モンスターコア

ざっくん

文字の大きさ
78 / 94
vs秘密結社クロノス

68話 牙を剥く秘密結社クロノス

しおりを挟む
 正面にはミリナリス含む一組の三人、後方には精神系の魔法を受けたサリアが道を塞いでいる。
 さらに、ここは狭い裏路地すり抜けることは出来ない。

「今は準備期間じゃないし、僕の代わりは誰にでも務まるよ」

 リュートは会話で時間を稼ごうとする。少しでもサリアに掛けられた精神魔法の効果時間を少しでも減らすためである。
 彼らが精神魔法を使用した事でマナを消耗したとしても、四人を相手にして勝つことはできない。ただ、耐えることに集中すればはサリアが元に戻るまで十分に時間を稼ぐことができる。

ーーーサリアがあれから攻撃してこない事を考えると指示するタイプ。命令を理解させなければ動くことは無い。

 リュートは抵抗するため『土魔法』で丸盾を二つ形成する。しかし、彼は大きな勘違いをしていた。

 それは、サリアが精神魔法を受けたのは昨日の夜であり、命令で自身に『服従魔法』を掛け続けていることである。
 よって、現在のミリナリスはマナを消耗していない。

 それは、情報が足りず仕方ないことではあるが、致命的な勘違いであることに違いない。このままではでは全く勝機が無い。
 ただ、その後ある出来事によって戦闘が中断される事となる。

 しかし、それは救いでは無い。むしろ最悪、学園規模まで広がる更なる崩壊の始まりであった。
 ミリナリス達とリュートの間に唐突に穴が開く。

「…ッ!」「…ッ!」

 予兆も気配も無かった。全くの無音で彼らは現れた。
 穴から黒装束の人物が五人飛び出してきた。彼らはフードを深くかぶる事で顔を隠し、魔法を使用して音を消し浮遊している。
 装束の機能なのか輪郭がぼやけていて、詳細な体形の判別が付かない。
 ただ、装束では隠しきれない特徴が彼らにはあった。

 3メートルを超える巨大、フードを盛り上げる獣耳、装束からはみ出んばかりの魔道具、フードから飛び出したエルフを超える長さの耳、そして、リュートほどに小さい子供。

 正体などは全く見当もつかない。しかし、リュートの眼が彼らを学園の人間でない明確な敵である事を伝えてきた。装束に隠れ詳細な確認は難しいが、強さは担任の教員に迫る勢いである。

「おい、人いるじゃねえか!あの野郎適当な仕事しやがって!」

「脳筋は黙りなさい。何かの弾みで死んでも知りませんよ」

 リュート達を前にしているにも関わらず集団のうち巨人と長耳の二人が口喧嘩を始めたのだ。彼らの仲はあまり良く無さそうである。
 その後も口論は続き、”クズ””ファザコン””愚鈍””マザコン”などの罵倒が飛び交う。

 長耳の人間は親離れできていないらしい。もしかしたら大した危機ではないのかと思えてきた。
 しかし、次の瞬間、サリアとミリナリスの右後方に居た人間が唐突に動いた。
 サリアはチョーカーを握り潰し、もう一人はミリナリスの肩を掴み後方に放り投げた。

「うっ…!」カラン

 ミリナリスが尻餅をつく。仮面が外れ素顔が露わになる。妖艶な顔に黒く長い髪をしている。整った容姿をしているが左目に眼帯をつけている。

「えっ…?」

 彼女の額から血が流れた。手を当て確認する。

「うそ…」

 全く気がついていなかったのであろう。手にべったりとついた血を見て驚愕している。

「逃げろ!足手まといだ!」

 ミリナリスを投げ出し彼は仮面を外し見覚えのある槍を『水魔法』で形成した。
 彼の正体はカイザであった。バトルロワイアルで戦った時よりも技が鮮麗され強くなっている。

「すぅー…」

 サリアは息を大きく吸い、ブレスの準備する。その最中も彼女は黒装束の集団を警戒し隅々まで観察していた。ただ、今までに見たことのない獣のような形相で彼らを睨みつけている。

 リュートもショーテルを形成して戦闘体制を取った。

ーーーーー
 体育祭開会式直前、
 カイト、アヤメ、コアの三人が観客席でリュート、サリアの二人を待っていた。待ち合わせ場所にこなかったため、先に席に着いている

「リューとリアが来ない」

 アヤメがいつまで経っても現れない二人に対して愚痴をこぼしていた。とても不服そうである。

「リュー?」

「リュート、」

「うーん、まぁ、やられたな」

 カイトは二人がどこかのクラスの強撃を受けた。と予想した。
 二人とも情報、戦力で中核を担う存在である。1日だけでも再起不能に出来ればかなりのリターンが得られる。彼らを狙うのは妥当な選択である。

「ご主人は1-5四天王圏外、居なくなったところで対して不都合はないのじゃ!」

 コアはさしてリュートを心配している様子は無い。開会式を楽しみに待っている。

「あんた達、三人だけなの?」

 彼らの元に教員のトウカが現れた。一年ニ組の担任でコアとは長年の交流がある。

「げっ…ん?トウカ、仕事はどうしたのじゃ!?」

 コアは反射的に逃げ掛けたが、辛うじて踏み止まった。
 トウカは学園長の護衛の仕事がある。
 実は学園最強のチーム全員が集まり護衛をすることになっておりちょっとした騒ぎになっている。公式に発表はないが何かあるのでは無いかと勘繰っている者も多くいた。

「私は分身よ。色々あって荒んだ結果、吸収を拒否られたの。最近、人権を手に入れたわ」

「怒ってないのじゃ?」

「私は本体とは別の人間よ。プライドは有って無い様なものよ」

 彼女はコアを退かしそこに座ると自身の膝に乗せた。

「私は、今ちょうど居ない二人に用があってきたの。あんた達はいつも五人でしょるう?だから一緒にいると思ったのだけど…居ないわね」

ーーー
「これから、開会式が始まります。それでは学園長による開会の言葉です。」

 闘技場の全体に放送が行われる。学園長が緞帳に立った時、事件が起きた。そこを青白い光の巨大な球体が襲ったのだ。

 会場のほとんどの人間が演出の一種だと気に求めていなかった。しかし、少なからず事件の重大さに気づいた者もいた。

「おい…何やってんだアイツはァァーー!!」

 トウカの分身もその一人であった。信じ難いが起きたことは事実。怒りと願望を胸に元凶の元へと走った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。 彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。 だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。 結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。 そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた! 主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。 ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...