117 / 351
第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。
第三幕 ドーピングと久々の冒険者活動
しおりを挟む「さて、会話中の所悪いが説明して貰えるか?」
「そうだったな」
勇治たちと話していた千夜は、今回この場に来た理由を忘れかけていた。
頭を切り替え、真実を語る。
「七聖剣の連中がどうしてそこまで強くなったのか。それは存在進化をしたからだろう」
「存在進化だと。それはなんだ?」
千夜の言葉に疑問符を浮かべるベイベルグと貴族連中。勇治たちはなんとなくではあるが理解した表情をしていた。
「一つ聞くが、ステータス。俺たちの強さを分かり易くしたものだが、レベルの最高到達点。つまり限界値を知っているか?」
「そんなものがあるのか?」
(それすら知らなかったのか)
「ある」
ベイベルグの問いに肯定すると、貴族連中がざわめき出す。
「静まれ!」
ベイベルグによって再び静寂が訪れる。
「で、いったい幾つなのだ?」
「限界値は250だ」
「250だと! そんなの不可能だ! 歴史に名を残した偉人ですら210が限界なのだぞ」
「だが、事実だ。そして、フィリス聖王国の七聖剣たちはそれを成し遂げ新たな力を手に入れた」
「ひとつ聞くが、存在進化を話した場合、ステータスはどうなるのだ?」
「そうだな。全てのステータスが最高レベル。つまり限界値なわけだが、存在進化を果たせば、限界値の3倍~5倍のステータスになる」
「真か!」
「事実だ。その証拠もある」
その言葉にベイベルグたちは喉を鳴らす。
「見せて貰えるか?」
「ああ。エリーゼ、見せて遣れ」
「分かったわ。ステータスオープン」
普通ならば自分のステータスを他人に見せるような事はしない。しかし、論より証拠。言葉より己自身の目で見たほうがハッキリするからだ。
──────────────────────────
エリーゼ(ルーセント)
ハイヒューマン
LV 20
HP 483600
MP 374800
STR 54300
VIT 51900
DEX 53580
AGI 54300
INT 47100
LUC 80
スキル
剣術LV99
弓術LV48
体術LV93
調合LV4
調理L42
魔力操作LV94
火属性耐性LV99
水属性耐性LV73
風属性耐性LV75
土属性耐性LV75
光属性耐性LV72
闇属性耐性LV
称号
???
炎神の寵愛
龍殺し
属性
火 水 土
──────────────────────────
見た事のない。圧倒的ステータスの数値に謁見の間にどよめく。
「ありえぬ」
ベイベルグの口から漏れた言葉にはほんの僅かだが恐怖が混じっていた。
それを無視して千夜は口を開く。
「先に言っておくが、エリーゼだけでなく、俺の妻であるミレーネ、クロエ、エルザも存在進化を果たしている」
「………千夜よ。お主に――」
「悪いがこの国の貴族になるつもりはない。勿論他国の貴族にもな」
ベイベルグが口を開いたが、千夜本人によって阻まれた。
「そうか………残念だ」
帝国は魔族との決戦のためどの国よりも兵の軍事力強化に努めていた。そんな帝国が目の前に圧倒的力を持つ存在が複数も居るのを見逃すはずがない。しかし、断られた以上。これ以上口を開かないのは千夜の性格と力を知っているからこそだ。
「それと存在進化は確かに誰でも種族関係なく出来る。しかし、俺たちに出来たから自分たちも、もしくは我が子にならなんて考えるなよ」
千夜は貴族連中に視線を向けながら釘を刺しておく。
「エリーゼたちが存在進化に至ったのは、類まれなる才能と鍛錬と実戦経験によるものだ」
千夜の言葉に誰もが真剣な面持ちで聞く。
「たぶんだが、それなら可能だ。なんて思っているかも知れないが、エリーゼたちが存在進化に至るために最後に倒した魔物はブラットワーム亜種だからな。勿論俺は戦闘に参加していない」
その言葉で大半の貴族たちが諦めの表情を浮かべていた。
「それでも、目指す奴らだけに忠告だ。焦るな。求めすぎるな。そして至った場合は自信にしても構わないが慢心するな。驕るな。死ぬその時まで謙虚であれ。出なければ早死にするぞ」
「分かった。お主の言葉を肝に銘じておこう。でだ。七聖剣の者達も同じような遣り方で存在進化を果たしたのか?」
「正直それに関しては分からない。ブラットワームのような魔物を討伐したのなら少しぐらい噂になってもおかしはない。しかし、奴らにはそれが一切無い」
噂にしろなんにしろ、情報が無い事には説明しようがない千夜。
「なら、どうやったのだ?」
「多分だが、なんらかの方法でレベルを上げ、存在進化に至ったんだと思う」
「それが分かれば苦労はせんな」
「まったくだ」
(だが、その方法がドーピングのような方法ならエリーゼたちの敵ではないな)
圧倒的身体能力があろうと、戦闘経験がなければ、状況確認や判断するのが遅れそれが命取りになるからだ。
「千夜よ。お主に指名依頼をだす」
「久々だな」
「フィリス聖王国七聖剣の存在進化までの経緯調査とフィリス聖王国の目的の調査を依頼する」
「もしも襲われたときは?」
「お主の判断に任せる」
「分かった」
こうして千夜は久々の冒険者として活動を再開するのだった。
20
あなたにおすすめの小説
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。