壊れた妹と見えない束縛

ケイト

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壊れた少女の日記

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  お兄さんは酷い人。
僕はこんなにも好きなのに、気持ちも気付いているはずなのに。
ゆうかちゃんがいるせい……だよね。


 お兄さんの元彼女の満月先輩に呼び出されて、いきなり殴られた。
意味が分からない事を言ってたけど、満月先輩はお兄さんと別れてはいないって事を何度も主張していた。
見た目は確かに可愛い人だけど、こんな頭のイカレた人にお兄さんは任せられない。


 お兄さん、都合のいい女になっても僕に手を出してくれませんか?
殴りもしてくれない、性欲をぶつけてもくれない。
普段通りの優しいお兄さんのままだった。
でもさ、その優しさはいらないんだよ。
殴られた方が、よっぽど優しい。


 お兄さんから、好きな人がいると言われた。
僕は明日、お兄さんがその人に近づくための道具になる。
頼ってくれたけど、こんなの酷いよ。
僕じゃダメなのかな、お兄さん。


 神様ありがとうございます。
お兄さんの失恋を喜ぶ僕を許して下さい。
でも、お兄さんの好きな人が既婚者で本当に嬉しい。
しかも、弱ったお兄さんに付け込む事ができた。
お兄さんの空いた心に、僕が入った。
ゆうかちゃんでも、満月先輩でもない、この僕がお兄さんの彼女になったんだ。


 お兄さんの件でゆうかちゃんと喧嘩した。
だけど、ゆうかちゃんはお兄さんの事をよく分かってる。
お兄さんが幸せになるためには、普通の兄妹に戻ることが必要だって分かってる。
だから、僕がゆうかちゃんの分まで、お兄さんを幸せにするんだ。


 お兄さんを名前で呼んじゃった。
すごくドキドキしたけれど、僕の事を呼び捨てで呼んでくれた時は本当に心臓が爆発するかと思った。


 お兄さんから言われた事。
他の男性と話すな。
他の男性の連絡先は消せ。
他の男性に近づくな。
僕のスマホに位置追跡アプリを入れさせて欲しい。


 ゆうかちゃんの願いは、お兄さんを普通の幸せで包むこと。
だから、お兄さんの束縛は普通じゃないって言った。
お互いを信じて、尊重し、依存じゃなくて自立した上で助け合う、そんな普通の恋人を目指したい。


 満月さんの弟から、ゆうかちゃんの事が好きだから何か喜ばれるプレゼントは無いかと聞かれて、それを探しにいく事になった。
交換条件として、お兄さんに渡すプレゼントも男性目線から選んでもらって参考にする。
満月さんと違って、よくできた人。


 僕は編み物とかやったこと無いけれど、男性は恋人から手作りの何かをもらうととても喜ぶらしい。
その為に、手芸セットを買ってきた。
頑張ってマフラーを作るぞ!
色は赤色にした、前にお兄さんにあげた市販品よりも絶対に上手く作って見せます。
運命の赤い糸……なんちゃって。


 満月先輩にまた呼び出された。
お兄さんは元々束縛気質な人で、束縛しあう事こそ愛だと認識している。
そしてそれは、満月さんが教えた物らしい。
僕はそれを受け止めなかったから、お兄さんの彼女にはなれないんだってさ。
腹が立って殴ってしまった。
そんなイカれた愛、認めない。


 僕はお兄さんを裏切ってない。
満月先輩の弟と手を繋いだりしてないし、友達の範囲内でやることしかしていない。
喋るだけでもダメなんて、厳しすぎる。


 裏切り者はどっちなの?
ねぇ、お兄さん。
何でゆうかちゃんとイルミネーションを見ていたの?
何で、僕と行ったデートコースをゆうかちゃんと回ってるの?
それもあんなに楽しそうに、僕と行った時と全然違う。
ゆうかちゃんを誘う為の練習だったの?
満月先輩から面白い物がみられると言われて行ったけど、ちっとも面白くなかった。
わかったのは、裏切り者は二人いるってこと。
ゆうかちゃんも、お兄さんも、僕を騙していた。
あの二人は普通なんて求めてない。
兄妹でキスとか、あり得ない。
許せない、何でこんなにも酷いことするの?
僕を苦しめて、何になるの?
お兄さんを最低だと思う自分と、それでも好きだって自分がいる。

 明日、話し合う。


 明日の放課後、屋上に呼び出されてる。
昼休みに満月先輩が、また僕を殴った。
意味が分からない。
愛を受け止められないくせに、近づくなと言われた。
だからもう手遅れなんじゃないのかって教えてあげた。
それでも、満月先輩の態度は変わらない。
僕にはできなくて、先輩には出来るやり方があるらしい。
それを使えば、お兄さんとずっと一緒にいられるんだって。

 そもそも、そこまでお兄さんに執着するなよと言ってやったけど、満月先輩はお兄さんこそ運命の人だと言うばかりで、話にならなかった。

 
 帰ってきたら続きを書くけれど、今日はお兄さんときっちり話し合う日。
僕は、お兄さんが好きだ。
ゆうかちゃんと仲良くするなとは言わない、普通の兄妹でいてほしい。
ゆうかちゃんにしたかった事、ゆうかちゃんとした事、全部を僕にぶつけてもらう。
ゆうかちゃんの代わりでもいい。
健全なスタートにはならないかもしれないけれど、お兄さんが好きだから。 

 ゆうかちゃんに、渡したくない。
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