14 / 25
#14 少しは距離が縮んだ気がします。
しおりを挟む
サース火山の中腹から頂上へと進む。勿論途中に遭遇した魔物はキッチリ仕留めてアイテムボックスへと収納する。
下山する時間を考えると昼迄には頂上に辿り着いてヘルハウンドを狩らなければならない。なので素材の剥ぎ取りは後回しだ。
頂上に近付くにつれて熱気が強くなる。そこかしこから、硫黄の匂いと湯気が立ち込めていた。
「かなり…熱いですね」
ルナはハァハァと息を切らす。この熱さでの登山はかなりの体力を消費する。ルナ程ではないがクロード、ジェイクもかなりキツそうだ。
「ヘルハウンド自体はそこまで強くはない。ただこの環境下で何の問題もなく動けるからこその強さなんだ」
ジェイクの説明に成る程、とルナは納得する。この熱さでは思うように体が動かない。
地球に居た時は暑い時はクーラーを付けてベッドで転がりながらゲームをしたっけ…そんな事を思い出す。
「クーラー…いや、吹雪をずっと起こすには魔力の無駄だし発動中は多分他の魔法は使えない」
う~ん、と考えて閃いた。
「冷えピタだ!!」
ルナはそう言うとイメージする。体中を被うように薄い水の膜を張る。体に密着させると呼吸が出来ないから少しだけ隙間を開けて膜を作成。その膜の中に氷の塊を何個も入れる。
これですぐには水の膜は熱くならないハズだ。氷には魔力を籠めて溶けにくく、なおかつかなり冷たくなるようにする。
「うん!熱くない!」
ルナの魔法にクロードとジェイクは呆然とする。
それもその筈だ。ルナの魔法は見た事もない魔法だからだ。
この世界での常識を逸脱している。そもそも風魔法で速度を強化するなんて魔法は存在しない。
目の前で展開された水魔法も存在しない。
「なぁ、クロード。この女は何者なんだ」
「レイト様の想い人…ですね」
2人のやり取りに気付かずルナは成功した魔法に喜ぶ。さっそくクロードとジェイクにも魔法をかけると、2人から感謝された。
「すまない」
「助かる」
「やだ、2人共素直すぎて気味が悪い」
そう言ったルナの頭にジェイクの拳骨が落とされた。
頂上付近まで行くと気配を察知する。この気配はかなり大きい。これがヘルハウンドか。
ルナはゴクリと喉を鳴らす。今までで一番の強敵に緊張が走る。
ヘルハウンドの体は赤黒く、体の大きさはそこまで大きくはない。けれど醸し出しているオーラからは強者の貫禄がある。サース火山での頂点に君臨しているのだろう。
「俺は前衛で致命傷を狙う。ルナは魔法で援護してくれ。クロード、お前はルナを守りながら牽制だ」
「分かりました」
「ああ、ジェイクも気を付けろよ。ヘルハウンドの炎を喰らったら、ただじゃ済まないからな」
ジェイクはヘルハウンドの後ろから斬りかかる。すかさずルナは風魔法でジェイクの移動速度を速くさせた。
クロードはヘルハウンドの動きを見ながらルナの前をキープするように動く。
「ジェイクさん、氷柱でヘルハウンドを狙います!」
「ああ!頼む!」
ルナは地面から氷柱が生えるイメージをする。するとガッと地面から太い氷柱が生えてきた。
しかしヘルハウンドはそれをすれすれで躱す。避ける方向を予測したジェイクはヘルハウンドへと斬りかかる。
追い討ちでクロードは土魔法を発動させヘルハウンドの足を地面と固定させた。
「ジェイク!いまだ!!」
「うぉぉぉ!!!」
閃光烈火の如く鋭い太刀がヘルハウンドの首にかかる。ザンッ!という音と共にヘルハウンドの首は転げ落ちた。
「ふぅ…何とかなったか」
ジェイクはヘルハウンドの首を持ち上げる。すると、カッ!と目を見開いたヘルハウンドは口から炎を吐き出した。
「ジェイクさん!!」
「ジェイク!!」
思わず目を瞑るルナ。恐る恐る目を開けると、そこには無傷のジェイクが立っていた。
「お前の水魔法…規格外すぎだろ」
ルナの水魔法で作られた膜によって炎を中和され難を逃れたジェイクは呆れたように、けれど笑ってルナの元へと行くとルナの頭をグシャグシャと撫でたのだった。
ヘルハウンドが落とした魔石は、まるで真っ赤なルビーのようで艶めき眩い光を放っている。大きさはは手の平よりほんの少しだけ小さい。
「この大きさの魔石は中々市場には出ないですね」
「ああ。俺も久々にこのサイズを見た」
クロードとジェイクは魔石を覗き込むと感嘆の声を上げる。
「こんな立派な魔石を武器でも防具にでも使う訳じゃなく調理器具に使うのか…」
ジェイクの呟きにクロードも苦笑する。
「レイト様の想い人は色々規格外すぎて我々の考える先を行ってますね」
そんなクロードの呟きにジェイクも苦笑した。
「クロードさーん!ジェイクさーん!ヘルハウンドの剥ぎ取りも町に戻ってからにしましょう!」
ルナの言葉に、はいはいと頷くと二人は町へ戻る支度をするのだった。
ギルドのテーブルを借りて三人は今回手に入れた魔石の振り分けをする。
ルナはまず、二人へ中銀貨を5枚ずつ渡す。
そして袋からドサッと大量の魔石を取り出した。
「別に俺らはレイト様からあんたを守るように言われてるんだから魔石はあんたが独り占めしていいんだぜ?」
ジェイクの言葉にクロードも同意する。
「そんな訳にはいかないですよ。例えレイト様からの指示だとしても、今回のヘルハウンド討伐は私がお二人に頼んだのですから。こういう事はキッチリしておかないと、また次があった時に頼みにくくなりますからね」
ニッコリと笑うルナに二人は顔を見合わせる。
「成る程。クロードから聞いてはいたが、したたかな女だ」
「お褒め頂き光栄です」
魔石の分配はヘルハウンドの素材と魔石はルナへ。その他の比較的大きい魔石はクロードとジェイクが二人で分ける。
残りの小さな魔石と魔物の皮はルナの分になった。
「そんな小さな魔石だけではあまりお金にならないですよ?」
クロードの問い掛けにルナはニンマリと笑う。
「これはお金にかえるんじゃないです。後でのお楽しみです」
その日は解散し、後日コンロが完成したらバーベキューをする事に。
ルナは足取り軽く武器屋のレヴィンの元へと急ぐ。
「レヴィンさーん!!魔石ゲットしましたよーー!!」
バターンとドアを開けて飛び込む。
「おう、嬢ちゃん無事だったか!」
「はい!これで大丈夫ですか?」
「おい…こんな大きさの魔石何処で手に入れた!?」
「サース火山に居たヘルハウンドを狩ってきました!あ、ちゃんと護衛二人つけたので安心して下さい」
「はぁ…もう何も言わん!!」
呆れたように言うレヴィン。ルナから魔石を預かるとコンロへと埋め込む。
「予想より大きかったな。少しコンロを削りたいから待っててくれ」
「分かりました~!」
「釜戸は出来てるから暇なら確認しておいてくれ」
レヴィンはそう言うとクイ、と親指を釜戸へと向ける。ルナは目を輝かせて釜戸へと駆け寄った。
「うわー!うわー!凄い!燻製もちゃんと出来るようになってる!燻製させる食品を吊るせるように先端はフックになってるし、下段の鉄板にはぶつからないようになってる!!流石職人!」
「褒めたって何も出ねぇからな?」
カーンカーンと音を立てながらコンロを調整していくレヴィン。少し待つとコンロを持ってレヴィンがルナの元へとやってきた。
「折り畳んで足を収納出来るようにしてある。コンロ周りの風避けも畳めるからそんなに嵩張らないだろ。あとは持ち運び出来るよう取手もつけてる」
コンロの背面には真っ赤に輝く魔石が埋め込まれている。
「火をつけてみてもいい?」
「ああ、試してみてくれ」
ルナがコンロのスイッチを捻るとカチカチカチ…と音がして、その次にボッ!!と火が着いた。
スイッチで火力調節も出来る優れものだ。
「うわー!これ!!これです!想像した通りのコンロです!!」
特注品の金額はコンロと釜戸合わせて小金貨1枚。
痛い出費だがレヴィンの腕は確かだし、これからもお世話になるだろうから値切ったりはしない。
ヘルハウンドの素材と他の魔物の素材を売ったので懐はまだ余裕がある。
「よし!明日はバーベキューの食材を買いに行かないと!」
ルナは明日の買い物を楽しみに思いながら宿へと向かうのだった。
下山する時間を考えると昼迄には頂上に辿り着いてヘルハウンドを狩らなければならない。なので素材の剥ぎ取りは後回しだ。
頂上に近付くにつれて熱気が強くなる。そこかしこから、硫黄の匂いと湯気が立ち込めていた。
「かなり…熱いですね」
ルナはハァハァと息を切らす。この熱さでの登山はかなりの体力を消費する。ルナ程ではないがクロード、ジェイクもかなりキツそうだ。
「ヘルハウンド自体はそこまで強くはない。ただこの環境下で何の問題もなく動けるからこその強さなんだ」
ジェイクの説明に成る程、とルナは納得する。この熱さでは思うように体が動かない。
地球に居た時は暑い時はクーラーを付けてベッドで転がりながらゲームをしたっけ…そんな事を思い出す。
「クーラー…いや、吹雪をずっと起こすには魔力の無駄だし発動中は多分他の魔法は使えない」
う~ん、と考えて閃いた。
「冷えピタだ!!」
ルナはそう言うとイメージする。体中を被うように薄い水の膜を張る。体に密着させると呼吸が出来ないから少しだけ隙間を開けて膜を作成。その膜の中に氷の塊を何個も入れる。
これですぐには水の膜は熱くならないハズだ。氷には魔力を籠めて溶けにくく、なおかつかなり冷たくなるようにする。
「うん!熱くない!」
ルナの魔法にクロードとジェイクは呆然とする。
それもその筈だ。ルナの魔法は見た事もない魔法だからだ。
この世界での常識を逸脱している。そもそも風魔法で速度を強化するなんて魔法は存在しない。
目の前で展開された水魔法も存在しない。
「なぁ、クロード。この女は何者なんだ」
「レイト様の想い人…ですね」
2人のやり取りに気付かずルナは成功した魔法に喜ぶ。さっそくクロードとジェイクにも魔法をかけると、2人から感謝された。
「すまない」
「助かる」
「やだ、2人共素直すぎて気味が悪い」
そう言ったルナの頭にジェイクの拳骨が落とされた。
頂上付近まで行くと気配を察知する。この気配はかなり大きい。これがヘルハウンドか。
ルナはゴクリと喉を鳴らす。今までで一番の強敵に緊張が走る。
ヘルハウンドの体は赤黒く、体の大きさはそこまで大きくはない。けれど醸し出しているオーラからは強者の貫禄がある。サース火山での頂点に君臨しているのだろう。
「俺は前衛で致命傷を狙う。ルナは魔法で援護してくれ。クロード、お前はルナを守りながら牽制だ」
「分かりました」
「ああ、ジェイクも気を付けろよ。ヘルハウンドの炎を喰らったら、ただじゃ済まないからな」
ジェイクはヘルハウンドの後ろから斬りかかる。すかさずルナは風魔法でジェイクの移動速度を速くさせた。
クロードはヘルハウンドの動きを見ながらルナの前をキープするように動く。
「ジェイクさん、氷柱でヘルハウンドを狙います!」
「ああ!頼む!」
ルナは地面から氷柱が生えるイメージをする。するとガッと地面から太い氷柱が生えてきた。
しかしヘルハウンドはそれをすれすれで躱す。避ける方向を予測したジェイクはヘルハウンドへと斬りかかる。
追い討ちでクロードは土魔法を発動させヘルハウンドの足を地面と固定させた。
「ジェイク!いまだ!!」
「うぉぉぉ!!!」
閃光烈火の如く鋭い太刀がヘルハウンドの首にかかる。ザンッ!という音と共にヘルハウンドの首は転げ落ちた。
「ふぅ…何とかなったか」
ジェイクはヘルハウンドの首を持ち上げる。すると、カッ!と目を見開いたヘルハウンドは口から炎を吐き出した。
「ジェイクさん!!」
「ジェイク!!」
思わず目を瞑るルナ。恐る恐る目を開けると、そこには無傷のジェイクが立っていた。
「お前の水魔法…規格外すぎだろ」
ルナの水魔法で作られた膜によって炎を中和され難を逃れたジェイクは呆れたように、けれど笑ってルナの元へと行くとルナの頭をグシャグシャと撫でたのだった。
ヘルハウンドが落とした魔石は、まるで真っ赤なルビーのようで艶めき眩い光を放っている。大きさはは手の平よりほんの少しだけ小さい。
「この大きさの魔石は中々市場には出ないですね」
「ああ。俺も久々にこのサイズを見た」
クロードとジェイクは魔石を覗き込むと感嘆の声を上げる。
「こんな立派な魔石を武器でも防具にでも使う訳じゃなく調理器具に使うのか…」
ジェイクの呟きにクロードも苦笑する。
「レイト様の想い人は色々規格外すぎて我々の考える先を行ってますね」
そんなクロードの呟きにジェイクも苦笑した。
「クロードさーん!ジェイクさーん!ヘルハウンドの剥ぎ取りも町に戻ってからにしましょう!」
ルナの言葉に、はいはいと頷くと二人は町へ戻る支度をするのだった。
ギルドのテーブルを借りて三人は今回手に入れた魔石の振り分けをする。
ルナはまず、二人へ中銀貨を5枚ずつ渡す。
そして袋からドサッと大量の魔石を取り出した。
「別に俺らはレイト様からあんたを守るように言われてるんだから魔石はあんたが独り占めしていいんだぜ?」
ジェイクの言葉にクロードも同意する。
「そんな訳にはいかないですよ。例えレイト様からの指示だとしても、今回のヘルハウンド討伐は私がお二人に頼んだのですから。こういう事はキッチリしておかないと、また次があった時に頼みにくくなりますからね」
ニッコリと笑うルナに二人は顔を見合わせる。
「成る程。クロードから聞いてはいたが、したたかな女だ」
「お褒め頂き光栄です」
魔石の分配はヘルハウンドの素材と魔石はルナへ。その他の比較的大きい魔石はクロードとジェイクが二人で分ける。
残りの小さな魔石と魔物の皮はルナの分になった。
「そんな小さな魔石だけではあまりお金にならないですよ?」
クロードの問い掛けにルナはニンマリと笑う。
「これはお金にかえるんじゃないです。後でのお楽しみです」
その日は解散し、後日コンロが完成したらバーベキューをする事に。
ルナは足取り軽く武器屋のレヴィンの元へと急ぐ。
「レヴィンさーん!!魔石ゲットしましたよーー!!」
バターンとドアを開けて飛び込む。
「おう、嬢ちゃん無事だったか!」
「はい!これで大丈夫ですか?」
「おい…こんな大きさの魔石何処で手に入れた!?」
「サース火山に居たヘルハウンドを狩ってきました!あ、ちゃんと護衛二人つけたので安心して下さい」
「はぁ…もう何も言わん!!」
呆れたように言うレヴィン。ルナから魔石を預かるとコンロへと埋め込む。
「予想より大きかったな。少しコンロを削りたいから待っててくれ」
「分かりました~!」
「釜戸は出来てるから暇なら確認しておいてくれ」
レヴィンはそう言うとクイ、と親指を釜戸へと向ける。ルナは目を輝かせて釜戸へと駆け寄った。
「うわー!うわー!凄い!燻製もちゃんと出来るようになってる!燻製させる食品を吊るせるように先端はフックになってるし、下段の鉄板にはぶつからないようになってる!!流石職人!」
「褒めたって何も出ねぇからな?」
カーンカーンと音を立てながらコンロを調整していくレヴィン。少し待つとコンロを持ってレヴィンがルナの元へとやってきた。
「折り畳んで足を収納出来るようにしてある。コンロ周りの風避けも畳めるからそんなに嵩張らないだろ。あとは持ち運び出来るよう取手もつけてる」
コンロの背面には真っ赤に輝く魔石が埋め込まれている。
「火をつけてみてもいい?」
「ああ、試してみてくれ」
ルナがコンロのスイッチを捻るとカチカチカチ…と音がして、その次にボッ!!と火が着いた。
スイッチで火力調節も出来る優れものだ。
「うわー!これ!!これです!想像した通りのコンロです!!」
特注品の金額はコンロと釜戸合わせて小金貨1枚。
痛い出費だがレヴィンの腕は確かだし、これからもお世話になるだろうから値切ったりはしない。
ヘルハウンドの素材と他の魔物の素材を売ったので懐はまだ余裕がある。
「よし!明日はバーベキューの食材を買いに行かないと!」
ルナは明日の買い物を楽しみに思いながら宿へと向かうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる