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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第四十五幕 廃村と戦闘開始
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次の日の早朝、さっそく千夜たちは指名依頼を行うため、都市を出発した。
廃村は都市ルーセントから2日の距離にあり、方角は東北である。
千夜たちからしてみれば数時間あれば到着する距離にも拘わらず、早朝に出発したのにはわけがある。
一番の大きな理由は相手への奇襲。寝起きでまだ頭が覚醒していないであろう魔物たちを奇襲で短時間殲滅を目指す。
そしてなにより、短時間で魔物たちの討伐を終えてしまえば無駄な体力を使うことなく襲撃してくるであろう暗霧の十月を対処しやすくなるからだ。
既に都市は見えなくなり街道沿いを音速に近いスピードで走る。
そんな先頭で走る千夜は考えていた。
(今回の魔物の数は少ないが一体一体のレベルが前回のゴブリン軍団戦より高い。ウィルには良い経験になるだろう。さて、敵さんはどこで仕掛けてくるやら)
姿は確認したが、未だに戦闘のない暗霧の十月に向けて内心呟く。その時本人も気付かぬ内に笑みが零れていた。
街道沿いを進むこと2時間。数十メートル先に廃村へ向かうための看板が千夜の目に留まる。
「あれか」
少しスピードを落とし千夜は街道沿いを逸れ廃村へと続く小道に入る。
進むにつれ道が悪くなっていく。人が居なくなり廃れていっているのが良くわかる光景だ。
(人が居なくなるだけでこれか。まったく寂しいものだな)
前世では都会育ちの千夜はその光景に内心そう思った。だからといって悲しくもない。これもまた自然の摂理なのだと言い切るだけだった。
走る事数分。
完全に獣道化した廃村へ続く道を進む。
(今のところマップに怪しい伏兵は確認なし。だが廃村はもう直ぐだな)
マップの一部に大量の赤い点が表示される。中には点滅しているのも幾つかある。
点滅は瀕死か寝ているかのどちらかだ。今回の場合は後者だろう。戦闘していればもっと動き回っている筈だからだ。
「あと数分したら廃村だ。もう、そのまま突っ込んで戦闘開始だ」
「分かったわ!」
「背中は任せてください」
「我たちを信頼するのじゃ」
「ウィル君は私がお守りします」
「お、お願いします!」
各々気合を入れる。そんな背後から聞こえる仲間たちの意気込みに千夜もまた気合を入れる。
(本当なら一旦どこかに隠れて廃村の様子を確かめたいところだが、様子を窺っている最中に伏兵にでも背後から攻撃されては敵わないからな)
何時も以上に危機察知を密にした千夜は携えていた鬼椿を抜刀する。それとほぼ同時に廃村が目視で確認できた。
(見えた!)
「行くぞ!」
「「「「「はい!」」」」」
各々武器を構え廃村へと奇襲を掛ける。
見張り番をしていたであろうコボルト2体をすれ違い様に首を落としそのまま廃村内へと足を踏み入れる。
地面は雑草が生い茂り。大半の建物が全壊もしくは半壊しており、僅かに残った家も屋根の一部が腐り穴があいていたりとボロボロの状態だった。
しかし千夜たちはそんな光景に目を奪われる事なく、近場の魔物たちから殺していく。
目視で確認できるだけでも、ゴブリン、ホブゴブリン、コボルト、オーク、オーガ、そしてジャイアントオーガの姿があった。
「俺とエリーはオーガ、ジャイアントオーガを相手する。ミーネたちはその他の奴等を頼む。ウィルお前はホブゴブリンとコボルトを相手するときは一対一で戦え」
「任せてください!」
「分かりました!」
即座に指示を出した千夜はすぐさま襲い掛かってきたコボルトの首を刎ねる。
「まだ寝てる奴もいるはずだ。起きる前に出来るだけ多く倒すぞ。狭い廃村内でこれ以上敵が密集すれば戦い辛くなる!」
思いのほか廃村が狭かった事により80近い数が居るにも拘わらず背後の建物が見えづらくなり始めていた。
(チッ。これならエルザではなく、エリーゼをウィルの傍に置くべきだったな)
そんな事を思いながら千夜は離れた場所から戦闘の様子を窺うホブゴブリンに氷杭を放つ。
直径40センチのアイスピックはホブゴブリンの脳天を貫く。
右手に持つ鬼椿で近い敵を殺し、間合いの外に居る敵は左手から放たれる魔法で殺す。
「ほんとセンヤさんは凄いです。嫉妬するほどに」
「本当なのじゃ」
そんな千夜の戦う姿を後方から魔法と弓で援護射撃を行うミレーネとエルザは本音を漏らす。
「だからこそ私たちも負けていられません!」
「その通りじゃ!」
己の弱さを卑下するわけでも憂鬱になるわけでもなく、逆にやる気に満ち溢れた二人の攻撃は先ほどよりも数も威力も増して行った。
戦闘が開始され10分が経過した。襲撃効果もあり、思いのほか敵を減らすことに成功したが、それでも未だに敵は襲い掛かってくる。
(おかしい)
その事に千夜は違和感を覚える。
魔法による攻撃を一旦中止した千夜は近場の敵を次々に殺していく。まるで何かを確かめるように。
たった数分で30体以上殺した千夜は感じた違和感がなんなのか気付く。
「ちっ! 面倒な事をしてくれる!」
思わず悪態を吐く千夜。
それもその筈で。目の前に広がる敵の数が未だに減っていなかった。
廃村は都市ルーセントから2日の距離にあり、方角は東北である。
千夜たちからしてみれば数時間あれば到着する距離にも拘わらず、早朝に出発したのにはわけがある。
一番の大きな理由は相手への奇襲。寝起きでまだ頭が覚醒していないであろう魔物たちを奇襲で短時間殲滅を目指す。
そしてなにより、短時間で魔物たちの討伐を終えてしまえば無駄な体力を使うことなく襲撃してくるであろう暗霧の十月を対処しやすくなるからだ。
既に都市は見えなくなり街道沿いを音速に近いスピードで走る。
そんな先頭で走る千夜は考えていた。
(今回の魔物の数は少ないが一体一体のレベルが前回のゴブリン軍団戦より高い。ウィルには良い経験になるだろう。さて、敵さんはどこで仕掛けてくるやら)
姿は確認したが、未だに戦闘のない暗霧の十月に向けて内心呟く。その時本人も気付かぬ内に笑みが零れていた。
街道沿いを進むこと2時間。数十メートル先に廃村へ向かうための看板が千夜の目に留まる。
「あれか」
少しスピードを落とし千夜は街道沿いを逸れ廃村へと続く小道に入る。
進むにつれ道が悪くなっていく。人が居なくなり廃れていっているのが良くわかる光景だ。
(人が居なくなるだけでこれか。まったく寂しいものだな)
前世では都会育ちの千夜はその光景に内心そう思った。だからといって悲しくもない。これもまた自然の摂理なのだと言い切るだけだった。
走る事数分。
完全に獣道化した廃村へ続く道を進む。
(今のところマップに怪しい伏兵は確認なし。だが廃村はもう直ぐだな)
マップの一部に大量の赤い点が表示される。中には点滅しているのも幾つかある。
点滅は瀕死か寝ているかのどちらかだ。今回の場合は後者だろう。戦闘していればもっと動き回っている筈だからだ。
「あと数分したら廃村だ。もう、そのまま突っ込んで戦闘開始だ」
「分かったわ!」
「背中は任せてください」
「我たちを信頼するのじゃ」
「ウィル君は私がお守りします」
「お、お願いします!」
各々気合を入れる。そんな背後から聞こえる仲間たちの意気込みに千夜もまた気合を入れる。
(本当なら一旦どこかに隠れて廃村の様子を確かめたいところだが、様子を窺っている最中に伏兵にでも背後から攻撃されては敵わないからな)
何時も以上に危機察知を密にした千夜は携えていた鬼椿を抜刀する。それとほぼ同時に廃村が目視で確認できた。
(見えた!)
「行くぞ!」
「「「「「はい!」」」」」
各々武器を構え廃村へと奇襲を掛ける。
見張り番をしていたであろうコボルト2体をすれ違い様に首を落としそのまま廃村内へと足を踏み入れる。
地面は雑草が生い茂り。大半の建物が全壊もしくは半壊しており、僅かに残った家も屋根の一部が腐り穴があいていたりとボロボロの状態だった。
しかし千夜たちはそんな光景に目を奪われる事なく、近場の魔物たちから殺していく。
目視で確認できるだけでも、ゴブリン、ホブゴブリン、コボルト、オーク、オーガ、そしてジャイアントオーガの姿があった。
「俺とエリーはオーガ、ジャイアントオーガを相手する。ミーネたちはその他の奴等を頼む。ウィルお前はホブゴブリンとコボルトを相手するときは一対一で戦え」
「任せてください!」
「分かりました!」
即座に指示を出した千夜はすぐさま襲い掛かってきたコボルトの首を刎ねる。
「まだ寝てる奴もいるはずだ。起きる前に出来るだけ多く倒すぞ。狭い廃村内でこれ以上敵が密集すれば戦い辛くなる!」
思いのほか廃村が狭かった事により80近い数が居るにも拘わらず背後の建物が見えづらくなり始めていた。
(チッ。これならエルザではなく、エリーゼをウィルの傍に置くべきだったな)
そんな事を思いながら千夜は離れた場所から戦闘の様子を窺うホブゴブリンに氷杭を放つ。
直径40センチのアイスピックはホブゴブリンの脳天を貫く。
右手に持つ鬼椿で近い敵を殺し、間合いの外に居る敵は左手から放たれる魔法で殺す。
「ほんとセンヤさんは凄いです。嫉妬するほどに」
「本当なのじゃ」
そんな千夜の戦う姿を後方から魔法と弓で援護射撃を行うミレーネとエルザは本音を漏らす。
「だからこそ私たちも負けていられません!」
「その通りじゃ!」
己の弱さを卑下するわけでも憂鬱になるわけでもなく、逆にやる気に満ち溢れた二人の攻撃は先ほどよりも数も威力も増して行った。
戦闘が開始され10分が経過した。襲撃効果もあり、思いのほか敵を減らすことに成功したが、それでも未だに敵は襲い掛かってくる。
(おかしい)
その事に千夜は違和感を覚える。
魔法による攻撃を一旦中止した千夜は近場の敵を次々に殺していく。まるで何かを確かめるように。
たった数分で30体以上殺した千夜は感じた違和感がなんなのか気付く。
「ちっ! 面倒な事をしてくれる!」
思わず悪態を吐く千夜。
それもその筈で。目の前に広がる敵の数が未だに減っていなかった。
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