41 / 61
本編第三部「暁の王子と食客」
1 数年後
しおりを挟む
――小さく愛らしい花々があちらこちらに咲き乱れ、蝶が舞う季節。
離れ家の庭も、この時期ならではの柔らかで美しい色合いに彩られていた。心地良い風が吹き抜ける四阿で、読書に耽るキュリオの姿があった。
文面に視線を向けるその横顔は透き通るように白く、長く腰まで伸びた艶やかな黒髪は背中でゆるく結われ、美しい流線を描いて飾るように肩を覆っていた。
「……おや」
次の頁をめくろうとした指先が止まり、佳人は不意に四阿の外へと顔を向ける。
「随分と可愛いお客様だ。こんにちは」
十にも満たぬ齢に見える男子が、柱の陰からキュリオを睨んでいた。
幼さゆえに円やかさが目立つが凛々しく整った容貌をしている。そして、褐色の肌に空色の瞳。王家の血筋とひと目で分かる、金に赤がわずかに混じった髪は木漏れ日を浴びて神々しいばかりに輝いていた。イグルシアスの髪が夕焼けと評される金だとすると、彼の髪色は暁のそれに似て明るい色味だ。
「だれだ、おまえっ!」
見目そのままのあどけない声だが、警戒心の溢れた口調は随分と可愛げがない。
「まず、挨拶を返してくれないかね? そうしたら答えよう」
キュリオが柔らかく微笑みながら言えば、きゅっと口を引き結んで眉根を寄せた後、柱からそろりと身を離して、力強く仁王立ちをする。
「こ、こんにちは! これでいいのかっ!」
恥ずかしさのにじむ大声を出した少年に、キュリオは長椅子から立ち上がり傍まで歩み寄った。
「ふふ。良いという事にしようかね。可愛いお客様」
膝を付いて視線を合わせ、口元を緩めて微笑むと、少年の頬は瞬く間に紅潮していく。
「かっ、かわいくないっ! おれは男だものっ!」
「子供は皆、可愛いものだよ」
蕩けるような笑みを浮かべながら、手を伸ばして少年の頭を撫でるキュリオ。
「君とは赤子の頃に一度会っているが、随分と大きくなったね、ラフィン王子」
「おれのこと知ってるの? あいさつしたんだから教えてよ」
「私はキュリオ。君の父上リヤスーダ王の食客だ」
「しょっかくってなんだ」
「食客というのはだね、住まわせて貰う代わりに、その家で何かしら仕事をする人のことだ。私の場合は、父上の息抜きの相手をするのが大体の仕事だね。遠出の供や剣術の手合わせをしたり、酒を飲みながら話したり……。あとは叔父上の剣術指南かな。それから護衛などもした事があるよ」
「……おまえみた……、あなたみたいなひとが、そんなことできるの?」
撫でるキュリオの手を嫌がるでもなくされるがまま、王子は疑わし気な上目遣いで見上げてくる。
「出来るとも。私は数年前まで闘士だったからね。もっとも、この離れ家で過ごす事がほとんどだから……、少々鈍っているかもしれないが。……ところで、今日は誰かに連れて来てもらったのかな?」
ニコニコと笑みながらキュリオが尋ねると、ほんの少しだけ、小さな肩が跳ねる。
「……ひとりで来た」
「おや。普段は鍵が掛かっているから、勝手に入っては来られない筈なのだけれども。……何処かに通れる場所でもあるのかね」
「ひみつの道があった。おれしか通れないけど。今日は知らない場所をたんけんしにきた」
胸を張って得意気な様子が、稚気に溢れていて何とも可愛らしい。ぐるりと壁に囲まれた離れ家の庭の何処かに、小さな子供しか通れない場所が本当にあるのだろうか。そこは疑問だが、とにかく彼が一人でここまでたどり着いた事は間違いないのだろう。
離れ家と外界を繋ぐ唯一の扉を通って来たのなら、侍女が付き添ってくるはずだ。
「ふふ……。探検中なのだね。そうか……」
いかにも少年らしく微笑ましい言いぶりに、キュリオは益々目尻を下げて笑みを深くする。それは息子を見る父親を通り越して、まるで孫を見て顔を緩ませる祖父だった。可愛くて可愛くて仕方ないと、語らずも溢れんばかりに慈しみを込めた瞳を向けてくるキュリオに、ラフィンはすっかり警戒心を解かれてしまった様子で、撫でられ続けている。
「知らない場所というものは、何があるか分からないものだよ。これからは気を付けて」
「う、うん……」
撫でられる心地良さにか頬を薄く染めて、もじもじと身をひねりながら、彼はこくりと頷く。最初の可愛げのない態度とは違い、随分と大人しく素直な反応である。
「良い子だ。心配している人がいるといけないから、今日はもう探検はおしまいにして戻ろうか。私が出口まで送っていこう」
「え、やだ! ここでもっと、たんけんしたい!」
ぎゅっとキュリオの首筋に腕を回してしがみついてきたラフィンに、彼は一瞬驚きはしたものの、次いでくすくすと笑いながら愛し気に抱きかかえて立ち上がり、背中を優しく叩く。
「もしここで探検をしたいのならば、きちんと父上に許しを貰っておいで」
「うう、きっと、おこられる……」
「怒られる事をしたと思えるなら、やはり許しを貰うべきだよ」
腕の中で嫌だ嫌だと言う、その小さな背中をよしよしと撫でる。
「では、行こうかね」
キュリオは満面に笑みを浮かべて幼い王子を抱えたまま四阿を出て、離れ家へと戻る事にした。
――コツコツと扉の下の方をノックする音が、室内に響く。
書類から顔を上げて入れと言いながら立ち上がったリヤスーダの目に映ったのは、扉の影から顔をのぞかせる、まだ幼き我が子の姿。
「どうしたのだ、ラフィン。また母上にでも叱られたか?」
机から離れて歩み寄ったリヤスーダは、扉を閉めて此方を見上げる彼の身体を軽々と抱え上げて、逞しい腕に乗せると、愛し気に目を細めて視線を合わせた。
――リヤスーダがキュリオと出逢ってから、早や十年程が過ぎていた。
現在、善政を敷く良き王としてその名を国内外に馳せるリヤスーダは、為政者として充実した日々を送っているのに加えて、父親としての貫録もついており、若々しい風貌を今だ保ちながらも王たる風格に深みが増している。
「父上、おねがいがあります」
「ん? ……お前が畏まった顔でその様な事を言うのは珍しい。申してみよ」
やや緊張し、何故だか紅潮した顔で言う我が子ラフィンの額へと、精悍な顔を緩めて微笑みながら自身の額を寄せたリヤスーダは、その途端に何を感じたのか僅かに眉根を寄せる。
「もしや、離れ家に行ったのか……」
「えっ、はなれや? えっと、あの、……キュリオという者のいるところですか」
「……そうだ。あそこは勝手には入れない様になっていた筈だが、どこから入ったのだ」
「川のところです。狭かったけれど通れたので……」
――これは後にリヤスーダが庭を隅々まで調べ上げて明らかになった話になるが、離れ家の庭には、一筋の小川が引かれていて、壁にはそれを通す水路があったのだ。大人ならばとても潜れたものではないが、小さな子供の身で、なおかつ水量の少ない時期であれば、どうにか通れる空間が生じる。
……それを見つけたラフィンにとっては、真に『秘密の通路』だったのである。
「たんけんしていて、勝手に入ってしまいました」
やや険しい顔になった父親の不穏な声音に、探検好きの王子は怖気づいて涙目になる。
「う、うぅ……、ご……、ごめんなさいぃ……」
蚊の鳴く様な声で謝りながら、ぐすぐすと半泣きで怯える我が子の様子から、リヤスーダは己が無意識のうちに剣呑な空気を発していた事に気づいて、頭を振って表情を切り替える。
「知らなかった事ではあるし、あそこであれば何も危ない事は無かったであろう。……それに関しては気にせずとも良い。だが……、あの離れ家の庭はとても大切な場所なのだ。これからは許しなく入ってはならぬぞ」
「うう、キュリオが、たんけんしたいならっ、父上にゆるしをもらって来いと、言って、いました。うううっ、おれ……、キュリオのところにっ、えぐっ……、遊びに行きたいぃ……」
しゃくりあげながら言って、とうとうボロボロと涙をこぼして泣き始めたラフィンの頭を、リヤスーダは困り顔で優しく撫でてなだめようとしてみるが、泣き止む気配は一向にない。
「あれに……、キュリオに、一度話を聞いてからそれを決める。直ぐには行く事を許す事は出来ぬ。今日のところは部屋に戻るが良い」
「ふぇ、ううっ、は、はい……。わかりました父上ぇ……」
父王の威厳溢れる物言いに、どうにか頷き返事をしてから目元をごしごしとこすり、歯を食いしばって必死に涙を止めようとしているラフィン。
「ラフィンよ、探検をするも良いのだが、お前に付いている侍女が先ほど此処まで探しに来ていた。この国に仕えてくれている者達を、あまり困らせるでないぞ」
その幼気で健気な様子に苦笑しつつ父王らしい注意を柔らかな声音で言った後、リヤスーダは小さな彼の体を逞しい胸にしっかりと抱き締めた。
「お前がこんな風に泣くのも珍しい……」
彼は腕の中の我が子に勘付かれないよう、静かに深いため息をついた。それから、キュリオに会いたいとぐずる声に少々口元を引きつらせながらも、幼い王子の背中を無言で撫でて体をゆすりながら、暫くのあいだ優しくあやし続けた。
「――血は争えないと言うべきか」
――その後、どうにか落ち着いたところを見計らって部屋へラフィンを連れていき、王の訪れに恐縮するまだ年若い侍女へと託したのだった。
離れ家の庭も、この時期ならではの柔らかで美しい色合いに彩られていた。心地良い風が吹き抜ける四阿で、読書に耽るキュリオの姿があった。
文面に視線を向けるその横顔は透き通るように白く、長く腰まで伸びた艶やかな黒髪は背中でゆるく結われ、美しい流線を描いて飾るように肩を覆っていた。
「……おや」
次の頁をめくろうとした指先が止まり、佳人は不意に四阿の外へと顔を向ける。
「随分と可愛いお客様だ。こんにちは」
十にも満たぬ齢に見える男子が、柱の陰からキュリオを睨んでいた。
幼さゆえに円やかさが目立つが凛々しく整った容貌をしている。そして、褐色の肌に空色の瞳。王家の血筋とひと目で分かる、金に赤がわずかに混じった髪は木漏れ日を浴びて神々しいばかりに輝いていた。イグルシアスの髪が夕焼けと評される金だとすると、彼の髪色は暁のそれに似て明るい色味だ。
「だれだ、おまえっ!」
見目そのままのあどけない声だが、警戒心の溢れた口調は随分と可愛げがない。
「まず、挨拶を返してくれないかね? そうしたら答えよう」
キュリオが柔らかく微笑みながら言えば、きゅっと口を引き結んで眉根を寄せた後、柱からそろりと身を離して、力強く仁王立ちをする。
「こ、こんにちは! これでいいのかっ!」
恥ずかしさのにじむ大声を出した少年に、キュリオは長椅子から立ち上がり傍まで歩み寄った。
「ふふ。良いという事にしようかね。可愛いお客様」
膝を付いて視線を合わせ、口元を緩めて微笑むと、少年の頬は瞬く間に紅潮していく。
「かっ、かわいくないっ! おれは男だものっ!」
「子供は皆、可愛いものだよ」
蕩けるような笑みを浮かべながら、手を伸ばして少年の頭を撫でるキュリオ。
「君とは赤子の頃に一度会っているが、随分と大きくなったね、ラフィン王子」
「おれのこと知ってるの? あいさつしたんだから教えてよ」
「私はキュリオ。君の父上リヤスーダ王の食客だ」
「しょっかくってなんだ」
「食客というのはだね、住まわせて貰う代わりに、その家で何かしら仕事をする人のことだ。私の場合は、父上の息抜きの相手をするのが大体の仕事だね。遠出の供や剣術の手合わせをしたり、酒を飲みながら話したり……。あとは叔父上の剣術指南かな。それから護衛などもした事があるよ」
「……おまえみた……、あなたみたいなひとが、そんなことできるの?」
撫でるキュリオの手を嫌がるでもなくされるがまま、王子は疑わし気な上目遣いで見上げてくる。
「出来るとも。私は数年前まで闘士だったからね。もっとも、この離れ家で過ごす事がほとんどだから……、少々鈍っているかもしれないが。……ところで、今日は誰かに連れて来てもらったのかな?」
ニコニコと笑みながらキュリオが尋ねると、ほんの少しだけ、小さな肩が跳ねる。
「……ひとりで来た」
「おや。普段は鍵が掛かっているから、勝手に入っては来られない筈なのだけれども。……何処かに通れる場所でもあるのかね」
「ひみつの道があった。おれしか通れないけど。今日は知らない場所をたんけんしにきた」
胸を張って得意気な様子が、稚気に溢れていて何とも可愛らしい。ぐるりと壁に囲まれた離れ家の庭の何処かに、小さな子供しか通れない場所が本当にあるのだろうか。そこは疑問だが、とにかく彼が一人でここまでたどり着いた事は間違いないのだろう。
離れ家と外界を繋ぐ唯一の扉を通って来たのなら、侍女が付き添ってくるはずだ。
「ふふ……。探検中なのだね。そうか……」
いかにも少年らしく微笑ましい言いぶりに、キュリオは益々目尻を下げて笑みを深くする。それは息子を見る父親を通り越して、まるで孫を見て顔を緩ませる祖父だった。可愛くて可愛くて仕方ないと、語らずも溢れんばかりに慈しみを込めた瞳を向けてくるキュリオに、ラフィンはすっかり警戒心を解かれてしまった様子で、撫でられ続けている。
「知らない場所というものは、何があるか分からないものだよ。これからは気を付けて」
「う、うん……」
撫でられる心地良さにか頬を薄く染めて、もじもじと身をひねりながら、彼はこくりと頷く。最初の可愛げのない態度とは違い、随分と大人しく素直な反応である。
「良い子だ。心配している人がいるといけないから、今日はもう探検はおしまいにして戻ろうか。私が出口まで送っていこう」
「え、やだ! ここでもっと、たんけんしたい!」
ぎゅっとキュリオの首筋に腕を回してしがみついてきたラフィンに、彼は一瞬驚きはしたものの、次いでくすくすと笑いながら愛し気に抱きかかえて立ち上がり、背中を優しく叩く。
「もしここで探検をしたいのならば、きちんと父上に許しを貰っておいで」
「うう、きっと、おこられる……」
「怒られる事をしたと思えるなら、やはり許しを貰うべきだよ」
腕の中で嫌だ嫌だと言う、その小さな背中をよしよしと撫でる。
「では、行こうかね」
キュリオは満面に笑みを浮かべて幼い王子を抱えたまま四阿を出て、離れ家へと戻る事にした。
――コツコツと扉の下の方をノックする音が、室内に響く。
書類から顔を上げて入れと言いながら立ち上がったリヤスーダの目に映ったのは、扉の影から顔をのぞかせる、まだ幼き我が子の姿。
「どうしたのだ、ラフィン。また母上にでも叱られたか?」
机から離れて歩み寄ったリヤスーダは、扉を閉めて此方を見上げる彼の身体を軽々と抱え上げて、逞しい腕に乗せると、愛し気に目を細めて視線を合わせた。
――リヤスーダがキュリオと出逢ってから、早や十年程が過ぎていた。
現在、善政を敷く良き王としてその名を国内外に馳せるリヤスーダは、為政者として充実した日々を送っているのに加えて、父親としての貫録もついており、若々しい風貌を今だ保ちながらも王たる風格に深みが増している。
「父上、おねがいがあります」
「ん? ……お前が畏まった顔でその様な事を言うのは珍しい。申してみよ」
やや緊張し、何故だか紅潮した顔で言う我が子ラフィンの額へと、精悍な顔を緩めて微笑みながら自身の額を寄せたリヤスーダは、その途端に何を感じたのか僅かに眉根を寄せる。
「もしや、離れ家に行ったのか……」
「えっ、はなれや? えっと、あの、……キュリオという者のいるところですか」
「……そうだ。あそこは勝手には入れない様になっていた筈だが、どこから入ったのだ」
「川のところです。狭かったけれど通れたので……」
――これは後にリヤスーダが庭を隅々まで調べ上げて明らかになった話になるが、離れ家の庭には、一筋の小川が引かれていて、壁にはそれを通す水路があったのだ。大人ならばとても潜れたものではないが、小さな子供の身で、なおかつ水量の少ない時期であれば、どうにか通れる空間が生じる。
……それを見つけたラフィンにとっては、真に『秘密の通路』だったのである。
「たんけんしていて、勝手に入ってしまいました」
やや険しい顔になった父親の不穏な声音に、探検好きの王子は怖気づいて涙目になる。
「う、うぅ……、ご……、ごめんなさいぃ……」
蚊の鳴く様な声で謝りながら、ぐすぐすと半泣きで怯える我が子の様子から、リヤスーダは己が無意識のうちに剣呑な空気を発していた事に気づいて、頭を振って表情を切り替える。
「知らなかった事ではあるし、あそこであれば何も危ない事は無かったであろう。……それに関しては気にせずとも良い。だが……、あの離れ家の庭はとても大切な場所なのだ。これからは許しなく入ってはならぬぞ」
「うう、キュリオが、たんけんしたいならっ、父上にゆるしをもらって来いと、言って、いました。うううっ、おれ……、キュリオのところにっ、えぐっ……、遊びに行きたいぃ……」
しゃくりあげながら言って、とうとうボロボロと涙をこぼして泣き始めたラフィンの頭を、リヤスーダは困り顔で優しく撫でてなだめようとしてみるが、泣き止む気配は一向にない。
「あれに……、キュリオに、一度話を聞いてからそれを決める。直ぐには行く事を許す事は出来ぬ。今日のところは部屋に戻るが良い」
「ふぇ、ううっ、は、はい……。わかりました父上ぇ……」
父王の威厳溢れる物言いに、どうにか頷き返事をしてから目元をごしごしとこすり、歯を食いしばって必死に涙を止めようとしているラフィン。
「ラフィンよ、探検をするも良いのだが、お前に付いている侍女が先ほど此処まで探しに来ていた。この国に仕えてくれている者達を、あまり困らせるでないぞ」
その幼気で健気な様子に苦笑しつつ父王らしい注意を柔らかな声音で言った後、リヤスーダは小さな彼の体を逞しい胸にしっかりと抱き締めた。
「お前がこんな風に泣くのも珍しい……」
彼は腕の中の我が子に勘付かれないよう、静かに深いため息をついた。それから、キュリオに会いたいとぐずる声に少々口元を引きつらせながらも、幼い王子の背中を無言で撫でて体をゆすりながら、暫くのあいだ優しくあやし続けた。
「――血は争えないと言うべきか」
――その後、どうにか落ち着いたところを見計らって部屋へラフィンを連れていき、王の訪れに恐縮するまだ年若い侍女へと託したのだった。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる