5 / 8
5 シェルター
しおりを挟む
市場からの帰り道、ひとっこひとり居ない薄暗い小道を2人は迷いもせず歩いていた。
チラリ、ライトの明かりがちらついた。
「やべー、見回りだ!レイ逃げろ。捕まったら殺される」
2人は無我夢中で走った。
途中オレンジが1つ落ちて転がっていった。
「待って、オレンジが……」
レイがオレンジを拾おうと踵を返した。
「バカ、何やってんだ!んなもん良いからさっさと来い」
ヨハスに無理矢理腕を捕まれ引きずられるように地下シェルターに身を隠した。
「ヨハス、折角のオレンジが……」
「オレンジよりテメェの心配しろ」
状況把握の温さはレイの短所だ。最悪だったあの時、まだ3つのコイツには記憶がないせいか、危険察知能力に欠けている。
「お前って普段はそこぬけに明るい、ただの能天気だと思ってたのに、突然びっくりする位俊敏だよな」
レイの台詞に俺は呆れて言葉を失った。
「レイは20年前のことなんか覚えて無いんだよな。幸せなのは良いことだけどよ、こんな時間に出歩いていたら反抗分子扱いだ」
20年前、この国が死んだあの日、まだレイは3歳だった。
「なんで?」
「ベンハムが反抗分子だからだよ。とかく権力のある奴は自分より秀でたものを嫌う性質があってな、ベンハムの頭脳は狂気なんだ。お前は面が割れてないけど、俺は既に札付きだから、見つかりたくはないな」
知らなければばれない。俺達には守らなきゃならない種がある。
「ヨハス?」
俺はゆっくりと息を吐くと顔に笑顔を張り付けた。
「綺麗な国だったんだよ。エルモア国王の頃は、飢える国民も居ない、花が咲乱れる国を公平な国王が司っていたんだ」
ヨハスの拳は固く握られ意思のある目は遥か遠くをみていた。
「こんなうわべだけの糞みたいな国じゃなかったぜ」
【2050年12月25日まだあと3日】
チラリ、ライトの明かりがちらついた。
「やべー、見回りだ!レイ逃げろ。捕まったら殺される」
2人は無我夢中で走った。
途中オレンジが1つ落ちて転がっていった。
「待って、オレンジが……」
レイがオレンジを拾おうと踵を返した。
「バカ、何やってんだ!んなもん良いからさっさと来い」
ヨハスに無理矢理腕を捕まれ引きずられるように地下シェルターに身を隠した。
「ヨハス、折角のオレンジが……」
「オレンジよりテメェの心配しろ」
状況把握の温さはレイの短所だ。最悪だったあの時、まだ3つのコイツには記憶がないせいか、危険察知能力に欠けている。
「お前って普段はそこぬけに明るい、ただの能天気だと思ってたのに、突然びっくりする位俊敏だよな」
レイの台詞に俺は呆れて言葉を失った。
「レイは20年前のことなんか覚えて無いんだよな。幸せなのは良いことだけどよ、こんな時間に出歩いていたら反抗分子扱いだ」
20年前、この国が死んだあの日、まだレイは3歳だった。
「なんで?」
「ベンハムが反抗分子だからだよ。とかく権力のある奴は自分より秀でたものを嫌う性質があってな、ベンハムの頭脳は狂気なんだ。お前は面が割れてないけど、俺は既に札付きだから、見つかりたくはないな」
知らなければばれない。俺達には守らなきゃならない種がある。
「ヨハス?」
俺はゆっくりと息を吐くと顔に笑顔を張り付けた。
「綺麗な国だったんだよ。エルモア国王の頃は、飢える国民も居ない、花が咲乱れる国を公平な国王が司っていたんだ」
ヨハスの拳は固く握られ意思のある目は遥か遠くをみていた。
「こんなうわべだけの糞みたいな国じゃなかったぜ」
【2050年12月25日まだあと3日】
0
あなたにおすすめの小説
俺の居場所を探して
夜野
BL
小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。
そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。
そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、
このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。
シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。
遅筆なので不定期に投稿します。
初投稿です。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
拗らせ問題児は癒しの君を独占したい
結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。
一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。
補習課題のペアとして出会った二人。
セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。
身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。
期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。
これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
聖者の愛はお前だけのもの
いちみりヒビキ
BL
スパダリ聖者とツンデレ王子の王道イチャラブファンタジー。
<あらすじ>
ツンデレ王子”ユリウス”の元に、希少な男性聖者”レオンハルト”がやってきた。
ユリウスは、魔法が使えないレオンハルトを偽聖者と罵るが、心の中ではレオンハルトのことが気になって仕方ない。
意地悪なのにとても優しいレオンハルト。そして、圧倒的な拳の破壊力で、数々の難題を解決していく姿に、ユリウスは惹かれ、次第に心を許していく……。
全年齢対象。
偽りの聖者と泥の国
篠雨
BL
「感謝すら忘れた者たちに、明日を語る資格はない」
自らの都合で聖王セシルを追放し、異世界から新たな「勇者」を召喚したアドレアン聖王国。
しかし、その身勝手な選択が、国を、大地を、そして人々の心を根底から腐らせていく。
壊れゆく少年勇者と、彼を歪に愛した騎士。
二人の執着が交わったとき、聖王国は二度と再生不能な終焉へと突き進む。
裏切り者たちには、因果応報という名の、容赦なき報いが下る。
これは、傲慢な国が崩壊するまでの、無慈悲な記録。
-----------------------------------------
『嘘つき王と影の騎士』から引き続き読んでくださる皆様へ
この物語は、セシルを虐げた者たちが、ただただ因果応報の末路を辿るだけの物語です。
本編に救いはありません。
セシルたちのその後が気になるという方は、本編は飛ばして、最終話の後に掲載する「閑話」のみをお読みいただくことをお勧めいたします。
本作は『嘘つき王と影の騎士』の続編となりますが、前作をお読みでない方でも一つの物語としてお楽しみいただけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる