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本編
38 斜め上の質問をぶち込まれた! 何でそういう流れになるんだあぁ!
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――そんなこんなで、お屋敷で家政夫業を頑張りながらカムロさんとイチャイチャしていたら、あっと言う間に2週間が過ぎた。そろそろ、クラさんから報せが来るんじゃないかな?
……なんて思っていたら――。
「――ハスよ。随分と仲睦まじいことだな」
「ぎゃあぁ!」
すっかり日課になったおやつタイムの甘やかしをしていたら、クラさんが庭のテラスに突撃してきた。うわああ! 膝枕姿をガッツリ見られた! はっ、恥ずかしいいいい!
むくりと俺の膝から起き上がったカムロさんが、ギリっと拳を握り締めて「ナイブレイド! 私の張った防壁を壊しましたね! まったくデリカシーのない! いくらハス君の伯父様であっても、許容しかねます!」って、叫んだ。
えっ? 防壁ってなんですか。初耳! きっとすごい防壁なんですよね! でも、お客様対応はしっかりして欲しいです。そんなだからクラさんが突撃してきちゃうんですようわあああん! こんなイチャイチャを見られると、両親の次に気まずい相手なんですよクラさんは!
「呼び掛けに応じない貴殿が悪い」
さらっとカムロさんを悪者にしてるけど、多分かなりの防犯レベルなはずの防壁を突破してきたっていうのはどうなんですか。普通に不法侵入っていうかなんていうか。でも、突破できるのがすげぇぇ! どんな防壁なのかも気になるし、突破方法も気になる! 後で2人に聞いてみようそうしよう!
「ハス君と過ごせる貴重な時間を邪魔するからです! 暫く待っていれば応対しましたよ!」
「客を待たせるのが礼儀とは。まったく、筆頭魔術師ともあろう者が」
「無断で敷地に踏み入ってくるような無礼者に言われたくありません!」
「私が来訪することは、予測出来ていたはずだ。それを承知で防壁なぞ張った貴殿に落ち度があろうよ」
あれー? また喧嘩してる。
貴方がたは、俺の前で珍妙な言い争いをするのがお好きなのですか?
「その辺にしておいてください」
キーキーとクラさんに食って掛かっているカムロさんの頭をわしっと両手で挟んで、こっちを向かせた。でもって、「喧嘩ばっかりしてると、おやつ抜きにしますよ」って言いながら、「ニコォ……」って感じのすんごく意識した作り笑いをして見せる。
「いっ、嫌ですっ!」
効果バツグン! 涙目になってお口を閉じてくれたぞ。
「伯父上、防壁を破ってまで来られたということは、それなりの理由があってのことですね。用件をお聞きしても宜しいでしょうか」
「う、うむ……」
伯父上呼びしてキリッとした顔で問い掛けると、クラさんも大人しくなった。
「……騎士団の調査が終わったのだ。いち早くお前に報せねばならんと思ってな」
「そうですか! さすがクラさん! すごい!」
おおお! 調査が終わったんだ!
俺が興奮気味にクラさん呼びで褒めると、どことなくホッとした顔をした。うむむ。伯父上呼びは嫌なのかなぁ。クラさん呼びより、ピシッとした感じでカッコいいのに。
――例によって、応接間でクラさんからの報告を聞くことになった。
俺が涙鼻水まみれになりながら証言をした、その後日からクラさんはカムロさんという後ろ盾を振りかざして国王陛下の許可をもぎ取り、第三騎士団の不正調査団を公式に立ち上げた。
そして、カムロさんの溢れんばかりの金と権力とハイテク魔道具を遠慮なく使って、それはもうなんでもありのえげつない調査をしまくったらしい。
元々クラさんの実家のナイブレイド子爵家は、爵位こそ低いけど王国内でかなりの影響力のある貴族家だから、単独でも十分に動けたみたいだけど、そこにカムロさんという後ろ盾が付いたからもう大変! 誰も待ったなんて掛けられない無双状態になっちゃったんだな!
その結果として暴かれた不正の全容を聞いて、俺は開いた口がふさがらなかった!
俺がやったって言われてた横領は、実際に団長達がしていたことだった。それだけじゃなくて、運営費の水増し請求までしていた。宿舎の改装費も横領していたらしいし!
そして、団長に脅されて仕方なく不正を強要されていた騎士もいて、俺が横領をしていたっていう証言をしてた騎士も、そうだったんだってさ。ああ、それで顔色悪かったんだな……。平民の騎士への差別や、貴族のおぼっちゃまの箔付け目的の入団も、俺のときが初めてじゃなかった!
最初は上手いこと隠していたみたいだけど、何度も不正を繰り返すうちに感覚が狂ってきた団長達は、ついには騎士団を完全に私物化して、我が物顔で横暴な行動を繰り返し始めた。
――俺が追い出されたときはもう、腐敗は末期だったみたいだ。
被害に遭った騎士や不正に気付いていた先輩達が、密かに外部へ訴え始めていたし、俺だってクラさんに証言したしな。後はもうお察しの流れだ。
事が事なだけに、まだ表沙汰にはされてないけど、ほかの騎士団に情報が漏れていて相当な騒ぎになっているとか。他人事じゃないもんな! 第三だけじゃなかった! なんてことにならないといいけど……。
「ディザート殿からの協力もあって、証拠は十二分に集まった。言い逃れなど出来ぬであろうよ」
「魔道具は役に立ちましたか」
「無論。素晴らしい魔道具を提供して頂き、誠に感謝する」
「ふふ……ハス君の冤罪を晴らすためですからね。出し惜しみなどしません」
それにしても、いつの間にそんな魔道具のやり取りとかしてたんだろうね? なんでか会う度に喧嘩してる2人だけど、息ぴったりっていうか、今もすごい悪い顔して笑い合ってるし……。
カムロさんはここんとこ、俺にべったりだった気がするけど。通いの商人さんにでもお使いを頼んでいたのかな。このお屋敷に来るくらいだから、商人さんも只者じゃないとか……? 有り得るな。
1人で首を傾げたり、うんうんと納得したりしていたら、「ところでハスよ、ディザート殿とはもう籍を入れたのか」なんていう質問をクラさんに投げられた。
…………はい?
――斜め上の質問をぶち込まれた! 何でそういう流れになるんだあぁ!
※伯父上、気になることは不意打ちでぶん投げてくるようです。
……なんて思っていたら――。
「――ハスよ。随分と仲睦まじいことだな」
「ぎゃあぁ!」
すっかり日課になったおやつタイムの甘やかしをしていたら、クラさんが庭のテラスに突撃してきた。うわああ! 膝枕姿をガッツリ見られた! はっ、恥ずかしいいいい!
むくりと俺の膝から起き上がったカムロさんが、ギリっと拳を握り締めて「ナイブレイド! 私の張った防壁を壊しましたね! まったくデリカシーのない! いくらハス君の伯父様であっても、許容しかねます!」って、叫んだ。
えっ? 防壁ってなんですか。初耳! きっとすごい防壁なんですよね! でも、お客様対応はしっかりして欲しいです。そんなだからクラさんが突撃してきちゃうんですようわあああん! こんなイチャイチャを見られると、両親の次に気まずい相手なんですよクラさんは!
「呼び掛けに応じない貴殿が悪い」
さらっとカムロさんを悪者にしてるけど、多分かなりの防犯レベルなはずの防壁を突破してきたっていうのはどうなんですか。普通に不法侵入っていうかなんていうか。でも、突破できるのがすげぇぇ! どんな防壁なのかも気になるし、突破方法も気になる! 後で2人に聞いてみようそうしよう!
「ハス君と過ごせる貴重な時間を邪魔するからです! 暫く待っていれば応対しましたよ!」
「客を待たせるのが礼儀とは。まったく、筆頭魔術師ともあろう者が」
「無断で敷地に踏み入ってくるような無礼者に言われたくありません!」
「私が来訪することは、予測出来ていたはずだ。それを承知で防壁なぞ張った貴殿に落ち度があろうよ」
あれー? また喧嘩してる。
貴方がたは、俺の前で珍妙な言い争いをするのがお好きなのですか?
「その辺にしておいてください」
キーキーとクラさんに食って掛かっているカムロさんの頭をわしっと両手で挟んで、こっちを向かせた。でもって、「喧嘩ばっかりしてると、おやつ抜きにしますよ」って言いながら、「ニコォ……」って感じのすんごく意識した作り笑いをして見せる。
「いっ、嫌ですっ!」
効果バツグン! 涙目になってお口を閉じてくれたぞ。
「伯父上、防壁を破ってまで来られたということは、それなりの理由があってのことですね。用件をお聞きしても宜しいでしょうか」
「う、うむ……」
伯父上呼びしてキリッとした顔で問い掛けると、クラさんも大人しくなった。
「……騎士団の調査が終わったのだ。いち早くお前に報せねばならんと思ってな」
「そうですか! さすがクラさん! すごい!」
おおお! 調査が終わったんだ!
俺が興奮気味にクラさん呼びで褒めると、どことなくホッとした顔をした。うむむ。伯父上呼びは嫌なのかなぁ。クラさん呼びより、ピシッとした感じでカッコいいのに。
――例によって、応接間でクラさんからの報告を聞くことになった。
俺が涙鼻水まみれになりながら証言をした、その後日からクラさんはカムロさんという後ろ盾を振りかざして国王陛下の許可をもぎ取り、第三騎士団の不正調査団を公式に立ち上げた。
そして、カムロさんの溢れんばかりの金と権力とハイテク魔道具を遠慮なく使って、それはもうなんでもありのえげつない調査をしまくったらしい。
元々クラさんの実家のナイブレイド子爵家は、爵位こそ低いけど王国内でかなりの影響力のある貴族家だから、単独でも十分に動けたみたいだけど、そこにカムロさんという後ろ盾が付いたからもう大変! 誰も待ったなんて掛けられない無双状態になっちゃったんだな!
その結果として暴かれた不正の全容を聞いて、俺は開いた口がふさがらなかった!
俺がやったって言われてた横領は、実際に団長達がしていたことだった。それだけじゃなくて、運営費の水増し請求までしていた。宿舎の改装費も横領していたらしいし!
そして、団長に脅されて仕方なく不正を強要されていた騎士もいて、俺が横領をしていたっていう証言をしてた騎士も、そうだったんだってさ。ああ、それで顔色悪かったんだな……。平民の騎士への差別や、貴族のおぼっちゃまの箔付け目的の入団も、俺のときが初めてじゃなかった!
最初は上手いこと隠していたみたいだけど、何度も不正を繰り返すうちに感覚が狂ってきた団長達は、ついには騎士団を完全に私物化して、我が物顔で横暴な行動を繰り返し始めた。
――俺が追い出されたときはもう、腐敗は末期だったみたいだ。
被害に遭った騎士や不正に気付いていた先輩達が、密かに外部へ訴え始めていたし、俺だってクラさんに証言したしな。後はもうお察しの流れだ。
事が事なだけに、まだ表沙汰にはされてないけど、ほかの騎士団に情報が漏れていて相当な騒ぎになっているとか。他人事じゃないもんな! 第三だけじゃなかった! なんてことにならないといいけど……。
「ディザート殿からの協力もあって、証拠は十二分に集まった。言い逃れなど出来ぬであろうよ」
「魔道具は役に立ちましたか」
「無論。素晴らしい魔道具を提供して頂き、誠に感謝する」
「ふふ……ハス君の冤罪を晴らすためですからね。出し惜しみなどしません」
それにしても、いつの間にそんな魔道具のやり取りとかしてたんだろうね? なんでか会う度に喧嘩してる2人だけど、息ぴったりっていうか、今もすごい悪い顔して笑い合ってるし……。
カムロさんはここんとこ、俺にべったりだった気がするけど。通いの商人さんにでもお使いを頼んでいたのかな。このお屋敷に来るくらいだから、商人さんも只者じゃないとか……? 有り得るな。
1人で首を傾げたり、うんうんと納得したりしていたら、「ところでハスよ、ディザート殿とはもう籍を入れたのか」なんていう質問をクラさんに投げられた。
…………はい?
――斜め上の質問をぶち込まれた! 何でそういう流れになるんだあぁ!
※伯父上、気になることは不意打ちでぶん投げてくるようです。
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