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第17話 失敗の理由
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翌日のお昼時、ジョアンナに見つかる危険を犯してケネスはローザを探しに食堂にやって来た。
「あら、ローザ、ケネスよ?」
ナタリーが目ざとくケネスを見つけて教えてくれた。
「あなたを探しに来たのね」
「そうよね。昨日のプレゼント、ステキでしたものね」
「あら、なんのお話?」
近くにいたアイリーンがなんだか教えて欲しそうに身を寄せてきた。
「昨夜、ローザの部屋にスコア通りのパルサム菓子店のケーキが届いたの!」
「あら! ステキ」
アイリーンの目が楽しげに光った。
「さては恋人からのプレゼントね? もしくはローザに気がある誰かからのプレゼントなのね?」
ローザは簡単に答えた。
「ケネス・レミントンだと思うの。お礼を言わないと」
そう言っている間にケネスがやってきた。
ただし、彼はドキドキしているとか、ウキウキしている表情ではなかった。
むしろ、心配してなにか焦っている様子だった。
「ローザ、君、どうして昨日、魔法学の……」
ローザはスーッと顔色青ざめた。
「ケネス、話はちょっとあっちで」
そう言うと、ローザはケネスを引っ張って3人の女生徒に生あたたかく見守られながら、別のテーブルへ彼を連れて行った。
ジョアンナに見つかると淫乱と言われるかもしれない。だが、淫乱の自覚はなかったが、魔法学の授業をクビになった自覚はある。
いずれ、みんなにバレるだろうけど、今は覚悟が出来ていない。
「ねえ、どうして授業をぬけてっちゃったの? 一緒に教室までちゃんと行ったのに。授業をサボっちゃダメだろう。まあ、魔法学は成績に影響しないけど」
「だって……」
ローザは、ものすごく言いにくそうに始めた。
「ローゼンマイヤー先生が……」
「なに? どうしたの?」
「もう授業には来なくていいって」
ケネスはさすがに驚いてローザを見つめた。
「だって、君、魔法のテストなら、ちゃんと受かっただろう? いまさら、どうして……」
いや、ほんと、魔法力の検査が出来るとか言うあの箱はニセモノではないのだろうか。ローザとしても、疑義を挟みたいところだった。
ゴチャゴチャやっている二人の姿は、遠くから見るとイチャイチャしているようにしか見えなかった。
******
「エドワード、なんでああなってる?」
アレクはムカついて、エドワードに当たった。
「ちゃんとプレゼントしたし!」
「わかりました。調査して参りましょう」
優秀なお付きは、優雅に礼をするとどこかへ去って行って、十分ほど行方不明になっていた。
その間、アレクはテーブルに肘をついて座ると言う最低の行儀のまま、三つほど離れたテーブルで深刻な様子で話をしているヤケに美男美女で似合いのカップルをにらみつけていた。
「いや、俺の方がかっこいい」
思わずアレクはつぶやいたが、間の悪いことにその瞬間にエドワードが戻ってきた。
「お待たせしました……アレク様、今、何かおっしゃいましたか?」
「いや、何も言ってない!」
「何か言ってらしたような……?」
「早く報告しろ!」
涼しげな様子の側近は、すらすらと調査結果を報告し始めた。
「アレク様、ところでプレゼントには、ご自分のお名前は書かれましたか?」
ガバッと殿下は側近の方に向き直った。
「いやっ、そんなマネはしない」
整った側近の顔が微妙に歪んだ。
「そんなマネ?」
「奥ゆかしくないではないか! いかにも、そうだな、売名行為と言うか……贈りましたよ?みたいな?」
「アレク様、それはないでしょう? 贈ったんですから、当たり前じゃないですか。
今、アレク様がしようとしているのは売名行為でございますよ? まず名前を覚えてもらい、好感度をよりアップ……」
「だが、どこから来たのか分からない方が、よくはないか? なにかこう、そそるものがないか? 秘密の恋人みたいな」
なに言ってやがんだ……と忠実な側近エドワードは思ったが、顔には出さなかった。
「それは、誰からもプレゼントがもらえらないような令嬢ならあり得るでしょうが……」
「どう言う意味だ?」
「アレク様、ローザ嬢はご覧の通り、大変、お美しい方でございます」
ぶつかってきたり、結構ボケたことばかり仕出かしているので、美人なところまで気が回っていなかった。
「そうかな」
「そうでございますとも。付き合いたい男には大勢いると思われます」
「まさか」
まさかな訳ないだろう、どう見ても美少女だ。この殿下はどこに目をつけてんだ、……みたいなことは側近は思いもしないし、当然、顔にも出ない。
「どうやらローザ嬢は、ケネス・レミントン伯爵令息からのプレゼントだと思われたようで」
「なんだとぉ!」
「しーっ。アレク様、しーっ」
慌てて、エドワードは殿下をたしなめた。
「なんでも、部屋番号を知っている殿方がレミントン様だけだったそうで」
「なんで、ヤツが部屋番号を知っている?」
「アレク様だって、ご存知じゃありませんか」
「412号室だな」
俺は覚えてねえし。側近は考えた。メモはしといたけど。
「ですので、無記名のプレゼントは部屋番号を知っている人からのプレゼントだと考えられて、お礼を言いに行かれたそうです」
「そうか。……うむ。ものすごく筋が通っている」
「お褒めに預かって恐縮でございます」
「お前のことは褒めていない。ローザ嬢の推理力を誉めている」
「あら、ローザ、ケネスよ?」
ナタリーが目ざとくケネスを見つけて教えてくれた。
「あなたを探しに来たのね」
「そうよね。昨日のプレゼント、ステキでしたものね」
「あら、なんのお話?」
近くにいたアイリーンがなんだか教えて欲しそうに身を寄せてきた。
「昨夜、ローザの部屋にスコア通りのパルサム菓子店のケーキが届いたの!」
「あら! ステキ」
アイリーンの目が楽しげに光った。
「さては恋人からのプレゼントね? もしくはローザに気がある誰かからのプレゼントなのね?」
ローザは簡単に答えた。
「ケネス・レミントンだと思うの。お礼を言わないと」
そう言っている間にケネスがやってきた。
ただし、彼はドキドキしているとか、ウキウキしている表情ではなかった。
むしろ、心配してなにか焦っている様子だった。
「ローザ、君、どうして昨日、魔法学の……」
ローザはスーッと顔色青ざめた。
「ケネス、話はちょっとあっちで」
そう言うと、ローザはケネスを引っ張って3人の女生徒に生あたたかく見守られながら、別のテーブルへ彼を連れて行った。
ジョアンナに見つかると淫乱と言われるかもしれない。だが、淫乱の自覚はなかったが、魔法学の授業をクビになった自覚はある。
いずれ、みんなにバレるだろうけど、今は覚悟が出来ていない。
「ねえ、どうして授業をぬけてっちゃったの? 一緒に教室までちゃんと行ったのに。授業をサボっちゃダメだろう。まあ、魔法学は成績に影響しないけど」
「だって……」
ローザは、ものすごく言いにくそうに始めた。
「ローゼンマイヤー先生が……」
「なに? どうしたの?」
「もう授業には来なくていいって」
ケネスはさすがに驚いてローザを見つめた。
「だって、君、魔法のテストなら、ちゃんと受かっただろう? いまさら、どうして……」
いや、ほんと、魔法力の検査が出来るとか言うあの箱はニセモノではないのだろうか。ローザとしても、疑義を挟みたいところだった。
ゴチャゴチャやっている二人の姿は、遠くから見るとイチャイチャしているようにしか見えなかった。
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「エドワード、なんでああなってる?」
アレクはムカついて、エドワードに当たった。
「ちゃんとプレゼントしたし!」
「わかりました。調査して参りましょう」
優秀なお付きは、優雅に礼をするとどこかへ去って行って、十分ほど行方不明になっていた。
その間、アレクはテーブルに肘をついて座ると言う最低の行儀のまま、三つほど離れたテーブルで深刻な様子で話をしているヤケに美男美女で似合いのカップルをにらみつけていた。
「いや、俺の方がかっこいい」
思わずアレクはつぶやいたが、間の悪いことにその瞬間にエドワードが戻ってきた。
「お待たせしました……アレク様、今、何かおっしゃいましたか?」
「いや、何も言ってない!」
「何か言ってらしたような……?」
「早く報告しろ!」
涼しげな様子の側近は、すらすらと調査結果を報告し始めた。
「アレク様、ところでプレゼントには、ご自分のお名前は書かれましたか?」
ガバッと殿下は側近の方に向き直った。
「いやっ、そんなマネはしない」
整った側近の顔が微妙に歪んだ。
「そんなマネ?」
「奥ゆかしくないではないか! いかにも、そうだな、売名行為と言うか……贈りましたよ?みたいな?」
「アレク様、それはないでしょう? 贈ったんですから、当たり前じゃないですか。
今、アレク様がしようとしているのは売名行為でございますよ? まず名前を覚えてもらい、好感度をよりアップ……」
「だが、どこから来たのか分からない方が、よくはないか? なにかこう、そそるものがないか? 秘密の恋人みたいな」
なに言ってやがんだ……と忠実な側近エドワードは思ったが、顔には出さなかった。
「それは、誰からもプレゼントがもらえらないような令嬢ならあり得るでしょうが……」
「どう言う意味だ?」
「アレク様、ローザ嬢はご覧の通り、大変、お美しい方でございます」
ぶつかってきたり、結構ボケたことばかり仕出かしているので、美人なところまで気が回っていなかった。
「そうかな」
「そうでございますとも。付き合いたい男には大勢いると思われます」
「まさか」
まさかな訳ないだろう、どう見ても美少女だ。この殿下はどこに目をつけてんだ、……みたいなことは側近は思いもしないし、当然、顔にも出ない。
「どうやらローザ嬢は、ケネス・レミントン伯爵令息からのプレゼントだと思われたようで」
「なんだとぉ!」
「しーっ。アレク様、しーっ」
慌てて、エドワードは殿下をたしなめた。
「なんでも、部屋番号を知っている殿方がレミントン様だけだったそうで」
「なんで、ヤツが部屋番号を知っている?」
「アレク様だって、ご存知じゃありませんか」
「412号室だな」
俺は覚えてねえし。側近は考えた。メモはしといたけど。
「ですので、無記名のプレゼントは部屋番号を知っている人からのプレゼントだと考えられて、お礼を言いに行かれたそうです」
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