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第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。
第八十一幕 余計な事と謹慎解除
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「それでは、私はこれで」
「ああ、またな」
「はい。今聞くのはどうかと思いますけど、どうして会議に出席を為さらなかったんですか?」
「ちょっとな」
「むっ、婚約者に黙っているつもりですか?」
はぐらかされた事にセレナは頬を膨らまさす。しかし和也にとってその態度は可愛いとしか思えなかった。
「婚約者であり、未来の妻だから巻き込みたくないんだが」
「その心遣いには感謝します。ですが、私はこれでも覚悟してますので」
「………はぁ、分かったよ。どうしてこうも潔いって言うか強いのかね。俺が好きになる女は」
「うふふ、それだけ貴方の事を愛しているからですよ。それに私は小さい時にエリーゼお姉様か色々教わりましたから」
「そうだったな」
和也は参りましたと両手を挙げたくなる思いだった。
「で、どうしてこなかったのですか?」
「謹慎処分を言い渡されたんだよ」
「それはあまりにも非道です! 今回の功労者でもある人を謹慎処分にするなんて!」
「セレナ落ち着け! 話は最後まで聞け」
今すぐにでも飛び出して行きそうな気配に和也は慌てて宥める。
「す、すいませn……」
「いや、気にしないでくれ」
「それでどうして謹慎処分に?」
「今から話す事は確証はあるわけじゃない。だから事実だったとしても他言無用で頼む。エリーゼたちには構わないが、あいつらにも他言するな。と言っておいてくれ」
「分かりました」
「今回の襲撃には内通者が居る。それがフィリス聖王国の上層部連中の誰かだ。って言ったんだよ」
「え、それは本当なんですか?」
「ああ、間違い無くな」
「そうですか……。それにしてもそれを七聖剣の方に言ったら、そうなりますよ。謹慎処分で良かったと思うほどです」
「確かにな。不敬罪って言われて殺されていても可笑しく無かったからな」
「笑い事ではありません! もう、エリーゼお姉様たちの苦労が分かります」
額に手を当てて嘆息するセレナ。そんな姿を見て腑に落ちないと内心思う和也である。
「それでは私はこれで」
「ああ、婚約を伝える時は俺も傍に居るからな」
「はい………」
頬をほんのり赤く染めたセレナは出て行った。
思い掛けない出来事に流石の和也も疲れたのかそのままベットに横たわる。
次の日になり、寝室で寛いでいるとライラが遣ってきた。
「どうだ気分は?」
「別に変わらない。ただ暇過ぎて退屈だ」
「自業自得だ」
先日の出来事から和也に対する態度が変わった。でもそれは仕方が無いと言えた。
「で、どいった用件で?」
「昨日行われた会議の詳細を教えておこうと思ってな」
「なるほど」
「昨日議題になったのは大戦時の総大将を誰にするかだ」
「また、一生決まらないような議題だな」
「分っていたとしても口にするな。ま、聞いてて頭が痛くなったのは事実だがな」
用意に想像できてしまう光景に和也は呆れ、ライラも同じなのか額に手を当てていた。
「で、結果はどうなったんだ?」
「各国がそれぞれ総大将に相応しいと思うものを2名ずつ推薦し、日にちは未定だが来年の夏過ぎに模擬戦闘を行う事が決定した」
「なるほど、事実上は保留と言う訳か」
「そう言うな。で、それとは別に独立部隊を編成する事となった」
「独立部隊だと?」
「そうだ。各国から選抜された兵士、または騎士数人の部隊だ。その先頭に立つのが勇者様方だ」
「は?」
予想外な言葉に思わず生返事で問い返してしまう。
「おいおい正気か? ライラも勇者達がどんな奴か耳にしただろ?」
「ああ、知っている。魔族を殺せない勇者だろ。だが、それは平和な世界で暮らしていた事による物だと判断された。今後成長するだろうとな」
「確かに他の奴らなら可能性はあるが勇治だけは無理だ」
馬鹿な決定に眩暈を引き起こしそうになる。
「だが、必要な事だ。勇者様方は我々の希望なのだ。もしも戦死し、それが民達に知られたら」
「確かに混乱に陥るかもな。だが、それって勇者達の盾になれって事だよな。他の奴らが死んでも構わないが勇者達に死んで貰っては困ると」
「………そうだ」
「はあ………なんでそんな話になるんだよ。スレッド法国の使者はともかく他の代表達はそれなりに現状を理解していると思ったんだがな……。大体なんでそんな話が出るんだ。総大将の話とはどう見ても関係無いと思うが」
「仕方が無いだろ。言い出したのは勇者様本人なんだから」
「何?」
「僕はもっと強くなって必ず魔王を倒すと言い出した。だが、先日の報告を耳にしている我々は直ぐに信用出来ないと判断し、模擬戦が行われる日に勇者様の実力と一匹の魔族を殺して貰う。勿論人に似た奴をな。そこで判断する事が決定した」
「だったら編成はどう見ても早過ぎる」
「出来なかった場合は即時解散すれば良いが、出来た時に一々選抜して合同訓練させる時間が惜しいと判断したからだ」
「効率優先か」
「そうだ」
「で、まだ未定だが。私が考えるにフィリス聖王国からはお前を推薦しようと思う」
「なに?」
「報告ではお前は勇者と共に魔人を倒したと聞いている。だったらお前以外適任者は居ないだろう?」
「つまり俺にアイツ等の盾になって死ねと?」
「違う。お前の実力を見込んで言っている。それに……」
「勇者が魔王を倒した時に我が国が少しでも有利になるようにと。そう言う事だな?」
「そうだな」
(まったく余計な事を)
苛立ちを何かにぶつけたい思いに和也は襲われる。
「だが、私にその決定権はない。一応推薦はするが決めるのは教皇様だからな」
「……分った」
「明後日にはこの帝都を出立する。謹慎は解除してやるから残りの時間は有意義に過ごすと良い」
「心遣いに感謝致しますよ。ライラ様」
「止せ、お前に様付けされる背中が痒くなる」
皮肉を皮肉で返すとライラは部屋を後にするのだった。
「本当余計な事しやがって」
ベットに横たわる和也は拳を強く握り締めるのだった。
「ああ、またな」
「はい。今聞くのはどうかと思いますけど、どうして会議に出席を為さらなかったんですか?」
「ちょっとな」
「むっ、婚約者に黙っているつもりですか?」
はぐらかされた事にセレナは頬を膨らまさす。しかし和也にとってその態度は可愛いとしか思えなかった。
「婚約者であり、未来の妻だから巻き込みたくないんだが」
「その心遣いには感謝します。ですが、私はこれでも覚悟してますので」
「………はぁ、分かったよ。どうしてこうも潔いって言うか強いのかね。俺が好きになる女は」
「うふふ、それだけ貴方の事を愛しているからですよ。それに私は小さい時にエリーゼお姉様か色々教わりましたから」
「そうだったな」
和也は参りましたと両手を挙げたくなる思いだった。
「で、どうしてこなかったのですか?」
「謹慎処分を言い渡されたんだよ」
「それはあまりにも非道です! 今回の功労者でもある人を謹慎処分にするなんて!」
「セレナ落ち着け! 話は最後まで聞け」
今すぐにでも飛び出して行きそうな気配に和也は慌てて宥める。
「す、すいませn……」
「いや、気にしないでくれ」
「それでどうして謹慎処分に?」
「今から話す事は確証はあるわけじゃない。だから事実だったとしても他言無用で頼む。エリーゼたちには構わないが、あいつらにも他言するな。と言っておいてくれ」
「分かりました」
「今回の襲撃には内通者が居る。それがフィリス聖王国の上層部連中の誰かだ。って言ったんだよ」
「え、それは本当なんですか?」
「ああ、間違い無くな」
「そうですか……。それにしてもそれを七聖剣の方に言ったら、そうなりますよ。謹慎処分で良かったと思うほどです」
「確かにな。不敬罪って言われて殺されていても可笑しく無かったからな」
「笑い事ではありません! もう、エリーゼお姉様たちの苦労が分かります」
額に手を当てて嘆息するセレナ。そんな姿を見て腑に落ちないと内心思う和也である。
「それでは私はこれで」
「ああ、婚約を伝える時は俺も傍に居るからな」
「はい………」
頬をほんのり赤く染めたセレナは出て行った。
思い掛けない出来事に流石の和也も疲れたのかそのままベットに横たわる。
次の日になり、寝室で寛いでいるとライラが遣ってきた。
「どうだ気分は?」
「別に変わらない。ただ暇過ぎて退屈だ」
「自業自得だ」
先日の出来事から和也に対する態度が変わった。でもそれは仕方が無いと言えた。
「で、どいった用件で?」
「昨日行われた会議の詳細を教えておこうと思ってな」
「なるほど」
「昨日議題になったのは大戦時の総大将を誰にするかだ」
「また、一生決まらないような議題だな」
「分っていたとしても口にするな。ま、聞いてて頭が痛くなったのは事実だがな」
用意に想像できてしまう光景に和也は呆れ、ライラも同じなのか額に手を当てていた。
「で、結果はどうなったんだ?」
「各国がそれぞれ総大将に相応しいと思うものを2名ずつ推薦し、日にちは未定だが来年の夏過ぎに模擬戦闘を行う事が決定した」
「なるほど、事実上は保留と言う訳か」
「そう言うな。で、それとは別に独立部隊を編成する事となった」
「独立部隊だと?」
「そうだ。各国から選抜された兵士、または騎士数人の部隊だ。その先頭に立つのが勇者様方だ」
「は?」
予想外な言葉に思わず生返事で問い返してしまう。
「おいおい正気か? ライラも勇者達がどんな奴か耳にしただろ?」
「ああ、知っている。魔族を殺せない勇者だろ。だが、それは平和な世界で暮らしていた事による物だと判断された。今後成長するだろうとな」
「確かに他の奴らなら可能性はあるが勇治だけは無理だ」
馬鹿な決定に眩暈を引き起こしそうになる。
「だが、必要な事だ。勇者様方は我々の希望なのだ。もしも戦死し、それが民達に知られたら」
「確かに混乱に陥るかもな。だが、それって勇者達の盾になれって事だよな。他の奴らが死んでも構わないが勇者達に死んで貰っては困ると」
「………そうだ」
「はあ………なんでそんな話になるんだよ。スレッド法国の使者はともかく他の代表達はそれなりに現状を理解していると思ったんだがな……。大体なんでそんな話が出るんだ。総大将の話とはどう見ても関係無いと思うが」
「仕方が無いだろ。言い出したのは勇者様本人なんだから」
「何?」
「僕はもっと強くなって必ず魔王を倒すと言い出した。だが、先日の報告を耳にしている我々は直ぐに信用出来ないと判断し、模擬戦が行われる日に勇者様の実力と一匹の魔族を殺して貰う。勿論人に似た奴をな。そこで判断する事が決定した」
「だったら編成はどう見ても早過ぎる」
「出来なかった場合は即時解散すれば良いが、出来た時に一々選抜して合同訓練させる時間が惜しいと判断したからだ」
「効率優先か」
「そうだ」
「で、まだ未定だが。私が考えるにフィリス聖王国からはお前を推薦しようと思う」
「なに?」
「報告ではお前は勇者と共に魔人を倒したと聞いている。だったらお前以外適任者は居ないだろう?」
「つまり俺にアイツ等の盾になって死ねと?」
「違う。お前の実力を見込んで言っている。それに……」
「勇者が魔王を倒した時に我が国が少しでも有利になるようにと。そう言う事だな?」
「そうだな」
(まったく余計な事を)
苛立ちを何かにぶつけたい思いに和也は襲われる。
「だが、私にその決定権はない。一応推薦はするが決めるのは教皇様だからな」
「……分った」
「明後日にはこの帝都を出立する。謹慎は解除してやるから残りの時間は有意義に過ごすと良い」
「心遣いに感謝致しますよ。ライラ様」
「止せ、お前に様付けされる背中が痒くなる」
皮肉を皮肉で返すとライラは部屋を後にするのだった。
「本当余計な事しやがって」
ベットに横たわる和也は拳を強く握り締めるのだった。
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