雑用係βとα勇者にΩの呪いがかかった話

第六話*

　囁くような声が耳元で聞こえて、ズドン、と最奥を突かれ頭が真っ白になった。同時にアレスの動きが止まる。
　どくんどくんと、腹が震えている。
　尻の穴で脈打つあの熱いものが、更に熱い何かを俺の中にぶちまけているのだ。

「や、やらっ♡　あつぃ～♡」
「ン……、これで、お前は男のくせに孕む」

　ぐり、とアレスが射精しながら俺の中をかき分ける。更に奥へ奥へ入り込もうとするそれにびくびくと背中が反って、内部が勝手に収縮した。
　気持ちよさそうなアレスの吐息が、憎かった。
　俺のちんぽはまだ一度も触られず熱を持て余している。たまらずに、俺は自分でちんぽを擦った。
　既に先走りで濡れまくった亀頭を揉むようにしながら上下させると、びりびりと鋭利なくらいの快感が全身を駆け巡る。

「勝手なことするな」
「ひぃっ♡」

　だがその手をあっさり捕まえたアレスが、手綱を引くように俺の両腕を掴んで引っ張った。
　持ち上げられた上半身とは反対に更にアレスのちんぽが尻の中を抉ってくる。呼吸の仕方を忘れ、ただアレスに揺らされる。
　射精直後にも関わらず、アレスのちんぽは硬いままだった。
　中出しされたアレスの精液と抽挿の勢いで濡れた音があたりに響いている。両腕を捕らわれ、無抵抗になった俺は、必死で息をしようともがいていた。
　バチュンバチュンとアナルを抉るちんぽに、なにもかもをやられている自覚はあった。
　だって、中のそこを突かれると、たまらなく気持ちよかった。ちんぽと腹の奥がじんじんとして、勝手に全身が反応するのだ。
　アレスは俺のその反応にすぐ気付いて、そこばかり突いたと思ったら次には焦らすように入り口付近で軽く突いてみたり、腰を回してぬちょぬちょの内部を愉しんでいた。
　そんなことを少しされただけで射精したいという欲望ばかり脳内をしめて、俺は気が狂いそうだった。

「おねがっ♡　イキた、イキたいぃぃ～っ♡」
「ちんぽ擦らなくてもイケるだろ？　一番最初にしただろうが」
「やらっ♡　やらっ♡　こすりたい♡　擦ら、せてぇぇ♡」
「駄目だ。濡れまくっただらしないまんこ持ってんだ、まんこだけでイケるだろ。ほら、イけ、イけっ、このクソΩ！」
「おっ♡　おっ♡　お、れはっ♡　おめが、じゃないいぃぃっ♡」
「嘘つくなって言ってるだろ！　ナカ痙攣させて俺の子種欲しがってキュンキュン絞ってくるまんこが、βなわけないだろう！」

　ゴ、ゴ、ゴッ、と最奥を突かれ息が出来ないほどの衝撃を受ける。
　アレスの巨大なちんぽが俺の入ってはいけないところまで抉ったのがわかった。
　苦しいのに、尻穴から強烈な快感が巡って、舌を突き出しながら喘ぐ。
　呼吸も思考も朦朧として、ちんぽとまんこのことで頭がいっぱいになる。
　このままじゃおかしくなってしまうと本能で逃げを打っても、勇者の容赦ない腕で動きを封じられどうにもできなかった。
　ぐぐぐ、と腹の奥から強烈な快感がせり上がってきた。
　だめ、だめだ、これは。
　いますぐに、逃げなきゃ。
　息が出来ない。
　このままイったら、おれ……、おれ、は……。

「あ～っ♡♡　ああ～っ♡♡　おかしくなる♡♡　頭おかしくなっちゃうぅぅぅ♡♡」
「はっ、まんこでイケる男なんて既に手遅れだろっ！」
「あ♡　あああ♡　イっちゃう♡　イっちゃう♡　おしり、まん、こでイ……っ♡♡♡」
「……っ！」

　ばつん！　と穿たれた。
　真っ白の世界。
　イった。
　ちんぽをこすらずに、息さえ止まる絶頂。
　溺れるほどの強烈な快感に、身体がガクガクと震える。

　打ち上げられた魚みたいにびくびく痙攣する俺の身体をアレスが後ろから抑えつける。
　ぐりぐりと最奥まで突き入れた腰を動かしながら尻の奥が濡らされている。
　また、射精。
　Ωを孕ませる、αの長い射精だ。
　びゅうびゅう出ているそれから逃げたいのに、その圧倒的な存在感に抵抗も叶わず大嫌いな勇者の精液を腹の中で受け止める。

　ハアハアと二人の吐息が聞こえる。
　ぶっ飛んでいた思考回路が徐々に回復していくのがわかり、いつの間にか両腕を自由にされていることに気付きのろのろと地面に爪を立てた。
　猛烈な後悔と羞恥に襲われながら、それでも尻穴の存在とアレスの熱い吐息から逃れようと、ほとんど満身創痍の身体で這い上がる。
　ずるりとアレスのちんぽが抜けた。
　そのことに心底安堵して、床に落ちている衣服の前に辿り着く。
　そうして、なんでこんな目に遭ったんだと記憶を辿って、自分の尻に刻まれたものを思い出した。
　一刻もはやく、呪いを解かなければ。
　そのためには勇者の力が必要で……。
　そうして振り返った俺は、未だ膝立ちのまま肩で息をしているアレスを視界にいれながら周囲の異変に気付いて目を見開いた。
　四方を囲んでいた壁が、きれいに消え去っている。首を巡らせれば、最初に歩いてきた道がずっと向こうまで続いていて、ダンジョンの仕掛けが元に戻ったのだと知れた。

「お、い……見ろ」

　返事はない。乱れた吐息がまだ聞こえる。
　俺は下着をたぐり寄せて、重たい腕でなんとかそれを纏おうと四苦八苦しながら、再度アレスに声をかける。

「ダンジョンが、元通りになったぞ……」

　ゆらり、とアレスが立ち上がる。その中心部が未だに硬く勃起したままであることに初めて気付いて固まる。
　まさか、とアレスを見上げる。
　血走った獣のような目つきで、勇者は一般人を見下ろしていた。
　ひっ、と息を呑んだ。

「ま、まさか……、おい、もう駄目だ、アレス！　見ろよ、道が見えるだろ！」

　閉じ込められた妙な仕掛けが、アレスとこうなったことで解かれたのだ。
　そう必死に叫んで座り込んだままなんとか逃れようと地べたを後退する俺の腰を、アレスが簡単にすくい上げて、間髪入れずに巨大なそのちんぽを濡れまくった穴に突き入れた。