見切り教育

ラッキーセヴァン

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答え合わせ

説得・始まっちゃった

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こうして原は山口を人質として確保した後に学校の先生に生徒を一人攫って行ったという事を口止めする為、リーダー格である私を皮切りにクラス全員を更正させた。

「確かに俺どうしようもないバカだけどさあ・・・でもやっぱりこの夢は捨てられ無かったわ。」

(へえ・・・そっか。ずっとどうしようも無い人達だと思っていたけれど、しっかりと自分の夢を持っているんだな。ちょっと見直したかもしれない。)

原のお陰で少しだけトラウマを克服出来たような気がしたという。





9月1日 午後7時

原と山口はいよいよ旅立つ事になった。

そして更正する事が出来た私たちクラスメイトとしばらく和気あいあいとして楽しんでいた。

(良かった。私の事、もういじめないかな。私も交ざってみよう。)

山口はいじめへの恐怖から長い事絶っていた人との関わり合いをもう一度繋ぎ止めようとした。

「俺も自分の夢に向けて頑張るぞー!」

「私も!」

ここで山口も言葉を発した。

「よし!私も」

「ねえ原くん!」

(・・・えっ?私、今喋ったのに。)

「ほんとに気をつけてよね!じゃないと私もついていっちゃうから!」

「ちゃんと食えよ!刈り上げ君とか!」

「それは食いモンじゃねえだろ!」

「「「くすくすくすくす・・・」」」

(・・・ああ、そっか。更正しようが馬鹿は馬鹿なんだな。もう一足先に出発しよう。)

彼女はその場にいるのが辛くなって静かに歩き出した。

「じゃあ、そろそろ行って来るね。」

誰も返事はしなかった。

「お、おい山口!置いてくな」

「待てよ!クラスみんなで円陣組もうぜ!」

「おーっ!いいね!組も組も!」

「賛成!」

しかしそれはあっけなく多くのクラスメイトに阻止され、原は強引に円陣を組まされてしまった。

「えっ?山口は?」

「そうだよ!あの子も入れてあげようよ!」

「てめえらも同じ様にされてえか?闇野、てめえもだ。」

「っっ・・・。」

「はい!円陣組も!な!」

私は止めに入ってたが、止める事が出来なかった。

この時、まだそう遠くまで歩いていない山口にはみんなで円陣を組む声が聞こえていた。






「絶対に見切り教育なんかに負けないぞー!」





「「「おーーーーーっ!」」」


とぼとぼとぼとぼ。一人でとぼとぼ。

「ふっ・・・へへへへへ!!もう笑わせないでくださいよー。何の能力もない努力もしない馬鹿の癖に。ていうかこっちには龍頭組の幹部が付いているんですよ。運は良いんだよね。運は。もう人とかすぐに倒しちゃうよ?えへへ。馬鹿な親きらーい。馬鹿なクラスきらーい。馬鹿な世界きらーい。馬鹿な馬鹿きらーい。お前らとは違うんだ。これを利用して絶対見返してやる。見切り教育に負けない?

負かしてやりますよ。」

自分でも何を言っているのかわからない。でもその言葉は彼女の心の中でどんどん燃え広がっていった。

円陣を組み終わった原が後から遅れて走って来た。追い付いた後もランニングの様に走る。

「おし!今夜はネカフェに寝泊まりだな!」

「な ん で そ ん な に た の し そ う な の ?

てか変な事しないでよ?」

「大丈夫だって!絶対しないから!」

そして原は再び全速力で走って山口の事を追い抜いた。

「あっ!こら置いてくなー!」

(まあ、でも、これでいいのかもしれない。

こいつはヤクザだ。こいつと旅をしていくうちに絶対何かチャンスを掴めるだろう。

ああ、でもまずは偏差値70を超えないとな。これを超えてないと意味無いし。

始まっちゃったね。グヘヘ。)




















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