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第24話 私とお付き合いしませんか?
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「今日のことは、絶対に黙っているように」
レオ殿下はそう言った。ローザだけではなく、アレクとエドワードに向かっても。
「いいかね? 連絡はローゼンマイヤー先生から入れてもらう。友達や家族、先生方にも話してはいけない」
ローザは素直にうなずいたが、心の中は疑問で一杯だった。
殿下はとても自由な格好をしていた。王弟殿下と言う高い身分だと言うのに、貴族にさえ見えない。
どうして魔女なんか探しているんだろう?
その上、その探していた魔女とは、どうやら自分のことらしい。
ローザにはどうしても自分が魔女だとは思えなかった。何の力もないのだ。
*******
その日はもう遅かったので、ローザは、アレク殿下とエドワードと一緒に、寮に帰された。
三人は、真っ暗になった道を寮に向かって歩いていた。
「ローザ嬢」
突然、エドワードが言った。
「私とお付き合いしませんか?」
「「え?」」
「お前は彼女がいるくせに「どうして私が」何の必要があって」
「いや、とにかく、お一人でこの秘密を抱えるのは大変でしょう。アレク様には私が付いていますし、王弟殿下も、口は悪いですが、おられます。でも、ローザ様はたった一人。やはりおつらいでしょう」
「それでなんで「付き合うって」ダメだダメだ」
「それに連絡を取るのに、いちいち手紙を書いたり返事を受け取ったりしていては、時間がかかり過ぎます。恋人同士なら、密会していても誰からも何も言われませんし」
「それはちょっと困る「密会って何する気だ?」周りが誤解すると」
「じゃあ、アレク様が付き合いますか? それをするといろいろと……」
「それ、困りますので「いや、俺は別に」エドワード様の方が」
「一緒にしゃべるの、やめてもらえませんか」
エドワードがイライラしたように言いだした。
「私が付き合いだしたことにしておけば、私の方がアレク様より身軽ですので何かと便利です。それに殿下が女性に関心があるとわかれば、学園中が大騒ぎになりますから、危険すぎます」
「お前、彼女がいるだろう?! アイリーンはどうするつもりだ」
「事情を話せばわかってもらえます」
「アイリーンって、アイリーン・ヘザーウェイト? 子爵令嬢の?」
エドワードがにっこり笑ってうなずいた。
「まあ、やるわね、アイリーン」
王太子殿下の側近との婚約だなんて願ってもない良縁である。さすがは美人で賢いと評判のアイリーンだ。
「美人で優秀な令嬢は、早めに口説きませんと、争奪戦に乗り遅れます」
「なるほど」
アレクがぶすっとして、そう言った。
「殿下はご身分が邪魔をして、簡単に女性を口説けないのですよ。争奪戦に加わることさえできません。乗り遅れまくりですね」
さわやかにエドワードが解説した。
「まあ、お気の毒」
いかにも同情するようにローザが言った。
何かムカッとする。エドワードの解説もイラっとするが、ローザ嬢からの同情はなんだかもっとイライラする。
「あ、でも、私の方も……」
「おや、なんですか? あなたも恋人がいるのですか?」
アレクは(そんなはずがないのに)自分の耳がピクッと動いたような気がした。
「いえ、恋人はいませんが」
(それはそうだろう。あんなにぼんやりのくせして)
「婚約者がいます」
アレクとエドワードが、稲妻のような素早さでローザの顔を見た。
「こん…やく…しゃ」
アレクが棒読みで繰り返した。
「おや、それは存じませんでした。どなたですか?」
エドワードが明日の天気でも聞くような調子で尋ねた。
「ケネス・レミントンですわ。婚約と言っても正式のものではありませんの。母親同士が話し合って、将来結婚させようかと……」
「ああ。なるほど。それでわからなかったわけですな」
したり顔でエドワードが言い、アレクは黙り込んでじっとりとローザの顔を見ていた。
「でも、妹がケネスのことを気に入ってまして、ケネスもわたくしより妹の方が好きなようでしたので、もしかすると妹と結婚するかもしれません。ケネス次第だと思いますが」
「ゆるい話ですな」
「実はそうなのです。正式の話ではないので、誰にも言えませんでした。話が独り歩きして噂になったら困ります。ケネスが妹と結婚することになったら、私は別な縁を探さなくてはなりませんので」
「ふむ。でも、それだと私があなたと付き合うのは、少々問題がありますね」
エドワードは考え込み、横ではアレクが不満そうな表情で言った。
「じゃあ、連絡のためには手紙を出そう。それしかあるまい。四一二号室に」
「は?」
ローザがびっくりしてアレクを見た。なぜ、部屋番号を知っているのだろう?
レオ殿下はそう言った。ローザだけではなく、アレクとエドワードに向かっても。
「いいかね? 連絡はローゼンマイヤー先生から入れてもらう。友達や家族、先生方にも話してはいけない」
ローザは素直にうなずいたが、心の中は疑問で一杯だった。
殿下はとても自由な格好をしていた。王弟殿下と言う高い身分だと言うのに、貴族にさえ見えない。
どうして魔女なんか探しているんだろう?
その上、その探していた魔女とは、どうやら自分のことらしい。
ローザにはどうしても自分が魔女だとは思えなかった。何の力もないのだ。
*******
その日はもう遅かったので、ローザは、アレク殿下とエドワードと一緒に、寮に帰された。
三人は、真っ暗になった道を寮に向かって歩いていた。
「ローザ嬢」
突然、エドワードが言った。
「私とお付き合いしませんか?」
「「え?」」
「お前は彼女がいるくせに「どうして私が」何の必要があって」
「いや、とにかく、お一人でこの秘密を抱えるのは大変でしょう。アレク様には私が付いていますし、王弟殿下も、口は悪いですが、おられます。でも、ローザ様はたった一人。やはりおつらいでしょう」
「それでなんで「付き合うって」ダメだダメだ」
「それに連絡を取るのに、いちいち手紙を書いたり返事を受け取ったりしていては、時間がかかり過ぎます。恋人同士なら、密会していても誰からも何も言われませんし」
「それはちょっと困る「密会って何する気だ?」周りが誤解すると」
「じゃあ、アレク様が付き合いますか? それをするといろいろと……」
「それ、困りますので「いや、俺は別に」エドワード様の方が」
「一緒にしゃべるの、やめてもらえませんか」
エドワードがイライラしたように言いだした。
「私が付き合いだしたことにしておけば、私の方がアレク様より身軽ですので何かと便利です。それに殿下が女性に関心があるとわかれば、学園中が大騒ぎになりますから、危険すぎます」
「お前、彼女がいるだろう?! アイリーンはどうするつもりだ」
「事情を話せばわかってもらえます」
「アイリーンって、アイリーン・ヘザーウェイト? 子爵令嬢の?」
エドワードがにっこり笑ってうなずいた。
「まあ、やるわね、アイリーン」
王太子殿下の側近との婚約だなんて願ってもない良縁である。さすがは美人で賢いと評判のアイリーンだ。
「美人で優秀な令嬢は、早めに口説きませんと、争奪戦に乗り遅れます」
「なるほど」
アレクがぶすっとして、そう言った。
「殿下はご身分が邪魔をして、簡単に女性を口説けないのですよ。争奪戦に加わることさえできません。乗り遅れまくりですね」
さわやかにエドワードが解説した。
「まあ、お気の毒」
いかにも同情するようにローザが言った。
何かムカッとする。エドワードの解説もイラっとするが、ローザ嬢からの同情はなんだかもっとイライラする。
「あ、でも、私の方も……」
「おや、なんですか? あなたも恋人がいるのですか?」
アレクは(そんなはずがないのに)自分の耳がピクッと動いたような気がした。
「いえ、恋人はいませんが」
(それはそうだろう。あんなにぼんやりのくせして)
「婚約者がいます」
アレクとエドワードが、稲妻のような素早さでローザの顔を見た。
「こん…やく…しゃ」
アレクが棒読みで繰り返した。
「おや、それは存じませんでした。どなたですか?」
エドワードが明日の天気でも聞くような調子で尋ねた。
「ケネス・レミントンですわ。婚約と言っても正式のものではありませんの。母親同士が話し合って、将来結婚させようかと……」
「ああ。なるほど。それでわからなかったわけですな」
したり顔でエドワードが言い、アレクは黙り込んでじっとりとローザの顔を見ていた。
「でも、妹がケネスのことを気に入ってまして、ケネスもわたくしより妹の方が好きなようでしたので、もしかすると妹と結婚するかもしれません。ケネス次第だと思いますが」
「ゆるい話ですな」
「実はそうなのです。正式の話ではないので、誰にも言えませんでした。話が独り歩きして噂になったら困ります。ケネスが妹と結婚することになったら、私は別な縁を探さなくてはなりませんので」
「ふむ。でも、それだと私があなたと付き合うのは、少々問題がありますね」
エドワードは考え込み、横ではアレクが不満そうな表情で言った。
「じゃあ、連絡のためには手紙を出そう。それしかあるまい。四一二号室に」
「は?」
ローザがびっくりしてアレクを見た。なぜ、部屋番号を知っているのだろう?
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