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第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。
第九十二幕 ライラと模擬戦?
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その日の夜。フーリッシュは書斎で不機嫌になっていた。
「まったく良い事があったと言うのに魔族風情と連絡しないと行けないとは、嫌になる」
そう、今日は定時連絡日。別に上下関係があるわけではなく。唯単に互いの情報を交換し合うだけだ。
「さて、そろそろかのう」
体内時計の感覚に従い、引き出しの奥にしまっていた通信結晶をオフィスデスクに置く。すると数秒後タイミング良く通信結晶が光だし、一人の魔人の立体映像が映し出される。
「やあぁ、フーリッシュ君。元気かね」
「そんな。話は良い。それよりも早く情報を渡せ」
「まったく君はせっかちだな。四天王の一人である僕にそんな事を言うなんて。殺されたいの?」
「………」
「ははっ、冗談だよ。それよりも情報だったね。そうだね。我々魔族軍は予想以上の帝国の力にまだ攻め時では無いと判断した」
「それはでは困るのだ!」
「そんな事言ってもね。僕達の副官数名と22000の兵力でも都市一つ落とす事が出来なかったんだ。仕方が無いだろう。せっかく君から貰った魔族対策会議の日取りの日に侵攻したにも拘わらずだ」
「それはお前たちが戦力の見誤っただけではないか!」
「そんな事はない。我々の予想ではなんなくと落とせる予定だった。だけどまさか予想以上の敵が居るなんて想わなかったんだよ。そう言えば、その内の一人は君の国の騎士じゃ無かったかな」
「それは……」
「まあ、終わった事を責めたって仕方が無いしね。話は戻すけど、僕達の考えは変わらない。だから次の連絡三ヵ月後にするよ。もしかしたらその時には考えが変わってるかもしれないからね。で、君からの情報は?」
「来年の夏に魔族に対抗する軍を編成する事になった」
「随分と遅いね。そうか誰が総大将を勤めるかで揉めたんだね。まったくこれだから下等生物共は。ま、僕達には嬉しい情報だけど。で、他には?」
「それと同時期勇者を主力にした特殊部隊が編成される事になった」
「あのへっぽこ勇者の特殊部隊。なんとも愚かな事を人選ミス、人的資源の無駄遣いだよそれは。僕達には嬉しい情報だけどね」
嬉しそうにする魔人だが、何故一々指摘するのかは分らない。魔人の性格、人格、趣味としか言いようが無かった。
「さて、そろそろ僕も寝るとするよ。じゃあねまた三ヵ月後に」
ここで通信が途切れた。
「馬鹿にしよって!」
怒りをぶつける様に通信結晶を払い飛ばす。勢いよく飛んだ通信結晶は壁に激突すると同時に割れてしまった。
「しまった!」
自分の愚かさに腹が立つフーリッシュだが、全て悪いのはあの男だと責任転嫁するのだった。
「こうなったら玩具で機嫌を直すしかない!」
フーリッシュは立ち上がると地下室に向かうのだった。
******************************
次の日、この日は平穏に一日を終えた。まるで嵐の前の静けさのように。
自主訓練で汗を流し、書類整理をし、書庫で本を漁る。それ以外で有った事と言えばハクア達が記録魔水晶を持ち帰ってきた事だ。
和也はついでに通信結晶も盗んできて貰おうと思ったが、何故か破壊されていたらしい。考えても答えが出ないので頭を切り替え、最後の計画である不屈の湧き水の破壊を明日決行する事をにした。
そして、その日がやって来た。
いつもより少し起床時間が遅くなったが、そもそも和也は早起きだったため問題はない。
着るのも最後になるであろう白銀の鎧を纏い目的地に向かう。
何食わぬ顔で廊下を歩き、怪しまれないように平然を装う。一定の距離まで近づいた所で隠密スキルを発動して地下室へと続く階段を下りて行き、先日来た扉の前まで辿り着く。
「さて、この依頼もこれで最後だな」
ようやく終わる事に安堵しつつ不適な笑みを浮かべて扉を開ける。
そこには前と変わらぬ静寂が支配する一室。和也はそんな部屋に入りただただ目的を完遂するロボットのように不屈湧き水を破壊する。一つ、また一つと破壊する。
数分かけて確実に破壊した和也は何食わぬ顔で部屋を退室する。
(これで終わった。後は適当に過ごして姿を消すとするか)
「カズヤ」
書斎に戻るべく廊下を歩いていると突如呼び止められる。肩越しに視線を向けるとそこにはライラの姿があった。
「ライラか。久しぶりにあったような気がするな」
「そんなに日は経っていないがな。数日ぶりだ」
「そうだな。で、どうした?」
「暇か?」
「いや、暇かと言われれば暇だな。書類整理の合間に気分転換しているだけだからな」
「そうか。なら私と勝負しないか?」
「勝負?」
ライラの言葉に思わず首を傾げる。
「そうだ。今思った事なんだが、カズヤと戦った事が無かったと思ってな」
「確かにライラとは一回も模擬戦しなかったな」
「だろう。存在進化を果たしたお前と人勝負したいと思ってな。どうだ?」
「ああ、良いぞ。少し身体を動かしたいと思っていた所だ」
「そうか。なら訓練所に行こう」
ライラはそう言って歩き出す。しかしその表情には何処か悲しそうだった。その事に和也は気づいていた。がその理由が分らないので問いただすような事はせずにただライラの後を付いて行くだけだった。
「まったく良い事があったと言うのに魔族風情と連絡しないと行けないとは、嫌になる」
そう、今日は定時連絡日。別に上下関係があるわけではなく。唯単に互いの情報を交換し合うだけだ。
「さて、そろそろかのう」
体内時計の感覚に従い、引き出しの奥にしまっていた通信結晶をオフィスデスクに置く。すると数秒後タイミング良く通信結晶が光だし、一人の魔人の立体映像が映し出される。
「やあぁ、フーリッシュ君。元気かね」
「そんな。話は良い。それよりも早く情報を渡せ」
「まったく君はせっかちだな。四天王の一人である僕にそんな事を言うなんて。殺されたいの?」
「………」
「ははっ、冗談だよ。それよりも情報だったね。そうだね。我々魔族軍は予想以上の帝国の力にまだ攻め時では無いと判断した」
「それはでは困るのだ!」
「そんな事言ってもね。僕達の副官数名と22000の兵力でも都市一つ落とす事が出来なかったんだ。仕方が無いだろう。せっかく君から貰った魔族対策会議の日取りの日に侵攻したにも拘わらずだ」
「それはお前たちが戦力の見誤っただけではないか!」
「そんな事はない。我々の予想ではなんなくと落とせる予定だった。だけどまさか予想以上の敵が居るなんて想わなかったんだよ。そう言えば、その内の一人は君の国の騎士じゃ無かったかな」
「それは……」
「まあ、終わった事を責めたって仕方が無いしね。話は戻すけど、僕達の考えは変わらない。だから次の連絡三ヵ月後にするよ。もしかしたらその時には考えが変わってるかもしれないからね。で、君からの情報は?」
「来年の夏に魔族に対抗する軍を編成する事になった」
「随分と遅いね。そうか誰が総大将を勤めるかで揉めたんだね。まったくこれだから下等生物共は。ま、僕達には嬉しい情報だけど。で、他には?」
「それと同時期勇者を主力にした特殊部隊が編成される事になった」
「あのへっぽこ勇者の特殊部隊。なんとも愚かな事を人選ミス、人的資源の無駄遣いだよそれは。僕達には嬉しい情報だけどね」
嬉しそうにする魔人だが、何故一々指摘するのかは分らない。魔人の性格、人格、趣味としか言いようが無かった。
「さて、そろそろ僕も寝るとするよ。じゃあねまた三ヵ月後に」
ここで通信が途切れた。
「馬鹿にしよって!」
怒りをぶつける様に通信結晶を払い飛ばす。勢いよく飛んだ通信結晶は壁に激突すると同時に割れてしまった。
「しまった!」
自分の愚かさに腹が立つフーリッシュだが、全て悪いのはあの男だと責任転嫁するのだった。
「こうなったら玩具で機嫌を直すしかない!」
フーリッシュは立ち上がると地下室に向かうのだった。
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次の日、この日は平穏に一日を終えた。まるで嵐の前の静けさのように。
自主訓練で汗を流し、書類整理をし、書庫で本を漁る。それ以外で有った事と言えばハクア達が記録魔水晶を持ち帰ってきた事だ。
和也はついでに通信結晶も盗んできて貰おうと思ったが、何故か破壊されていたらしい。考えても答えが出ないので頭を切り替え、最後の計画である不屈の湧き水の破壊を明日決行する事をにした。
そして、その日がやって来た。
いつもより少し起床時間が遅くなったが、そもそも和也は早起きだったため問題はない。
着るのも最後になるであろう白銀の鎧を纏い目的地に向かう。
何食わぬ顔で廊下を歩き、怪しまれないように平然を装う。一定の距離まで近づいた所で隠密スキルを発動して地下室へと続く階段を下りて行き、先日来た扉の前まで辿り着く。
「さて、この依頼もこれで最後だな」
ようやく終わる事に安堵しつつ不適な笑みを浮かべて扉を開ける。
そこには前と変わらぬ静寂が支配する一室。和也はそんな部屋に入りただただ目的を完遂するロボットのように不屈湧き水を破壊する。一つ、また一つと破壊する。
数分かけて確実に破壊した和也は何食わぬ顔で部屋を退室する。
(これで終わった。後は適当に過ごして姿を消すとするか)
「カズヤ」
書斎に戻るべく廊下を歩いていると突如呼び止められる。肩越しに視線を向けるとそこにはライラの姿があった。
「ライラか。久しぶりにあったような気がするな」
「そんなに日は経っていないがな。数日ぶりだ」
「そうだな。で、どうした?」
「暇か?」
「いや、暇かと言われれば暇だな。書類整理の合間に気分転換しているだけだからな」
「そうか。なら私と勝負しないか?」
「勝負?」
ライラの言葉に思わず首を傾げる。
「そうだ。今思った事なんだが、カズヤと戦った事が無かったと思ってな」
「確かにライラとは一回も模擬戦しなかったな」
「だろう。存在進化を果たしたお前と人勝負したいと思ってな。どうだ?」
「ああ、良いぞ。少し身体を動かしたいと思っていた所だ」
「そうか。なら訓練所に行こう」
ライラはそう言って歩き出す。しかしその表情には何処か悲しそうだった。その事に和也は気づいていた。がその理由が分らないので問いただすような事はせずにただライラの後を付いて行くだけだった。
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*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
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