【完結】薬草摘みのトトセは、狩人レンドが大嫌い?

ゆらり

文字の大きさ
8 / 19

8 お父さんが居る暮らし

しおりを挟む
 ――楽しい楽しい夜が過ぎて、朝が来たよ。

 お父さんが帰ってきてくれて、今までの寝床は狭くなった。藁と布で大きな寝床をお父さんが作ってくれて、家族三人で一緒に眠ったよ。

 お父さんとお母さんの真ん中に僕が入って寝たら、とっても温かくて幸せだったよ!

 朝起きたら二人とも寝床に居なくて、昨日の事が夢だったのかなって思っちゃった。

 ぱっと起きて外を見たら、父さんが畑の水やりをしてた。夢じゃないね。お父さんがちゃんといる! よかった!

 母さんはいつも通りに、美味しい朝ごはんを作っていたよ。スープのいい匂いがする! お母さんのスープの匂いがすると、とってもお腹が空いちゃう。

 お鍋のスープを大きなスプーンでぐるぐるしていた母さんにおはようを言ってから、父さんの所に行ったよ。

「おはよう父さん!」
「おはようトトセ。よく眠れたかい?」
「うん。ぐっすりだよ」
「それは良いことだ。トトセ、今日から私も頑張るからね。畑仕事は任せて欲しい」
「うん! 僕は薬草摘みを頑張るよ」

 朝起きたら、畑の野菜に水を撒いたり草を抜いたりするのは僕の仕事だったんだよね。朝ごはんを食べたらすぐに森に行って、薬草摘みをしてたんだよ。お母さんはお洗濯をしたりごはんを作ったり、縫物をしたりしてるよ。

「ここの畑の具合が分かってきたら、私も一緒に森に行くからね。トトセが知らなくて、私が知っている事があれば、それを教えようと思うのだけれど、どうかな」
「うん。たくさん知らないから、たくさん教えて欲しいです。お願いします! お父さん」

 僕はちょっぴりの薬草と木の実のことくらいしか知らないよ。お父さんは森の神様だから、僕より物知りなんだろうね。たくさんたくさん教えてもらって、お母さんに美味しくて体にいい物をいっぱい食べてもらいたいからね。

 たくさん覚えるのは大変そうだけど、頑張って覚えるよ。今から教えてもらうのが楽しみだね。

「トトセは勉強熱心な子だね。教えるのが楽しみだ」
「僕も楽しみだよ」

 ニコニコ笑顔のお父さんが、頭を撫でてくれる。青い目と髪が今日も綺麗だよ。お母さんが青が好きなのは、お父さんの色だからだね。晴れた空よりももっと濃くて、つやつやキラキラ。こんな綺麗な青色は、見たことがないよ。

「あなた、トトセ、朝ごはんにしましょう」

 窓からお母さんが呼んでくれたよ。

「はーい!」
 
 晩ごはんも楽しくて美味しかったけど、朝ごはんもきっとそうだよね。これからは父さんもいるから、僕もお母さんも今までよりもっと幸せになれるね。

 うん、今日もごはんが美味しいよ。

 美味しい朝ごはんを楽しく食べて、お腹いっぱい。さあ、今日も薬草摘みに行ってきます。

 昨日は籠を持って行けなかったし、薬草摘みができなかったけれど、お父さんに会えて良かった。今日は籠を投げたりしないよ。レンドに会っても口をきかないからね。お話しなければ怒ったりもしないよ。きっとね。

 美味しい朝ごはんのお陰で元気いっぱい! 

「トトセ!」

 あっ、レンドだ。でも、挨拶なんてしないからね。ぷいっとそっぽを向いて、僕はたたっと森に走ったよ。しばらく口をきかないって決めたんだから。

 でも、「しばらく」だからね、もうちょっとしたら挨拶はするよ。いつまでもじゃないよ。

 もうレンドが意地悪しなければだけど。それに、なんだか色々言いたそうな顔をしてるレンドになんか構っていたら日が暮れちゃうよ。急いで薬草摘みを終わらせて、早くお家に帰りたいから。僕は忙しいんだよ。

「待てよぉ……!」

 レンドがなにか言ってるけど、知らないよ!
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

【8話完結】ざまぁされて廃嫡されたバカ王子とは俺のことです。

キノア9g
BL
廃嫡され全てを失った元王子。地道に生きたいのにハイスペ幼馴染が逃がしてくれません。 あらすじ 「第二王子カイル、お前を廃嫡する」 傲慢な振る舞いを理由に、王位継承権も婚約者も失い、国外追放されたカイル。 絶望の最中、彼に蘇ったのは「ブラック企業で使い潰された前世の記憶」だった。  「もう二度と、他人任せにはしない」 前世の反省を活かし、隣国の冒険者ギルドで雑用係(清掃員)として地道にやり直そうとするカイル。しかし、そんな彼を追いかけてきたのは、隣国の貴族であり幼馴染のレオナードだった。  「君がどんな立場になろうと、僕にとっては君は君だ」 落ちぶれたカイルに変わらぬ愛を注ぎ、元婚約者の悪意ある噂からも守り抜くレオナード。 すべてを失った元バカ王子が、社畜根性と幼馴染の溺愛によって幸せを掴むまでの、再起と愛の物語。 全8話。

【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。

明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。 新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。 しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…? 冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。

『偽物の番』だと捨てられた不憫な第三王子、隣国の冷徹皇帝に拾われて真実の愛を教え込まれる

レイ
BL
「出来損ない」と捨てられた場所は、私の居場所ではありませんでした。 ラングリス王国の第三王子・フィオーレは、王族の証である『聖種の紋様』が現れなかったことで「偽物の番」と罵られ、雪降る国境へと追放される。 死を覚悟した彼の前に現れたのは、隣国アイゼン帝国の「冷徹皇帝」ヴォルフラムだった。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

処理中です...