モンスターコア

ざっくん

文字の大きさ
41 / 94
学校生活

31話 カイザ、カスミ、レン

しおりを挟む
ガチャ、カラン、カラン、カラン

「お姉ちゃん!来るの友達だからこれ片付けてって言った、よ、ね……」

少女が店先に飾ってあった頭蓋骨の装飾品を持って扉を開けるなり、リュートを見て固まってしまった。
 
「え?」

リュートは少女と目が合い、その反応に困惑した。それと同時に少女に違和感を感じた。

(何処かであった気がする…)

 リュートは少女の顔をまじまじと見た。
 しかし、肩まで伸びた藤紫色の髪に、やや白い肌など詳しく見てもを違和感は深まるばかりである。

「……」

少女は顔を赤く染めて目を逸らした。

「み、見ないで、恥ずかしい…」

少女の声はとても小さく誰も聞き取れなかった。

「やめて…」

さらに顔を赤くして俯いた。

(うーん、顔見れば分かると思ったんだけど、分からない…)

「も、もう、やめて!」

少女は顔を手で覆いその場に座り込んだ。それと同時に少女の体から黒い霧が発動した。

(闇魔法?あっ、アサシンの人。名前…確かカスミ、だっけ?)

リュートはバトルロワイヤル中、森で戦った闇魔法の使い手のアサシンさんを思い出した。

「はぁ~~……」

カスミは闇を纏ったことで目に見えて安堵し、平静を取り戻してしていった。

「あっ!」

カスミはいきなり何かを思い出したように慌ててブンブン手を振りまわし闇を振り払った。しかし、彼女の発生させた黒い霧は濃度が濃かったため、なかなか霧散せずかなり苦労していた。

「はぁー、はぁー、」



コンコン、

 ドアを叩く音が聞こえる。

「おい!遅いぞ!何やっt…痛えだろ!俺様を叩くな!とりあえずまち切れん!入るぞー!」

 扉の向こうから男が声をかけてきた。

「あっ、まって!人いるから別の店に…ッ!ん!んーー!」

 扉を抑えようと駆け出すカスミを店主が背後から髪で口と腕を縛り上げた。

「人?大丈夫か!?」

 先程とは別の男の声が聞こえてきた。

「約束の品よ。苦労したんだから有効活用してね」

 店主はカスミの手に小包を乗せた。

「んーーッ!んーーー!」

 カスミは闇を振り払おうと暴れている。その姿はどこか悶えているように見える。
 生成と操作をやめたことで分散した『闇魔法』の黒い霧からの赤く染まった頬と耳が見え隠れしている。しかし、その手にはしっかりと「」が握られていた。

「んー、こほん、もう大丈夫、入っていいよー」

 店主はカスミを地面に降ろし、彼女の声真似をして扉の外に話しかけた。姉妹というだけあって似ているものの完璧という訳ではない。しかし、扉越しならば違和感は無いだろう。

ギギィ、

扉が開く。

「ほらー、大丈夫だ…って、何があった!?」

乱れた闇を纏い地べたに座り込むカスミを見て、赤髪の男が驚き駆け寄った。


「あぁ?おい!大丈夫か!?」

 遅れて入ってきた男はカイザだった。カイザはその惨状を目にし、当たりを警戒しながらカスミの元に駆けつけた。

「もう大丈夫、人に見られるの慣れてなくて、」

 カスミは少しやつれたような声で答えた。
 
 知らなかったとはいえ、顔をまじまじと見ていたリュートは責められるのではないかと覚悟した。しかし、その心配は杞憂に終わった。

「人に見られんのが苦手ならそんなになるまで無理すんじゃねぇ。その努力は認めるが、そんな状態になられるとこっちも気分が悪くなる。立てるか?」

 カイザがカスミに手を差し伸べた。

(うぁ、イケメン)

 その対応にリュートは心の中でカイザを讃えた。

 その横では、赤髪の男が嫉妬の目をカイザに向けていた。容姿端麗ではあるが今のカイザにはとても敵わないだろう。この一場面だけで彼らの関係を推測できてしまう。

「リュート坊、コイツはどうも人に見られるのが苦手らしい、気にかけてやってくれ」

「分かった。気をつけるよ」

「わりぃ邪魔した。コイツを落ち着けてから出直すそれでもいいか?」

カイザは店主に話した。

「来てくれればオッケーよ~。仲良くねー」

カイザが店を出ていこうとした。その時、カスミがカイザの袖を掴んでて引っ張るった。

「あぁ?どうした?ん、そういや姉妹だったか姉と一緒の方がいいか?」

「ちがう、お、お願いちゃんと守ってよ」

「うっ…、あー、わぁーたよ。カスミ嬢」

 カイザが顔を逸らして恥ずかしそうに言った。

 カスミは不服そうな顔をするもとりあえずは納得したようだ。

「おい!レン!お前も来い!」

「はぁ!?いいのか!?」

「待って?どう言うこと?」

「オ…カスミ嬢の駄々を一人であやすのは、俺の手じゃ足りねぇてことだ」

「…思いっきり駄々をこねてあげるんだから、覚悟してよね!」

「あぁ、そうしろ」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。 彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。 だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。 結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。 そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた! 主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。 ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...