【完結】赤痣の闘士は、好きになった彼が王弟殿下だと知らなかった

ゆらり

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本編

71 もっと撫でてくれよ

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 熱い吐息を飲み込んで貪欲に舌を絡ませ合い、唇を甘く食まれて震えながら首筋にしがみ付くと腰を両腕で強く抱かれる。

「んっ、はあ……っ。はぁっ……」
「……はあっ……ふふ、いくらしても足りないよ……。こんなに欲しくて苦しいのは初めてだ」
「ん、俺も……、足りねぇっ……。シアぁ……」

 か細い声で名を呼ぶと、大きな手でくしゃくしゃと髪を掻き乱しながら撫でられた。

「アンタの手、好きだ……。もっと触って、撫でてくれよ……」

 喉を鳴らさんばかりに頬擦りをして甘えて、首元に顔を埋めて強請る。頭ばかりではなく、首筋や背中を忙しなく撫でてくれる手が気持ち良くて幸せで、叫び出しそうなまでに嬉しい。

「……こっちに来て。もっといっぱい、よくしてあげるから」
 
 そう言われながら手を引かれて向かった隣の部屋にある寝台に押し倒され、両足から手早く靴を引き抜かれる。きつく締めてあったはずの腰帯はあっさりと解かれ、続いて脱がされた上着と共に放り投げられた。

「な、なあ、アンタが俺を抱くのか」
「あれ? 逆がいいの?」

 そんなリィの問い掛けに、晒された素肌に手を這わせていたイグルシアスが首を傾げる。

「ち、違うっ! 俺、どっちもしたことねぇんだ! 下手くそでも笑うんじゃねぇぞ!」
「えっ? ええっ!」
 
 そもそも誰かと想いを通じ合わせて情を交わしたことなど、これまでに一度もなかった。上手く事が進まずにイグルシアスをがっかりさせてしまうのではないかと、不安になってしまったのだ。

「ちょ、まって! 経験ないの? 女の子とも? 君くらいの齢だと筆おろしくらい済んでるよね?」
「悪いか! 俺みてぇな顔の男なんて嫌がられると思ったからっ、色町にだって行かなかったんだっ!」
 
 露骨に驚かれて涙目になり自棄気味に叫んで歯を喰いしばると、蕩けた笑みと共にやんわりと頬を撫でられた。

「初めてなんだ。とても嬉しいな。大丈夫! 僕、男とは初めてだけど方法は勉強してあるから!」
「なんでそんこと勉強してんだよ!」
「だって、君とこういうことしたかったんだもの。当然でしょ!」 

 恥じらいもなく堂々と言い切られて絶句してしまう。その間にイグルシアスは嬉し気に微笑んで自らも上衣や靴などを脱ぎ捨て、厚みはないがそれなりに無駄なく引き締まった上半身を晒して寝台に乗り上げてきた。

 泣くまいとしてもどうにも我慢できず零れ落ちてしまった透明な滴に、唇が何度も押し当てられる。

「リィは結構泣き虫だなぁ。そういうところも可愛いくて好き」
「うるさいバカっ……! アンタのせいでこうなっちまうだけだ! 泣き虫じゃねぇし!」
「……そうなんだ。それじゃ、こういう可愛い顔を見られるのは僕だけなんだね。それも嬉しいかも」
「よ、喜ぶなバカッ! アホ! どうしようもねぇ男だなっ!」
「ん、そうだね。僕ってどうしようもない男だ……」

 苦笑混じりにされた口付けは、ほんのりと塩辛い味がした。その味は絡み合う舌の狭間に直ぐ消えていき、甘やかな心地良さだけが残る。上半身を唇と舌で愛撫されて身悶えしている合間に、器用に動く褐色の手により装束は全て脱がされていった。
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