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#4 残念な婚約者ですが何か?
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「疲れたー!!!!」
ルナはベッドへとダイブする。午前中は読み書きの勉強。最初は絵本から入って次第に難しい本を読んでいく。そんなに焦らなくても、と家庭教師から言われるが悠長にはしていられない。
その後は貴族のマナー講座。膝を少し折って…とかスカートは少し摘まんで、とか。こんなの足プルプルするに決まってるわ。むしろ慣れない姿勢で足が吊って痛さのあまり、のたうち回って大惨事だわ。
「えっと、この後はお金の種類についての常識と…あと何だっけ。まぁ取り敢えず家庭教師の時間が来るまでダラダラしよ…って、そんなダラダラする時間無いわ!レベルアップの方法を考えないと!」
シャキッと立ち上がるとルナは思考を巡らせる。
そもそもレベルアップとは、どうやるのか?やっぱり魔物を倒さないとダメなんだろうな。
と言うか、そもそもレベルアップしたっていうのはどうやって分かるのか?
ステータスとか見れる方法とかあるのかな?
そんな事を考えていると聞き慣れた声が頭に響いた。
ああ、忘れてた。ステータスだけど勿論確認出来るよ。
…本当にいつも見てるのね。
まぁね?暇だし。取り敢えず時間もないから手短に。ステータスオープンと念じれば頭の中に浮かんでくるから。
所で何で姿を現さないの?
こういう役割りはミステリアスな方がカッコいいでしょ?
ああ、うん、私が悪かった。
ゴホン…と、まぁステータスの確認は出来る。後はレベルアップだけど、魔物を倒して手に入れた経験値でHPやMP等が上がってくよ。基本能力が上がると思えばいい。
じゃあ上位魔法を習得するにはどうするのか?それは何度も魔法を使う事。スキルもそう。何度も使う事で練度が上がって、いずれ上位魔法も習得出来るようになる。
なるほど。それなら部屋で魔法の練習をしたり常に隠密のスキルを発動させておけば練度が上がってレイト様を振り切れる…と。
まぁ多分それは無理だろうけど…
は?何で?レイト様より練度を上げれば見つからないって事でしょう?
まぁそこら辺は後々ね。気が向いたら教えてあげる。それじゃ。
あ!ちょっと待って…
あんのやろぉー!!とまた口が悪くなる。でも仕方ないわ。肝心な事は教えてくれないし。やっぱりレイト様には何かありそう…早くここから逃げないと。
「えーっと、取り敢えず気配を消して…それと同時に何か魔法…回復系を上位にあげたい。でも怪我もしていないのに使えるのかな?」
何かいい案は無いかと部屋を見渡すと、花瓶にほんの少し萎れてきた花が生けられているのが目についた。物は試しと回復をかけてみると…
「萎れていた花が…元気になった」
まさか植物にまで使えるとは思っていなかった。これなら城を歩き回って植物を回復させていけば練度も上がる。
「そう言えばMPはどれ位減るんだろう」
そう思ってステータスをオープンさせると
「な…なにこれ…」
ルナ(神崎瑠菜 守秘により改竄されています)
18歳 女性
HP 200/200
MP 299/300 (999999/1000000)守秘により改竄されています
取得魔法***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
取得スキル 隠密/初級
いやいやいや、ちょっと待って。確かにMPは多目に設定してと頼んだけどこれは多すぎでしょ!?
しかも改竄されていますってなにこれ!!?
「多分…私のステータスは他人に見られたら、かなりヤバイから見えないようにしてくれた…と思えばいいのかしら。って事はレイト様には初級の隠密スキルしか知られていない…と。」
何とか魔法を駆使すれば逃げれる可能性もあるって事よね。それなら風魔法を上位までアップさせて空を飛んで逃げる…これだわ!!
回復させられる物が無い時は風魔法で、そよ風でも出して回復させられる物があれば回復をさせる。
よし。これで行こう。早速隠密で歩きながら回復出来る物を探して歩こう。次の家庭教師が来るまでまだ時間はある。善は急げだ。
ルナは足取り軽くドアを開けると城の探索を兼ねて歩き出す。
やはり誰もルナの存在には気付かない。見回りの兵士や侍女の働く姿を見れば、この国がどれだけ良い国なのかが伺い知れる。皆生き生きと働いている。
国王も優しそうな雰囲気で最初は婚約話に戸惑いを見せていた。少し言葉は悪いが結局は許可を出してしまう位のお人好しだ。
素性も分からないのに婚約者として認めてしまうのは、国のトップとしては如何なものかとルナは思うのだが。
目についた植物に回復魔法を、何もなければそよ風を発生させながら立ち入り禁止以外の場所を散歩する。
時折ステータスを確認するが、この程度では練度は上がりにくいみたいだ。
「焦ってバレたら元も子もない。気長にいかないとね」
グルリと一周する頃には次の家庭教師の時間が迫っていた。
鼻歌を歌いながらルナは自室へと戻る。外見は誰もが振り返る美少女だ。しかし中身は28歳独身、面倒くさがりな女性だ。
外見と内面のギャップは凄まじく、ルナは所謂残念な美少女のカテゴリーに分類された。
最も本人はその事に全く気付いていないのだが。
家庭教師の先生は先程読み書きを教えてくれた先生と同じだ。この人が専属で教えてくれるっぽい。この国のお金は日本とは違って紙幣は無く貨幣のみだ。これなら覚えるのはそんなに苦労はしなそうだ。
大まかに4種類、プラチナ・金・銀・銅貨。ここから更に大きさで価値が違ってくる。小銅貨は日本円で10円、中銅貨は100円、大銅貨は500円。
小銀貨は1000円、中銀貨は5000円、大銀貨は1万円。
小金貨は5万円、中金貨は10万円、大金貨は50万円。
小プラチナは100万円、中プラチナは500万円、大プラチナは1000万円。
私に縁があるのは精々小金貨あたりまでかな。思ったより複雑ではないのですぐに覚えられる事が出来た。
「流石王子が選ばれた方ですね。本日の予定より時間が余ってしまいましたので、明日行う予定だったダンスの練習をしましょうか」
「え、ダンスも覚えなくてはいけないのですか?」
「勿論、淑女の嗜みですから。婚約御披露目まであと2ヶ月。時間はいくらあっても足りませんからね」
「は…?婚約御披露目?」
ち…ちょっと待てー!!!!聞いてない!聞いてないないよ!?どうしてそんな話になっているの!?
しかも2ヶ月後とか…あからさまに外堀を埋めていってるよね!?御披露目なんかされたら逃げる所の騒ぎじゃなくなる。
冷や汗ダラダラのルナに構わず家庭教師の女性はニッコリと、それでいて強制的にルナにダンスを教え始める。
「ルナ様、集中して下さい。キチンと踊れるようにならないと王子の評判に関わりますから。周辺各国から主要人物をお招きしての御披露目、この国の威厳に関わるのですよ?」
然り気無くプレッシャーかけてきますね…ってそんな事を言ってる場合じゃない。御披露目まであと2ヶ月。しかも周辺各国の人物を招いて…って。これはかなりマズイ。私の姿を見られたら逃げた所ですぐに見つかってしまう。黒髪にした事をこれ程後悔するとは…
「あの…周辺各国の方に招待状を送るのはいつ頃になるのですか?」
「そうねぇ、ルナ様の作法の進捗状況にもよるけれど、最悪1ヶ月前には送ります。作法を覚えるのが早ければもう少し早く出す予定です。だからルナ様、頑張って下さいね」
あ、これ私ダメっ子を演じて招待状を送るのを引き伸ばさないと…
そこから数日、私はダメっ子を演じて、すっかり出来の悪い婚約者として侍女やら兵士から生暖かな目で見られている。別にいいんだけどね。レイト様は忙しいのか姿を見ない。
さて、今日は試したい事があって少し緊張している。あの男の子が言っていた、自分よりレベルが高いから見つかる…という件。
と、言う事は周りの兵士は隠密スキルを持っていないか、もしくは持っていても私より練度が低いか。そう考えられる。
それなら立ち入り禁止付近に居る兵士ならレベルや練度が高いのでは?今の私の隠密スキルがどの程度なのかを確認する為に、敢えて立ち入り禁止付近へと散歩をする事にした。
ステータスで見る限りは隠密は初級のまま。でもここ数日ずっとスキルを使ってたから、前よりは練度は上がっているとは思うんだよなぁ。
ルナはコッソリと立ち入り禁止エリアを遠くから覗いてみる。廊下には二人の兵士か立っていて先に進むには偉い人の許可が必要だ。
何気なく通ってみて、止められたら道に迷ったとでも言えば大丈夫かな。残念な婚約者という噂は広まっているだろうし。こいつなら迷いかねないと思われるでしょう。
少し緊張しながら兵士の方へと歩いていく。
兵士が気付くであろう距離まで進んだが一向にこちらに気付いていない。緊張で心臓が痛くなるが、何とか気持ちを奮い起たせ歩く。
ついには立ち入り禁止エリアの中へと足を踏み入れた。
入れた!!!ドッドッと心臓が痛いくらいに跳ねる。そのまま真っ直ぐ歩いていく。どこまでバレずに行けるのか?そう考えていた時
「止まれ」
後ろからルナの首筋にピタリと冷たい物が当てられる。チクリと痛みが走る。どうやら少しだけ切れたみたいだ。その事から首筋に当てられたのは剣だと察する。
「あ…あの…」
恐る恐る声を出すルナ。
「手を上げてこちらへ振り向け」
素直に手を上げてからゆっくりと振り返る。そこには険しい顔をした兵士が剣をルナに向けたま立っていた。
あ、これはそこら辺に居る兵士とは違う。
瞬時に理解するルナ。何故そう思うのかって?
その理由は目の前の兵士が、これまたイケメンだからだ。こういうイケメンって物語に出てくるなら主要人物の括りに入るよね。私の気配に気付く位だし。
ライトブラウンの髪の毛はサラサラで少し前髪が長い。戦うのに邪魔じゃないですか?と聞きたい位だ。
瞳も同じくライトブラウン。切れ長でレイト様の優しそうな瞳と対照的に冷たい感じがする。そんな事をぼんやりと考えていると先程より更に剣先が首筋に押し当てられる。
ツゥっと流れる血液。ああ、ドレスが汚れてしまう。
「此処で何をしている?」
「え…っとあの、ここは何処ですか?私、道に迷ってしまって…」
「道に迷った?気配を消しながらか?」
うっ…鋭いですね。そうだよ、よくよく考えたら気配消しながら道に迷ったとか怪しさ大爆発ですよね。さて、どうやって言い訳をしようか…
ルナは困ったような表情を浮かべたのだった。
ルナはベッドへとダイブする。午前中は読み書きの勉強。最初は絵本から入って次第に難しい本を読んでいく。そんなに焦らなくても、と家庭教師から言われるが悠長にはしていられない。
その後は貴族のマナー講座。膝を少し折って…とかスカートは少し摘まんで、とか。こんなの足プルプルするに決まってるわ。むしろ慣れない姿勢で足が吊って痛さのあまり、のたうち回って大惨事だわ。
「えっと、この後はお金の種類についての常識と…あと何だっけ。まぁ取り敢えず家庭教師の時間が来るまでダラダラしよ…って、そんなダラダラする時間無いわ!レベルアップの方法を考えないと!」
シャキッと立ち上がるとルナは思考を巡らせる。
そもそもレベルアップとは、どうやるのか?やっぱり魔物を倒さないとダメなんだろうな。
と言うか、そもそもレベルアップしたっていうのはどうやって分かるのか?
ステータスとか見れる方法とかあるのかな?
そんな事を考えていると聞き慣れた声が頭に響いた。
ああ、忘れてた。ステータスだけど勿論確認出来るよ。
…本当にいつも見てるのね。
まぁね?暇だし。取り敢えず時間もないから手短に。ステータスオープンと念じれば頭の中に浮かんでくるから。
所で何で姿を現さないの?
こういう役割りはミステリアスな方がカッコいいでしょ?
ああ、うん、私が悪かった。
ゴホン…と、まぁステータスの確認は出来る。後はレベルアップだけど、魔物を倒して手に入れた経験値でHPやMP等が上がってくよ。基本能力が上がると思えばいい。
じゃあ上位魔法を習得するにはどうするのか?それは何度も魔法を使う事。スキルもそう。何度も使う事で練度が上がって、いずれ上位魔法も習得出来るようになる。
なるほど。それなら部屋で魔法の練習をしたり常に隠密のスキルを発動させておけば練度が上がってレイト様を振り切れる…と。
まぁ多分それは無理だろうけど…
は?何で?レイト様より練度を上げれば見つからないって事でしょう?
まぁそこら辺は後々ね。気が向いたら教えてあげる。それじゃ。
あ!ちょっと待って…
あんのやろぉー!!とまた口が悪くなる。でも仕方ないわ。肝心な事は教えてくれないし。やっぱりレイト様には何かありそう…早くここから逃げないと。
「えーっと、取り敢えず気配を消して…それと同時に何か魔法…回復系を上位にあげたい。でも怪我もしていないのに使えるのかな?」
何かいい案は無いかと部屋を見渡すと、花瓶にほんの少し萎れてきた花が生けられているのが目についた。物は試しと回復をかけてみると…
「萎れていた花が…元気になった」
まさか植物にまで使えるとは思っていなかった。これなら城を歩き回って植物を回復させていけば練度も上がる。
「そう言えばMPはどれ位減るんだろう」
そう思ってステータスをオープンさせると
「な…なにこれ…」
ルナ(神崎瑠菜 守秘により改竄されています)
18歳 女性
HP 200/200
MP 299/300 (999999/1000000)守秘により改竄されています
取得魔法***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
***守秘により改竄されています
取得スキル 隠密/初級
いやいやいや、ちょっと待って。確かにMPは多目に設定してと頼んだけどこれは多すぎでしょ!?
しかも改竄されていますってなにこれ!!?
「多分…私のステータスは他人に見られたら、かなりヤバイから見えないようにしてくれた…と思えばいいのかしら。って事はレイト様には初級の隠密スキルしか知られていない…と。」
何とか魔法を駆使すれば逃げれる可能性もあるって事よね。それなら風魔法を上位までアップさせて空を飛んで逃げる…これだわ!!
回復させられる物が無い時は風魔法で、そよ風でも出して回復させられる物があれば回復をさせる。
よし。これで行こう。早速隠密で歩きながら回復出来る物を探して歩こう。次の家庭教師が来るまでまだ時間はある。善は急げだ。
ルナは足取り軽くドアを開けると城の探索を兼ねて歩き出す。
やはり誰もルナの存在には気付かない。見回りの兵士や侍女の働く姿を見れば、この国がどれだけ良い国なのかが伺い知れる。皆生き生きと働いている。
国王も優しそうな雰囲気で最初は婚約話に戸惑いを見せていた。少し言葉は悪いが結局は許可を出してしまう位のお人好しだ。
素性も分からないのに婚約者として認めてしまうのは、国のトップとしては如何なものかとルナは思うのだが。
目についた植物に回復魔法を、何もなければそよ風を発生させながら立ち入り禁止以外の場所を散歩する。
時折ステータスを確認するが、この程度では練度は上がりにくいみたいだ。
「焦ってバレたら元も子もない。気長にいかないとね」
グルリと一周する頃には次の家庭教師の時間が迫っていた。
鼻歌を歌いながらルナは自室へと戻る。外見は誰もが振り返る美少女だ。しかし中身は28歳独身、面倒くさがりな女性だ。
外見と内面のギャップは凄まじく、ルナは所謂残念な美少女のカテゴリーに分類された。
最も本人はその事に全く気付いていないのだが。
家庭教師の先生は先程読み書きを教えてくれた先生と同じだ。この人が専属で教えてくれるっぽい。この国のお金は日本とは違って紙幣は無く貨幣のみだ。これなら覚えるのはそんなに苦労はしなそうだ。
大まかに4種類、プラチナ・金・銀・銅貨。ここから更に大きさで価値が違ってくる。小銅貨は日本円で10円、中銅貨は100円、大銅貨は500円。
小銀貨は1000円、中銀貨は5000円、大銀貨は1万円。
小金貨は5万円、中金貨は10万円、大金貨は50万円。
小プラチナは100万円、中プラチナは500万円、大プラチナは1000万円。
私に縁があるのは精々小金貨あたりまでかな。思ったより複雑ではないのですぐに覚えられる事が出来た。
「流石王子が選ばれた方ですね。本日の予定より時間が余ってしまいましたので、明日行う予定だったダンスの練習をしましょうか」
「え、ダンスも覚えなくてはいけないのですか?」
「勿論、淑女の嗜みですから。婚約御披露目まであと2ヶ月。時間はいくらあっても足りませんからね」
「は…?婚約御披露目?」
ち…ちょっと待てー!!!!聞いてない!聞いてないないよ!?どうしてそんな話になっているの!?
しかも2ヶ月後とか…あからさまに外堀を埋めていってるよね!?御披露目なんかされたら逃げる所の騒ぎじゃなくなる。
冷や汗ダラダラのルナに構わず家庭教師の女性はニッコリと、それでいて強制的にルナにダンスを教え始める。
「ルナ様、集中して下さい。キチンと踊れるようにならないと王子の評判に関わりますから。周辺各国から主要人物をお招きしての御披露目、この国の威厳に関わるのですよ?」
然り気無くプレッシャーかけてきますね…ってそんな事を言ってる場合じゃない。御披露目まであと2ヶ月。しかも周辺各国の人物を招いて…って。これはかなりマズイ。私の姿を見られたら逃げた所ですぐに見つかってしまう。黒髪にした事をこれ程後悔するとは…
「あの…周辺各国の方に招待状を送るのはいつ頃になるのですか?」
「そうねぇ、ルナ様の作法の進捗状況にもよるけれど、最悪1ヶ月前には送ります。作法を覚えるのが早ければもう少し早く出す予定です。だからルナ様、頑張って下さいね」
あ、これ私ダメっ子を演じて招待状を送るのを引き伸ばさないと…
そこから数日、私はダメっ子を演じて、すっかり出来の悪い婚約者として侍女やら兵士から生暖かな目で見られている。別にいいんだけどね。レイト様は忙しいのか姿を見ない。
さて、今日は試したい事があって少し緊張している。あの男の子が言っていた、自分よりレベルが高いから見つかる…という件。
と、言う事は周りの兵士は隠密スキルを持っていないか、もしくは持っていても私より練度が低いか。そう考えられる。
それなら立ち入り禁止付近に居る兵士ならレベルや練度が高いのでは?今の私の隠密スキルがどの程度なのかを確認する為に、敢えて立ち入り禁止付近へと散歩をする事にした。
ステータスで見る限りは隠密は初級のまま。でもここ数日ずっとスキルを使ってたから、前よりは練度は上がっているとは思うんだよなぁ。
ルナはコッソリと立ち入り禁止エリアを遠くから覗いてみる。廊下には二人の兵士か立っていて先に進むには偉い人の許可が必要だ。
何気なく通ってみて、止められたら道に迷ったとでも言えば大丈夫かな。残念な婚約者という噂は広まっているだろうし。こいつなら迷いかねないと思われるでしょう。
少し緊張しながら兵士の方へと歩いていく。
兵士が気付くであろう距離まで進んだが一向にこちらに気付いていない。緊張で心臓が痛くなるが、何とか気持ちを奮い起たせ歩く。
ついには立ち入り禁止エリアの中へと足を踏み入れた。
入れた!!!ドッドッと心臓が痛いくらいに跳ねる。そのまま真っ直ぐ歩いていく。どこまでバレずに行けるのか?そう考えていた時
「止まれ」
後ろからルナの首筋にピタリと冷たい物が当てられる。チクリと痛みが走る。どうやら少しだけ切れたみたいだ。その事から首筋に当てられたのは剣だと察する。
「あ…あの…」
恐る恐る声を出すルナ。
「手を上げてこちらへ振り向け」
素直に手を上げてからゆっくりと振り返る。そこには険しい顔をした兵士が剣をルナに向けたま立っていた。
あ、これはそこら辺に居る兵士とは違う。
瞬時に理解するルナ。何故そう思うのかって?
その理由は目の前の兵士が、これまたイケメンだからだ。こういうイケメンって物語に出てくるなら主要人物の括りに入るよね。私の気配に気付く位だし。
ライトブラウンの髪の毛はサラサラで少し前髪が長い。戦うのに邪魔じゃないですか?と聞きたい位だ。
瞳も同じくライトブラウン。切れ長でレイト様の優しそうな瞳と対照的に冷たい感じがする。そんな事をぼんやりと考えていると先程より更に剣先が首筋に押し当てられる。
ツゥっと流れる血液。ああ、ドレスが汚れてしまう。
「此処で何をしている?」
「え…っとあの、ここは何処ですか?私、道に迷ってしまって…」
「道に迷った?気配を消しながらか?」
うっ…鋭いですね。そうだよ、よくよく考えたら気配消しながら道に迷ったとか怪しさ大爆発ですよね。さて、どうやって言い訳をしようか…
ルナは困ったような表情を浮かべたのだった。
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