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第52話 婚約するとイチャイチャできる
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翌日、学園に行く前に、ケネスが迎えに来た。
これまで一度だってなかったことだ。さすがに驚いて大急ぎで支度した。
メアリ・アンとロンダが、それはもう嬉しそうに、必死になって着飾らせてくれた。
「婚約者の方がお迎えに来られるだなんて!」
「片時もお嬢様と離れたくないのですね?」
いや。さすがにそれは言い過ぎだと思う。
そんなことはないと思う。どうして迎えになんか来たのだろう?
着飾っているうちにケネスを待たせてしまった。それを詫びてから、私は彼に聞いた。
「どうして迎えに?」
「一緒に行こうと思って」
彼は照れながら言った。
だが、私は心配だった。
「……一緒だと、絶対、からかわれるのじゃないかしら」
目立ちたくないし、からかわれたくない。
「違うよ。一緒に行くから、からかわれるのではない。その、君のこの間の夜会の発言が……」
私は真っ赤になった。やっと気が付いた。絶対、噂になってるわ!
「……女性から申し込んだって、有名になっているかもしれないってことね?」
私は小さな声で、切れ切れに言った。
「ありがとう。うれしかった」
ケネスが熱心に言った。
「だからね、一緒に行った方がいいと思うな。だって、最初に申し込んだのは僕なんだから、そこを生徒みんなにわかって欲しい。大事にエスコートするから。それに、ほんとに、すごくうれしかったから」
そらから、こっそり付け加えた。
「一緒に行ってもいいだろう? もう?」
実際に学園に行くと、ニヤニヤして笑っている生徒が大勢いた。
だが、ケネスが私を宝物かなんかみたいに大事そうに馬車から降ろし、嬉しそうに一緒に歩き出すと、かなりの人数がイラっとしたらしく離れて行った。
「ねえ、ケネス。そんなに大事そうなふりをしなくても大丈夫よ?」
私はケネスを振り返ると言ってみた。
大体、気恥ずかしい。
それに無理をさせているようで気になる。
「フリ?」
ケネスはオオカミみたいな灰色の目で、私をのぞきこんできた。
「ダメだよ。これだけは最低限距離を取らないと、ほんとにマナー違反になって、明日から一緒の馬車への同乗を禁止されるかもしれない。それは避けたいんだ」
私がケネスの言葉の意味を考えていると、オオカミみたいな目が切なそうに迫ってきた。
「正直、紳士のフリもつらい…」
ポツリとこぼされた言葉の意味に、私はあわてて彼から離れた。
「教室は別だから!」
くるりと背中を向けると、令嬢として前人未到の高速スピードでケネスから離れて行った。顔が赤くなっていっていた……と思う。見せるわけにはいかない。
「後で、食堂で!」
叫ばないで。丸聞こえになっちゃう。
昼食時には、私たちは二人きりで食堂で食事した。
私たちの周囲には誰も席を取ろうとしなかった。
もう、遠慮なんか要らない……とケネスは言う。
オスカーとルシンダとアルバートが、何があっても同席するのはごめんだと言っていたので、二人きりになってしまった。
ルシンダは友達甲斐のある親友だと思っていたのに!
「何言ってるの」
冷然と断られた。
仲のいい婚約者は、相当に目の毒らしい。
「こんな大義名分があるとは知らなかった。誰もそばにいないなら、何を言ってもいいんだね」
少々当惑気味の私に、ケネスは嬉しそうに顔を寄せてきた。
「そんなに近くてはダメよ。限度があるわ」
私は思わずケネスを押しとどめた。近すぎる。背中を反っているので、背骨がどうにかなりそうだ。
「風紀係だっているのよ?」
「なになに、呼んだ?」
背中から声がした。ニヤニヤしながら見下ろしているのは、例のブラウン女史だった。
「風紀係って言うか、先生に言いつける役は私なんだけど、大目に見て欲しかったら、シュザンナ嬢がケネスに求婚したって噂の真偽を教えて欲しいな」
私は真っ赤になった。
「僕が先に結婚を申し込んだって言うのに、どうしてシュザンナ嬢が求婚したことになっているのですか?」
「あれだ」
ブラウン女史が指さした先では、ジェーン・マクローン嬢とミランダ・カーチス嬢が数人の生徒に囲まれてしきりに何かしゃべっていた。
ううう……。いたたまれない。私がうっかり、単に「お受けします」とでも言っておけばよかったものを、とっても元気よく「結婚してください」などと宣言したものだから、格好の噂のネタになっている。
「私も好きな男性に結婚申し込みしてみたいな。どうして女から申し込んじゃダメってことになってるんでしょうね。平民だってそうなんだよ?」
「僕たちの場合は、僕が申し込んで彼女は答えを言ってくれただけですよ。だから、ごく普通ですよ。彼女が誤解されたら困ります」
ブラウン女史の視線が、ジェーン・マクローン嬢とミランダ・カーチス嬢の方をさ迷っていった。
いやいや、絶対そんな伝え方はしていない。私が結婚してくださいと言ったフレーズだけを抽出して、しゃべりまくってるに違いない。
その方が面白いからだ。
テーブルの下ではケネスが手を握っている。
「シュザンナが一方的に僕を好きな訳じゃない。僕が彼女に押して押して押しまくったんです」
ケネスが力説した。
「そこまで言うことないじゃない? 知っているけどね」
ブラウン女史は笑った。
「ダメです。僕が好きだってことをわからせないと、別な男が隙を狙ってくるかもしれないでしょう」
「そんなやつ、いないと思う」
ブラウン女史がつぶやいた。私もそう思う。
とてもばかばかしい。ブラウン女史も話し掛けたことを後悔し始めているかもしれなかった。
しかし、ケネスは一方的に話を続けた。
「だから、昼も一緒にした方がいいし、送り迎えもしてるんです。出来るだけ一緒の方が望ましいし、出来るだけイチャイチャしないといけないんです。事情があってわざとしているので、風紀ってことでは問題にならないとお見逃しください」
ケネス、顔が笑ってる、顔が。
さすがのブラウン女史が半目になった。これはあきれ果てているんだわ……。
「まあ……」
やっと彼女が声を絞り出した。
「とっとと婚約を発表すればいいのでは」
「もう、大っぴらにしています。でも、家の事情とか思われてはいけないので」
「すでにお腹いっぱいだ。てきとうに加減して欲しい」
「ダメです。五年分たまっているんです」
ケネスが、足早に去り行くブラウン女史の背中に向かって言った。
学園一、クールでかっこいい存在だったはずなのに、これじゃまるで……(骨抜きだわ)
恥ずかしい……
ちょっと釈然としなかったのは、あの場でどうして婚約ショーが始まったかだ。
食堂で会ったルシンダも猛烈に気になっていたらしい。
「私たちも成り行きに呆然としてしまって、頭が回らなかったのだけど……」
当惑気味のルシンダが言った。
「あれは、やっぱりケネスの策略よね。あなた、乗せられたのよ」
「どう言うことかしら?」
「あなたのお母さま、有力な婚約相手候補を集めたわよねえ」
その通り。あの中から選びなさいと言わんばかりのラインナップだった。
「それを逆手に取ったのね、ケネス。ある意味えらいわ。彼がいくら結婚を申し込んでも、ほかの二人と同列よ。だけど、あなたが了承したら、ほかの二人から抜きんでられるわ。いわば牽制ね。ううん、勝利者になったのよ」
「私、自分がジェーン・マクローン嬢とミランダ・カーチス嬢に勝利したと思ったのに」
ルシンダは慰めてくれた。
「まあ、あの二人は、元々数のうちに入っていないから。どうしてあなたのお母さまはあの人たちを招待したのかしら。オスカーもウィリアムも相手をしないと思うの。ケネスにとっては、噂の拡散源として意味があったと思うわ。あの場で思いついたのでしょうけどね。それとあなたの承諾の証人としてね」
母は、多分、面白がって付け加えたのだ。私が珍しくあの二人に怒っていたから。
そして、結果、こうなったのは母の自業自得だろう。
「まあ、そうかも。でもね、シュザンナ」
真面目になったルシンダが言った。
「納まるべきところに納まったのよ。やっぱり気持ちは一番大事よ」
その後、公開イチャイチャ作戦の必要性は急激に低下した。
女性から求婚すれば、高根の花のオズボーン侯爵家の嫡子をゲットできたと言うことで、女性からの求婚がはやり出したらしい。
「私は一番の被害者だ」
ムスッとした表情でやって来たのは、バーカムステッド家のオスカー様だった。
「女性からのアプローチはとんでもないな」
彼は苦情の申し立てをした。
「どうして私たちに?」
「何か責任があるとでも?」
「女性は大事にされるものだと相場が決まっていて、そのつもりで求婚しに来る。断りにくい。断ると泣き出す」
なるほど……。
「あなた方の婚約と、シュザンナ嬢のアプローチは理由があった。その辺のところの理解が足りない。女性からのアプローチは捨て身なわけで、それほどまでの犠牲を払ったのに、なぜ承諾してくれないのかと、泣くわ騒ぐわ、大ごとになる」
公爵邸に見ず知らずの女性が堂々とやってくることもあるらしく、女性の父親に連絡して連れて帰ってもらったこともあると言う。
「それは恥だな。まぎれもなく」
真面目な顔になったケネスが言った。
「責任を取ってもらおうか」
オスカー様がグイッと詰め寄った。
「責任?」
「この顛末を引き起こした勇敢なる女性に」
「え? シュザンナのこと?」
「そうだ。シュザンナ嬢を少しばかり貸してくれ」
「は?」
これまで一度だってなかったことだ。さすがに驚いて大急ぎで支度した。
メアリ・アンとロンダが、それはもう嬉しそうに、必死になって着飾らせてくれた。
「婚約者の方がお迎えに来られるだなんて!」
「片時もお嬢様と離れたくないのですね?」
いや。さすがにそれは言い過ぎだと思う。
そんなことはないと思う。どうして迎えになんか来たのだろう?
着飾っているうちにケネスを待たせてしまった。それを詫びてから、私は彼に聞いた。
「どうして迎えに?」
「一緒に行こうと思って」
彼は照れながら言った。
だが、私は心配だった。
「……一緒だと、絶対、からかわれるのじゃないかしら」
目立ちたくないし、からかわれたくない。
「違うよ。一緒に行くから、からかわれるのではない。その、君のこの間の夜会の発言が……」
私は真っ赤になった。やっと気が付いた。絶対、噂になってるわ!
「……女性から申し込んだって、有名になっているかもしれないってことね?」
私は小さな声で、切れ切れに言った。
「ありがとう。うれしかった」
ケネスが熱心に言った。
「だからね、一緒に行った方がいいと思うな。だって、最初に申し込んだのは僕なんだから、そこを生徒みんなにわかって欲しい。大事にエスコートするから。それに、ほんとに、すごくうれしかったから」
そらから、こっそり付け加えた。
「一緒に行ってもいいだろう? もう?」
実際に学園に行くと、ニヤニヤして笑っている生徒が大勢いた。
だが、ケネスが私を宝物かなんかみたいに大事そうに馬車から降ろし、嬉しそうに一緒に歩き出すと、かなりの人数がイラっとしたらしく離れて行った。
「ねえ、ケネス。そんなに大事そうなふりをしなくても大丈夫よ?」
私はケネスを振り返ると言ってみた。
大体、気恥ずかしい。
それに無理をさせているようで気になる。
「フリ?」
ケネスはオオカミみたいな灰色の目で、私をのぞきこんできた。
「ダメだよ。これだけは最低限距離を取らないと、ほんとにマナー違反になって、明日から一緒の馬車への同乗を禁止されるかもしれない。それは避けたいんだ」
私がケネスの言葉の意味を考えていると、オオカミみたいな目が切なそうに迫ってきた。
「正直、紳士のフリもつらい…」
ポツリとこぼされた言葉の意味に、私はあわてて彼から離れた。
「教室は別だから!」
くるりと背中を向けると、令嬢として前人未到の高速スピードでケネスから離れて行った。顔が赤くなっていっていた……と思う。見せるわけにはいかない。
「後で、食堂で!」
叫ばないで。丸聞こえになっちゃう。
昼食時には、私たちは二人きりで食堂で食事した。
私たちの周囲には誰も席を取ろうとしなかった。
もう、遠慮なんか要らない……とケネスは言う。
オスカーとルシンダとアルバートが、何があっても同席するのはごめんだと言っていたので、二人きりになってしまった。
ルシンダは友達甲斐のある親友だと思っていたのに!
「何言ってるの」
冷然と断られた。
仲のいい婚約者は、相当に目の毒らしい。
「こんな大義名分があるとは知らなかった。誰もそばにいないなら、何を言ってもいいんだね」
少々当惑気味の私に、ケネスは嬉しそうに顔を寄せてきた。
「そんなに近くてはダメよ。限度があるわ」
私は思わずケネスを押しとどめた。近すぎる。背中を反っているので、背骨がどうにかなりそうだ。
「風紀係だっているのよ?」
「なになに、呼んだ?」
背中から声がした。ニヤニヤしながら見下ろしているのは、例のブラウン女史だった。
「風紀係って言うか、先生に言いつける役は私なんだけど、大目に見て欲しかったら、シュザンナ嬢がケネスに求婚したって噂の真偽を教えて欲しいな」
私は真っ赤になった。
「僕が先に結婚を申し込んだって言うのに、どうしてシュザンナ嬢が求婚したことになっているのですか?」
「あれだ」
ブラウン女史が指さした先では、ジェーン・マクローン嬢とミランダ・カーチス嬢が数人の生徒に囲まれてしきりに何かしゃべっていた。
ううう……。いたたまれない。私がうっかり、単に「お受けします」とでも言っておけばよかったものを、とっても元気よく「結婚してください」などと宣言したものだから、格好の噂のネタになっている。
「私も好きな男性に結婚申し込みしてみたいな。どうして女から申し込んじゃダメってことになってるんでしょうね。平民だってそうなんだよ?」
「僕たちの場合は、僕が申し込んで彼女は答えを言ってくれただけですよ。だから、ごく普通ですよ。彼女が誤解されたら困ります」
ブラウン女史の視線が、ジェーン・マクローン嬢とミランダ・カーチス嬢の方をさ迷っていった。
いやいや、絶対そんな伝え方はしていない。私が結婚してくださいと言ったフレーズだけを抽出して、しゃべりまくってるに違いない。
その方が面白いからだ。
テーブルの下ではケネスが手を握っている。
「シュザンナが一方的に僕を好きな訳じゃない。僕が彼女に押して押して押しまくったんです」
ケネスが力説した。
「そこまで言うことないじゃない? 知っているけどね」
ブラウン女史は笑った。
「ダメです。僕が好きだってことをわからせないと、別な男が隙を狙ってくるかもしれないでしょう」
「そんなやつ、いないと思う」
ブラウン女史がつぶやいた。私もそう思う。
とてもばかばかしい。ブラウン女史も話し掛けたことを後悔し始めているかもしれなかった。
しかし、ケネスは一方的に話を続けた。
「だから、昼も一緒にした方がいいし、送り迎えもしてるんです。出来るだけ一緒の方が望ましいし、出来るだけイチャイチャしないといけないんです。事情があってわざとしているので、風紀ってことでは問題にならないとお見逃しください」
ケネス、顔が笑ってる、顔が。
さすがのブラウン女史が半目になった。これはあきれ果てているんだわ……。
「まあ……」
やっと彼女が声を絞り出した。
「とっとと婚約を発表すればいいのでは」
「もう、大っぴらにしています。でも、家の事情とか思われてはいけないので」
「すでにお腹いっぱいだ。てきとうに加減して欲しい」
「ダメです。五年分たまっているんです」
ケネスが、足早に去り行くブラウン女史の背中に向かって言った。
学園一、クールでかっこいい存在だったはずなのに、これじゃまるで……(骨抜きだわ)
恥ずかしい……
ちょっと釈然としなかったのは、あの場でどうして婚約ショーが始まったかだ。
食堂で会ったルシンダも猛烈に気になっていたらしい。
「私たちも成り行きに呆然としてしまって、頭が回らなかったのだけど……」
当惑気味のルシンダが言った。
「あれは、やっぱりケネスの策略よね。あなた、乗せられたのよ」
「どう言うことかしら?」
「あなたのお母さま、有力な婚約相手候補を集めたわよねえ」
その通り。あの中から選びなさいと言わんばかりのラインナップだった。
「それを逆手に取ったのね、ケネス。ある意味えらいわ。彼がいくら結婚を申し込んでも、ほかの二人と同列よ。だけど、あなたが了承したら、ほかの二人から抜きんでられるわ。いわば牽制ね。ううん、勝利者になったのよ」
「私、自分がジェーン・マクローン嬢とミランダ・カーチス嬢に勝利したと思ったのに」
ルシンダは慰めてくれた。
「まあ、あの二人は、元々数のうちに入っていないから。どうしてあなたのお母さまはあの人たちを招待したのかしら。オスカーもウィリアムも相手をしないと思うの。ケネスにとっては、噂の拡散源として意味があったと思うわ。あの場で思いついたのでしょうけどね。それとあなたの承諾の証人としてね」
母は、多分、面白がって付け加えたのだ。私が珍しくあの二人に怒っていたから。
そして、結果、こうなったのは母の自業自得だろう。
「まあ、そうかも。でもね、シュザンナ」
真面目になったルシンダが言った。
「納まるべきところに納まったのよ。やっぱり気持ちは一番大事よ」
その後、公開イチャイチャ作戦の必要性は急激に低下した。
女性から求婚すれば、高根の花のオズボーン侯爵家の嫡子をゲットできたと言うことで、女性からの求婚がはやり出したらしい。
「私は一番の被害者だ」
ムスッとした表情でやって来たのは、バーカムステッド家のオスカー様だった。
「女性からのアプローチはとんでもないな」
彼は苦情の申し立てをした。
「どうして私たちに?」
「何か責任があるとでも?」
「女性は大事にされるものだと相場が決まっていて、そのつもりで求婚しに来る。断りにくい。断ると泣き出す」
なるほど……。
「あなた方の婚約と、シュザンナ嬢のアプローチは理由があった。その辺のところの理解が足りない。女性からのアプローチは捨て身なわけで、それほどまでの犠牲を払ったのに、なぜ承諾してくれないのかと、泣くわ騒ぐわ、大ごとになる」
公爵邸に見ず知らずの女性が堂々とやってくることもあるらしく、女性の父親に連絡して連れて帰ってもらったこともあると言う。
「それは恥だな。まぎれもなく」
真面目な顔になったケネスが言った。
「責任を取ってもらおうか」
オスカー様がグイッと詰め寄った。
「責任?」
「この顛末を引き起こした勇敢なる女性に」
「え? シュザンナのこと?」
「そうだ。シュザンナ嬢を少しばかり貸してくれ」
「は?」
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