鬼神転生記~勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。~

月見酒

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第五章 依頼が無いので、呆気なく新婚旅行に行く事になりました。

第百三十一幕 飛び出すとあっそ。

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 街道を歩く5人組。
 身につける装備は約一年前にあった時よりも高レベルの武器や防具を身にまとっていた。
 しかし、今の千夜にはどうでも良かった。千夜にとって今最優先されることは勇治たちを無視するか、どうかという事だ。
(それに、正体がバレる可能性もあるからな)
 結果千夜は無視する事を選ぶ。
 しかしそう上手く行くはずもなく。
 馬車の前に一人飛び出してきた。
 突然の事に驚き前足を上げる馬。手綱を強く引くスケアクロウ。思わず舌打ちする千夜。
 それもそのはず。飛び出してきたのは和也の妹、朝霧奏なのだから。

「貴様! 何を考えている!」
 奏でに怒声を浴びせるスケアクロウ。しかし彼の行動は当たり前の行動。
 しかし、奏はそんな事を無視して服に散った土を払い落とす。

「奏!」
 心配を胸に奏に抱きつく真由美。

「なに考えてるのよ。いきなり飛び出すなんて!」
「ごめんなさい」
 反省はしているのだろう。素直に誤る。

「それは私に言う言葉じゃないわよね」
「………すいませんでした」
「いきなり飛び出すような事を二度とするな。もしもお主が死ねば悲しむ者たちもいるだろう。だが、そんな事で主の時間を割くなどあってはならないのだからな」
「確かに悪いのはこっちだけど、そんな言い方は無いんじゃない!」
 スケアクロウの言い分に反論する真由美。
 そんな光景を馬車の中から眺めていた千夜は面倒ごとになったな。と嘆息するのだった。
(仕方が無い)
 無視しても良かったが、真由美の性格を知っている千夜は仕方なく馬車を降りる事にした。

「お前たちはここに居ろ」
 エリーゼたちに伝え、千夜は真由美たちの許へと向かう。

「何を揉めている」
「主様」
 御者から降り、一礼するスケアクロウを手で対応した千夜は真由美たちに視線を向ける。

「まさか主があなただったとはね」
「意外そうだな。そこの女は気付いていたようだが」
 千夜は睨みつけるような鋭い視線を向ける奏を見る。

「貴方の気配がしたから、飛び出したのよ」
「それだけでよく飛び出したな。で、俺になんのようだ?」
「話がしたい」
「先に言っておくが俺はお前の兄貴ではないぞ」
 約一年前、ギルドでの事を思い出す。

「確かにその話もしたいけど。今回は別の話」
「なんだ?」
「貴方は何者なの?」
「唐突だな」
 突然の質問。けして街道なので話す内容ではない。

「私たちは強くなったわ。一つ一つダンジョンを攻略し、全てのダンジョンを制覇したわ」
「ほう、煉獄の宝物庫もクリアしたのか」
「なんとかしたわよ。どうやらあのダンジョンを制覇したのは貴方で二組目のようね」
「そうか。で、聞きたかったことはその事か?」
「違う。私たちは強くなった。それでも私たちは貴方に遠く及ばない。異世界人であり、勇者でもある私たちが遠く及ばない。いったい何者なの?」
 異世界人は遥かにステータスが高く希少なスキルや称号を得る。にも拘わらず目の前の男に近づくどころか遠くなったような感覚に襲われる奏。


────────────────────────────

 桜井勇治
ヒューマン
LV239
HP 52000
MP 36000
STR 4060
VIT 3870
DEX 3710
AGI 3800
INT 3880
LUC 110
 
スキル
言葉理解
剣術LV83
武術LV72
身体能力強化LV77

魔力操作LV69
状態異常耐性LV55
HP自動回復LV51
MP自動回復LV49
火属性耐性LV68
水属性耐性LV62
土属性耐性LV59
風属性耐性LV60
闇属性耐性LV55

称号
英雄の卵
属性
火 水 風 土 光


朝倉真由美
ヒューマン
LV231
HP 36000
MP 51700
STR 1960
VIT 1960
DEX 2900
AGI 2530
INT 2650
LUC 100
スキル
言葉理解
剣術LV45
魔力操作LV83
状態異常耐性LV49
HP自動回復LV71
MP自動回復LV83
火属性耐性LV85
水属性耐性LV60
土属性耐性LV59
風属性耐性LV46
闇属性耐性LV50
鑑定LV20

称号
魔女の理
属性
火 水 風 土 光

武田正利
ヒューマン
LV234
HP 59800
MP 24600
STR 3300
VIT 3300
DEX 2980
AGI 3120
INT 2840
LUC 90

スキル
言葉理解
剣術LV89
槍術LV76
魔力操作LV56
状態異常耐性LV64
HP自動回復LV63
MP自動回復LV48
火属性耐性LV69
水属性耐性LV55
土属性耐性LV56
風属性耐性LV60
闇属性耐性LV47

称号
武士の心得
属性
火 水 風 土 光

霧咲紅葉
ヒューマン
LV229
HP 45000
MP 47000
STR 2100
VIT 2300
DEX 2600
AGI 1930
INT 2850
LUC 110

スキル
言葉理解
槍術LV49
魔力操作LV77
状態異常耐性LV52
HP自動回復LV56
MP自動回復LV76
火属性耐性LV68
水属性耐性LV62
土属性耐性LV47
風属性耐性LV52
闇属性耐性LV41

称号
癒しの巫女
属性
火 水 風 土 光


朝霧奏
ヒューマン
LV236
HP 40500
MP 39000
STR 2600
VIT 2560
DEX 2410
AGI 2490
INT 2300
LUC 120

スキル
言葉理解
剣術LV89
二刀流LV90
魔力操作LV56
状態異常耐性LV44
HP自動回復LV58
MP自動回復LV46
火属性耐性LV60
水属性耐性LV57
土属性耐性LV49
風属性耐性LV62
闇属性耐性LV31

称号
双剣の姫
属性
火 水 風 土 光


───────────────────────────

(確かに強くはなっている。だが、このステータスでよく煉獄の宝物庫をクリアできたな)
 それはこれまで積み上げてきた信頼とコンビネーションによるものだろうと推測した千夜。
 それでも、これと千夜の正体をバラす理由にはならない。

「それはタダ単にお前たちがまだ強くなれていないからだ」
 厳しく、冷たい口調に反論しようとする勇治と真由美。しかしそれを奏が制す。

「そうね。確かにまだあなたに比べたら弱いわ。なら、どうやったら強くなれるの」
「俺に教えを請うのか?」
「酌だけどね」
 どこか焦っているようにも思えた千夜だが、口を開いた。

「簡単だ実戦を何度も経験しろ。それ以外のときは剣術や魔法の訓練をすれば良い」
「それだけ?」
「そうだ。塵も積もれば山となる。だ」
「あっそ。なら先に行くわね」
「それだけか?」
「それだけよ」
 そういい残して奏たちは帝都へと歩き出す。そんな彼女たちの後姿を眺めながら呟く。

「相変わらず、自分勝手なやつだ」
 千夜も馬車に乗り込み、帝都へと向かうのであった。




────────────────────────

月見酒です。
ようやく第五章終了です。
次から、第六章となります。
魔王との戦争より先に人間同士のいざこざが始まります。
これからも、「勇者として異世界転移したが、呆気なく死にました。」を宜しくお願いします。
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