見切り教育

ラッキーセヴァン

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9月2日

閉館

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9月3日 午前8時45分

「二人共、もう行ってしまうのかい。」

例の試験監督が言った。彼はここの館長だったのだ。他のスタッフ達も並んでいる。私達は柳田図書館を出る事にしたのだ。

「おう。まだまだやらなきゃいけない事が沢山残ってるからな。」

「あと君、本当にもう少し休んで行かなくて大丈夫なのかい?」

私はあれから明け方の5時までずっと勉強に取り組んでいた。目の下にはクマが出来ている。

「はい、大丈夫です。」

私は頷いた。ここまでやる事は滅多に無いけれど、何故か頭が冴え渡っている。

「そうか・・・。君達が最後のお客さんだな。寂しくなるよ。」

あっ、そうか。今日でこの柳田図書館は閉館しちゃうんだ。

「本当に部下達がとんでもない事をしたね。君にも被害を負わせてしまってすまなかった。」

館長が頭を下げた。

「いえ!俺たちもう大丈夫なんで!」

「そうです。そもそも館長さんはずっと毒ガスの設置を反対してたんでしょう?」

「まあでも、どんな理由であれど館長の私が責任を取らねば。あとまだまだ他にもやりたい事は見つかるはずさ。だってまだ私は・・・

85歳だからね!!」

館長はその場でスクワットをして見せた。

「すげえ、年々元気になってくな!じいさん達!」

「そだね。」

「まあともかく、二人も頑張ってくれたまえ!ほら、お出迎えだよ。」

お出迎え・・・?

すると館長の後ろから即興模試受験者の何人かが出てきた。どうやらあの夜の騒ぎが起きた時にどこかに隠れていたらしい。

生きていたのか。

「俺たちも受験頑張るよ。」

「だから必ず無事に帰ってきてください!」

「もしも毒ガスをあのまま撒かれていたら私達死んでたよ。」

「「「チャンスをありがとう!」」」

「お・・・おう!」

ふと横を見ると原は目を潤ませていた。

これにて一件落着かな。




私達はいよいよ次の場所へ旅立つ事になった。私は肩に鉄パイプを構え、原はその場で空手の様な型をやってみせる。

「外はもう無法地帯だ。気をつけて。」

館長が言った。

「お気遣いどうも。さあ、行くぞ山口。」

「分かってるって。」

ありがとうございました、と私達は頭を下げて図書館の門まで歩いた。

するとそこにはとんでもない光景が広がっていた。

数え切れない程の中高生達が凶器を振り回して街を荒らしまくっていた。店の窓ガラスが割れ、どこからともなく奇声が聞こえる。一体、昨日までの静けさは何処へ行ってしまったのだろうか。門の入り口は切り倒された桜の木で塞がっている。これが模倣犯というやつか。

「なんか、信じられないね。」

「そうだな。本当に日本なのかな。ここ。」

私はただ前を向いて立ち尽くしている。

「・・・怖いか?」

「全然。」

「・・・んじゃ、パーッと行ってパーッと帰って来ますか!」

「・・・賛成!!」

私と原は桜の木を跨いだ。そして門の外に出る。

「うっし!行くぜええええええ!!」

「おおおおおおお!!」

そして全速力で群れの中に突っ込んで行った。

私達の挑戦はまだ始まったばかりだ。





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