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9月5日
調合
しおりを挟む「い・・・いやああああああああ!!」
「くそおおおお!!なんで!?なんで否定するの!?なんで認めてくれないの!?私は・・・私の方が努力してきたのにいいいいい!!」
「きゃあああああああ!!」
山口は力任せに私の頭を殴って来ようとした。しかし私は咄嗟に避けて、まだ完成していない薬を原の横に持っていった。
ドガンッ!!
山口の拳は勢い良く床に当たった。彼女の拳から血が流れる。
「私は・・・された事・・・忘れない!一生引きずる。ズルズルズルズル・・・」
駄目だ。完全に狂っている。
どうしよう。このままだと・・・このままだと・・・
「原が危ない!!」
何を言っているのか分からないという人もいるだろう。
私のこの薬は政府のウイルスとは反対に一回腕や足などを切断してしまっても千切れてしまった体のパーツさえあれば元通りにくっ付ける事が出来るのだ。ただ、千切れてしまったところが首だから蘇生するかどうかは分からない。だから後は原の生命力を信じるしか無い。
「原、ちょっと待ってて!今薬を作るから!」
「させるかああああ!!」
「きゃあっ!」
山口は私に飛び乗って来た。
薬が入った三角フラスコがガタガタと音を立ててひっくり返りそうになる。
「ちょっ、山口!?止めて止めて!」
「許さない!ぜーったいに!許さない!」
山口は手にフラスコを直接手に持ち、中の薬をぶちまけようとした。
「しょうがない。もうやるしか無いか。
うりゃっ!!」ドガッ!
「ぐふうっ!!」
私は山口の腹を思いっきり蹴っ飛ばした。彼女はそのまま倒れ込み、背中を思いっきり打った。
「う・・・うわあああああああ!!ヤダヤダヤダヤダ!!嫌だああああああああ!!」
私は山口がパニックに陥っている間に薬を完成させる上での最後の仕上げに取り掛かった。そして・・・
「出来た!」
そして私は原の首の断面図に薬を塗って元通りくっ付けた。そして私膝に原の頭を乗せる。
「お願い・・・原・・・生き返って!」
私は原が再び目を開けるのを待った。
しかし、どんなに待っても原が目を覚ます事は無かった。
「原・・・嘘でしょ?ねえ?」
そんな・・・原・・・。
「何が嘘だって?」
私はハッとして原の顔を見た。
すると、こちらを優しく微笑んでいる原と目が合った。
「うおっ!これってよくよく考えたら闇野ちゃんの膝枕じゃね?ラッキー!」
「よ・・・良かったー!」
「うわっ!しかも抱き着かれちゃった!もう死んでもいい!」
「死んじゃダメ!!」
とにかく助かって良かった。私が作った薬で。
「なんの騒ぎだね!?」
急に部屋の扉がバンッと開いて、総理大臣率いる様々な政治家、パパラッチやレポーター、そして龍頭組の人々まで入って来た。
「原!何があったんじゃこれ!?」
龍頭組の組長が原に驚いた様子で問いかけた。すると原は土下座をした。
「すみません!俺の責任です!俺が連れて来た人質がやらかしました!」
「何やっとんじゃボケェ!!
心配したぞ!」
良い人だ。
ここでパパラッチの一人が迷惑そうにこう言った。
「今から見切り教育の廃止を国民に伝える為にここで生中継するつもりだったんすけど」
「いや駄目だ!あいつの人質は何かの間違いで政府のウイルスを持ってる!今はそんな事は出来ない!」
「とは言っても後5分で5時になるっすよ?このままだと多くの人が処刑されてしまうっす!」
「くそっ!どうすれば・・・」
「私、やります。」
私は少し震えながら手を挙げた。みんなが一斉にこちらを見る。
「でも、君を危険な目に合わすわけにはいかない。」
総理大臣は心配してこう言った。
「いいえ、大丈夫です!ウイルスを消す薬はもう出来ています。
私、みんなの事を助けたいんです!」
「・・・分かった。国の安全は君に託そう。頼んだよ。」
「あ・・・ありがとうございます!」
「うううううう・・・ううううう・・・」
山口の獣のような唸り声が聞こえてきた。
「ぐるるるるるるる・・・」
「あんたの為に国民の命は奪わせない。
これで終わりよ!!」
私は薬が入ったフラスコを片手に持った。
「うがあああああああああ!!」
さあ、いよいよ最終決戦だ。
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