。
いったい本命の商会で何をさせているのか。
いっさいの情報がないのだ。
(またしても手詰まりか)
これ以上考え込んでいても何も分からないと思考を停止させた千夜は出された紅茶で喉を潤す。
その後幾つか質問するが欲しい情報が無いと分かると千夜たちは商会を後にした。
しかし別に何かを企んでいるわけではない。
逆に惜しいと思っているのだ。
初めて見る赤い液体に恐れる事無く口にする勇気。
この世の真理までも知っているような知識量。
敵と定めた相手には冷徹なまでに平気で殺せる躊躇の無さ。そして必要とあらば残虐な行為だって厭わない強靭な精神力。
どんな時であろうと平然と威風堂々とした魅力的な姿。
そして何より誰にも誰にも有無とも言わせない圧倒的戦闘能力。
そんな人物を逃してしまうことに改めて惜しいことをしたと思ってしまうベノワ。
(もう少し早く彼と出会っていれば未来も変わっていたでしょうけど)
そんな事を思ってしまうベノワだが、所詮は叶わぬ夢だと嘆息と一緒に外に吐き出す。
「これをギグ商会が販売していると?」
「ええ、そうよ。既に国に特許も取っているから勝手に製造販売をしたらこっちが悪者になってしまうわ。これもギグ商会で買ってきたものだしね」
「なるほど」
(だが、どうしてケチャップなんだ?普通金を稼ぎたいのならケチャップよりもマヨネーズの方が需要が高いはずだ。なのになんでケチャップ?香辛料や材料なんかを合わせれば遥かにマヨネーズの方が安上がりのはずなのになんでだ?)
顎に手を当てて考え込む千夜の姿に考える姿も絵になるわね。なんて内心思いながらもベノワは口を開いた。
「どうかしたの?」
「いや、もしもこのケチャップの発案者が俺の予想通りの人間だったとしたらなんでケチャップなのかと思ってな」
「その、どうして、ってのは私には分からないけどギグ商会は主に野菜と香辛料を販売するお店なのだからじゃないの?」
「なるほど、それなら納得だ」
ベノワの情報に納得した千夜。だけど肝心な事がまだ分かっていなかった。
(ギグ商会が海賊たちと繋がっている証拠がまったくない。それに改めて考え直してみると何度も被害にあったにも拘らず黒字だったと言う情報がどうもあからさま過ぎる。この都市では一番有名で大きなグレムリン商会だが、世界規模、もしくは国全体の規模で言えば遥かにリッチネス商会に劣る。そんな商会が手に入れられるほどザルな警備と管理。そんな間抜けな事を秘密主義で用意周到なギルガメッシュがするとは思えない)
一度思考の海にドップリと浸かり込んだ千夜はただただ逆らう事無くゆっくりと海底へと沈んでいく。
もうそうなってしまえば誰にか引き上げて貰う以外千夜が思考の海から出てくることは無いだろう。
(逆にわざとそうする事で俺たちみたいに探りを入れてくる連中の矛先をギグ商会に向けされるためのギミックだとも考えられる。それにギグ商会なら倒産の危機を救ってくれたと救世主と言う事で、情報や物資と色々と頼めることが増えてくる。そしてケチャップの売上の何割か貰う契約で製造と販売を許可としたとなれば自動的に組織の資金を手に入れる事が可能だ。ましてや倒産の危機を一気に黒字へと変えるほどの売上げだ。1割だったとしても相当の金額になっているはず。そして用済みになれば直ぐにでも手を切ることが可能なはずだ)
表向きは普通の小さな商会だが裏で暗躍する大きな亡霊組織。それも商会が何も知らない亡霊組織。それは暗霧の十月にとって都合の良い表の看板と言えるだろう。
何も知らずただ組織の資金を毎月支払い、情報も物資も頼めば集めてくれる。そして恩があるから疑問も反論もしてこない。必要無いと思えばいつでも切り捨てられる最高に都合の良い表の看板と言うな駒。
「ベノワ、このケチャップの発案者が誰なのか分かるか?」
「それが分からないのよ。調べてみたけどどうやらギグ商会の会頭が急に販売することを決めたらしいわ。中には前々から研究してようやく完成させたって言う噂もあるけど、一番濃厚なのは誰かが会頭に製造法を教え販売を許可したってね」
「やはりそうか……」
推測通りケチャップの製造法を教えたのはギルガメッシュだろうと千夜は位置付けた。だがそうなるとやはり分からない事がある。
(となると本当に手を組んでいる商会はどこだ?噂が流れるほどギグ商会の情報操作は穴だらけだ。そんな商会を秘密主義のギルガメッシュがブラフとして使わない以外考えられない)
これまでの戦闘や情報などでギルガメッシュが相当な秘密主義であることは分かっている。
だからこそ分からない。本命の商会がどこなのか。
いったい本命の商会で何をさせているのか。
いっさいの情報がないのだ。
(またしても手詰まりか)
これ以上考え込んでいても何も分からないと思考を停止させた千夜は出された紅茶で喉を潤す。
その後幾つか質問するが欲しい情報が無いと分かると千夜たちは商会を後にした。
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