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9月3日
全力
しおりを挟む私と原は早速勉強に取り掛かった。
「しっかし山口!お前良くあんな方法思いついたな!」
「そりゃあね。同じ勉強に取り組んでる者同士気持ちは分かるよ。向こうなんか私よりもずーっと多くやってるんだよ?」
「でもさあ、負けたらどうすんだよ。」
「・・・まあ、そんときゃそんときでしょ。」
「何だそれ!!」
こんなやり取りをしながらも、その後、私達は何事も無くスラスラと勉強に取り組んでいた。
よし、これで模試でもいい結果を残せるかな。
「・・・山口危ねぇ!!」
「えっ!?」
急に原が私に覆い被さって来た。そして・・・
「うああああああっ!!」
「ちょっと原どうしたの!?」
原が苦しそうな叫び声を上げた。私は驚いて原の顔を見る。すると、原のほっぺに擦り傷の様なものが出来ていた。患部からは血が流れている。
「ねえ大丈夫!?誰!?こんな事したの!!」
「ふふふん!!こんな事出来るのは僕達だけでしょう!」
「頭悪過ぎるよぉ~。」
「あ・・・あんた達は・・・河野と澤田!!」
「あ、そっのとーりー!」
「だいせいかぁーい。」
「お前ら・・・ズルじゃねえか!!」
「何でこんな事するの!?」
「理由なんかどうでもいいだろう!!とにかく僕達は君達二人を全力で邪魔しに行く!!お前らの事は何が何でも勝たせないぞ!!」
「成績ボロボロにしてやるよぉ。」
「「それえっ!!!」」
すると突然、二人が走って追いかけて来た。
「きゃああっ!!」
「おいお前ら!!山口には手ェ出すんじゃねえ!!」
私と原は走って逃げるしかない。
「ふっふーん、問答無用!!」
「まてまてぇー。」
それでも二人は全力疾走でしつこく追いかけてくる。
必死に逃げている最中に原は私にこう提案した。
「おい山口、こうなったらあいつらから逃げながら勉強するしかない!」
「マジで!?大丈夫なの!?」
「大丈夫だ!この勉強部屋はめちゃくちゃ広い!しかもデカい本棚が数え切れない程並べてある!だから見つからない様な所に隠れて勉強するんだ!」
「もし見つかったら?」
「もう一回逃げる!」
何だこの恐ろしく体力を消耗しそうな作戦は。でも・・・私は後ろをちらっと振り向く。
「待てお前ら!!はぁ・・・はぁ・・・一旦止まれ!!」
「河野ちん体力なさ過ぎぃー。」
「うるさいぞ!!」
もうやるしかない。
「分かった!じゃあ今から二手に分かれよう。」
「うっし!そうと決まれば作戦決行だ!」
こうして私と原は別々に走った。
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