冒険恋愛小説ドキュメンタリー “エメラルド王、勇者の愛”

Eishi_Hayata

文字の大きさ
11 / 15

第11話 プロポーズ、結婚

しおりを挟む
医学部の授業に出席するようになってから、クラスの女生徒とも友達になって彼女らのうちへ招かれたこともあった。

それをアウレリアに話すと、彼女は少なからず嫉妬の面持ちで、

「そのうち恋人同しになりそうね」

「そんなことは絶対ないよ、僕はあなた以外の女性には全く興味ない。あなたと結婚すると決めているんだ」

と、はからずもそれがプロポーズの発端となった。

彼女のはにかんだ顔が紅潮し、まるで僕の言葉の真偽を確かめるみたいにうつむき加減に僕の胸元を見ている。

「本当にあなたを愛している。あなたなしでは僕のこれからの人生は考えられない。高校の卒業を待って結婚しよう」

心臓の鼓動の高まりを意識しながら精いっぱい感情を込めて、遂にプロポーズをなした。

彼女はほほ笑みながらゆっくりうなずくと、彼女の可憐な唇をすぼめてキスの返答を返した。

僕は天にも駆け登った境地で彼女の唇と僕のを愛おしく重ね合わせた。

それからのデイトはいつもになく熱く盛り上がり、愛情に溢れた抱擁と接吻が繰り返された。

運良くムスタングを持っていたのでデイトには事欠かなかった。

全てがお膳立てされているようなものである。

もはや言葉は不要で、互いに愛し合い、信頼して求め合う二人だけの世界がそこにあった。

そういう熱い関係の日々を重ね互いの愛情が頂点に達した頃、僕らは愛車のムスタングをアセリ村の丘の上に停めて夕陽に染まる眼下のサンホセ市街地を眺めていた。

薄闇に支配された街筋は灯の明かりに煌めき、空にはまだかすかな青みが残り明るい星が瞬き始めていた。

残照が広大な空に浮かぶ雲間を赤く染めいつもにも増してロマンチックなムードが漂っていた。

周りの草藪からはすだく虫の調べが僕
らを煽り立てるように響いていた。もう何が起こっても自然な成り行きに見えた。

僕は助手席のアウレリアの肩を静かに抱き寄せ、頬を寄せ合い唇を重ねた。

長く熱い接吻の後、濡れた唇を彼女の頬に添って耳たぶへずらし熱い吐息とともに囁いた。

「アウレリア、あなたをとても愛している。今日はあなたを僕のものにしたい」

彼女は何も言わないで微笑み返したが、間をおいて、

「いいわ..でも他の誰のところにもいかないでね」

「約束するよ.. あなた以外には興味ない..じゃー後ろの座席に移ろうか]

移動してバックシートに横たわったアウレリアの上に、僕はそうっと重なり合った。

彼女のブラウスのボタンを外して内側に手を這わせ、彼女の柔らかい肌に初めて触れた。
震える指がブラジャーの下側に潜り込み隆起した乳房と可憐な乳首を掴んだ。

もはや突きあげる激情に身も心も燃え上がり、素早く双方のジーンズを下ろすと、右手を彼女の下腹部へと滑り込ませた。

柔らかい陰毛に触れると、後は本能のおもむくまま、彼女の股間の中に深く沈んでいった。

とてつもない陶酔感に覆われ快楽の絶頂に駆け上った。

そして愛の行為がすべてが終わった後、

- - - 今度こそは彼女と一生、共に、決して彼女を手放すまい- - -

と強く心に誓った。

この愛の契りを境にアウレリアとの関係は互いに精神的にも安定し、前に増して愛情深く感情豊かな日々が続いた。

しかし間もなく、覚悟していたとはいえ激変が起こった。

アウレリアが妊娠したのだ。

厳格な家族の中で彼女の立場が損なわれる事だけは絶対に避けなければならなかった。

状況に備えなえようと、彼女と相談して計画を練った。

アウレリアはまずお母さんに打ち明けた。

「ママ、私たちとても愛し合っているの、それで...ついに身籠もっちゃった、ゴメンね」

「いいのよ、それでどうするの?」

気さくな母親のグロリアは優しく恥じらう娘の顔を覗き込んだ。

「前にパパやママにも言ったように結婚の申し込みはとっくにあるの。結婚式は私が高校を卒業したらすぐにいいかしらママ?」

「そろそろお腹が大きくなり始める頃ね。それでは私はさっそくデサンパラドスの教会の神父さんに結婚式のミサのお願いに行かなきゃ。パパには私からよく言っておくから心配しなくともいいよ」

「本当にありがとう、ママ」

彼女からその報告を聞いた翌日改めて僕は両親の前に進み出てアウレリアとの結婚の承諾を願った。

娘を信じ承諾してくれたヘルマンとグロリアに心から感謝した。

この三ヶ月後に僕とアウレリアは神聖な教会の祭壇で神父立会いものとに結婚を宣誓した。

カトリックでの結婚はバチカンの法王の元へ届け出が行き、離婚したら二度とカットリック教会での挙式は許されない。

ということはカトリックでは離婚を反道徳的とみなして、禁止しているのである。

披露宴は質素なものであったが、出席してくれた親戚や友人たちから暖かい祝福を受けた。

こうして地球の裏側へ七回半も周回した世紀の恋はやっと実を結んだが、これから待ち受ける難題は僕の人生を右往左往させるものとなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

すべてはあなたの為だった~狂愛~

矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。 愛しているのは君だけ…。 大切なのも君だけ…。 『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』 ※設定はゆるいです。 ※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...