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#25 貴方が探しているのは前世の魂ですか?それとも今世の魂ですか?
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魔王城の近くの町へと辿り着いたレイトとクロードは馬から降りると馬の預かり所へと赴き、預ける手続きと聞き込みを開始する。
「黒い髪の少女ねぇ。見た事ないな」
「そうか。すまないがもし見かけたら教えてくれないか?」
そう言うとレイトは袋から銀貨を取り出すと数枚、手渡す。
「旦那、金額が多いですよ」
「ほんの気持ちだ。見つけたら頼んだ。この町の一番大きな宿に暫く滞在する予定だ」
「わかりました。」
男はそう言うと懐へと銀貨をしまう。レイトとクロードは手早く手持ちの荷物を纏めると一先ず宿へと向かった。
宿で受付をし早速ギルドへと向かう。この町は色々な種族の者達が行き交っていて自国との違いに少し戸惑う。
しかしだからこそ、その種族由来の店もありかなり活気に溢れている。
レイトはギルドへと入ると受付に声をかける。チラリと紋章を見せれば受付嬢はなにも言わずに頷いて、レイトとクロードを奥の部屋へと案内した。
「この少女に見覚えは?」
クロードが懐から1枚の紙を取り出す。そこにはルナの似顔絵が描かれている。
「少し前から時々ギルドで依頼を受けています。来る時間や曜日などはバラバラですが」
「そうか。…レイト様、如何しますか?」
「通信魔道具をここに置いていく。彼女が来たらすぐに連絡を入れてくれ。あと出来れば足止めをしてくれると助かる」
「分かりました」
一通り話をつけてレイトとクロードはギルドを後にする。
「レイト様、あの建物は…」
「ああ、魔王…ルシフェルが居るな…」
昔を思い出す。遠い遠い昔の記憶。最愛の女性と、その兄。三人で過ごした穏やかな日々。
そして…死なせてしまった。
堕天させてしまった。
守れなかった。
最初に転生した時に彼を見つけた時には狂喜した。彼女もきっと見つかると信じていた。
しかしその期待は砕け散った。
8度目の転生以来、彼とは逢っていない。
彼女を求めれば求める程狂っていく自分を見られたくなかった。
自分とは違いずっと生き続けているのに狂わない…ルナと逢える事を信じて待ち続ける彼に、向ける顔が無かった。
「久々に…逢って行くか…」
本音を言えば逢いたくない。いや、逢いたい。
両方の気持ちがせめぎあっている。
親友だと思っていた。ルナから紹介されすぐに意気投合した。本音を言い合える数少ない人物だ。
けれど、一方で彼の彼女に対する気持ちも察していた。
慈しむように見つめるその瞳は兄妹の意気を越えていたのだ。
ルナに聞いた所によると、どうやら本当の兄妹ではないらしい。
創造神に創られた彼と彼女は定義でいえば兄妹の枠では無いそうだ。
そこら辺は人間と違うのかよくは分からないが。
同じ彼女を好きな者として、腑甲斐無い自分を見られるのは嫌だった。ちっぽけなプライドだ。
そんな事を考えつつレイトはルナの気配を探る。しかし完璧に遮断されているらしく見つからない。
「クロード、俺は魔王の所へ行くから宿で待機しててくれ」
「なっ!?お一人で向かうのですか!?」
「魔王とは旧知の仲なんだ。心配するな」
レイトの言葉にクロードは絶句する。
魔王と旧知の仲、そんな事は初耳だ。そもそもこの地へ来たのも初めての筈だ。
「戻ったら詳しく話す。だから待機しててくれ」
レイトの言葉にクロードは渋々頷くのだった。
大きな門の前に立つと待っていたかのように門が開く。レイトは肩を竦めるとゆっくりと屋敷へと歩を進める。
途中にある庭園は見事な薔薇を咲かせ中央にある噴水はキラキラと水飛沫がたち、小さな虹が出来ていた。
導かれるように次々と光の道筋がレイトを誘う。
それについていくと重厚な扉の前で光は消えた。
レイトは扉に手をかけ押しやる。ギギ…と音を立てて扉は開いた。
「…久しぶりだな。」
「ああ…」
お互いそれだけ言うと苦笑する。言いたい事は山ほどあるのだが何から話せばいいのか思案する。
まるで離れ離れになっていた恋人のようだとレイトは思い、思わず吹き出した。
そんなレイトに魔王は席に座るよう進める。
少しの沈黙の後、レイトは口を開いた。
「変わらないな…お前は…」
「ああ。お前も何度生まれ変わっても変わらないな」
「いや…俺は変わったよ…変わったと言うよりは…自分の弱さを不甲斐なく感じていると言った方がいいのか」
「人間の魂で何度生まれ変わってもあれを諦めないその心は弱いとは思わない。言い方は悪いが狂気じみているとは思う」
魔王の言葉にレイトは苦笑する。
「居るんだろう?ここに。ルナが」
「ああ。今は眠っているがそれよりも聞きたい事がある」
優しい眼差しだった瞳は打って変わり一転、レイトを厳しい瞳で射抜く。
「レイト…お前はルナが好きなのか?それとも瑠菜が好きなのか?」
更新がずっと途絶えていて申し訳ありません。
詳しくは近況に載せます。
「黒い髪の少女ねぇ。見た事ないな」
「そうか。すまないがもし見かけたら教えてくれないか?」
そう言うとレイトは袋から銀貨を取り出すと数枚、手渡す。
「旦那、金額が多いですよ」
「ほんの気持ちだ。見つけたら頼んだ。この町の一番大きな宿に暫く滞在する予定だ」
「わかりました。」
男はそう言うと懐へと銀貨をしまう。レイトとクロードは手早く手持ちの荷物を纏めると一先ず宿へと向かった。
宿で受付をし早速ギルドへと向かう。この町は色々な種族の者達が行き交っていて自国との違いに少し戸惑う。
しかしだからこそ、その種族由来の店もありかなり活気に溢れている。
レイトはギルドへと入ると受付に声をかける。チラリと紋章を見せれば受付嬢はなにも言わずに頷いて、レイトとクロードを奥の部屋へと案内した。
「この少女に見覚えは?」
クロードが懐から1枚の紙を取り出す。そこにはルナの似顔絵が描かれている。
「少し前から時々ギルドで依頼を受けています。来る時間や曜日などはバラバラですが」
「そうか。…レイト様、如何しますか?」
「通信魔道具をここに置いていく。彼女が来たらすぐに連絡を入れてくれ。あと出来れば足止めをしてくれると助かる」
「分かりました」
一通り話をつけてレイトとクロードはギルドを後にする。
「レイト様、あの建物は…」
「ああ、魔王…ルシフェルが居るな…」
昔を思い出す。遠い遠い昔の記憶。最愛の女性と、その兄。三人で過ごした穏やかな日々。
そして…死なせてしまった。
堕天させてしまった。
守れなかった。
最初に転生した時に彼を見つけた時には狂喜した。彼女もきっと見つかると信じていた。
しかしその期待は砕け散った。
8度目の転生以来、彼とは逢っていない。
彼女を求めれば求める程狂っていく自分を見られたくなかった。
自分とは違いずっと生き続けているのに狂わない…ルナと逢える事を信じて待ち続ける彼に、向ける顔が無かった。
「久々に…逢って行くか…」
本音を言えば逢いたくない。いや、逢いたい。
両方の気持ちがせめぎあっている。
親友だと思っていた。ルナから紹介されすぐに意気投合した。本音を言い合える数少ない人物だ。
けれど、一方で彼の彼女に対する気持ちも察していた。
慈しむように見つめるその瞳は兄妹の意気を越えていたのだ。
ルナに聞いた所によると、どうやら本当の兄妹ではないらしい。
創造神に創られた彼と彼女は定義でいえば兄妹の枠では無いそうだ。
そこら辺は人間と違うのかよくは分からないが。
同じ彼女を好きな者として、腑甲斐無い自分を見られるのは嫌だった。ちっぽけなプライドだ。
そんな事を考えつつレイトはルナの気配を探る。しかし完璧に遮断されているらしく見つからない。
「クロード、俺は魔王の所へ行くから宿で待機しててくれ」
「なっ!?お一人で向かうのですか!?」
「魔王とは旧知の仲なんだ。心配するな」
レイトの言葉にクロードは絶句する。
魔王と旧知の仲、そんな事は初耳だ。そもそもこの地へ来たのも初めての筈だ。
「戻ったら詳しく話す。だから待機しててくれ」
レイトの言葉にクロードは渋々頷くのだった。
大きな門の前に立つと待っていたかのように門が開く。レイトは肩を竦めるとゆっくりと屋敷へと歩を進める。
途中にある庭園は見事な薔薇を咲かせ中央にある噴水はキラキラと水飛沫がたち、小さな虹が出来ていた。
導かれるように次々と光の道筋がレイトを誘う。
それについていくと重厚な扉の前で光は消えた。
レイトは扉に手をかけ押しやる。ギギ…と音を立てて扉は開いた。
「…久しぶりだな。」
「ああ…」
お互いそれだけ言うと苦笑する。言いたい事は山ほどあるのだが何から話せばいいのか思案する。
まるで離れ離れになっていた恋人のようだとレイトは思い、思わず吹き出した。
そんなレイトに魔王は席に座るよう進める。
少しの沈黙の後、レイトは口を開いた。
「変わらないな…お前は…」
「ああ。お前も何度生まれ変わっても変わらないな」
「いや…俺は変わったよ…変わったと言うよりは…自分の弱さを不甲斐なく感じていると言った方がいいのか」
「人間の魂で何度生まれ変わってもあれを諦めないその心は弱いとは思わない。言い方は悪いが狂気じみているとは思う」
魔王の言葉にレイトは苦笑する。
「居るんだろう?ここに。ルナが」
「ああ。今は眠っているがそれよりも聞きたい事がある」
優しい眼差しだった瞳は打って変わり一転、レイトを厳しい瞳で射抜く。
「レイト…お前はルナが好きなのか?それとも瑠菜が好きなのか?」
更新がずっと途絶えていて申し訳ありません。
詳しくは近況に載せます。
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感想ありがとうございます(*´∀`)
めちゃくちゃ励みになります~。コツコツ書いていきますのでよろしくお願いします。