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番外編 騎士団に復帰後のアレコレ
あれ? なんだこれ? あっ、気が遠く、なっ……
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※不穏なタイトルから始まる釣り回。
※釣り餌の虫描写がありますのでご注意をば。
――今夜泊まる宿に到着!
釣竿と桶を借りて、向こう岸が見えないくらいでっかい湖にやって来た! 川とは違って釣れる魚もデカいらしいから、糸も釣竿もちょっとごつくて糸巻きが付いてるやつだ。
さっそく生きのいいワームを針に引っ付けて、釣竿をぶん回した俺。ポーンと釣り糸を遠くへ放り投げる。ぽちゃんと浮きが水面に沈んで、ちょっとしたらぷかぷか浮いた。……おおー、けっこう飛んだな。これなら水底に引っ掛かったりはしてないだろう。よしよし。
釣竿置きに竿を置いて、セットは完了だ。隣で浮きをじっと見ていたカムロさんの方を向いて「餌、付けますよ」って言うと、「じ、自分でやってみます」なんて神妙な顔で言って、グネグネ動くワームを餌箱から1匹摘まみ上げて、おっかなびっくりしながら針に引っ掛けた。
「もうちょっとこう、ぐいっと刺さないと取られちゃいますんで、ここを、こう」
「こんな感じですか」
「ですね。うん、これでいけそうだ。後は、こう……斜め後ろへ竿を引いて、真正面へ振ってみてください」
ジェスチャーで説明すると、それを真似てカムロさんが竿を振る。ひゅうんっていういい音がして、ポーンと釣り糸が飛んでいく。良い感じに俺の浮きから離れた位置にポチャンしたぞ!
「上手い! 初めてなのに完璧だなぁ。たまに変に振り回して自分を釣っちゃう人とかいるんで、針の扱いには気を付けてください」
「わかりました。こうして投げるだけでも面白いですね。釣れたらもっと楽しそうです」
「うんうん。魚が掛かって釣り上げるときに、ビビビビッて竿が引っ張られたりするとテンション上がりますよ」
浮きの動きをじっと見て、餌を突いてるのかな? とか、ん? 喰い付いたか? なんて考えるのが面白かったりする。魚との駆け引きってやつだ。ちゃっかり餌だけ取られたりすることもあるけど、それはそれで、あー! 取られた! なんて騒ぐのも釣りの醍醐味だと俺は思う!
湖畔に設置された丸太の椅子に腰を落ち着けて、そんな釣りの醍醐味について語ったりしてのんびりと釣りを楽しむ……はずだったんだけど。
「あっ! 掛かったみたいです」
「え、はやっ!」
数分でカムロさんにヒットが!
「どうしたらいいですか」
「あ、えっと、少しずつ糸を巻いて魚をこっちに引っ張ってください」
わぁ! 魚の引く力が強いぞ! カムロさんの持ってる釣竿がグイっとしなってる! じりじりと糸を巻いていくうちに、段々と近付いてくる魚のシルエットが予想よりもでっかい。こ、これはまさにビギナーズラックだな!
「引き寄せておいてください。俺が網ですくいますから」
「は、はい」
よーし! 逃がさないぞ! ざくっと網を水中に突っ込んで魚をゲット! 「ぬあ! 重い!」 しかも大暴れしてるし!「うっぷ!」水しぶきが顔に飛んできた! ちょっと冷たい! 草地の上に下ろして、しっかり押さえ付けてから針を外して桶に放り込む。
……うはぁ。デカ過ぎて、桶から尻尾がはみ出してるよ! こいつは大物だ!
「……なかなかの大物ですね」
「うん、この一匹だけでも十分おかずになるかも」
「バターソテーがいいです」
「絶対に美味いやつ! 俺もバターソテーで!」
新鮮だから絶対美味い! 宿で調理してもらって、今夜のディナーで食べるぞ!
びっちびっち桶の中でも暴れる魚。
「こ、これは落ち着いて釣り続行できなさそうだなぁ」
「そうですね」
ってことで意見が一致したから、早々に宿へ行って魚を渡しておいた。
「釣り、もう一度しに行きませんか。ディナーまでには、まだ十分時間がありますし」
「賛成です。俺も釣りたいし。あ、ちょっとまってください、トイレいってきます」
「ここで待ってますね」
昼にちょっとコーヒーを飲み過ぎたかなぁ。眠気覚ましにって思って2杯も飲んだのがいけなかった! ということで、駆け足で宿の中にあるトイレに直行だ!
「直ぐに戻ってきます!」
戻ったら、俺も大物を釣り上げるぞー! 今夜は新鮮な魚三昧だっ! 釣る気をみなぎらせながら、とりあえずはトイレ! ささっと用を足して出てくると、大柄な男2人が俺の前を塞いできた。
「おっと」
よっぽどトイレに行きたかったのかもしれないな。この人達。気持ちは分かるぞ! するっと横に避けて道を譲ろうとしたんだけど……なんか、譲れなかった。
「ハス・ディザートさんですね」
ゾゾゾッと背筋が寒くなった。
な、なんで、こんなとこで、名前を聞かれるんですかね? 絶対、宿の人じゃないと思うし! こここ、こわああああああ! 俺の危険察知能力がビビビッと、さっき釣り上げた魚並みに大暴れした。
「違います」
トイレから出て、ここまでで数秒。超長い時間に感じた。もんのすごくビビッたせいで逆にスンっと冷静な返答した俺、偉い!
「そうですか……。人違いをして申し訳ございませんでした」
「いえいえ。お気になさらず」
よ、よし。なんか怖いから取りあえず、このまま逃げよう。よく分かんない相手と出くわしたときは、戦うより安全確保が一番! 心の中で身構えながら、歩き去ろうとした瞬間。
シュ! って音がして、強い酒みたいなツンとした刺激臭がした。
――あれ? なんだこれ? あっ、気が遠く、なっ……。
※数話前には作者も予想していなかった急展開。降って湧いてきました。
※釣り餌の虫描写がありますのでご注意をば。
――今夜泊まる宿に到着!
釣竿と桶を借りて、向こう岸が見えないくらいでっかい湖にやって来た! 川とは違って釣れる魚もデカいらしいから、糸も釣竿もちょっとごつくて糸巻きが付いてるやつだ。
さっそく生きのいいワームを針に引っ付けて、釣竿をぶん回した俺。ポーンと釣り糸を遠くへ放り投げる。ぽちゃんと浮きが水面に沈んで、ちょっとしたらぷかぷか浮いた。……おおー、けっこう飛んだな。これなら水底に引っ掛かったりはしてないだろう。よしよし。
釣竿置きに竿を置いて、セットは完了だ。隣で浮きをじっと見ていたカムロさんの方を向いて「餌、付けますよ」って言うと、「じ、自分でやってみます」なんて神妙な顔で言って、グネグネ動くワームを餌箱から1匹摘まみ上げて、おっかなびっくりしながら針に引っ掛けた。
「もうちょっとこう、ぐいっと刺さないと取られちゃいますんで、ここを、こう」
「こんな感じですか」
「ですね。うん、これでいけそうだ。後は、こう……斜め後ろへ竿を引いて、真正面へ振ってみてください」
ジェスチャーで説明すると、それを真似てカムロさんが竿を振る。ひゅうんっていういい音がして、ポーンと釣り糸が飛んでいく。良い感じに俺の浮きから離れた位置にポチャンしたぞ!
「上手い! 初めてなのに完璧だなぁ。たまに変に振り回して自分を釣っちゃう人とかいるんで、針の扱いには気を付けてください」
「わかりました。こうして投げるだけでも面白いですね。釣れたらもっと楽しそうです」
「うんうん。魚が掛かって釣り上げるときに、ビビビビッて竿が引っ張られたりするとテンション上がりますよ」
浮きの動きをじっと見て、餌を突いてるのかな? とか、ん? 喰い付いたか? なんて考えるのが面白かったりする。魚との駆け引きってやつだ。ちゃっかり餌だけ取られたりすることもあるけど、それはそれで、あー! 取られた! なんて騒ぐのも釣りの醍醐味だと俺は思う!
湖畔に設置された丸太の椅子に腰を落ち着けて、そんな釣りの醍醐味について語ったりしてのんびりと釣りを楽しむ……はずだったんだけど。
「あっ! 掛かったみたいです」
「え、はやっ!」
数分でカムロさんにヒットが!
「どうしたらいいですか」
「あ、えっと、少しずつ糸を巻いて魚をこっちに引っ張ってください」
わぁ! 魚の引く力が強いぞ! カムロさんの持ってる釣竿がグイっとしなってる! じりじりと糸を巻いていくうちに、段々と近付いてくる魚のシルエットが予想よりもでっかい。こ、これはまさにビギナーズラックだな!
「引き寄せておいてください。俺が網ですくいますから」
「は、はい」
よーし! 逃がさないぞ! ざくっと網を水中に突っ込んで魚をゲット! 「ぬあ! 重い!」 しかも大暴れしてるし!「うっぷ!」水しぶきが顔に飛んできた! ちょっと冷たい! 草地の上に下ろして、しっかり押さえ付けてから針を外して桶に放り込む。
……うはぁ。デカ過ぎて、桶から尻尾がはみ出してるよ! こいつは大物だ!
「……なかなかの大物ですね」
「うん、この一匹だけでも十分おかずになるかも」
「バターソテーがいいです」
「絶対に美味いやつ! 俺もバターソテーで!」
新鮮だから絶対美味い! 宿で調理してもらって、今夜のディナーで食べるぞ!
びっちびっち桶の中でも暴れる魚。
「こ、これは落ち着いて釣り続行できなさそうだなぁ」
「そうですね」
ってことで意見が一致したから、早々に宿へ行って魚を渡しておいた。
「釣り、もう一度しに行きませんか。ディナーまでには、まだ十分時間がありますし」
「賛成です。俺も釣りたいし。あ、ちょっとまってください、トイレいってきます」
「ここで待ってますね」
昼にちょっとコーヒーを飲み過ぎたかなぁ。眠気覚ましにって思って2杯も飲んだのがいけなかった! ということで、駆け足で宿の中にあるトイレに直行だ!
「直ぐに戻ってきます!」
戻ったら、俺も大物を釣り上げるぞー! 今夜は新鮮な魚三昧だっ! 釣る気をみなぎらせながら、とりあえずはトイレ! ささっと用を足して出てくると、大柄な男2人が俺の前を塞いできた。
「おっと」
よっぽどトイレに行きたかったのかもしれないな。この人達。気持ちは分かるぞ! するっと横に避けて道を譲ろうとしたんだけど……なんか、譲れなかった。
「ハス・ディザートさんですね」
ゾゾゾッと背筋が寒くなった。
な、なんで、こんなとこで、名前を聞かれるんですかね? 絶対、宿の人じゃないと思うし! こここ、こわああああああ! 俺の危険察知能力がビビビッと、さっき釣り上げた魚並みに大暴れした。
「違います」
トイレから出て、ここまでで数秒。超長い時間に感じた。もんのすごくビビッたせいで逆にスンっと冷静な返答した俺、偉い!
「そうですか……。人違いをして申し訳ございませんでした」
「いえいえ。お気になさらず」
よ、よし。なんか怖いから取りあえず、このまま逃げよう。よく分かんない相手と出くわしたときは、戦うより安全確保が一番! 心の中で身構えながら、歩き去ろうとした瞬間。
シュ! って音がして、強い酒みたいなツンとした刺激臭がした。
――あれ? なんだこれ? あっ、気が遠く、なっ……。
※数話前には作者も予想していなかった急展開。降って湧いてきました。
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