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第27話 フリージアに到着
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伯母は、いつもならロビア家に泊るはずだったが、私のことで敵対している関係上、今回はロビア家には泊まれない。
深夜、我々は、私が家出した時、隠れて伯母の隠れ家に飛んだぼろ屋に出現した。
そして、目隠し魔法で厳重に気配を消して、そこを出て、私たちは高級ホテルに入った。
「リナがいると、こうまで楽とは!」
伯母は大喜びだった。
私のせいでロビア家に泊れなくなったんだけど。
「でも、いつも移動には苦労したのよ。馬車の旅を何週間も続けるなんて嫌でしょう? だから、転移魔法を使うんだけど、馬車とか馬とか、それからごまかさなきゃならない使用人もいていろいろと大変だったのよ」
「ええ」
私は言葉少なに答えた。今回、それを全部やったのは私だ。疲れた。
「帰りもよろしくね」
伯母さま、ちょっとは手伝おうよ。
私はへとへとです。
「さあ、明日は朝から裁判所へ行ってくるわ。張り切っていくわよ。来週、王宮でパーティがある。その時が正念場よ」
私は猛烈に緊張した。
伯母は、最初、色々な家のパーティに出席して、ちまちまと味方を増やしてから、王級のパーティに臨んだ方がいいのではないかと言っていたが、私が断った。
そんな所でエネルギーを消費していたら、肝心の王宮のパーティまでもたない気がする。
そのパーティでだって、何を言われるかわからないではないか。
伯母は親切な良い人たちだと言うけれど、そんな人、このフリージアにいるわけがない。
妹じゃないのに、妹扱いのエミリを虐めていたとか、ケガをさせたとか、変人でパーティ嫌い、人嫌い、礼儀知らず……
「だから、パーティに出ればと言っているのよ。本物のあなたを見ればわかるわ」
伯母が言った。
「いいえ。悪評が広がるだけですわ。きっと珍しい動物でも見るような目つきで見られるのだと思います」
そして陰でコソコソ悪口を言われるのだ。慣れたことだけど。
エミリとバーバラ夫人も私が来ることを聞いて知っているはずだ。偽物だと言う噂をせっせと広めていることだろう。
「とりあえず、生存確認さえ取れればあとはどうでもいいと思うわ」
私はセバスに言った。
社交界デビューを果たしていない私は、社交界に知り合いもほとんどいなかった。
昔の友達も、今は何になっているのかわからない。未婚なのか、結婚して、王都にいるのか地方にいるのか。
「早めに帰りたいわ」
上手く壁の花になれればいいんだが。注目されて、悪口を言われるに違いない。人格的、品格的にふさわしくない人間がロビア家の財産を狙って、あさましくもやって来たのだと。
「まあ、パーティはとにかく、せっかく持参してきた薬をお国王陛下に処方するお役目がございますから」
マグリナに帰ってほしくないセバスが、なだめるように言った。
セバスは、私にロビア家の正当な跡取りとして、華々しくフリージアの社交界にデビューしてもらいたがっていた。
私は結局、カサンドラ夫人がマグリナの魔術ギルドに出したフリージア国王の薬の依頼を受けた。
もちろん、名義上は伯母のマラテスタ侯爵夫人が受けたことになっている。
ギルドに登録できないのだから、仕方ない。
かなり意外だったが、食いつく勢いで了承されたらしい。
「でも、薬なんか提供して大丈夫かしら? 陛下が突然亡くなられようものなら、私が罪を着せられるのでは?」
私はセバスに聞いた。
「今は事情が変わりました。カサンドラ夫人は本気で陛下の回復を願ってらっしゃいます」
「なぜ? これまでは、自分が好きなように采配を振るえるように、死なないように殺さぬように加減していたと言うのが真実なのでしょう?」
「まあ、人の健康をそこまでうまくコントロールできるのかどうかわかりませんが、今は本気で藁にもすがりたいらしいですよ」
聞けば、これまで他国に留学していた王子が留学先から、帰国し、采配を振るっているのだと言う。
「なかなかしっかりした人物だそうで、王子側につく貴族は多いようです。カサンドラ夫人としては、国王陛下に回復してもらって、自分の味方になってもらい、王子を抑えたいのでしょう」
容体が悪くなったら私のせいではなくて、私を呼んだカサンドラ夫人の責任になると言う訳ね。
「すると、今日は私は、カサンドラ夫人に招かれた魔術ギルドの薬のエキスパートと言う扱いなのね?」
「そうです。マラテスタ侯爵夫人の助手ですね」
深夜、我々は、私が家出した時、隠れて伯母の隠れ家に飛んだぼろ屋に出現した。
そして、目隠し魔法で厳重に気配を消して、そこを出て、私たちは高級ホテルに入った。
「リナがいると、こうまで楽とは!」
伯母は大喜びだった。
私のせいでロビア家に泊れなくなったんだけど。
「でも、いつも移動には苦労したのよ。馬車の旅を何週間も続けるなんて嫌でしょう? だから、転移魔法を使うんだけど、馬車とか馬とか、それからごまかさなきゃならない使用人もいていろいろと大変だったのよ」
「ええ」
私は言葉少なに答えた。今回、それを全部やったのは私だ。疲れた。
「帰りもよろしくね」
伯母さま、ちょっとは手伝おうよ。
私はへとへとです。
「さあ、明日は朝から裁判所へ行ってくるわ。張り切っていくわよ。来週、王宮でパーティがある。その時が正念場よ」
私は猛烈に緊張した。
伯母は、最初、色々な家のパーティに出席して、ちまちまと味方を増やしてから、王級のパーティに臨んだ方がいいのではないかと言っていたが、私が断った。
そんな所でエネルギーを消費していたら、肝心の王宮のパーティまでもたない気がする。
そのパーティでだって、何を言われるかわからないではないか。
伯母は親切な良い人たちだと言うけれど、そんな人、このフリージアにいるわけがない。
妹じゃないのに、妹扱いのエミリを虐めていたとか、ケガをさせたとか、変人でパーティ嫌い、人嫌い、礼儀知らず……
「だから、パーティに出ればと言っているのよ。本物のあなたを見ればわかるわ」
伯母が言った。
「いいえ。悪評が広がるだけですわ。きっと珍しい動物でも見るような目つきで見られるのだと思います」
そして陰でコソコソ悪口を言われるのだ。慣れたことだけど。
エミリとバーバラ夫人も私が来ることを聞いて知っているはずだ。偽物だと言う噂をせっせと広めていることだろう。
「とりあえず、生存確認さえ取れればあとはどうでもいいと思うわ」
私はセバスに言った。
社交界デビューを果たしていない私は、社交界に知り合いもほとんどいなかった。
昔の友達も、今は何になっているのかわからない。未婚なのか、結婚して、王都にいるのか地方にいるのか。
「早めに帰りたいわ」
上手く壁の花になれればいいんだが。注目されて、悪口を言われるに違いない。人格的、品格的にふさわしくない人間がロビア家の財産を狙って、あさましくもやって来たのだと。
「まあ、パーティはとにかく、せっかく持参してきた薬をお国王陛下に処方するお役目がございますから」
マグリナに帰ってほしくないセバスが、なだめるように言った。
セバスは、私にロビア家の正当な跡取りとして、華々しくフリージアの社交界にデビューしてもらいたがっていた。
私は結局、カサンドラ夫人がマグリナの魔術ギルドに出したフリージア国王の薬の依頼を受けた。
もちろん、名義上は伯母のマラテスタ侯爵夫人が受けたことになっている。
ギルドに登録できないのだから、仕方ない。
かなり意外だったが、食いつく勢いで了承されたらしい。
「でも、薬なんか提供して大丈夫かしら? 陛下が突然亡くなられようものなら、私が罪を着せられるのでは?」
私はセバスに聞いた。
「今は事情が変わりました。カサンドラ夫人は本気で陛下の回復を願ってらっしゃいます」
「なぜ? これまでは、自分が好きなように采配を振るえるように、死なないように殺さぬように加減していたと言うのが真実なのでしょう?」
「まあ、人の健康をそこまでうまくコントロールできるのかどうかわかりませんが、今は本気で藁にもすがりたいらしいですよ」
聞けば、これまで他国に留学していた王子が留学先から、帰国し、采配を振るっているのだと言う。
「なかなかしっかりした人物だそうで、王子側につく貴族は多いようです。カサンドラ夫人としては、国王陛下に回復してもらって、自分の味方になってもらい、王子を抑えたいのでしょう」
容体が悪くなったら私のせいではなくて、私を呼んだカサンドラ夫人の責任になると言う訳ね。
「すると、今日は私は、カサンドラ夫人に招かれた魔術ギルドの薬のエキスパートと言う扱いなのね?」
「そうです。マラテスタ侯爵夫人の助手ですね」
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