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第五章 依頼が無いので、呆気なく新婚旅行に行く事になりました。
第九十九幕 ロッテン山脈と7600
しおりを挟む「あれか」
「そうじゃ。あれがロッテン山脈じゃ」
目の前に高々とそびえ立つ灰色の肌を持つ山脈。
「高いわね」
「雲で山頂が見えません」
「立派です」
馬車の窓から顔を出して目的地の山脈を見上げる。
7600メートルを超える山脈は雲で山頂が見えないほどだ。
「本当にこんな場所に住んでるの?」
「本当じゃ。我らの村は山頂近くにあるのじゃ」
「そ、それは凄いわね」
クロエの言葉に行く気が失せてくるエリーゼ。
それでも行かなくてはならい。クロエを妻にしたことを伝えないといけないのだから。
「今日は山脈の麓で夜営をする。明日は日の出と同時に出発するからな。早く寝ること。分かったか」
「「「「はい」」」」
「スケアクロウ。念のため周りに用心して進め」
「畏まりました」
マップには千夜たち以外の生命反応はない。それだけ生物が住める場所では無いからだろう。
(しかし、ダークエルフの反応も無いのは気になるが)
「クロエ。山頂の近くとは言ったが、村はどの辺りだ」
千夜が訊いているのは高さの場所ではなく横の場所なのである。もちろんその事はクロエも理解していた。
「我らが住んでいる村は……あの辺りじゃ」
真っ直ぐと続く道。つまりこのまま行けば到着するであろう山脈の麓から遥か右を指指していた。
「なるほど。どおりでな」
「何がじゃ?」
「いや、クロエたちダークエルフですら1日は掛かると言っていたからな。ただ真っ直ぐ登るだけならそんなには時間が掛からないと思っただけだ」
「なるほどの。流石はセンヤなのじゃ」
感心するクロエ。しかし、千夜は他の意味で納得していた。
(通りでマップにも表示されないわけだ)
クロエが示した場所は千夜のマップの圏外にあることが判明したのだ。
(結果的に存在進化していて正解だったようだな)
土地を知らない場所で魔物と遭遇すれば遥かに危険度は増す。それが標高の高く空気の薄い場所なら尚更である。
「創造主様、そろそろ麓に到着致します」
「分かった。到着したら、警戒を最大にしたのち、結界を設置してくれ。明日のために魔力は消費したくないんでな」
「畏まりました」
林道を進み山脈が目の前まで見えてくる。
それは天然の壁とも言えるものだった。
そして、千夜たちは明日のため夜営の準備を始めるのであった。
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