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第18話 残念なアレク殿下
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エドワードは咳払いをした。
「ですから、そのようなわけでローザ様はケネス・レミントン伯爵令息にお礼を言いに行かれたのです」
「…………」
「まあ、レミントン伯爵の令息は大変誠実な方とうかがっておりますので、おそらくプレゼントを贈ったのは自分ではないと説明されるでしょう」
「しかし、それでも贈り主の名前はわからないではないか!」
名前を書かないで贈ってみたり、名前がわからないとダメだと言い出したり、知られたいのか知られたくないのかどっちなんだ。
「エドワード、次に行くぞ」
「え? 次とは?」
「決まっているだろう! ローゼンマイヤー先生のところへ行くんだ」
何しに? と思ったエドワードの思考は正常だと言わずばなるまい。
一方、どう見てもイチャイチャしているようにしか見えないカップルの方は、プレゼントのことなどきれいに忘れて、目下、ローザがケネスに叱られているところだった。
「もう少し真面目に授業くらい受けたらどうなんだ」
でも、恐ろしく眠い。ありえないくらい眠いのだ。
「先生にあやまりに行ってこい。もう、授業中に寝ませんて」
どこの子どもだ。
「無理よ」
「それぐらいしたらどうなんだ」
なんなの? この高圧的な態度は?
「仕方がないでしょ? あやまる、あやまらないの話じゃないもの」
「じゃ、なんの話なんだ?」
言いたくない。
自分に才能がないので、魔法学はクビになったのだ。
「だめよ。授業態度が悪いからではないの。要するに魔法能力がなかったの」
ついにローザは白状した。
「だから、いくらあやまっても、授業には戻れないの」
ケネスは、まだ怒ったような顔をしていた。
がっかりしたのだ。
彼は、授業がローザとあまり重ならない上、例のジョアンナの一件以来、ローザは女子生徒とばかり一緒で、ケネスが昼に隣に座ろうなどとしようものなら、途端に席を立って「悪評を立てられては困りますので」と言うと、すっと離れて行ってしまうのだ。
悪評を立てられて困るだなんて、ケネスが悪いみたいではないか。
しかも、ジョアンナと同じクラスの時は、ジョアンナを連れてきてくれると言う親切ぶりだ。
ケネスが一生懸命避けていると言うのに。
それはとにかく、邪魔な知り合いの女生徒が一人もいないクラスは魔法学だけだった。
おまけにローゼンマイヤー先生には、ローザを連れてくるよう頼まれている。
正々堂々とずっと一緒にいられる唯一の機会だった。
それがなくなると言うのだ。
ボケ気味でケネスの気持ちにはこれっぽっちも気が付かず、乗馬とカフェやお菓子ばかりに夢中な婚約者(仮)に、ついつい荒い口を利いてしまう。
「確かに、後から魔法の才能なんかありませんでしたって言われるのは、恥ずかしいから嫌だけど、元々ないと判断された人がほとんどよ?」
「それでは困る」
ケネスは思わず本音を言った。
「私は別に困らないもの」
なんと言う憎たらしい女だ。彼はこれほどまでに困っていると言うのに……
待てど暮らせどケーキの話にはならず、険悪化している様子を見かねたアイリーンが声をかけた。
「それより、ケーキのプレゼントの話は?」
ケネスにうんざりしていたローザはパッと顔を輝かせた。
「あ、そうそう。ケネスにお礼を言おうと思っていたのに」
「なんの?」
「昨夜はケーキのサプライズプレゼントありがとう! すごくおいしかったわ。それに、バラの花を添えてくれるだなんて、とっても気が利いてた。ちょっとケネスじゃないみたいで驚いたけど」
ナタリーとキャサリンも、ニコニコ顔でうなずいた。
「なんてったってパルサム菓子店のケーキだもの。すばらしいわ」
「じゃあね、ケネス。ホントにありがとう!」
「え? ちょっと!? ちょっと待って?」
ケネスに言い返す暇を与えず、ローザは仲間を促して食堂を出て行ってしまった。
これ以上、ケネスに文句を言われたくなかったのである。
魔法学なんかまるで興味がない。
成績にもだ。
もちろん、勉強はするつもりだが、それも面白ければの話。もともと魔法学に興味はなかったし、授業が眠すぎる。
「……と言うわけで、ローザ嬢は、例のケーキはケネス・レミントン様からのプレゼントだと信じておられるようでございます」
エドワードが調査結果を披露した。
「ですから、そのようなわけでローザ様はケネス・レミントン伯爵令息にお礼を言いに行かれたのです」
「…………」
「まあ、レミントン伯爵の令息は大変誠実な方とうかがっておりますので、おそらくプレゼントを贈ったのは自分ではないと説明されるでしょう」
「しかし、それでも贈り主の名前はわからないではないか!」
名前を書かないで贈ってみたり、名前がわからないとダメだと言い出したり、知られたいのか知られたくないのかどっちなんだ。
「エドワード、次に行くぞ」
「え? 次とは?」
「決まっているだろう! ローゼンマイヤー先生のところへ行くんだ」
何しに? と思ったエドワードの思考は正常だと言わずばなるまい。
一方、どう見てもイチャイチャしているようにしか見えないカップルの方は、プレゼントのことなどきれいに忘れて、目下、ローザがケネスに叱られているところだった。
「もう少し真面目に授業くらい受けたらどうなんだ」
でも、恐ろしく眠い。ありえないくらい眠いのだ。
「先生にあやまりに行ってこい。もう、授業中に寝ませんて」
どこの子どもだ。
「無理よ」
「それぐらいしたらどうなんだ」
なんなの? この高圧的な態度は?
「仕方がないでしょ? あやまる、あやまらないの話じゃないもの」
「じゃ、なんの話なんだ?」
言いたくない。
自分に才能がないので、魔法学はクビになったのだ。
「だめよ。授業態度が悪いからではないの。要するに魔法能力がなかったの」
ついにローザは白状した。
「だから、いくらあやまっても、授業には戻れないの」
ケネスは、まだ怒ったような顔をしていた。
がっかりしたのだ。
彼は、授業がローザとあまり重ならない上、例のジョアンナの一件以来、ローザは女子生徒とばかり一緒で、ケネスが昼に隣に座ろうなどとしようものなら、途端に席を立って「悪評を立てられては困りますので」と言うと、すっと離れて行ってしまうのだ。
悪評を立てられて困るだなんて、ケネスが悪いみたいではないか。
しかも、ジョアンナと同じクラスの時は、ジョアンナを連れてきてくれると言う親切ぶりだ。
ケネスが一生懸命避けていると言うのに。
それはとにかく、邪魔な知り合いの女生徒が一人もいないクラスは魔法学だけだった。
おまけにローゼンマイヤー先生には、ローザを連れてくるよう頼まれている。
正々堂々とずっと一緒にいられる唯一の機会だった。
それがなくなると言うのだ。
ボケ気味でケネスの気持ちにはこれっぽっちも気が付かず、乗馬とカフェやお菓子ばかりに夢中な婚約者(仮)に、ついつい荒い口を利いてしまう。
「確かに、後から魔法の才能なんかありませんでしたって言われるのは、恥ずかしいから嫌だけど、元々ないと判断された人がほとんどよ?」
「それでは困る」
ケネスは思わず本音を言った。
「私は別に困らないもの」
なんと言う憎たらしい女だ。彼はこれほどまでに困っていると言うのに……
待てど暮らせどケーキの話にはならず、険悪化している様子を見かねたアイリーンが声をかけた。
「それより、ケーキのプレゼントの話は?」
ケネスにうんざりしていたローザはパッと顔を輝かせた。
「あ、そうそう。ケネスにお礼を言おうと思っていたのに」
「なんの?」
「昨夜はケーキのサプライズプレゼントありがとう! すごくおいしかったわ。それに、バラの花を添えてくれるだなんて、とっても気が利いてた。ちょっとケネスじゃないみたいで驚いたけど」
ナタリーとキャサリンも、ニコニコ顔でうなずいた。
「なんてったってパルサム菓子店のケーキだもの。すばらしいわ」
「じゃあね、ケネス。ホントにありがとう!」
「え? ちょっと!? ちょっと待って?」
ケネスに言い返す暇を与えず、ローザは仲間を促して食堂を出て行ってしまった。
これ以上、ケネスに文句を言われたくなかったのである。
魔法学なんかまるで興味がない。
成績にもだ。
もちろん、勉強はするつもりだが、それも面白ければの話。もともと魔法学に興味はなかったし、授業が眠すぎる。
「……と言うわけで、ローザ嬢は、例のケーキはケネス・レミントン様からのプレゼントだと信じておられるようでございます」
エドワードが調査結果を披露した。
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