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第10話 婚約のフリの理由
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王子が颯爽と去った後、山羊髭と私は、みじめな様子で会談を持った。
会談場は当然、山羊髭の部屋である。まるで葬儀会場だ。
「どうにかならないんですか?」
「お前こそ、どうにかしろ」
「一生懸命、誤解を解こうとしたんですけど」
山羊髭は黙った。少なくとも、私も迷惑していると言う点だけは伝わったらしい。
「あのう、アランソン公爵姉妹が婚約者候補だそうなのですが……?」
ルーカス殿下の言い方が、イマイチはっきりしない。よくわからない。
アランソン公爵家と言う言葉は、山羊髭の痛いところを突いたらしい。
「アランソン公爵家の令嬢は、二人とも在籍している。最上クラスに」
「公爵家なら、最上クラスでしょうねえ」
私は言った。
「これからのことがあるんで、説明しとくが、現在アランソン公爵位は空位だ」
「え? 空位?」
アランソン公爵が現存しているのに、空位ってどういうこと?
「でも、公爵令嬢だって聞きましたけど?」
「一応、その令嬢方の父上が公爵領の監督等をなさっているので、便宜上アランソン公爵と呼んでいるだけで、アランソン公爵の本当のご令嬢が見つかるまでの間の繋ぎなんだ」
「へ、へえ?」
おかしいな。それって、家令が公爵家を名乗ってるってこと?
「ちょっと違うな。元々遠い親族だった。余り裕福ではなかったが有能だったので、手伝っていたと言うのが近いかな」
「そういうもんなんですかね?」
「普通に多い。ただ、アランソン公爵家の場合は、結果論として、親族による乗っ取りに近いな」
貴族社会は領地戦争になると、俄然本気出す。あんな連中に本気出されてはたまらない。割と平気で毒殺とかやらかして、挙句、平気で隠蔽する。こわ。
「すると本家の令嬢が見つからない方が都合がいいんですね?」
私は気がついて言ってみた。
「うん。それに娘が王子と結婚すれば王家が味方になるので、公爵領をそのまま自分のものにできる。正式には相続権はないけれど、王家も反対しないだろう」
「なるほど」
弱肉強食ですなあと感想を抱く。
「多分、王子側は嫌がっていると思うけど。だって、アランソン公爵領でなくたって、王子だもの、どこかの領地と公爵位くらいもらえると思う。あんな面倒くさい舅と疑惑の付きのアランソン公爵領なんか遠慮したいんじゃないかな」
私はひらめいた。
「つまり、真実の愛作戦ですか」
山羊髭はびっくりした。
「なにそれ?」
「つまり、王子は真実の愛に目覚めた、だからアランソン家の姉妹とは結婚できない、っていうストーリーですよ。アランソン姉妹と結婚したくないので、適当な言い訳が欲しかったのでは?」
山羊髭はうさん臭そうに私の顔を眺めた。
「それならそれで、もう少し言い訳の立つ顔を選ばない? せめて、もうちょっと美人とか」
先生、今、一フレーズで二回、私の顔をけなしましたね。
「それかせめて、実際に結婚できそうな別の侯爵家の令嬢とか」
今度は私が提案してみた。
「どうかなあ。難しい気がする。名乗り出る家がないような気がする」
先生の答えに、私はうーんと、うなった。
「アランソン公爵家に対抗できるだけの力がない? さもなければ、対抗するのが面倒くさいと思っている家ばかりだとか?」
先生が答えなかったところを見ると、多分、当たっているんだと思う。
「まあ、勢力家でアランソン公爵家より強い家もあるんだけど、面倒くさいよね。アランソン姉妹は美人だし気も強い。絶対虐められる」
え? それヤバいやつでは?
「あのー、先生。この流れで行くと、虐められるの、私ですよね?」
先生は山羊髭を撫でた。
「あんたが虐められても、誰も痛痒を感じないからね、あんた以外」
真実を言うな、真実を!
「だが、なるほど。ルーカス殿下があんたを選んだのは、そこらへんに理由があるのかもしれないな。選ばれたところで、反対できないし、何かあっても誰も気にしないしね」
何かあってもって、どんなことですか? 川に死体で浮いていたとかですか?
俄然、真実っぽくなってきた。ことの真実が近付いてきた感がひしひしとする。
私みたいな平民のブス娘、あんなキラキラした王子様が相手にするわけないものね。
「まあ、唯一救いはクラスが別ってことかな。あんたのクラスは、最上級クラスから一番場所が離れている。授業に間に合いたかったら、休み時間に最下位クラスまで出張する時間はない。まあ、助言としては食堂で昼を食べない方がいいってことくらいかな」
「はあ……」
山羊髭、役に立たない……
だが、ルーカス殿下は、困ったことに行動派だった。
『図書館のテラスで午前十時に待つ』
かわいらしい小鳥が私の部屋に飛んできて、机の真ん中にポトリとフンを落した……それが殿下からの手紙だった。
「まぎらわしい」
魔獣……いや魔鳥だ。魔力のある人間にだけなつく特殊な魔鳥だ。初めて見た。
フンだと思って、捨てようとしたじゃない。
『目立たないところで会おう』
何を言ってるんだ。
目立たないところで会う必要がどこにある。平民娘と恋に落ちて、それでアランソン嬢と婚約破棄するんでしょ? 私はその小道具でしょ?
だったら、目立つところで会わないといけないはず。
「嫌だ」
考えただけで頭痛がする。
王子様はいいよねー。審美眼がおかしくたって、誰もいじめたりしないわよ。でも、私は陰になり日向になり、どう言う手段でいじめられるやら、見当もつかない。
その上、めでたくアランソン公爵令嬢姉妹と婚約破棄した暁には、どんな運命が待っていることやら。
王子様は、あれは真実の愛ではなかった宣言で事済むけれど、王子をたぶらかした悪女の私はどうなる? 冤罪を着せられて、処刑とか国外追放とか?
私の方には、王子様のご要請にお応えする理由が全くなかった。
ぜひとも、別な被害者を選んで欲しい。
もう少し抵抗力のあるご令嬢でお願いしたいわ。でないと……あれから、私もアランソン姉妹について情報収集に努めたけど、二人とも黒髪の壮大な美女だそうで……背も高ければ横幅もあるんですって。グラマラスでもあって、すごく大きな黒い目をしているんですって。あの王子、簡単に食べられちゃうんじゃないかしら。
これが他人事だったら、楽しめたのに。
会談場は当然、山羊髭の部屋である。まるで葬儀会場だ。
「どうにかならないんですか?」
「お前こそ、どうにかしろ」
「一生懸命、誤解を解こうとしたんですけど」
山羊髭は黙った。少なくとも、私も迷惑していると言う点だけは伝わったらしい。
「あのう、アランソン公爵姉妹が婚約者候補だそうなのですが……?」
ルーカス殿下の言い方が、イマイチはっきりしない。よくわからない。
アランソン公爵家と言う言葉は、山羊髭の痛いところを突いたらしい。
「アランソン公爵家の令嬢は、二人とも在籍している。最上クラスに」
「公爵家なら、最上クラスでしょうねえ」
私は言った。
「これからのことがあるんで、説明しとくが、現在アランソン公爵位は空位だ」
「え? 空位?」
アランソン公爵が現存しているのに、空位ってどういうこと?
「でも、公爵令嬢だって聞きましたけど?」
「一応、その令嬢方の父上が公爵領の監督等をなさっているので、便宜上アランソン公爵と呼んでいるだけで、アランソン公爵の本当のご令嬢が見つかるまでの間の繋ぎなんだ」
「へ、へえ?」
おかしいな。それって、家令が公爵家を名乗ってるってこと?
「ちょっと違うな。元々遠い親族だった。余り裕福ではなかったが有能だったので、手伝っていたと言うのが近いかな」
「そういうもんなんですかね?」
「普通に多い。ただ、アランソン公爵家の場合は、結果論として、親族による乗っ取りに近いな」
貴族社会は領地戦争になると、俄然本気出す。あんな連中に本気出されてはたまらない。割と平気で毒殺とかやらかして、挙句、平気で隠蔽する。こわ。
「すると本家の令嬢が見つからない方が都合がいいんですね?」
私は気がついて言ってみた。
「うん。それに娘が王子と結婚すれば王家が味方になるので、公爵領をそのまま自分のものにできる。正式には相続権はないけれど、王家も反対しないだろう」
「なるほど」
弱肉強食ですなあと感想を抱く。
「多分、王子側は嫌がっていると思うけど。だって、アランソン公爵領でなくたって、王子だもの、どこかの領地と公爵位くらいもらえると思う。あんな面倒くさい舅と疑惑の付きのアランソン公爵領なんか遠慮したいんじゃないかな」
私はひらめいた。
「つまり、真実の愛作戦ですか」
山羊髭はびっくりした。
「なにそれ?」
「つまり、王子は真実の愛に目覚めた、だからアランソン家の姉妹とは結婚できない、っていうストーリーですよ。アランソン姉妹と結婚したくないので、適当な言い訳が欲しかったのでは?」
山羊髭はうさん臭そうに私の顔を眺めた。
「それならそれで、もう少し言い訳の立つ顔を選ばない? せめて、もうちょっと美人とか」
先生、今、一フレーズで二回、私の顔をけなしましたね。
「それかせめて、実際に結婚できそうな別の侯爵家の令嬢とか」
今度は私が提案してみた。
「どうかなあ。難しい気がする。名乗り出る家がないような気がする」
先生の答えに、私はうーんと、うなった。
「アランソン公爵家に対抗できるだけの力がない? さもなければ、対抗するのが面倒くさいと思っている家ばかりだとか?」
先生が答えなかったところを見ると、多分、当たっているんだと思う。
「まあ、勢力家でアランソン公爵家より強い家もあるんだけど、面倒くさいよね。アランソン姉妹は美人だし気も強い。絶対虐められる」
え? それヤバいやつでは?
「あのー、先生。この流れで行くと、虐められるの、私ですよね?」
先生は山羊髭を撫でた。
「あんたが虐められても、誰も痛痒を感じないからね、あんた以外」
真実を言うな、真実を!
「だが、なるほど。ルーカス殿下があんたを選んだのは、そこらへんに理由があるのかもしれないな。選ばれたところで、反対できないし、何かあっても誰も気にしないしね」
何かあってもって、どんなことですか? 川に死体で浮いていたとかですか?
俄然、真実っぽくなってきた。ことの真実が近付いてきた感がひしひしとする。
私みたいな平民のブス娘、あんなキラキラした王子様が相手にするわけないものね。
「まあ、唯一救いはクラスが別ってことかな。あんたのクラスは、最上級クラスから一番場所が離れている。授業に間に合いたかったら、休み時間に最下位クラスまで出張する時間はない。まあ、助言としては食堂で昼を食べない方がいいってことくらいかな」
「はあ……」
山羊髭、役に立たない……
だが、ルーカス殿下は、困ったことに行動派だった。
『図書館のテラスで午前十時に待つ』
かわいらしい小鳥が私の部屋に飛んできて、机の真ん中にポトリとフンを落した……それが殿下からの手紙だった。
「まぎらわしい」
魔獣……いや魔鳥だ。魔力のある人間にだけなつく特殊な魔鳥だ。初めて見た。
フンだと思って、捨てようとしたじゃない。
『目立たないところで会おう』
何を言ってるんだ。
目立たないところで会う必要がどこにある。平民娘と恋に落ちて、それでアランソン嬢と婚約破棄するんでしょ? 私はその小道具でしょ?
だったら、目立つところで会わないといけないはず。
「嫌だ」
考えただけで頭痛がする。
王子様はいいよねー。審美眼がおかしくたって、誰もいじめたりしないわよ。でも、私は陰になり日向になり、どう言う手段でいじめられるやら、見当もつかない。
その上、めでたくアランソン公爵令嬢姉妹と婚約破棄した暁には、どんな運命が待っていることやら。
王子様は、あれは真実の愛ではなかった宣言で事済むけれど、王子をたぶらかした悪女の私はどうなる? 冤罪を着せられて、処刑とか国外追放とか?
私の方には、王子様のご要請にお応えする理由が全くなかった。
ぜひとも、別な被害者を選んで欲しい。
もう少し抵抗力のあるご令嬢でお願いしたいわ。でないと……あれから、私もアランソン姉妹について情報収集に努めたけど、二人とも黒髪の壮大な美女だそうで……背も高ければ横幅もあるんですって。グラマラスでもあって、すごく大きな黒い目をしているんですって。あの王子、簡単に食べられちゃうんじゃないかしら。
これが他人事だったら、楽しめたのに。
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