【完結】地味・ボンヤリの伯爵令嬢、俺様系王子様と一緒に魔女討伐に抜擢される

buchi

文字の大きさ
23 / 62

第23話 ぼんやりの理由

しおりを挟む
「何かありましたか?」

呼ばれて、急いで駆け付けてきたローゼンマイヤー先生がドアを開けた。

「レオ殿下!」

ローゼンマイヤー先生は、薄笑いを浮かべている男の顔を見て叫んだ。



「役者がそろったようだから紹介しよう。私は、そこにいるアレクの叔父のレオだ」

ローザは真剣な顔をしていたが、まるで分っていなさそうだったので、エドワードが耳元で囁いた。

「レオ殿下は、王弟殿下です」

ローザははっとして振り返った。

「王弟殿下ですか?……王弟殿下って、いましたっけ?」

後ろ半分はエドワードにこっそり聞いたのだが、運悪くレオ殿下の耳にしっかり聞こえてしまったらしい。殿下は機嫌を損ねたらしかった。

「四十年ほど前からいるよ。君は伯爵家の娘だったな」

「ローザ・ウォルバートと申します」

今更ながら、ローザは深々と礼をした。王弟殿下と言う言葉の意味は分かる。王様の弟だ。王族だ。

「おい」

たまりかねたアレクが声をかけた。

「私は王太子なんだが」

「え?」

ローザは振り返って、まじまじとアレクの顔を見た。

「王太子殿下……ですか?」

「そうだ」

「知りませんでした」

ローザは呆然とした。王族だらけだ。どうしよう。

アレクも機嫌を損ねたらしかった。だが、エドワードが注意した。

「アレク殿下、殿下は身分を隠して学園に通っておられますので、ローザ嬢にわかるはずがないではありませんか」

大抵の生徒はうすうす知っているだろうけど、この令嬢はかなりのボンヤリなんだから気が付くわけないじゃないですか、と注釈をつけたいところをエドワードは我慢した。

「黙っておけとローザ嬢にお言いつけにならないと……バラしてどうするんですか? てか、なんでバラすんですか?」

「この娘は相当のボンヤリだな」

レオ殿下は、それでは都合が悪い、みたいな顔をして言ったが、肝心のローザは一生懸命うなずいていた。ボンヤリ結構。過大評価されるのは困る。

「魔法力はすごいが、大丈夫かなー?」

「多分、大丈夫でございますよ。さあ、ローザ嬢」

ローゼンマイヤー先生が出てきて、装身具の入った箱をローザに差し出してきた。

「好きなものを取ってごらんなさい」

指輪が五つ、イヤリングが三組、ネックレスは二本、腕輪が三つ置いてあった。

ローザが先生の顔を見ると、山羊ひげのローゼンマイヤー先生がうなずいた。

細い指で銀の指輪を選びだし、それをはめてみた。

指輪をはめた途端、細かい霧が指輪から広がって行き、彼女の全身を包みこんだ。

「!」

視界がはっきりするような気な気がした。
こんなことってあるんだろうか?

「くっきりするわ?」

次に指輪を外して、イヤリング、ネックレスと順番につけてみた。

どれも視界をはっきりさせる効果があったが、最も効果の高いものを一組ずつ手にした。

「選んだね? 全部つけてごらんなさい」

ローゼンマイヤー先生が優しく言った。

指輪とネックレス、腕輪、イヤリングとつけていって、ローザは言った。

「はっきりする。落ち着くわ」

ローゼンマイヤー先生はうんうんと頷いた。

「ローザはボンヤリじゃないんです。まあ、元々の性格はのんきな方かも知れないが、彼女には干渉が働いてしまうんです」

「干渉? どういう意味ですか?」

エドワードが尋ねた。

「とても魔力に敏感なのです。魔法学の授業を受けさせたら寝てしまった」

レオ殿下はダメじゃないかと言う顔をした。

ローゼンマイヤー先生は首を振って否定した。

「彼女は白の魔女だ。魔法学の教室には魔女が嫌う魔道具を集めてある。ローザほどの魔力持ちになると耐えられない。寝るしかなかったんでしょう」

「なんでまた、教室なんかにそんな魔道具を置いておいたんだ」

レオ殿下が聞いた。ローゼンマイヤー先生は山羊ひげを振って答えた。

「まさか本物の魔女が見つかるとは思っていなかったんです。置き場所がなくてね」

レオ殿下が一挙に不機嫌そうになった。

「私が必死で魔女を探していたのを知っているだろうに。見つからないと思っていたなんて。魔道具だって、さんざん探して、見つかったらお前に大切に保管を頼んでいたのに」

「いやいや、役に立つかも知れない魔道具は大事に保管してありましたよ」

ローゼンマイヤー先生は少しあわてたように、さっき開けた箱の山を指した。それから、ローザに話しかけた。

「この装身具は、他人から受ける干渉を遮断する。ローザ、気分がいいだろう?」

ローザはうなずいた。

「すっきりしました」

「白の魔女の体質ですよ。ほかの人間ならわからない程度のわずかな気……魔力とも言えないほどの気を感じ取る能力がある。だが、それが彼女の集中を邪魔するんです」

「じゃあ、そこまでのボンヤリじゃないってことか」

レオ殿下がそう言うと、ローザの顔を見た。

「あんまりバカは困るからな」

ローザの方は困惑した。何か自分に期待することでもあると言うのだろうか。

レオ殿下はじっとローザを観察しながら、ゆっくりと言った。

「君は国の秘密だ。やって欲しいことがある。準備が整ったら連絡しよう。白の魔女殿」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。 

さら
恋愛
 私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。  そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。  王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。  私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。  ――でも、それは間違いだった。  辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。  やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。  王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。  無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。  裏切りから始まる癒しの恋。  厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

「可愛げがない」と婚約破棄された公爵令嬢ですが、領地経営をしていたのは私です

希羽
恋愛
「お前のような可愛げのない女との婚約は破棄する!」 卒業パーティの会場で、婚約者である第二王子デリックはそう宣言し、私の義妹ミナを抱き寄せました。 誰もが私が泣き崩れると思いましたが――正直、せいせいしました。 だって、王子の領地経営、借金返済、結界維持、それら全ての激務を一人でこなしていたのは「可愛げのない」私だったのですから。 「承知しました。では、あとはミナと二人で頑張ってください」 私は手切れ金代わりに面倒な仕事を全て置いて国を出ました。 すると、国境で待っていたのは、隣国ガルガディア帝国の冷徹皇太子ことクライド様。なぜか彼は私を溺愛し、帝国で最高の地位と環境を与えてくれて……。

料理スキルしか取り柄がない令嬢ですが、冷徹騎士団長の胃袋を掴んだら国一番の寵姫になってしまいました

さら
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢クラリッサ。 裁縫も舞踏も楽器も壊滅的、唯一の取り柄は――料理だけ。 「貴族の娘が台所仕事など恥だ」と笑われ、家からも見放され、辺境の冷徹騎士団長のもとへ“料理番”として嫁入りすることに。 恐れられる団長レオンハルトは無表情で冷徹。けれど、彼の皿はいつも空っぽで……? 温かいシチューで兵の心を癒し、香草の香りで団長の孤独を溶かす。気づけば彼の灰色の瞳は、わたしだけを見つめていた。 ――料理しかできないはずの私が、いつの間にか「国一番の寵姫」と呼ばれている!? 胃袋から始まるシンデレラストーリー、ここに開幕!

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される

えとう蜜夏
恋愛
 リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。  お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。  少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。  22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

処理中です...