見切り教育

ラッキーセヴァン

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9月5日

最終決戦

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「えいっ!!薬を飲め!」

「ぐあああああああああ!!」

どんっ!!

「ゲホッ!!」

それに抗おうと山口は私の事を力任せに拳で胸を殴って来た。ウイルスのせいで手が切れる。

「こ・・・こいつ!」

「闇野ちゃん大丈夫か!?」

「ワシらならそんなおなごあっという間じゃで!」

「大丈夫!見守ってて!・・・もう怒った!

元ヤンなめんじゃねえぞ!!」

9月5日 午後4時57分

「てめえええええええええ!!」

私はフラスコの中の薬の少量を両手にバシャッとかけた。

「ぐわあああああああああ!!」

ガシッ!!

山口と組手の様な形になった。まだ手は切れている。でも血が出るほどでは無くなった。薄皮一枚といった感じだ。

「良いから早く薬を飲めよ!」

「ぐるるるるるるる・・・」

あれっ?言葉が通じていない?

「げほっ!!」ベシャッ

突然、山口が勢い良く血を吐いた。組手状態の私は余儀なくその血を浴びる。

「えっ!?何?どうしたの?」

「もしかしてその子、ウイルスを飲んだのかい!?」

総理大臣が叫んだ。

ああ、確か自分で言っていたな。「ドーナツと一緒にウイルスを食べた。」と。

「はい、飲みました。」

「とんでもない!あの例の科学者が言ってたよ! ウイルスを身体の表面ではなく中に入れてしまったら

死んでしまうと!」

「えっ!?死んでしまう!?」

「ああ、そうだよ!ウイルスを身体の中に取り入れたらまずは脳が消されていく。そして食道、胃と浸食されていって最終的には全身にウイルスが周り血を吐きながら死ぬ!」

そうか。山口が奇行に走ったのは脳がやられたせいなのか。私は彼女の方に目をやった。

「ゲホッゲホッ!!はあ・・・はあ・・・」どごんっ!!

「・・・よし!助けるぞ!」

9月5日 午後4時58分

「山口!薬飲も?

痛っ!」バシッ!

頭を叩かれた。

「ぐわああああああ!!」

「・・・飲まないと死んじゃうよ?」

「ぐるるるるるるる!!」

なんで薬を飲みたがらないんだろう。

「ねえ」

「ぐぎゃああああああ!!」

「飲まないと無理矢理注射で打つよ?」

「あがあああああああ!!」

「注射、嫌でしょ?」

「ぐるあっ!!」

バシャッ!

私が脅した時、山口は薬をその場にぶちまけてしまった。

9月5日 午後4時59分

「「「ああああああああああ!!」」」

「折角作った薬が台無しっす!」

「もう、時間がねえ!何してんだ山口!薬飲め!」

どうしよう。もう助けられないのかな?

諦めかけたその時、動物の様な唸り声を上げる山口が涙を流している事に気付いた。

「え?山口?」

そして言語能力を失った筈の山口が微かに口を動かして、確かにこう言った。


「私を殺して下さい」


・・・・・・!

私は自分の目がカッと見開かれるのが分かった。そして咄嗟にアルコールランプに火をつけ、床に散らばった薬にぶん投げた。

ボオオオオオオオオオオ・・・

「何してんだ闇野!ゲホッゴホッ!」

一気に煙が部屋の中を充満する。

「な・・・何で?

もう嫌だよう。」

ドサッ・・・

そしてそれを吸った山口は唸るのを止め、そのまま意識を失って倒れ込んだ。

「ゴホッゲホッ!早く!生中継を!」

早くしないと犠牲者が!

「分かっているとも!カメラは回ってるかい!

行くぞ!」

そして総理大臣は煙塗れの部屋をバックにカメラを覗き込んだ。

「えー、国民の皆様に嬉しいお知らせです。龍頭組幹部の原 悠介、闇野 ナーコ、そして山口 翠のお陰で人口を減らす必要が無くなった為、

『見切り教育』を廃止します!!」

うわああああああああああああ・・・

国会の外からは沢山の歓声が聞こえて来た。





































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