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答え合わせ
消化器・決意
しおりを挟むその後、山口は原と旅をしながら猛勉強を続けた。その中で模試を邪魔しに来て模倣犯を大量に発生させて日本を大きな混乱に陥れた三人組に出会ったり、自分の無力を抱えきれなくて人を妬んだ末に自殺した集団を目撃したりしていくうちにどんどん“馬鹿”に対して恨みを募らせていった。
とはいえど、この時にはクラスから仲間はずれにされたあの一件から大分時間が経っていた。山口は少しずつ冷静さを取り戻していった。
(馬鹿とは言っても原が言ってた様にわざと勉強が出来ないわけじゃ無いんだよな。馬鹿を殺そうなんて自分のエゴに過ぎないしね。)
しかし、これを大きく覆す様な事件が起こる。それは・・・
良七市大規模火災事件
これは暴れていた一人の少年が植木に火をつけ、市内でかなり大規模な火災を起こしたという卑劣極まりないだ。
この時、山口は原に自分達で火を消そうと呼び掛けている途中だった。
「誰か消化器を見つけて来てください!」
「やるわけねえだろバーカ!」
「あんたら逃げ遅れるよ!?」
誰も協力してくれない。そう絶望しかけていた時、
「私、持って来ました!」
ある一人の少女に出逢った。その子は消化器を胸に担いでいた。
「これ・・・わざわざ持って来てくれたの!?」
「お兄ちゃんとお姉ちゃん、頑張ってたから!」
ああ、なんて心が優しいのだろうか。
彼女がそう思っていた時、その少女は山口にある物をプレゼントした。星型のペンダントだ。
「えへへ、お守りだよ!」
(こんな私にもお守りをくれるのか・・・。お礼を言わなきゃ)
「私、ほかにも探してくるね!」
「えっ!?でも・・・」
山口はぎょっとした。こんな炎の中に探しに行ったらもう流石に危険だ。
「大丈夫!またすぐ戻ってくるからね!」
「お願い!!待って!!」
山口は必死に止めようとした。必死に叫んだ。
「待ってよおおおおおおおお!!」
その少女はそのまま勢い良くどこかに走り去ってしまった。
火が消し止められた後も、山口は例の少女の事が気掛かりだった。
(どうしよう。あの子、無事に家に帰れたかな。)
「負傷者1000人の死者400人火災の原因は中高生の一人が植木に向かってライターで放火した事だってさ。」
(また馬鹿の仕業か。)
原の話を聞きながら歩いていると、椚田図書館に到着した。
そこの庭にはブルーシートが敷かれ、遺体が沢山寝かされていた。
「酷い。」
山口は、絶句した。自分の都合でこんなにも沢山の人を巻き込むなんて。そんな感傷に浸っていると、彼女はふと、自分のすぐ近くに一人の小さな少女の遺体が寝かされている事に気がついた。
(えっ!?)
ドクンドクンと心臓が高鳴った。
(さっきの子と全くおんなじ服を着てる。この子ってもしかして・・・いや、顔が見えてないしそんなはず無い!!)
そんなはず無い。違う人だ。彼女は必死に自分に言い聞かせた。しかしその努力も虚しく、
「手には消化器が握られていました。」
彼女の頭はどんどん真っ白になる。
「最後にお顔を見てあげて下さい。」
この時、彼女は自然と星型のペンダントを握り締めていた。そしてそれと同時に強い自責の念に駆られた。
(もしもあの時に自分が止めていたら。無理に追いかけてでも止めれば良かった。私・・・私・・・
子供を助けるのが夢だったのに。)
この後、彼女は原と酷く揉めた。
(どうしてこんな事になってしまったんだろう。どうして頭が悪い人たちのせいでこんな事に巻き込まれなきゃいけないんだろう。もうこいつとはやっていけない。)
山口の心はもうボロボロになっていた。
しかしその時、
「こんな所で何してるんですか?模試を受けに来たんじゃないの!?」
(そうだ。すっかり忘れてた。でも受けたく無いな。)
山口は模試を受ける事を心の中で躊躇した。しかし、その時に星型のペンダントが目に入った。
(もしも・・・もしも植木に火をつけるような馬鹿が居なかったらこんな事にはならなかったんだ。止められなかった私も馬鹿だ。なんとしてでもこの責任を負わなきゃ。他にも犠牲になる子供が出てくるかもしれない。あっ。そうだ。)
この時、山口は気がついた。頭が悪くなればなるほど犯罪を犯したり非行に走る人の割合が増えていくという事を。
良い人だって沢山いるけれど、私の学校や近くの底辺校を見ていると強く否定出来ない。
(くそっ!やっぱり馬鹿のせいで!もう二度とこんな事が起こらないように。次の世代に向けてもっと賢くてより良い国にする為に。みんな平等にする為に。
・・・もう馬鹿を減らすしか無い!)
「山口、お前はどうしたい?」
「受けたい。」
答えはもう決まっていた。
(まずは実行する為に偏差値をそこまで上げなきゃ。何としてでもやり遂げなければいけない事がある。あの子の為にも。日本の為にも。
必ずやり遂げてみせる。)
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