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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第七十幕 ラノベ主人公とタイチ
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明日の予定を決める話し合いが始まった。勿論司会進行はベノワだが、始まってから数分で千夜の予想通り冒険者たちから不満の声がベノワに投げかけられた。
不満の声をあげる冒険者たちは全体の半分以下だ。その大半が千夜とは別の船に乗船していて今日の探索に参加していなかった者たちだ。そのため千夜の実力を信用していない。それだけでなく新たに見つかった階層での出来事よりも大量に見つかった金銀財宝に巨大ウツボやトラップピラニアの話が霞んでしまっていた。
千夜にとって文句を言う連中の命などどうでもいい。死んだところで悲しみのかの文字すら頭に浮かんではこないだろう。しかしそれでは依頼主であるベノワの命が危険に晒されてしまう。
(仕方が無い。なら――)
千夜は嘆息しながら立ち上がろうとした。しかし。
「不満があるなら依頼を下りて貰っても構いませんが、どうしますか?」
そんな鋭い問いかけに冒険者たちは黙り込む。
「この中で一番強いのはAランクであるセンだと冒険者ランクでもハッキリしていること。それに今日の探索で一番活躍したのも彼です。そうですよねみなさん?」
ベノワは最後まで千夜と共に探索を行った冒険者たちに問いかける。
「ああ、その通りだ。巨大な化け物にいきなり襲われたにも拘らず、センさんは平然と受け止めてた」
「それに目の前に財宝があっても冷静さを失わずに起こりうる危険を考えてた。そのお陰で俺たちは助かったんだ。だいたいお前らならあの化け物と戦って勝てるってのかよ」
その言葉に全員が黙り込む。きっと途中で探索を断念した冒険者たちが先に地上に戻って詳細を他の冒険者たちに伝えていたのだろう。
その光景に千夜は笑みを溢す
(これなら俺が何か言う必要性はな――)
「勝てるさ!」
一人の青年が立ち上がり自信満々に宣言した。その光景に全員の視線が注目する。
「流石はタイチね!」
「その通りです!」
「格好良いわ、タイチ!」
そんな好青年の言葉にその周囲にいる少女たちが感激していた。
(誰だ、あのラノベ主人公は)
内心そんな事を思いながら千夜はバレルに視線を向けた。その視線にバレルも気がついたのか仕方が無いと口を開いた。
「一つ良いか?」
「なんだい」
「お前は誰だ?」
「僕はクラン『白き鷹』のリーダーのタイチだ。で彼女たちは僕の仲間の――」
「アイーシャよ」
「キュリアです」
「レイネだ」
魔法使い、僧侶、剣士、まさに理想的冒険者パーティー。いや、偽勇者パーティーと言うべき人物たちが千夜たちの前に現れた。その光景に大半の冒険者たちは美少女を侍らしているタイチに嫉妬の念を向けていたが、千夜は別の事が気になっていた。
(タイチってまさか転生者なのか?)
その可能性を解消すべく超解析を使うがそれは杞憂に終わった。
(転生者ではなかったか。勇者の称号もなかったし。ただ全体的のステータスが遥かに高い。才能に恵まれて生まれたタイプのようだな)
「おいおい白き鷹ってあの白き鷹なのか?」
「その通りだ」
バレルたちは驚きの表情を浮かべていた。
(いったい誰なんだ?)
千夜を含め半分近い冒険者たちは白き鷹と言う名前に首を傾げていた。
「彼らについては私から説明しましょう」
そう言って口を開いたのはベノワだった。
「白き鷹は都市ダラで活躍するクランです。冒険者ランクは全員がBです。ですがその実力は確かで、たった半年でBランクになった猛者たちです」
その事に知らなかった大半の冒険者たちが驚きの声を漏らす。
(あの歳でBランクか。それは凄いな)
「だから彼の助けは必要ない。僕たちが全員で力を合わせれば倒せない敵なんていない!」
大げさな手振りで語りだしたタイチ。
「(なんだか、変な宗教的演説が始まったわよ)」
「(どうしますか。殺しますか?)」
「(いや、今は駄目だ。海底遺跡の中で男だけ殺す)」
「(そこは注意するところでしょ!ってまさか!)」
エリーゼは物騒な発言をするエルザの言葉にいつも叱る千夜が今ではないと言ったことにツッコミを入れるがとある可能性に気がついた。
「(その通りだ。真ん中のタイチって男。あいつは海賊だ)」
超解析を使って見つけた三人目。偶然の産物と言うしかないだろう。転生者か否かを確かめる筈が海賊という称号を見つけてしまったのだ。
(偶然ってのは恐ろしいものだな)
「(それで四人目は?)」
「(タイチから右に5人目の男がそうだ)」
その言葉にエリーゼたちは気づかれないように視線を向ける。そこにはナイフを弄りながら退屈そうにする男の姿があった。
「(まさに悪人って感じね。よくも今回のメンバーに選ばれたわね)」
「(ま、そこはなにかしらの手段を使ったんだろう)」
タイチの演説を聞き流しながらそんな会話をしていると。
「タイチさんもう話を進めて良いかしら?」
「あ、はい。すいません」
ベノワの有無を言わせない言葉にタイチは怯えながら座り込んだ。
「確かに全員で戦えば勝てるかもしれません。しかし今日の探索で遭遇した魔物は全部奇襲による攻撃から始まっています。最初から待ち構えてはいません。そうなると必ず被害が出ることは間違いありません。ですから危機察知能力の高いセンさんを同行させるべきだと判断した要因の一つです」
「で、ですが、それでは不平等だ。この世は平等であるべきだ。それに一人だけ特別扱いするのは今後の探索に支障を来たす可能性だってある!」
その言葉に千夜は悟ってしまった。
(ああ、こいつ俺が嫌いなタイプだ)
千夜は別に全員で戦えば勝てるという言い分を否定するつもりはない。だがこの世は平等である。と言う考えは千夜の中にはない。千夜の考えはこの世に平等は存在しないと考えているからだ。
(それにそんな台詞が言えるのは持っている人間だけだ。才能に溢れた結果、現実を知らないタイプだ。俺がもっとも嫌悪するタイプだ)
千夜はそんな事を思いながらも、終わりが見えない話し合いに方耳を傾けるのだった。
不満の声をあげる冒険者たちは全体の半分以下だ。その大半が千夜とは別の船に乗船していて今日の探索に参加していなかった者たちだ。そのため千夜の実力を信用していない。それだけでなく新たに見つかった階層での出来事よりも大量に見つかった金銀財宝に巨大ウツボやトラップピラニアの話が霞んでしまっていた。
千夜にとって文句を言う連中の命などどうでもいい。死んだところで悲しみのかの文字すら頭に浮かんではこないだろう。しかしそれでは依頼主であるベノワの命が危険に晒されてしまう。
(仕方が無い。なら――)
千夜は嘆息しながら立ち上がろうとした。しかし。
「不満があるなら依頼を下りて貰っても構いませんが、どうしますか?」
そんな鋭い問いかけに冒険者たちは黙り込む。
「この中で一番強いのはAランクであるセンだと冒険者ランクでもハッキリしていること。それに今日の探索で一番活躍したのも彼です。そうですよねみなさん?」
ベノワは最後まで千夜と共に探索を行った冒険者たちに問いかける。
「ああ、その通りだ。巨大な化け物にいきなり襲われたにも拘らず、センさんは平然と受け止めてた」
「それに目の前に財宝があっても冷静さを失わずに起こりうる危険を考えてた。そのお陰で俺たちは助かったんだ。だいたいお前らならあの化け物と戦って勝てるってのかよ」
その言葉に全員が黙り込む。きっと途中で探索を断念した冒険者たちが先に地上に戻って詳細を他の冒険者たちに伝えていたのだろう。
その光景に千夜は笑みを溢す
(これなら俺が何か言う必要性はな――)
「勝てるさ!」
一人の青年が立ち上がり自信満々に宣言した。その光景に全員の視線が注目する。
「流石はタイチね!」
「その通りです!」
「格好良いわ、タイチ!」
そんな好青年の言葉にその周囲にいる少女たちが感激していた。
(誰だ、あのラノベ主人公は)
内心そんな事を思いながら千夜はバレルに視線を向けた。その視線にバレルも気がついたのか仕方が無いと口を開いた。
「一つ良いか?」
「なんだい」
「お前は誰だ?」
「僕はクラン『白き鷹』のリーダーのタイチだ。で彼女たちは僕の仲間の――」
「アイーシャよ」
「キュリアです」
「レイネだ」
魔法使い、僧侶、剣士、まさに理想的冒険者パーティー。いや、偽勇者パーティーと言うべき人物たちが千夜たちの前に現れた。その光景に大半の冒険者たちは美少女を侍らしているタイチに嫉妬の念を向けていたが、千夜は別の事が気になっていた。
(タイチってまさか転生者なのか?)
その可能性を解消すべく超解析を使うがそれは杞憂に終わった。
(転生者ではなかったか。勇者の称号もなかったし。ただ全体的のステータスが遥かに高い。才能に恵まれて生まれたタイプのようだな)
「おいおい白き鷹ってあの白き鷹なのか?」
「その通りだ」
バレルたちは驚きの表情を浮かべていた。
(いったい誰なんだ?)
千夜を含め半分近い冒険者たちは白き鷹と言う名前に首を傾げていた。
「彼らについては私から説明しましょう」
そう言って口を開いたのはベノワだった。
「白き鷹は都市ダラで活躍するクランです。冒険者ランクは全員がBです。ですがその実力は確かで、たった半年でBランクになった猛者たちです」
その事に知らなかった大半の冒険者たちが驚きの声を漏らす。
(あの歳でBランクか。それは凄いな)
「だから彼の助けは必要ない。僕たちが全員で力を合わせれば倒せない敵なんていない!」
大げさな手振りで語りだしたタイチ。
「(なんだか、変な宗教的演説が始まったわよ)」
「(どうしますか。殺しますか?)」
「(いや、今は駄目だ。海底遺跡の中で男だけ殺す)」
「(そこは注意するところでしょ!ってまさか!)」
エリーゼは物騒な発言をするエルザの言葉にいつも叱る千夜が今ではないと言ったことにツッコミを入れるがとある可能性に気がついた。
「(その通りだ。真ん中のタイチって男。あいつは海賊だ)」
超解析を使って見つけた三人目。偶然の産物と言うしかないだろう。転生者か否かを確かめる筈が海賊という称号を見つけてしまったのだ。
(偶然ってのは恐ろしいものだな)
「(それで四人目は?)」
「(タイチから右に5人目の男がそうだ)」
その言葉にエリーゼたちは気づかれないように視線を向ける。そこにはナイフを弄りながら退屈そうにする男の姿があった。
「(まさに悪人って感じね。よくも今回のメンバーに選ばれたわね)」
「(ま、そこはなにかしらの手段を使ったんだろう)」
タイチの演説を聞き流しながらそんな会話をしていると。
「タイチさんもう話を進めて良いかしら?」
「あ、はい。すいません」
ベノワの有無を言わせない言葉にタイチは怯えながら座り込んだ。
「確かに全員で戦えば勝てるかもしれません。しかし今日の探索で遭遇した魔物は全部奇襲による攻撃から始まっています。最初から待ち構えてはいません。そうなると必ず被害が出ることは間違いありません。ですから危機察知能力の高いセンさんを同行させるべきだと判断した要因の一つです」
「で、ですが、それでは不平等だ。この世は平等であるべきだ。それに一人だけ特別扱いするのは今後の探索に支障を来たす可能性だってある!」
その言葉に千夜は悟ってしまった。
(ああ、こいつ俺が嫌いなタイプだ)
千夜は別に全員で戦えば勝てるという言い分を否定するつもりはない。だがこの世は平等である。と言う考えは千夜の中にはない。千夜の考えはこの世に平等は存在しないと考えているからだ。
(それにそんな台詞が言えるのは持っている人間だけだ。才能に溢れた結果、現実を知らないタイプだ。俺がもっとも嫌悪するタイプだ)
千夜はそんな事を思いながらも、終わりが見えない話し合いに方耳を傾けるのだった。
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