Seed of truth《真実の種》

赤井ちひろ

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8 反撃の狼煙をあげろ

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「ドンドン」
 扉を叩くと中から間抜けな声がした。
「ふぁ――い」
「ヨハス!早くあけて」
 鍵の開く音を確認するや否やレイはドアノブに手をかけた。
「邪魔すんぜ」
「んな朝からなんだよ」
「なんだよじゃねーよ。昨日はサンタクロースが来る日だからな……。気になって寝てねーんじゃないかと思ってよ」
「ばれたか……」
 振り返った先にいるレイを見るなり、コーヒーをいれているヨハスの手が止まった。
「まさか……」
 レイの片手には小さな長方形の袋が握られていたのをみつけたからだ。
「レイ!それぇ」
 満面の笑顔に好戦的な眼差しは、俺達の反撃の狼煙が上がったかのようにみえた。
「あちちちちっ」
 コーヒーをいれていた手からポットが離れ、足元に湯がばら蒔かれ辺り一面水浸しだ。
「んにしてくれんだよ」
「ごめーん、ちょっと手がぁ滑ったぁ。中身中身、見せてよ」 
「種だ」
「感動とかねーのぉ?感情落としてきてんじゃねーよ」
 ヨハスのおっきな猫みたいな金色の目は、真ん丸く見開かれ、レイの切れ長の目とあわさり、2人は小さくガッツポーズをとった。
「勝つぞ、レイ!テレビを見るぞ!」
 ヨハスの命令口調にレイはチラリと視線をやるが、黙ってテレビのスイッチをつけた。
「なあレイ様よ―、お前はそれで何の実をつくるつもりだ?」
「好きな実が出きるのか?」
「違うのか?」

 何の実がなるか、それはだれもわからない、ただ栄養素は心だと一時期真しやかに流れていた噂があった。

「国営放送を見よう」

「シロエ呼んできていいか?」
「あ?まあ、いいけど……」
 ヨハスの部屋を出て階段を一階ぶん上に上がる。
 地下シェルターはいりくんだ設計になっていて見つからないように最新の注意が払われており、最悪分断出きるようになっていた。
 ベンハムのいる最下層は余程の事が無い限り鍵が開く事はなく、レイが大人になってからは年に数度顔を見る程度であった。
 シロエはベンハムとの合言葉を知っていて、たまに最下層からあがってくるが、消して内情を漏らすことはなく、また合言葉をレイに教えてくれる事はなかった。
「シロエ……?」
 あたりはシーンと静まり返りこの部屋でも国営放送のチャンネルがついていた。

「シャワーかな……」
 レイはシャワー室の方に足を運び、水音が聞こえてくるほうに歩を進めた。
「………………です。……っています」
 誰かと喋ってる?シャワー室で?

 ガタン!
 レイは足元に転がっていたボトルにつまづき壁に手をついた。
「誰だ!」
 シャワー室があきコックを捻り水を止めた。
 
  
 

 

 
 
 
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