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二節
放課後、変わらない二人
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日は傾き、教室には数人の生徒だけがいた。カーテン越しに差し込む夕陽が、埃の浮かぶ空気を金色に染めている。窓際の席で僕は机に突っ伏していた。受験勉強のことを考えると頭が痛い。先日の模試の結果はイマイチだったし。本当にこんなんで大学に行けるのだろうか。そんな考えが頭をよぎる。焦りばかりが募っていく。
「お疲れ。追い詰められ高校生くん。」
聞き慣れた声に顔を上げると、そこには夢前さんが立っていた。手には小さな紙袋を持っていて、いつものように柔らかく微笑んでいる。
「…なんなの。その呼び方。」
「…元気になってよかった。」
彼女はそう言うとフフッと笑う。夢前さんは距離を保つのがとてもうまい。いつも適度に距離を保って接してくれる。おそらく、今朝のどこか遠慮していた彼女は元気のない僕をみて少し気を使ってくれていたのだろう。
「はい。これ」
夢前さんが手に持っていた紙袋を差し出す。中には小さなお守りが入っていた。薄藤色の布地に金の刺繍。とても落ち着く匂いがする。
「お守り?」
「受験祈願。うちの神社のやつ。ちゃんと祈祷してもらってきたんだよ。効果は保証する。」
「あ。ほんとだ。夢前さんちの家紋がついてる」
そう言いながら僕は指でそっとお守りをなぞった。手に吸い付くような感触。なんとなく温かい。
「ありがとう。前よりも頑張れる気がするよ」
僕がそう言うと彼女は安心したように微笑んだ。
「ちゃんと頑張るんだよ?…まあ、もしダメだったとしても慰めくらいはしてあげる。」
「おいっ」
彼女が笑う。その笑みはどこかくすぐったかった。僕は思わず顔を逸らした。
「本当にありがとう。大切にする。」
その言葉はたぶん思っていた以上に重たかったと思う。僕はきっと誰かに”願われた”ことが嬉しかったのだ。
ーその夜。お守りを机の上にそっと置いて、僕はベッドに潜り込んだ。窓の外には雲ひとつない夜空。いつもの夜。
いつもの眠り。でも…その”いつも”はもう終わりを迎えていた。
「お疲れ。追い詰められ高校生くん。」
聞き慣れた声に顔を上げると、そこには夢前さんが立っていた。手には小さな紙袋を持っていて、いつものように柔らかく微笑んでいる。
「…なんなの。その呼び方。」
「…元気になってよかった。」
彼女はそう言うとフフッと笑う。夢前さんは距離を保つのがとてもうまい。いつも適度に距離を保って接してくれる。おそらく、今朝のどこか遠慮していた彼女は元気のない僕をみて少し気を使ってくれていたのだろう。
「はい。これ」
夢前さんが手に持っていた紙袋を差し出す。中には小さなお守りが入っていた。薄藤色の布地に金の刺繍。とても落ち着く匂いがする。
「お守り?」
「受験祈願。うちの神社のやつ。ちゃんと祈祷してもらってきたんだよ。効果は保証する。」
「あ。ほんとだ。夢前さんちの家紋がついてる」
そう言いながら僕は指でそっとお守りをなぞった。手に吸い付くような感触。なんとなく温かい。
「ありがとう。前よりも頑張れる気がするよ」
僕がそう言うと彼女は安心したように微笑んだ。
「ちゃんと頑張るんだよ?…まあ、もしダメだったとしても慰めくらいはしてあげる。」
「おいっ」
彼女が笑う。その笑みはどこかくすぐったかった。僕は思わず顔を逸らした。
「本当にありがとう。大切にする。」
その言葉はたぶん思っていた以上に重たかったと思う。僕はきっと誰かに”願われた”ことが嬉しかったのだ。
ーその夜。お守りを机の上にそっと置いて、僕はベッドに潜り込んだ。窓の外には雲ひとつない夜空。いつもの夜。
いつもの眠り。でも…その”いつも”はもう終わりを迎えていた。
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