38 / 93
9月2日
9月2日
しおりを挟む『9月2日午後10時を迎えました。ニュースをお知らせします。
東京都 良七市 良七区に設立されている柳田図書館の即興模試にバットを持った都内高校生の少年三人が乱入した事件について、この事件がネットに拡散されて以来、日本各地に少年三人と同じ様にバットなどの凶器を持った中高生が確認されています。これについて総理大臣は、「これは法律を検討し直す必要がある。」と意向を露わにしています。
次のニュースです。同図書館で一酸化炭素ガスが入ったタンクが見つかりました。これについて責任者は「図書館内を荒らされるのが嫌で取り付けておいた。」と供述しています。この事件を踏まえ、柳田図書館は明日の午前12時で閉鎖する事になりました。』
「へー怖いな!模倣犯ってやつか。」
タブレットでニュースを見ながら原が言う。多分作り笑いだろうな。
「しっかしなー、ここまで全国で騒ぎになってるのに政府は全然動かねえな!」
「うん、そうだね。」
「でも見切り教育、見直すかもしれないんだよな!」
「絶対口だけでしょ。」
「そうか?でも見直すのを実行に移す為にヤクザのお偉いさんであるこの俺がこの情報を届けに行くんだぜ。」
「・・・・・・。」
「まあ、ショックだったよな?酷い事ばっかりだったもんな?」
一番ショックだったのはあんただろ!!
「ほらぁー!イコーリーだぞー!綺麗だなー!移住したいなー!」
「・・・移住なんかしたくねえよ。それを私から遠ざけろ。」
「だよな。ごめんな。」
原は申し訳無さそうにタブレットをしまった。私達の雰囲気は最悪だ。しかし丁度その時、原のタブレットがピロンと鳴った。
「おっ!来た来た!」
「来たって何が?」
「闇野達からのSNS!!」
「は?SNS?」
「知らねえのかよ!最近流行ってる写真付きでメッセージが送れるアプリだよ!」
そんなの昔からあるでしょ。それなのに何をそんなにはしゃいでるの?
「随分楽しそうだねえ。」
「当たり前だろ!?だって闇野とかみんなからのメッセージだぜ!?闇野とかの」
「はいはい、分かったよ。」
・・・こいつ闇野に気があるのか。
「まあいいや!早速見てみよう!」
原は新着メッセージの欄をタップした。
『二人共、今どんな感じ?私は放課後に薬の研究をしました。だけど、色々いじくり回している内に爆発してしまいました!』
写真を見ると闇野が手に持っている三角フラスコの中から勢いよく気体が噴き出していて、闇野とその様子を見ていた女子がきゃあきゃあと騒いでいる様子が伺える。
「あーあー。」
「あっはは!やべえなこれ!」
『あとそれから、私達は近くの図書館で即興模試を受けました。因に私の偏差値は60です。70なんか足元にも及びませんでした(笑)でも二人が見切り教育を止めに行ってくれてるんだよね。だから私も二人に負けない様に未来に向けて頑張ります!』
ここでメッセージは終わっていた。
「チャンス、掴めてたみたいだね。」
「ああ、良かったー!!」
原が両手でガッツポーズを作り、大きく伸ばした。少なーい可能性が実ったのだ。
「じゃ、私は勉強するからあとは二人で楽しんで。」
「えー!まだやんのかよ!今日はもう休めよ!」
「いや、私は明日に結構かけてるから。」
「へー妙にやる気だねー。まあいいや!拝啓、闇野ちゃーん・・・」
ガリガリガリガリガリ・・・
楽しそうな原を横目に私は包帯やテープが所々巻かれた手指で勉強に取り組んでいく。
明日は絶対に偏差値70を超えなければ。
明日こそは。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる