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番外おまけ「領主と狩人の取り留めもない話」
甘い実
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春先の、良く晴れた穏やかな朝のこと。
「シタン、甘い実を摘みに行くぞ」
「へっ?」
黒染めした麻布の簡素な上下に、大きな麦わら帽子をかぶった姿のラズラウディアが言った。
白い手には、蔓で編まれた籠を持っている。まるで、そこいらの平民のような出で立ちなのだが、ラズラウディアの美しい顔立ちはかすむどころか際立っていた。
「そういえば、そんな時期だね。うん、行こう」
床に布を敷いて弓矢の手入れをしていたシタンは、道具を片付けて立ち上がった。
「お前の分の籠だ」
「あっ、ありがと」
二人はこうしてそれぞれ籠を手にして、甘い実摘みに出かけることになった。
「おお……豊作だ。すごいなぁ。いっぱい実がついてるよ」
「今年は天候が穏やかだった。大風や日照りが酷ければこうはならん」
艶のある粒の大きい紅色の実が、こんもりと大きく茂った枝葉に所狭しと生っていた。程よく熟れている実からは、春風に乗って実の香りが漂ってくる。
「いい匂いがする。これは絶対に甘いよ」
「ああ、そうだな。果実酒にしてもいいかもしれん」
「うん、作りたいな。いっぱい採ろう」
早速、実をそっと摘んで籠に入れていく。合間につまみ食いもしながら。
「うむ、良い味だ」
「なんか、久しぶりだし懐かしいなぁ。ラズと子供の頃に食べたのを思い出したよ」
「私は領地に戻ってからは時々、ここへ来ていた」
「えっ、そうなんだ」
「ああ、忘れられなくてな。もしかしたら、お前に会えるかもしれないとも思っていた」
「なっ、なんかごめん……」
「謝ることでもない。ただ、お前と同じ気持ちだったのだ。懐かしい……というな」
ラズラウディアは麦わら帽子の下で微笑んで、真っ赤に熟れた大粒の実をゆっくりと唇で食んだ。
その仕草があまりにも艶めいていて、シタンは胸が高鳴ってしまった。何度も体を繋げているというのに、いつまで経ってもこの恋人の色気にはやられてしまう。
「シタン、この実はとても甘いぞ。今までで一番だ」
「えっ、ほんと? この辺の実かな」
そう言って、ラズラウディアに近づいて実を摘もうとした瞬間、「ここにあるぞ」と、言うなり唇を塞がれた。
「んっ……!」
ラズラウディアの甘さを含んだ舌が、シタンのそれに絡み付いた。
「ふ、う、んっ、んんっ……」
気持ちがよくて頭の芯が痺れていく。たっぷりと口内を可愛がられて、息が上がり始めた頃にやっと唇が離れていった。
「……っ、はぁっ。ちょっと、何するんだよぉ……!」
顔を真っ赤にしてシタンが叫ぶと、ラズラウディアは自身の紅い唇を舌先で舐めて、「ふっ、ククク……」と、色っぽく微笑んだ。
「もっと食べるか」
再び実を口に含んで見せつける彼に対して、シタンは慌てて目を逸らして「じ、自分で摘むからいいよぉ!」と、叫んで別の茂みの方へ逃げるように走って行った。
籠いっぱいに摘んだ実はその後、赤く美しい色味の芳醇な果実酒になった。
その果実酒を飲むたびに、シタンは白昼にされた甘い口付けを思い出すようになってしまったのは、言うまでもない。
「シタン、甘い実を摘みに行くぞ」
「へっ?」
黒染めした麻布の簡素な上下に、大きな麦わら帽子をかぶった姿のラズラウディアが言った。
白い手には、蔓で編まれた籠を持っている。まるで、そこいらの平民のような出で立ちなのだが、ラズラウディアの美しい顔立ちはかすむどころか際立っていた。
「そういえば、そんな時期だね。うん、行こう」
床に布を敷いて弓矢の手入れをしていたシタンは、道具を片付けて立ち上がった。
「お前の分の籠だ」
「あっ、ありがと」
二人はこうしてそれぞれ籠を手にして、甘い実摘みに出かけることになった。
「おお……豊作だ。すごいなぁ。いっぱい実がついてるよ」
「今年は天候が穏やかだった。大風や日照りが酷ければこうはならん」
艶のある粒の大きい紅色の実が、こんもりと大きく茂った枝葉に所狭しと生っていた。程よく熟れている実からは、春風に乗って実の香りが漂ってくる。
「いい匂いがする。これは絶対に甘いよ」
「ああ、そうだな。果実酒にしてもいいかもしれん」
「うん、作りたいな。いっぱい採ろう」
早速、実をそっと摘んで籠に入れていく。合間につまみ食いもしながら。
「うむ、良い味だ」
「なんか、久しぶりだし懐かしいなぁ。ラズと子供の頃に食べたのを思い出したよ」
「私は領地に戻ってからは時々、ここへ来ていた」
「えっ、そうなんだ」
「ああ、忘れられなくてな。もしかしたら、お前に会えるかもしれないとも思っていた」
「なっ、なんかごめん……」
「謝ることでもない。ただ、お前と同じ気持ちだったのだ。懐かしい……というな」
ラズラウディアは麦わら帽子の下で微笑んで、真っ赤に熟れた大粒の実をゆっくりと唇で食んだ。
その仕草があまりにも艶めいていて、シタンは胸が高鳴ってしまった。何度も体を繋げているというのに、いつまで経ってもこの恋人の色気にはやられてしまう。
「シタン、この実はとても甘いぞ。今までで一番だ」
「えっ、ほんと? この辺の実かな」
そう言って、ラズラウディアに近づいて実を摘もうとした瞬間、「ここにあるぞ」と、言うなり唇を塞がれた。
「んっ……!」
ラズラウディアの甘さを含んだ舌が、シタンのそれに絡み付いた。
「ふ、う、んっ、んんっ……」
気持ちがよくて頭の芯が痺れていく。たっぷりと口内を可愛がられて、息が上がり始めた頃にやっと唇が離れていった。
「……っ、はぁっ。ちょっと、何するんだよぉ……!」
顔を真っ赤にしてシタンが叫ぶと、ラズラウディアは自身の紅い唇を舌先で舐めて、「ふっ、ククク……」と、色っぽく微笑んだ。
「もっと食べるか」
再び実を口に含んで見せつける彼に対して、シタンは慌てて目を逸らして「じ、自分で摘むからいいよぉ!」と、叫んで別の茂みの方へ逃げるように走って行った。
籠いっぱいに摘んだ実はその後、赤く美しい色味の芳醇な果実酒になった。
その果実酒を飲むたびに、シタンは白昼にされた甘い口付けを思い出すようになってしまったのは、言うまでもない。
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感想有難うございました!
完結おめでとうございます!最後まで最高に面白かったです!ラズとシタンのやり取りがかわいくて、とっても癒やされました!お疲れ様でした!
再びの感想ありがとうございます。少しイチャイチャしすぎかなと思いましたが、気に入って頂けたようで安心しました。最後までお読み頂き、本当にありがとうございました!
面白すぎて一気読みしてしまいました!
ラズもハルもシタンもキャラ全員が素敵で最高です!!!
更新楽しみにしています!
感想ありがとうございます。
素敵で最高! 嬉しいです。不定期ですが、まったりお付き合い頂ければ幸いです。