鬼神転生記~勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。~

月見酒

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第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。

第四十九幕 憎しみと戦場へ

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 仮面の騎士は急いで門の所まで向かう。
 馬よりも速い和也のステータスは現在こうなっている。

───────────────────────

朝霧和也
ヒューマン
LV245
HP 183750
MP 159250
STR 15930
VIT 14700
DEX 12250
AGI 15930
INT 13480
LUC 100

スキル
言葉理解
言語理解
超解析
剣術LV99
槍術LV99
調理LV68
鑑定LV62
魔力操作LV99
状態異常耐性LV81
HP自動回復LV68
MP自動回復LV66
火属性耐性LV87
水属性耐性LV72
土属性耐性LV71
風属性耐性LV71
光属性耐性LV69
闇属性耐性LV84
レベルアップ時ステータス倍Ⅱ
限界突破Ⅲ
アイテムボックス

属性
火 水 土 風 光

称号
龍殺し

───────────────────────

 貴族吸血鬼との死闘を勝ち抜き、休まず鍛錬を行ってきた結果と言うべきだろう。一時は勇治たちよりも劣っていたステータスは既に通り越していた。

「まったく俺に会議なんて似合わないからな。魔族襲撃はありがたいぜ」
 仮面の下に浮かぶ不適な笑みはまだ見えぬ魔族たちに向けられる。

「さて、行くとするか」
 蒼槍を握り締め、獲物の集団へと駆けて行く。

          ***************

 和也が戦場へと飛び出していった会議室では皆が呆然と開かれた扉を見つめている中、ライラだけは呆れつつも笑みを浮かべていた。

「まったく戦場と聞くとどうしてあそこまで積極的になるのかね」
「ライラ様」
「様は結構です。セレナ皇女殿下」
「では、ライラ殿と。彼、先ほど飛び出していった仮面の騎士は何者なのですか?」
「彼は私の補佐兼隊の副隊長を務めている者です。元は冒険者なのですが、冷静な判断力と戦闘力を兼ね備えた部下なのですが、魔族に対して執着するまでの恨みと憎しみ、強烈な強さへの欲求が彼の悪い所なのです」
「そうだったのですか。ではあの仮面は?」
「セレナ皇女殿下はご存知無かったのでしたね。あの仮面の下には醜い傷跡があるのです。宮廷魔術師に頼めば治す事も可能でしょう。しかし彼はそれを頑なに拒むのです。魔族への恨みを忘れないが為に」
「そ、そうだったのですか……」
 ライラの言葉に悲しげな表情をする。そんな心優しきセレナに嘘をつかねばならない事に罪悪感が押し寄せてくる。
(申し訳ありません。だが、これもカズヤの願いですので)

「それでも、憎しみに囚われて生きるのは辛くないですか?」
「貴公は?」
 話に入り込んでくる一人の少年に怪訝の表情を向ける。

「失礼しました。僕は桜井勇治。異世界から召喚された勇者の一人です」
「貴公が異世界の勇者殿か。私はライラ・オネスト。フィリス聖王国七聖剣が一人です。どうぞ、宜しく」
「こ、これはご丁寧な挨拶を」
「いえ、お気になさらず」
「「………」」
「「ゴホン!」」
 凛々しい女性がふと見せる笑みに見惚れる勇者男性陣。それをみてわざとらしく咳きをすいる女性陣である。

「憎しみに囚われて生きていくのは辛くないかと言ったが、彼には、いや、彼らにはそれしかないのだ。目の前で大切な家族や友人を魔族に殺され、自分ひとりだけ生きていく。そんな世界に彼らは価値を見出せない。そして残った者は魔族への憎しみだけ。それが貴公たちに理解できるか?」
「出来るわよ」
 ライラの問いに肯定で返したのは奏ただ一人だった。

「貴公は?」
「私は朝霧奏。勇者として召喚され、死んだ朝霧和也の妹よ」
(この娘がこのレイーゼ帝国が召喚したという勇者か。他の勇者と比べ魔族に対して強い憎しみが宿っているな)

「私は兄を目の前で殺されたわけじゃない。でも召喚されて兄が魔物に殺されたと聞かされたとき私は魔族を殲滅すると誓ったわ」
(己の死を厭わない魔族への強い憎しみ。だが、どこか危うさを感じる)

「そうだったか。これは不躾な質問だったな」
「別に良いわ。私たちが平穏な世界で暮らしていたのは事実だもの」
「そう言って貰えるとこちらとしても助かる。だが、宜しいのか?」
「何が?」
「最強の冒険者どもは魔族殲滅に今しがた出て行ったが貴公たちは向かわなくて良いのか?」
「しまった女狐どもに先を越された!」
「ちょ、奏ちゃん!」
「奏待ちなさい!」
 舌打ちと同時に駆ける奏。そんな彼女を慌てて追いかける勇治たち。そんな彼らを見送るライラ。

「あんな少年少女に頼らねばいかぬとは情け無い話だ」
 呟かれた言葉だが悔しさなどは一切感じていなかった。
 ライラは通路で待機していた部下を引き連れ寝室へと戻っていった。
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