鬼神転生記～勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。～

第五章 依頼が無いので、呆気なく新婚旅行に行く事になりました。

第九十六幕 雑談とお金を使わない当主

　真剣な話も終わると後は鑑定が終わるまで他愛も無い雑談で時間を潰した千夜たちの前にノックの音が耳に届き雑談を中断する。

「ギルドマスターアリスです。入ってもよろしいでしょうか？」
「ええ、良いわよ」
「失礼します」
　ドアが開かれ中に入るアリス。

「ギルドカードの更新が終わりましたのでお持ちしました。依頼報酬は素材の買い取り金額とあわせて後程お渡しします」
「分かったわ」
　了承したエリーゼたちはアリスからギルドカードを受けとり確める。

「あ、ランクがSランクになってるわ」
「私もSSランクになってます」
「我もじゃ」
「私はSSSランクになってます」
　全員が一つずつランクが上がっていることに喜びを口にした。

「本当はエルザちゃんのランクは上がらなかったのよ。でも存在進化してるし、これなら大丈夫ということで上げさせてももらったわ」
「有難うございます」
「別に良いのよ。これも貴女たちの努力の賜物なんだから」
「良かったなエルザ」
「はい。これで、少しはセンヤさんに追い付いたと思います」
「そうだな」
　笑顔で肯定する千夜。
　再びノックの音が耳に届く。

「ハイネです。鑑定が終わりましたので、その報告に来ました」
「入って頂戴」
「失礼します」
　こんど入ってきたハイネも軽くお辞儀をすると千夜たちの前まで移動する。

「こちらが、今回買取りさせて頂く素材と金額です。で、こちらが依頼報酬です」
　２枚の羊紙を千夜に手渡す。そこには素材の名前が書かれその横に金額であろう数字が並び一番したに素材の種類と数、金額の合計が記載されていた。

「素材は全部で金貨96枚、銀貨87枚、銅貨42枚。依頼報酬は金貨65枚。全部で白金貨1枚、金貨61枚で後は同じか。思ったより少ないが良いだろう。お金には困っていないからな」
「そうね。私たちの総資産はそこら辺の貴族よりもお金持ちだものね。それに旦那様はあまり、買い物しないものね」
　などと口にするエリーゼ。その言葉にサシャ、アリス、ハイネは心のそこから羨ましいと思うのであった。

「そうか？ 俺だって街に出れば買い物はしているぞ」
「何を？」
「屋台で売っている串焼きを2本」
「それ、買い物をしたとは言わないわ。それならギルドでいつも飲んでいる人たちの方が沢山買い物をしてるわよ」
「そうか。俺はいつもしたい事をしてるからな。その分物欲が無いのかもしれないな」
「別に良いのよ。高価なものを沢山買う買って破産するよりかは、遥かにマシよ」
「そうか。それなら良かった」
　百鬼家の当主が一番お金を使わないと知られる千夜たちだが気にすることもなく会話は続く。
　しかし、全体的にはお金を使っている。オールリキュールでの材料費に人件費に食費、百鬼家での食費にセバスたちへの給料など色々と合わせれば、月に消費するお金は白金貨まで届くだろう。それでもオールリキュールでの売上とこれまでに冒険者として稼いだお金があるため困る事はないのだ。

「さて、終わったようだし俺たちは宿屋に戻る」
「そう。ならこの王都を出る時は一言言ってね」
「ああ、分かった」
　そうして千夜たちは宿屋に戻るのだった。