見切り教育

ラッキーセヴァン

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9月5日

9月5日

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『9月5日 午後5時10分になりました。ニュースをお知らせします。

全日本国民をパニックに陥れた恐怖の法律、「見切り教育」の廃止が決定しました。龍頭組の幹部、原 悠介が国会に提出したアメリカが開発した人工惑星「イコーリー」に移住すれば人口が調節出来る様になり、この法律が必要無くなった為です。

因みに日本国民の半分がそこに移住した場合、日本は2010年代を基準とした学歴社会になるだろうと専門家は予測しています。

この後も引き続き、「見切り教育廃止」についてお伝えします。』

「おいおい聞いたか!?俺の名前が呼ばれたぜ!」

原はタブレットのニュースを見ながら私に自慢げに話してきた。

「凄いよ!凄いけどしつこい!もうかれこれ36回ぐらい言ってるよね?」

「まあ良いだろー!?」

私は今、原に連れられながら国会の長い庭を歩いている。この庭の外に出たら原は国会の中でやらなければいけない事があるからお別れをしなければならない。

因みに山口は煙の中に含まれた薬の成分を吸い、奇跡的に一命を取り留めた。脳などの器官も薬によって再建された為、今後の人生は問題無く歩めるという。

「俺、あいつの事本気で信じてたのにな。」

あーあ、本気で落ち込んでるな。

「原、元気出して?」

「ありがとな!後さ、最後の最後だから俺も本心、言っても良いか?」

ん?何だろう?

「俺な、山口に自分の過去の話とかしてたんだよ。家が貧乏だった事、出来が悪くて馬鹿にされてた事・・・俺もあいつに分かって欲しかったよ。勉強なんてほんの一部だけだって話をしたけど、ぶっちゃけ頭で分かってても、やればすぐに出来ちゃう山口の事が・・・

すっげー羨ましかった。」

「原・・・。」

「あ!見てみ闇野ちゃん!」

「えっ?うわあ・・・」

するとちょっと前に話題になっていた桜が私達の新たな旅立ちを祝福するかの様に満開に咲き誇っていた。

「綺麗・・・」

「ああ、俺も全然気付かなかった。さっきあんな目に遭ってたから・・・」

「あんな目って?」

「知らなくて良いんだよ。」

「あ、はい。」

何があったんだろう。そう思いながら前を向いた時、思わずピタッと私は立ち止まってしまった。もう出口に着いたんだ。

「これで、お別れだね。」

「ああ、そうだな。くぅー寂しいなー!こんな可愛い子とお別れなんて!」

「私も・・・寂しい。こんな良い人とお別れなんて。」

「え!?ええ!?良い人っていやいやそんな」

原ったらびっくりし過ぎ。

「・・・これで本当に最後なんだな。」

最後。心臓がドクンと高鳴る。

「じゃあ、俺、そろそろ行くから。」

「えっ!?もう行っちゃうの!?」

「ああ、大分あいつらの事、待たせてるしな。」

そんな。まだ一緒にいたいのに。お礼だって出来ていない。

「じゃあな。」

原、原、待って。

「おっ!?」

私は気が付いたら後ろを向いた原の腕を捕まえて両手を握っていた。

最後に、ちゃんと言わなきゃね。

「私、あなたのお陰でここまで変わる事が出来ました。

ありがとう!!・・・うわっ!」

原はまた私の頭を撫でてくれた。でも、そんなに下向いてたら顔が見えないよ。

「・・・闇野ちゃん!」

あ、良かった。また目合わせてくれた。って、原・・・泣いてる?

「何言ってんだよ!お前は元々良い子だろ?別に俺はなんにもしてねーぜ!」

私はそのまま原の胸の中に誘い込まれた。

「こっちこそありがとう。医者になる夢、頑張って。」

あ、やばい。私も涙腺が・・・。耐えろ。耐えなきゃ。耐え・・・

「原ああああ!」

私は原の腰をきつく抱いた。どうしよう涙が止まってくれない。

「いつか会える?会えるよね?」

「会えるよ!会えるに決まってるだろ!?」

「うわああああ・・・」



ーーーーーーーーーーーーーーー

「原さーん!そろそろ戻って来てください!新しい法律案を話し合わなきゃ行けないので!」

「もう・・・行かなきゃな。闇野ちゃん!先生が車で待ってるだろ?待ちくたびれてるだろうから早く行ってやれ!」

「分かった!・・・また会お!」

私は原に手を振った。涙を必死に振り払って。

「おう!またな!」

原も私に手を振った。

私は走る。先生が待っているコンビニの駐車場に。原がくれたチャンスに応えるかの様に。



この世の中は学歴社会。確実だけれど、理不尽さと劣等感が渦巻く学歴社会。もしかしたら山口はそんな社会が生んでしまった悲しいモンスターだったのかもしれない。

そうならない為に、自分が振り分けられた中でどうやったら自分らしく生きていけるのか。どうやったら楽しく過ごせるのかを考えていかなければならない。


















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