【毎日連載】古魔道具屋『レリックハート』の女房と猫

丁銀 導

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018 ひとりの夜【リュウ】

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 僕は大抵、ジュナイと一緒に寝る。
 けれどたまに、ジュナイが夜更けまで寝室に来ないことがある。
 今夜もそうだ。
 僕が布団をのびのびと独り占めしていると、
 微かな音を立てて襖が開き、ジュナイが帰って来た。
 僕は猫だから、薄暗闇の中でジュナイがどんな顔をしているのか、よく見える。

 ジュナイは急いで着たのか、少し乱れた寝間着を直した。
 うつむく顔は悲しいとも苦しいとも、そのどちらにも見えた。
 ジュナイは一人きり(僕は人数には入らない。猫だから)になると、
 よくこんな顔をしている。
 ひとつため息をつくと、布団に潜り込む。
 僕はいつものように、抱き枕のように腕の中に抱き込まれた。
 こういう夜のジュナイの体からは、いつもエイデンさんの匂いがする。
 それが何を意味するのか分からないほど、僕は子供ではない。
 交わるほど深い仲ならば、エイデンさんの寝床で朝まで一緒に眠ればいいのに。
 布団を独占したい僕としてはそう思うが、
 ジュナイにそうさせない事情が何かあるのだろう。
 それが僕に分かればいいのになぁ…。


 …寂しいくせに。
 何かを抱きしめずには眠れないほど、寂しくて、悲しくて仕方がないくせに。
 …ねぇジュナイ、はやく気づいてよ。
 君がそうやって一人で苦しんでいると、僕とエイデンさんは、寂しいよ。 
 
 君を大切だと思っているのは、僕達だけなのかい?
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