モンスターコア

ざっくん

文字の大きさ
75 / 94
何でもありな体育祭!

65話 サリアの兄ドロール

しおりを挟む
 体育祭のプログラムは一学年につき四つと全体で一つあり、五つのプログラムを全体で五日に渡って行う。
 新入生のプログラムは1日目に障害物リレーとドッヂボール。三日目にしっぽ鬼と攻城戦を行う。
 それが前日に発表された。

「はぁー、終わったー!」

 カイトが大きく伸びをする。現在、明日の作戦会議とを終えて、リュート、カイト、サリア、アヤメ、コアのいつものメンバーでメインストリートに訪れていた。
 メインストリートとは生徒が個人で店を出してサービスやものを売っている場所である。多様性があり大体のものが揃う。もし、目的のものが無くてもオーダーメイドを頼むことが出来る店もある。

「後は、細かい買い出しだけね…げっ!」

 サリアはある男と目が合い身を引いた。
 男は深い緑の髪をして、スーツを着ている。そして、どこかサリアと似た印象を感じる。

「リア~!」

「来るなっー!」

 サリアが抱きつこうとする男を尻尾で地面に叩きつけた。

「いたた…兄に向かってなんたる態度。だが許そう。なんだって愛し…」

 ペシッ!

「愛…」

 ペシッ!

「あ…」

 男が口を開くたびにサリアの尻尾が頬を往復する。

ーーーー

「はぁ、紹介するわ。彼はドロール。私の兄で情報学科、の三学年よ」

 とても憂鬱そうに紹介する。

「よろしく!リアの兄として仲良くさせてほしい」

 ドロールはリュートに手を差し出す。

「よろしく」

 この人も強いな…
 リュートはドロールの強さを感じ取る。学園の上級生には戦闘学科以外の人間でも強い人間は多い。カスミの姉も創造学科に属するが現在のリュート達よりも実力がある。

「いやー、後輩は面白い人が多いね。が生徒になるとは初めて知った時は目を疑ったよ」

「なっ、なんじゃ?何かするつもりならくだくぞ?」

 コアは最初の印象からドロールを警戒して、軽く拳を握る。

「何もしないって。そもそも、準備期間中は後輩に手を出せない規則だよ」

ーーーそういうわけじゃ、ないのじゃが…

「それじゃあ、私はこれから忙しくなるから失礼するよ。君たちもを済ませたまえ」

 ドロールはそう言って立ち去った。

「ワシはあやつ苦手じゃ!」

 コアはドロールの背中が見えなくなったあたりで口を開いた。
 彼いわく、自身を見る目が実験動物を見るかのような目で薄気味悪かったらしい。

「私も苦手…実は本当に愛してくれてるのかも分からないのよね」

「何で?」

「愛されてるだろうな。アレは」

「口ではそう言ってるけど、受け身取るのよねアイツ。Mなら全部受けない?」

「えっと…殺す気?」

「えっ!?いや…そんなつもりないけど。早く買うもの買って帰りましょ!」

ーーー
 リュートは部屋に帰って趣味の情報集めをしていた。コンピュータで主に明日戦うことなるだろう同級生のものを集めている。公式試合の映像、挙げた功績、情報屋からの映像。目ぼしい人間を調べ上げる。

ーーーよし、いい感じに集まってきた。けど…

「なんで居るの?」

 リュートは振り返りリビングのコアを見る。

「なんじゃ?お主はわしの主人じゃろ?そばに仕えるのは当たり前じゃ」

 普段、主従など気にもしていないくせに都合のいい時だけ最初の頃の関係を利用する。

「まぁ、それはいいとして…なんで?」

 リュートの視線の先にはカイト、サリア、アヤメの姿があった。人生ゲームをやっており、アヤメが一区画を自身の土地で染め上げたところであった。

「いいじゃない。はい、お菓子よ。リュートも食べる?他にもあるわよ?」

 サリアが机の上に袋を開けた菓子を置く。さらに、彼女の足元には追加のお菓子が控えている。

「それじゃあ、喉乾くでしょ?なんか飲み物買ってくるよ」

 リュートは四人を残して部屋を出た。

「待ってたよ」

 寮から出た時、ドロールが話しかけて来た。

「え?」

 リュートは突然現れた彼を警戒する。

「いやいや、そんなに警戒しないでほしい。”待ってた”と言っても君だけではない。誰でもよかった」

「そうですか…」

 目の前の男の不気味さにゾッとする。本当に自分を待っていたのではないかと感じてさえいる。

「情報交換をしないか?君たちなら”自然公園”と言えば理解できるよね」

ーーーシルについて言っているのだろう。彼のについは口止めされているし、話す理由もない。

「僕は途中から拘束されていたからあまりよく知らないけれど……」

 リュートはシルの存在を隠すためのバックストーリーをなぞって説明した。
 
「意外なことに、君は口が硬いみたいみたいだ。だけど情報交換と言っただろ?もっと面白い情報が手に入るかもしれない。それこそじゃ手に入らないような。それで、化け物のは私と比べてどれくらいか分かるかな?」

「新入生程度、あなたと比べれば足元にも及びませんよ」

「そうか…それじゃあ、最後にもう一つ。君の担任には私が何人いれば勝てる?」

「それなら…のあなただと何人いても勝てないと思うよ」

「君は優秀だね。欲しいくらいだ。また近いうちに会うだろう。それじゃ…」

「待って」

リュートが去ろうとするドロールを呼び止める。

「何かね?」



「あっ…(忘れてた…)」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...